モデル賃金とは?メリットや種類別の作成方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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モデル賃金とは?メリットや種類別の作成方法をわかりやすく解説

モデル賃金の様子

モデル賃金は適切な賃金決定に役立ちます。評価や成果に応じて公正な賃金を適用するためにも、正しい作り方を確認しておくことが重要です。

一方で「モデル賃金の作成方法がわからない」「適切な設定が難しい」と感じている方は、多いのではないでしょうか。人件費の予測や公平性・透明性向上のために、正しい方法を確認しておきましょう。

本記事では、モデル賃金の基礎知識や種類について、わかりやすく解説します。作成するメリットや種類別の作り方、注意点とあわせてまとめました。

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1. モデル賃金とは?

電卓を入力する人

モデル賃金とは、企業に入社した人材が昇進・昇格した場合における標準的な賃金の推移のことです。年齢や学歴など条件を設定したうえで算出します。

現在は「同じ仕事をしているなら、同じ賃金を支払うことが望ましい」と考える企業が増加しています。モデル賃金を指標とすることで、より明確で公平な賃金の適用が可能です。

とくに中途採用者は年齢や職歴がそれぞれ異なるため、賃金の決定が難しいとされています。新規学卒者のモデル賃金と中途採用者のモデル賃金を、それぞれ作成することがおすすめです。

賃金制度の作成や見直しのために、モデル賃金の正しい作り方をチェックしておきましょう。公的機関が公表しているデータもあるので、あわせて参考にしてください。

参考:東京都産業労働局 | 東京都庁中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

関連記事:昇格の基準はどう決める?考え方のポイントをわかりやすく解説

2. モデル賃金の種類は2つ

リストをマーカでチェックする

モデル賃金の種類は以下の2つに分かれます。

  1. 理論モデル賃金
  2. 実在モデル賃金

それぞれの基礎知識と用途を解説しましょう。

2-1. 理論モデル賃金

理論モデル賃金とは、賃金テーブルや昇格基準にもとづいて算出した賃金推移のことです。架空の社員が、標準的に昇給・昇格したと想定して作成されます。

作成のために考慮される主な項目は、以下の通りです。

  • 年齢
  • 職種
  • 学歴
  • 勤続年数

理論モデル賃金は、「賃金基準の明確化」や「賃金制度の妥当性チェック」のために用いられます。ただし、賃金テーブルや昇格基準が定められていない場合、理論モデル賃金を算出するのは難しいでしょう。

2-2. 実在モデル賃金

実在モデル賃金とは、企業に所属する社員をモデルとして賃金を算出することです。実在者から条件に当てはまる標準的な人物をピックアップします。

実在モデル賃金を作成することで、自社の賃金実態の調査が可能です。また中途採用者の賃金を決める際の基準として、経歴が近い社員をモデルとするケースもあります。

3. モデル賃金を作成する3つのメリット

メリットの手札

モデル賃金を作成するメリットは、以下の3つです。

  1. 人件費の予測をたてやすい
  2. 公表することで公平性が向上する
  3. 求職者に将来の給与額イメージを提示できる

モデル賃金をなぜ作成すべきなのか、あらかじめ確認しておきましょう。

3-1. 人件費の予測をたてやすい

モデル賃金を作成することで人件費の予測を立てられます。例えば新規学卒者を採用して標準的な昇進・昇格をした場合、将来どのくらいの人件費が必要になるのか把握に役立つでしょう。

採用計画を立てたり人件費予算と照らし合わせたりと、企業の経営戦略を立案するうえで重要なデータになります。中長期的に人件費を予測するためには、モデル賃金を作成することがおすすめです。

3-2. 公表することで公平性が向上する

モデル賃金を社内で公表することで、賃金の公平性・透明性が高まります。社員は標準的な賃金額の把握が可能です。

実際の賃金と大きな差異があればすぐにわかるため、より公平な賃金制度を構築できます。公平性・透明性が高まれば、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

ただし、実際の賃金がモデル賃金より大幅に低いケースだと、不信感が生まれる可能性があります。エンゲージメント(企業への思い入れ)や社風を踏まえたうえで、公表するかどうか慎重に検討してください。

