健康保険料はいくら?仕組みや計算方法をくわしく解説! - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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健康保険料はいくら?仕組みや計算方法をくわしく解説!

医者が豚の貯金箱を持っている

健康保険料とは、民間企業で働いている従業員とその家族が加入する、公的な医療保険制度に対して払うものです。健康保険料は社会保険料の1つに分類されるのが一般的ですが、後期高齢者制度の対象者や職場の健康保険(社会保険)に加入している労働者を除く人が支払っているのは国民保険料となります。

健康保険料がいくらになるかは、加入しているのが「国民健康保険」なのか「社会保険の国民健康保険」なのかによって変わるため、各保険の諸条件により決まります。会社員が加入するのは基本的に「社会保険」になるので、管轄地域や給料、各種手当などで決まります。

本記事では、健康保険料がいくらになるか、健康保険料の仕組みや構成要素、算出方式、令和6年における健康保険料率の改定の変更点などについて解説します。

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1. 健康保険料がいくらかは諸条件により決まる

スマホを片手に首をかしげている男性

健康保険料がいくらになるのかは、「国民健康保険」と「社会保険の健康保険」のどちらに加入しているか、各保険の諸条件により決まります

国民健康保険と社会保険の健康保険の一般的な諸条件は、以下のとおりです。

国民健康保険 所得・地域・年齢・被保険者の人数など
社会保険の健康保険 地域・管轄する保険者・給料・各種手当など

国民健康保険料は世帯単位で決定されるため、世帯主が配偶者や子どもなどの扶養者を含む全員分の保険料を全てまとめて支払います。ただし、配偶者や子どもなどの扱いは被扶養者ではなく、それぞれが被保険者扱いとなるので間違えないようにしましょう。

また、無職の場合も国民健康保険への加入義務があるため、諸条件に応じた保険料を支払います。

一方、社会保険の健康保険では家族を扶養に入れられますが、扶養家族の人数により保険料が増えることはありません。また被保険者が40歳以上65歳未満の場合は、健康保険料と介護保険料を合算して支払います。

国民健康保険と社会保険の健康保険の諸条件が異なるのは、以下のように加入者や管轄する保険者が異なるためです。

国民健康保険 社会保険の健康保険
加入者 自営業者とその家族

フリーランスとその家族

年金受給者など

企業の従業員とその家族

日雇い労働者など

管轄する保険者 住居のある地域の地方自治体 健康保険組合

全国健康保険協会など

国民健康保険と社会保険の健康保険では、給付項目にも違いがあります。一般的に、社会保険の健康保険の方が給付項目が多くなるということも覚えておきましょう。

2. 国民健康保険料の仕組み

お金を数える人

国民健康保険料は、県(都道府)がその年度で予測される医療費より算出した「納付金」から、国の補助金や基金からの繰入金などを差し引いた分の「保険料総額」を、被保険者の所得に応じて割り振って決めるという仕組みになっています。

大枠は、このような仕組みですが、実際に計算する場合は健康保険料の計算基準(標準報酬月額)をもとに算出します。また、被保険者の状況によって免除制度もありますし、自治体ごとに計算方法も変わるので、わかりづらい部分も多いかもしれません。

そこで、ここでは健康保険料の計算基準や免除制度など、仕組みについて解説していきます。

2-1. 健康保険料の計算基準

健康保険料は、被保険者の収入に応じて決まります。しかし、時間外労働や残業、各種手当などで毎月のように報酬が変わる場合、収入を保険料の計算基準にしてしまうと大きな手間がかかります。
そのため、健康保険料の計算基準では報酬を単純かした「報酬月額」で、50等級の表を作成し、従業員の報酬を等級に当てはめて固定化しています。この50等級に区分された金額は「標準報酬月額」となっており、これを計算基準として健康保険料を算出します。

ただし、賞与は「標準賞与額」に基づき計算するので、間違えないようにしましょう。「標準賞与額」は、4~3月の累計573万円を上限としており、1,000円未満の端数は切り捨てて計算します。
他の事業所からの転職により、前事業所と現事業所の賞与額の合算が上限を超える場合は、「標準賞与額累計申出書」を提出して標準賞与額の訂正処理をしてください。

