皆勤手当とは?メリットや相場、基本給や残業代との関係を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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皆勤手当とは?メリットや相場、基本給や残業代との関係を解説

電卓をたたく女性

「皆勤手当の相場や導入のメリットが知りたい」

「皆勤手当と基本給や残業代との関係について知りたい」

上記のような疑問をもつ方も多いでしょう。

皆勤手当とは、欠勤していない従業員に対し、基本給と一緒に支払う手当のことです。導入により、従業員は毎日出勤すると給料が増えるメリットが生じます。

本記事の紹介内容は、皆勤手当の概要や導入のメリット、基本給や残業代との関係、一般的な支給条件や相場、計算方法や導入の注意点です。

また遅刻・早退・有給休暇がある場合の扱いについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

1. 皆勤手当とは

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皆勤手当とは、給与として基本給と一緒に支払う、勤怠に関する手当の一つです。一般的に基本給には含まれません。

各企業の給与計算の対象期間において、1日も休まずに出勤した従業員へ支払われます。多くの場合、従業員の皆勤を奨励する目的で導入される手当です。

法律による導入義務がないため、導入するかどうかは各企業が自由に判断しています。

給与として支払う手当のため、課税対象であることも覚えておきましょう。

なお、皆勤手当と精勤手当を合わせて精皆勤手当とする企業もあります。

精勤手当とは、一般的に以下の3項目が規定数以下であれば支払われる手当です。

  • 欠勤
  • 遅刻
  • 早退

精皆勤手当も、多くの場合上記と同様の条件で支払われます。どちらの手当も法による導入義務はありません。

2. 皆勤手当と基本給・残業代との関係

電卓をたたく男性

皆勤手当と基本給・残業代との関係は、それぞれ異なります

  1. 基本給との関係
  2. 残業代との関係

それぞれ見ていきましょう。

2-1. 基本給との関係

皆勤手当と基本給との関係では、一般的に皆勤手当は基本給に含まれません

基本給に皆勤手当を含むと、従業員の勤務状況により毎月の基本給の金額が変動するためです。会社の給料計算の手間が増えるだけでなく、基本給が変動すると従業員が混乱する可能性があります。

2-2. 残業代との関係

皆勤手当と残業代との関係では、残業代(割増賃金)の計算に用いる基礎賃金に皆勤手当は含まれます

基礎賃金から除く手当の種類は法によって定められていますが、皆勤手当は該当しません。

なお上記の法により定めのある基礎賃金から除く手当には、以下のような種類があります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当

残業代の計算では、基礎賃金を算出する際に皆勤手当を基本給に合算しましょう。

皆勤手当の支払いがない場合の残業代の計算では、基本給への合算は不要です。

毎回の給与計算の手間を省くために、支給の有無に関係なく、基礎賃金として基本給に皆勤手当を含み残業代を計算する企業もあります。

参考:労働基準法第37条|e-Gov法令検索

参考:Q7 割増賃金の基礎となる賃金には皆勤手当を算入しなければならないのですか。|厚生労働省 鹿児島労働局

3. 遅刻・早退・有給休暇がある場合の皆勤手当の扱い

電子サインのイメージ

皆勤手当は各企業が自由に決められるため、遅刻や早退がある場合の扱いは、企業ごとに異なります。また、就業規則や賃金規程などの定めに従う方法が一般的です。

遅刻や早退の回数に対して、以下のような制限を設ける企業も多くあります。

  • 0回
  • 1回まで
  • 2回まで

法による定めのある有給休暇は、取得して欠勤した場合でも減給扱いされません。そのため、多くの企業は給与計算期間に有給休暇の取得がある場合でも皆勤手当を支払います

ただし、シフト勤務の従業員が勤務予定表の決定後に取得した有給休暇については、不支給にする企業もあります。

上記のケースで不支給にしたい場合には、事前に支給条件について就業規則に記載しておかなければなりません。例えば、勤務予定表どおりに勤務した場合にのみ支払う旨を記載します。

参考:労働基準法第39条|e-Gov法令検索

4. 皆勤手当導入のメリット

メリット

皆勤手当導入の主なメリットは、以下の3つです。

  1. 出勤率の上昇
  2. 従業員満足度のアップ
  3. 生産性の向上

それぞれ解説します。

4-1. 出勤率の上昇

皆勤手当導入のメリットの一つは、出勤率の上昇が期待できることです。手当をもらうために欠勤せずに毎日出勤しようと考える従業員が増えるため、出勤率アップが見込めるでしょう。