3-3. 求職者に将来の給与額イメージを提示できる

求職者向けにモデル賃金を公開すれば、長期的な給与額がイメージしやすくなります。わかりやすい判断基準の提示が可能です。

新規学卒者向けと中途採用者向けのモデル賃金を作成して、採用ページなどで公開しましょう。一方で給与額が低いなどのイメージを与える可能性があるため、公開するかどうかは慎重に判断してください。

4. 理想モデル賃金の作り方

デメリットの手札

以下では理想モデル賃金の作り方を解説します。

  1. 賃金テーブルを確認する
  2. 理想モデル賃金を表にまとめる

以下に基本的な手順をまとめました。

4-1. 賃金テーブルを確認する

理想モデル賃金を作成するために賃金テーブルを確認します。賃金テーブルとは、賃金を設定する基準となる表のことです。

等級別に給与額を振り分けており、どのようなルールで賃金を決定しているのか確認できます。勤続年数によるキャリアアップなど、等級の基準をあわせて用意しておきます。

賃金テーブルがない場合には、賃金テーブルを作るところから始めましょう。

4-2. 理想モデル賃金を表にまとめる

賃金テーブルと等級の基準をもとに、モデル賃金表として理想モデル賃金を表にまとめます。年齢と勤続年数ごとに、以下のような項目を記入していくことがポイントです。

  • 等級
  • 号俸
  • 役職
  • 年齢給
  • 役職手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 賃金の合計

一人の標準的な新規学卒者が入社から定年までどのように昇進・昇格するのか、想定して作成しましょう。あわせてグラフを作成すれば、視覚的にわかりやすく表せます。

5. 実在モデル賃金の作り方

コインからハートが育つ

実在モデル賃金を作成する場合、まずは条件に合致する社員をピックアップします。例えば以下のような条件を設定したとしましょう。

  • 35歳
  • 勤続年数12年
  • 係長
  • 扶養家族2人

上記の条件にあう人物を選び出しモデル化して、賃金を確認します。完全に合致する人物がいない場合は、なるべく近い人を選んでください。

中途採用者向けに実在モデル賃金を作成する場合は、経歴の近い人物を選んでモデルにしましょう。年齢や扶養家族などの情報を書き出し、社内から適切な人物を選んで参考にします。

6. モデル賃金を作成する際の2つの注意点

バネで大きくジャンプする男性

モデル賃金を作成する際の注意点は以下の2つです。

  1. 所定内賃金から算出される
  2. 残業代は含まれていない

モデル賃金を正しく作成するための基礎知識として、確認しておきましょう。

6-1. 所定内賃金から算出される

モデル賃金は所定内賃金から算出されるため、所定外賃金は含まれていません。

所定内賃金とは毎月決まって支払われる一定の賃金のことです。一方の所定外賃金は、所定外労働時間に対して支給する賃金のことを指します。

どのような項目がモデル賃金に含まれるのか、それぞれ確認しておきましょう。ただし、所定内賃金であっても、通勤手当と交替手当はモデル賃金に含みません。

所定内賃金 所定外賃金
基本給

奨励給

役付手当

特殊勤務手当

家族手当

住宅手当

地域手当

通勤手当(モデル賃金に含まない)

交替手当(モデル賃金に含まない)

所定外賃金

超過勤務手当

休日出勤手当

所定外労働時間外の深夜労働に及ぶ割増賃金(交替勤務に関係するものを除く)

参照:賃金事情調査|厚生労働省

6-2. 残業代は含まれていない

残業代は毎月変動するため、モデル賃金には含まずに算出します。企業によっては、実際の賃金と差が生まれる可能性があるでしょう。

管理監督者に該当する管理職には残業代が支給されません。そのため残業代が支給される一般職の賃金額が管理職より高くなる、「逆転現象」が発生するケースがあります。

公平な賃金制度を実現するためには調整が必要です。役職手当でふさわしい格差を設定するなど、逆転現象を回避するための対策をおこないましょう。

7. モデル賃金を作成して人件費の予測に役立てよう

皆がやる気アップする

公平なモデル賃金を設定すれば、将来どのくらいの人件費が必要なのか予想できます。公平性・透明性の向上や、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。

モデル賃金は理論モデル賃金と実在モデル賃金に分類されます。それぞれの用途と作り方を、チェックしておくことが重要です。

所定内賃金から算出される、残業代が含まれないなどの注意点も紹介したので、あわせてチェックしておきましょう。モデル賃金を作成して適切な賃金設定に役立ててください。

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