2-2. 免除制度がある

国民健康保険は、社会保険に加入していない人が相互に助け合って経済的な負担を分かち合う制度なので、原則として収入の有無に関わらず保険料を支払わなければなりません。

ただし、病気によって仕事ができなくなったり、地震や水害などの災害によって所得が減少したり、倒産や会社都合で仕事がなくなったという人に対しては免除制度が適用されます。

当然ですが、所得が減ったり無くなったりすると、健康保険料を納めるのは難しくなります。こういった方のために、保険料の免除もしくは一部負担にするなどの免除制度というものがあるのです。

減額や免除の条件や減免率は自治体によって異なりますが、被保険者の状況に合わせて免除が適用されます。

2-3. 計算方法は自治体ごとに変わる

国民健康保険料の計算方法というのは、各市町村の条令で定められています。そのため、同じ収入であっても、A市とB町では保険料が違います。

国民健康保険料は、世帯の被保険者ごとに、「応益分」と「応能分」を計算して、合算した金額になります。

種類 賦課の方法
応益割 均等割 世帯に属する被保険者数に応じて賦課(子どもを含む)
平等割 世帯ごとに賦課
応能割 所得割 世帯に属する被保険者の所得に応じて賦課
資産割 世帯に属する被保険者の固定資産税額に応じて賦課

実際に計算する場合は、2方式(所得割・均等割)もしくは3方式(所得割・均等割・平等割)、4方式(均等割・平等割・所得割・資産割)のいずれかを自治体が選ぶため、計算方法が異なるのです。

3. 健康保険料はいくらかかる?パターン別に解説

必要なお金を計算する

健康保険料は、被保険者の収入や家族構成、地域などさまざまな要因で決まるため、実際のところ「いくらかかるか」というのは「個人によって違う」のが実情です。

しかし、従業員の中には、保険料が確定する前に「いくらぐらいかかるのか」、目安を知りたいという人もいるかもしれません。

そこでここでは、パターン別に保険料の目安を紹介していきます。

3-1. 母子家庭の健康保険料はいくら

母子家庭は多くの場合、経済的に厳しい状況にあるため、所得にもよりますが減額制度の対象になることがあります。所得が一定の基準を下回った場合は、保険料が減額されますし、特定の条件を満たしている場合は、国民健康保険料の免除を受けることも可能です。

では、実際に世帯人数と年収ごとに、目安を算出してみましょう。

世帯人数 年収 月額保険料 年間保険料
母1人、子ども1人(2歳) 150万円 約6,000円 約72,000円
母1人、子ども3人(3歳、8歳、13歳) 250万円 約10,000円 約120,000円
母1人、子ども2人(4歳、9歳) 200万円 約8,000円 約96,000円

母子家庭の場合、自治体で独自のサポートをおこなっていることも多いので、確認するようにしましょう。

3-2. 健康保険料は扶養だといくら?

被保険者の扶養に該当する場合は、健康保険制度を利用できますが、基本的に健康保険料は発生しません。

ただし、パートをしている場合、年収によっては扶養から外れてしまうことがあります。従業員数が51人以上の事業所で働いていて年収106万円を超えるパート・アルバイトは社会保険料への加入が必要となるので、対象となる従業員がいる場合は手続きを忘れないようにしましょう。

3-3. 健康保険料はパートだといくら?

社会保険の適用事業所の場合、パートやアルバイトでも下記の要件に該当すれば社会保険に加入しなければなりません。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 賃金が毎月88,000万円以上もしくは年収が106万円以上になる
  • 従業員が51人以上の事業所に勤めている
  • 学生ではない

では、加入対象となる月額賃金88,000円のパートの場合の健康保険料を算出していきます。

健康保険料:標準報酬月額(88,000円×健康保険料率9.98%)÷2=4,391円

厚生年金保険料:標準報酬月額(88,000円×厚生年金保険料率18.3%)÷2=8,052円

介護保険料(40歳以上の場合):標準報酬月額(88,000円×介護保険料率1.60%)÷2=704円

これらの計算をすべて足した金額「13,147円」が健康保険料となります。

3-4. 健康保険料は学生だといくら?