出勤意欲が増す理由になるため、勤怠不良の従業員への対策としても有効です。

各企業の条件にもよりますが、遅刻や早退の減少にもつながります。

4-2. 従業員満足度のアップ

従業員満足度のアップが期待できる点も、皆勤手当導入のメリットです。毎日出勤することで給与額が増えるため、待遇面に関する従業員満足度の上昇が期待できます。

従業員満足度が上がると、労働意欲が増したり離職率が低下したりなどの効果を得られるでしょう。

4-3. 生産性の向上

皆勤手当導入のメリットとして、生産性の向上も挙げられます。毎日出勤する従業員が増え、欠勤による生産性の低下を避けられるためです。

また、欠勤によりほかの従業員に負担がかかるケースが減るため、仕事に対する集中力が増し労働意欲の上昇が期待できます。

5. 皆勤手当の一般的な相場と支給条件

電卓をたたく男性

皆勤手当の一般的な相場は9,000円で、支給条件は会社ごとに異なります

  1. 皆勤手当の一般的な相場
  2. 皆勤手当の一般的な支給条件

上記の詳細を見ていきましょう。

5-1. 皆勤手当の一般的な相場

厚生労働省の就労条件の調査(2020年)によると、従業員一人あたりの皆勤手当の一般的な相場は9,000円です。

また、同調査における企業規模別の皆勤手当の平均支給額を表にまとめました。

企業規模 一人あたりの平均支給額
1,000人以上 6,400円
300~999人 7,600円
100~299人 7,900円
30~99人 1万1,200円

参考:第19表 諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額(令和元年11月分)|厚生労働省

企業規模が小さくなるほど欠勤による影響が出やすいため、支給額が増える傾向にあります。

例えば、欠勤により通常業務に支障をきたしたり、ほかの従業員の業務量が大幅に増えたりするケースもあるでしょう。

5-2. 皆勤手当の一般的な支給条件

皆勤手当の一般的な支給条件は、以下のとおりです。

  • 無欠勤
  • 無遅刻
  • 無早退

各企業が設定する給与計算の対象期間において、上記の条件をすべて満たす従業員に対して皆勤手当を支払う企業が多く見受けられます。

支給の条件や金額などについては、就業規則に記載する企業が多いです。

6. 皆勤手当の計算方法

書類を確認する男性

皆勤手当の計算方法は、就業規則に記載されている支払いの条件や金額に従い計算します。金額を決定する際には、前述した企業規模別の相場を参考にすると良いでしょう。

パートやアルバイトに対する支給金額を決定する際には、同一労働同一賃金への配慮が必要です。そのため、正社員に支払う1日あたりの金額から算出して、矛盾のない金額に決定しましょう。

例えば、正社員の皆勤手当が月5,000円・正社員以外が1日100円の設定の場合は、同一労働同一賃金のルールに反する可能性があります。

正社員以外が20日勤務した場合の皆勤手当は2,000円となり、正社員の皆勤手当額と2倍以上の差が生じるためです。

なお、皆勤手当は給与所得として扱われるため所得税の課税対象となります。つまり、源泉徴収の対象です

また残業代の計算で基礎賃金を算出する際には、基本給に皆勤手当を含みましょう。一方、最低賃金の計算においては、除外の対象となるため基本給に含みません。

7. 皆勤手当導入の注意点

電子サインのイメージ

皆勤手当導入の注意点は、支給に関する以下の事柄を事前に明確にしておくことです。

  • 条件
  • 金額

条件を明確化することは公平性の確保につながるため、従業員からの理解も得やすくなるでしょう。

金額を決める際には、企業規模別の相場を参考にしつつ、ほかの手当や賃金とのバランスも考慮しながら決定します。

全従業員への周知徹底や疑問解消のためにも、条件の詳細や金額について就業規則や賃金規程へ記載しましょう。

なお、賃金手当を導入したのちに、廃止するのは違法ではありません。しかし、廃止により毎月の賃金総額が減るため、労働契約法に基づく不利益変更に該当する可能性があります。

不利益変更とは、使用者が従業員の合意なく、就業規則を変更して従業員に不利益な労働条件に変更することです。条件にもよりますが、不利益変更は基本的に法により禁止されています。

つまり賃金手当は、導入すると廃止が難しい手当の一つだと理解しておきましょう。

参考:労働契約法第9条|e-Gov法令検索

8. 皆勤手当の理解を深めて自社へ導入しよう

話し合う男女4人

皆勤手当とは、一般的に給与として基本給と一緒に支払われる手当の一つで、無欠勤の従業員が対象です。また、一般的に基本給には含みませんが、残業代の計算に用いる基礎賃金には含みます。

皆勤手当を導入する際には、従業員への周知や理解を得るために、支給の条件や金額を明確にして就業規則や賃金規程などに記載しましょう。

ただし、法による導入義務はないため、支給の条件や金額について各企業が自由に設定できます。

導入すると従業員の出勤率・満足度・生産性の向上が期待できる手当のため、ぜひ自社への導入を検討してみてください。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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