時短勤務の残業時間とは?免除申請や残業代の計算方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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時短勤務の残業時間とは?免除申請や残業代の計算方法を解説

会議する人

時短勤務者への残業命令自体は違法ではありませんが、従業員から残業免除の申請があった場合、企業は原則として拒否できません。

また、残業が発生した際には「法定内残業」と「時間外労働(法定外残業)」を正しく区別して残業代を計算する必要があります。

本記事では、時短勤務における残業時間の考え方や3つの制限ルール、残業代の正しい計算方法をわかりやすく解説します。

▼時短勤務についてより詳しく知りたい方はこちら
時短勤務(短時間勤務制度)とは?制度の概要やメリット・デメリット、法改正内容を解説

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1. 時短勤務時の残業は必ずしも違法ではない

時短勤務の残業時間

時短勤務者に対して残業を命じること自体は、直ちに違法となるわけではありません。ただし、従業員から請求があった場合には、法律に基づき残業を制限しなければならないケースがあります。

また、法定外残業(時間外労働)をおこなわさせるためには、36協定の締結・届出が必要です。さらに、時間外労働には上限規制も設けられているので、企業側には慎重な対応が求められます。

1-1. 時短勤務の対象者

時短勤務制度とは、主に育児や介護と仕事の両立を支援するために設けられている制度です。代表的な対象者は次のとおりです。

  • 3歳に達するまでの子を養育する労働者(育児)
  • 要介護状態にある対象家族を介護する労働者(介護)

時短勤務制度は、育児・介護休業法に基づいて定められており、対象となる労働者から申し出があった場合、事業主は原則としてこれに対応しなければなりません。ただし、労使協定を締結することにより、継続雇用期間が1年未満の労働者など一定の者を対象外とすることが認められています。

育児に関しては、原則として、短時間勤務制度を導入することが義務付けられています。ただし、業務の性質などにより短時間勤務の実施が困難な場合には、その代替措置として、「フレックスタイム制度」「時差出勤」「テレワーク(※2025年4月以降追加)」などを講じる必要があります。

一方、介護に関しては、短時間勤務制度の導入自体は必須ではなく、「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「時差出勤制度」「介護費用の助成措置」のいずれかの措置を講じることで法的要件を満たすこととされています。

参考:育児休業制度 短時間勤務等の措置|厚生労働省
参考:介護休業制度 短時間勤務等の措置|厚生労働省
参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省

関連記事:【2025年4月・10月施行】育児・介護休業法の改正内容は?就業規則や手当への影響を解説

1-2. 時短勤務における残業時間の考え方

時短勤務においては、企業が定めた所定労働時間を超えて働いた場合、その超過分は「所定外労働」となります。ただし、労働基準法上の「時間外労働」は区別して考える必要があります。

  • 所定外労働:所定労働時間(例:1日6時間)を超えた労働
  • 時間外労働:法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働

時短勤務者が所定労働時間(例:6時間)を超えて働いた場合、その超過分については賃金の支払いが必要です。ただし、労働時間が法定労働時間以内である限り、法律上の割増賃金(通常25%以上)の支払い義務は原則として発生しません。

関連記事:法定内残業と法定外残業の違いは?具体例を交えて解説

1-3. 時短勤務者は条件を満たせば残業免除を申請できる

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者および要介護状態にある家族を介護している労働者は、原則として所定外労働(いわゆる残業)の免除を申請できます。したがって、育児・介護休業法に基づく時短勤務者は、この条件を満たし、基本的に残業免除の対象となります。

この申請がおこなわれた場合、企業側は原則として拒否することができません。そのため、残業免除を申請した時短勤務者に対して残業を命じた場合、違法となる可能性があります。ただし、「事業の正常な運営を著しく妨げる場合」に限り、請求を拒否できるケースもあります。

参考:育児休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省

参考:介護休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省

1-4. 【注意】時間外労働・休日労働をさせるには36協定が不可欠

法定労働時間を超える労働(時間外労働)や法定休日の労働(休日労働)をさせるには、労働基準法に基づき、36協定の締結と届出が不可欠です。ただし、時短勤務者は所定労働時間が短縮されているので、所定労働時間を超えていても、直ちに「時間外労働」に該当するわけではありません。

例えば、所定労働時間が1日6時間の時短勤務者が、1日8時間(週40時間)までの範囲で残業する場合、それは「法定内残業」にあたり、36協定がなくても違法とはなりません。一方で、1日8時間または週40時間を超えて労働させる場合には、時間外労働に該当するため、36協定がなければ労働基準法違反となります。

また、36協定を定めていても、原則「月45時間・年360時間」という時間外労働の上限が定められています。これを超えるには特別条項付き36協定が必要となりますが、その場合にも法定の上限規制が適用される点に留意が必要です