学生の場合、扶養者が社会保険に入っていれば、保険料を払う必要はありません。ただし、アルバイトをしている場合は、年収が130万円を超えると、親の社会保険の扶養から外れてしまうので保険料が発生します。

学生の勤務先が社会保険適用であれば、社会保険料を払わなければなりません。年収130万円の場合、年間約19万円の保険料がかかることがあります。

社会保険適用外だったり加入条件を満たしていない場合は国民保険に加入しますが、その場合は約10万円の保険料がかかります。

4. 国民健康保険料・社会保険料を構成する要素

盾のブロック

国民健康保険料を構成する要素は、次のとおりです。

構成要素 概要
医療分 医療費の財源として使われる費用分
支援分 後期高齢者医療制度の支援金に使われる費用分
介護分 介護保険制度の運用に使われる費用分

一方、会社員などが加入する社会保険の健康保険を構成する要素は、医療のみです。ただし40歳以上65歳未満の人は、健康保険料と介護保険料を合算して支払うため、介護分の要素も含まれます。

4-1. 国民健康保険料の目安

東京都世田谷区における令和6年度の国民健康保険料(加入者1人分の年間保険料)の目安を表にまとめました。

令和5年の所得額

※国民健康保険料は前年の所得額に応じて決定する

国民健康保険料(加入者1人分の年間保険料)
0歳~39歳または 65歳~74歳 40歳~64歳 (介護分を含む)
100万円 131,093円 161,045円
200万円 245,993円 299,545円
300万円 360,893円 438,045円
400万円 475,793円 576,545円
500万円 590,693円 715,045円
600万円 705,593円 853,545円
700万円 820,493円 990,493円
800万円 878,460円 1,048,460円
850万円 890,000円※最高限度額 1,060,000円※最高限度額

参照:令和6年度国民健康保険料早見表|世田谷区ホームページ

上記は100万円ごとの目安をまとめたもので、実際にはさらに細分化されています。詳しい金額は従業員の居住する自治体のホームページから確認しましょう。

なお、最高限度額は世帯単位の金額です。仮に世帯主と妻の所得がそれぞれ500万円の場合、世帯の所得が850万円を超えるため保険料は最高限度額となります。

5. 国民健康保険料の算出方式

金額が上昇する様子

国民健康保険料は、「医療分」「支援分」「介護分」で構成されていますが、これらの保険料を算出する際に使われるのが下記の方式です。

  • 所得割
  • 均等割
  • 平等割

これらの方式で算出した金額を合算したものが、1年分の健康保険料となるので、ここではそれぞれの方式について解説していきます。

5-1. 所得割

所得割とは、収入に応じて保険料を決める方式です。

前年の総所得から基礎控除を差し引いて算出する「算定基礎額」に対して、自治体によって決められている保険料率をかけて計算します。基礎控除額は総所得の金額によって変わりますが、総所得の合計が2,400万円以下であれば43万円を控除をすることが可能です。

この方式は、収入によって保険料を決めるので、当然ですが、高収入になればその分保険料は高額になります。

5-2. 均等割

均等割は、1世帯あたりの加入者の人数に応じて算出する方式です。

世帯の所得金額は関係なく、「1人いくら」という形で計算をしますが、1人あたりの健康保険料がいくらになるかは自治体によって違います。

1人あたりの健康保険料は定額なので一見平等に思える方式ですが、世帯人数が多ければその分納める保険料が高額になるので、家族が多い世帯では負担が大きくなります。

5-3. 平等割

平等割は、国民健康保険に加入している全世帯で、平等に保険額を負担する方式です。

所得割は収入によって保険料に差が出ますが、均等割では収入に関係なく全世帯で一定額を負担することから、収入が低い世帯からすると不公平を感じる方式ともいえるでしょう。