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

関連記事:36協定とは?基礎知識から残業上限規制や締結・届出、違反リスクまで完全解説

2. 時短勤務の残業に関する3つの制限

疑問を持つ女性

育児・介護関連制度では、従業員から申請があった場合、次のような労働時間に関する制限が適用されることがあります。

  • 所定外労働の制限
  • 時間外労働の制限
  • 深夜業の制限

これらの制度は、それぞれ適用条件が異なります。従業員の状況によって適用の可否も変わるため、各制度の内容を正しく理解したうえで、適切に対応することが重要です。

2-1. 所定外労働の制限

所定外労働の制限(残業免除)を申請した従業員に対しては、原則として、各企業が就業規則などで定める所定労働時間を超える労働を命じることができません。例えば、所定労働時間が6時間に設定されている場合、残業免除の適用期間中は、原則として6時間を超える労働を命じることはできなくなります。

【対象となる従業員】

  • 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
  • 要介護状態にある対象家族を介護する労働者

以前は「3歳未満の子供を養育する従業員」でしたが、令和7年4月からは「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」に対象範囲が拡大されている点に注意しましょう。

【労使協定により対象除外となる労働者

  • 継続雇用1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

【期間】
1回の請求につき1ヵ月以上1年以内の期間

参考:育児休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省
参考:介護休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省
参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省

関連記事:残業の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!

2-2. 時間外労働の制限

時間外労働の制限を申請した従業員には、時間外労働を「1ヵ月24時間」「1年150時間」を超えて命じることはできません。ここでいう時間外労働とは、労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える「法定外残業」を指します。

そのため、短時間勤務者が所定労働時間を超えて働いた場合でも、法定労働時間の範囲内であれば「法定内残業」となり、この時間外労働には含まれません。

【対象となる従業員】

  • 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
  • 要介護状態にある対象家族を介護する労働者

【対象外となる労働者】

  • 継続雇用1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 日雇いの労働者

【期間】
1回の請求につき1ヵ月以上1年以内の期間

参考:育児休業制度 時間外労働の制限|厚生労働省
参考:介護休業制度 時間外労働の制限|厚生労働省

関連記事:時間外労働とは?定義や上限規制、割増賃金の計算など原則ルールを解説

2-3. 深夜残業の制限

深夜業の制限を申請した従業員には、深夜労働(22時~翌5時までの就業)を命じることができません。例えば、所定労働時間後の残業によって深夜帯に労働が及ぶ場合も違法となる可能性があるため注意が必要です。

【対象となる労働者】

  • 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
  • 要介護状態にある対象家族を介護する労働者

【対象外となる労働者】

  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 日雇いの労働者
  • 所定労働時間の全部が深夜にある労働者
  • 一定の条件を満たす子の保育や介護ができる同居家族がいる労働者

【期間】
1回の請求につき1ヵ月以上6ヵ月以内の期間

参考:育児休業制度 深夜業の制限|厚生労働省
参考:介護休業制度 深夜業の制限|厚生労働省

関連記事:深夜労働の割増は何時から?会社側の義務や違反した場合の罰則も解説

3. 時短勤務でも残業代を支払う必要がある

時短勤務の残業時間の制限

残業免除の申請をしていない従業員に対しては、企業が残業を指示すること自体は可能です。ただし、発生した残業時間に応じて、適切な残業代を支払う必要があります。時短勤務者については、所定労働時間が短く設定されているので、一般従業員と同じ基準で残業時間を計算すると、残業代の未払いにつながるおそれがあるため注意が必要です。

例えば、時短勤務者の所定労働時間を6時間としている場合、2時間残業して合計8時間勤務となったケースでは、8時間までは「法定内残業」に該当します。この場合、割増賃金は不要で、通常の賃金単価による残業代の支払いで足ります。

一方で、3時間残業して合計9時間勤務となった場合は、6時間を超え8時間までの2時間が「法定内残業」、8時間を超える1時間が「法定外残業」となります。法定外残業については、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。なお、法定外残業が月60時間を超えた場合には、超過分について50%以上の割増賃金が必要となります。

関連記事:時短勤務の給料計算方法は?減額率の考え方と育児時短就業給付金や実務上の注意点

3-1. 【具体例】残業代の計算方法

ここでは具体例を用いて時短勤務者の残業代を確認しましょう。

  • 時短勤務:9:00~16:00(休憩1時間・所定労働時間6時間)
  • 実際の勤務時間:9:00~19:00(休憩1時間・実労働時間9時間)
  • 時給換算額:1,500円

このケースでは、所定労働時間の6時間を超えてから法定労働時間の8時間までは「法定内残業」となり、8時間を超えた1時間は「法定外残業(割増賃金の対象)」に該当します。