平等割が採用されているかどうかは、自治体のWebサイトもしくは国民健康保険料納入通知書で確認できます。

6. 社会保険の健康保険料の決め方

選択肢がぶつかる

社会保険の健康保険料の決め方は、各従業員の標準報酬月額と標準賞与額に応じた保険料率を乗じて算出します。

標準報酬月額 等級ごとに設定された金額。全50等級あり、各従業員の毎年4月~6月までの平均給与額に応じた等級が割り当てられる
標準賞与額 賞与支給月ごとに決定される、税引前の賞与総額の千円未満を切り捨てた金額

年度(4月1日~翌年3月31日まで)の累計額の上限は573万円で、上限をこえた分については保険料がかからない

保険者が全国健康保険協会の場合、標準報酬月額の一般的な決定時期は9月です。

毎年4月から6月までの平均給与額により標準報酬月額が決定され、9月から適用されます。新入社員の場合は、8月までの標準報酬月額は、見込み給与額をもとに決定してください。

保険者が健康保険組合の場合、標準報酬月額の決定時期は各組合の規約によりますが、以下のようなタイミングが一般的です。

  • 就職時
  • 毎年1回の定時決定時
  • 標準報酬月額の等級における2等級以上の変動時
  • 育児休業終了時
  • 産前産後休業終了時

協会の保険料率は、都道府県ごとの設定、組合の保険料率は各組合が規約で定めた設定があることを覚えておきましょう。

6-1. 社会保険料の目安

東京都の令和7年3月分(4月納付分)から、社会保険における全国健康保険協会管掌健康保険料の目安を、表にまとめました。

報酬月額 介護保険第2号被保険者の非該当者の健康保険料 介護保険第2号被保険者の該当者の健康保険料(介護保険料を含む)
20万円 9,910円 11,500円
30万円 14,865円 17,250円
41万円 20,315円 23,575円
50万円 24,775円 28,750円
62万円 30,721円 35,650円
71万円 35,180円 40,825円
83万円 41,126円 47,725円

参照:令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会

上記の保険料は、全額ではなく勤めている企業との折半額です。介護保険第2号被保険者の該当者とは40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、健康保険料と介護保険料を合算して支払います。

7. 令和6年の健康保険料率の改定の変更点

お金と矢印のブロック

令和7年3月の健康保険料率の改定の変更点は、以下のとおりです。

  • 健康保険料率
  • 健康保険料率の内訳となる特定保険料率・基本保険料率

健康保険料率は、大分県を除く各都道府県で変更されています。今回、保険料率が引き上げられたのは28の都府県で、引き下げられたのは18の道府県です。

健康保険料率の内訳である特定保険料率は、全国一律で3.42%から3.38%に変更されました。

基本保険料率は、各都道府県の健康保険料率から特定保険料率を差し引いた利率になるので、上記の特定保険料率の改定によって基本保険料率も変更となります。また、介護保険料率は、全国一律で1.60%から1.59%に引き下げられます。

改定された保険料率の適用は、令和7年3月分(4月納付分)からです。

参照:令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|全国健康保険協会

参照:協会けんぽの特定保険料率及び基本保険料率(保険料率の内訳表示)について|全国健康保険協会

8. 従業員の健康保険料がいくらかを把握して給与計算をしよう

話し合う男女

健康保険料が金額は、収入・地域などの諸条件により決まります。国民健康保険料を構成する要素は、医療分・支援分・介護分となっており、各地方自治体が採用した方式に従い、要素ごとの保険料を算出・合算して年間保険料を算出します。

また、社会保険の健康保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に協会や組合が定めた利率を乗じて算出しますが、協会の利率は都道府県ごとに、組合の利率は各組合が定める規定ごとに違いがあります。

このように、健康保険料は複雑な計算をしなければならないため、従業員の人数によっては業務負担が大きくなってしまいます。とはいえ、健康保険料を算出しないわけにもいかないので、自治体が用意しているシミュレーターや早見表を活用してみましょう。

また、算出する際には保険料率の改定や会社の半額負担分などにも気を配りつつ、従業員の健康保険料がいくらになるのかを正確に把握して給与計算してください。

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jinjer Blog 編集部

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