まず、法定内残業2時間分は通常賃金です。

1,500円 × 2時間 = 3,000円

次に、法定外残業1時間分は割増賃金を適用します。

1,500円 × 1.25 × 1時間 = 1,875円

そのため、残業代の合計は次のとおりです。

3,000円 + 1,875円 = 4,875円

なお、時間外労働の割増率は、就業規則などで25%を超える割合に設定することもできます。また、時短勤務者であっても、深夜労働には25%以上、休日労働には35%以上の割増賃金が必要です。

関連記事:労働基準法第37条とは?割増賃金の計算方法や適用除外をわかりやすく解説

4. 時短勤務者の残業管理に関する企業の対応策

残業手当の計算

時短勤務者は通常の労働時間とは異なる働き方となるため、企業側には適切な労務管理が求められます。とくに残業の扱いはトラブルになりやすく、制度の整備と運用の明確化が重要です。ここでは、企業が取るべき具体的な対応策を解説します。

4-1. 時短勤務や残業免除に関する申請手続きを明確化する

時短勤務や残業免除の適用にあたっては、従業員ごとに事情が異なるため、申請手続きや運用ルールを明確に定めておくことが重要です。具体的には、次のような事項を就業規則に明記しておくとよいでしょう。

  • 申請対象者の条件(育児・介護など)
  • 申請方法(書面・システムなど)
  • 申請期限や更新のタイミング
  • 承認フロー(上司・人事による確認など)

また、事前に「短時間勤務申出書」や「残業免除申請書」といったフォーマットを用意しておくと、必要事項を統一的に確認でき、申請から承認までの手続きを円滑に進めやすくなります。

さらに、制度を導入していても、申請方法が複雑で利用しにくい運用となっている場合は、育児・介護休業法で禁止されている不利益取扱いに該当すると判断されるおそれがあるので注意が必要です。

なお、残業免除(所定外労働の制限)は、原則として利用開始予定日の1ヵ月前までに申し出る必要があります。従業員が円滑に制度を利用できるよう、申請期限や手続き方法を十分に周知しておきましょう。

参考:育児休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省

参考:介護休業制度 所定外労働の制限(残業免除)|厚生労働省

4-2. システムを活用して労働時間を正確に把握・管理する

時短勤務者の労働時間を適切に管理するには、実際の勤務状況と勤怠記録のズレを防ぐことが重要です。そのためには、勤怠管理システムを導入・活用する方法が効果的です。システムを利用すれば、打刻データをもとに労働時間を自動集計・可視化でき、管理負担の軽減にもつながります。

また、時短勤務者ごとに所定労働時間を設定したうえで、残業アラート機能を活用したり、管理者がリアルタイムで勤怠状況を確認したりすれば、長時間労働や不要な残業を未然に防止しやすくなるでしょう。

さらに、給与計算システムと連携させれば、短時間勤務に応じた給与計算も効率化できます。加えて、時短勤務や残業免除の申請・承認をシステム上で完結できるようにしておくことで、申請漏れや運用ミスの防止にも役立ちます。

4-3. 育児時短就業給付金の制度内容を従業員へ周知する

2025年4月に創設された「育児時短就業給付金」は、2歳未満の子どもを養育するために短時間勤務を選択し、賃金が低下した雇用保険の被保険者を支援する制度です。育児休業から復職後に時短勤務へ移行した場合など、一定の要件を満たすと給付を受けられます。

給付額は、時短勤務中に支払われた賃金額の原則10%です。ただし、賃金と給付金の合計額が、時短勤務開始時の賃金水準を超えないよう調整されます。対象となるのは、雇用保険の被保険者として継続雇用されていることや、1週間あたりの所定労働時間を短縮して勤務していることなど、所定の条件を満たす従業員です。

申請には、受給資格確認や支給申請などの手続きが必要で、原則として事業主がハローワークへ提出します。電子申請にも対応しているため、企業側の事務負担を軽減しやすい点も特徴です。

また、企業が制度の内容や申請方法を従業員へわかりやすく周知すれば、時短勤務による収入減少への不安を軽減できます。あわせて、不要な残業を抑制し、育児と仕事の両立支援や離職防止にもつながるでしょう。

参考:育児時短就業給付の内容と支給申請手続|厚生労働省

5. 時短勤務者の残業は適切な運用でトラブルを防止しよう

時短勤務の企業の取り組み

時短勤務者への残業命令は必ずしも違法ではありませんが、従業員から残業免除の申請があった場合は原則として拒否できないため注意が必要です。また、残業が発生した際には、「法定内残業」と「法定外残業」を区別し、適切に残業代を計算しなければなりません。

企業としては、就業規則における申請フローやルールの明確化を進めるとともに、勤怠管理システムを活用して実労働時間を正しく把握することが不可欠です。法的な制限や手続きを正しく理解し、適切な運用管理に努めることで、労使双方のトラブルを防止し、両立支援の実現を目指しましょう。

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