標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説
更新日: 2025.3.11
公開日: 2024.7.2
OHSUGI
標準報酬月額とは、社会保険料の算出を簡単にするため、社員の月々の給料を一定範囲に分けて区分した値をいいます。社会保険料の算出の基礎になるものが標準報酬月額です。
しかし「標準報酬月額を用いた社会保険料の計算方法がよくわからない」と、お悩みの方もいるでしょう。
そこで本記事では、標準報酬月額の概要や調べ方、決定時期・変更するタイミングについてわかりやすく解説します。社会保険料の算出方法も紹介しているので、標準報酬月額について深く理解したい方はぜひ最後までお読みください。
目次 [非表示]
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1. 標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、社会保険料の計算を簡単にするため、社員の月々の給料を一定範囲に分けて区分したものです。健康保険と厚生年金では、以下のように等級の範囲が異なります。
- 健康保険:1等級(5万8,000円)〜50等級(139万円)
- 厚生年金:1等級(8万8,000円)〜32等級(65万円)
標準報酬月額を用いれば、残業代などにより月々の給与が変動しても控除する保険料が一定になります。社員の保険料の把握が簡単になるでしょう。
なお、標準報酬月額は、傷病手当金や出産手当金の支給額を決定する際の算出基準にもなっています。
1-2. 標準報酬月額の調べ方
協会けんぽに加入の場合、標準報酬月額は協会けんぽの公式ホームページから調べることが可能です。組合健保の場合は、所属する組合健保に確認が必要となります。
なお、健康保険の標準報酬月額は都道府県ごとに設定されており、毎年改定されます。そのため、会社の所在地がある都道府県の標準報酬月額を参照し、最新の情報に基づいて計算しましょう。
例として以下に、協会けんぽが公表している東京都の令和6年3月からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表を参考にした標準報酬月額の一部を記載しています。
標準報酬 | 報酬月額
以上~未満 |
|
等級 | 月額 | |
1 | 5万8,000円 | 6万3,000円 |
2 | 6万8,000円 | 6万3,000円~7万3,000円 |
3 | 7万8,000円 | 7万3,000円~8万3,000円 |
4(厚生年金1等級) | 8万8,000円 | 8万3,000円~9万3,000円 |
5 | 9万8,000円 | 9万3,000円~10万1,000円 |
6 | 10万4,000円 | 10万1,000円~10万7,000円 |
7 | 11万円 | 10万7,000円~11万4,000円 |
8 | 11万8,000円 | 11万4,000円~12万2,000円 |
9 | 12万6,000円 | 12万2,000円~13万円 |
10 | 13万4,000円 | 13万円~13万8,000円 |
11 | 14万2,000円 | 13万8,000円~14万6,000円 |
12 | 15万円 | 14万6,000円~15万5,000円 |
13 | 16万円 | 15万5,000円~16万5,000円 |
14 | 17万円 | 16万5,000円~17万5,000円 |
15 | 18万円 | 17万5,000円~18万5,000円 |
16 | 19万円 | 18万5,000円~19万5,000円 |
17 | 20万円 | 19万5,000円~21万円 |
18 | 22万円 | 21万円~23万円 |
19 | 24万円 | 23万円~25万円 |
20 | 26万円 | 25万円~27万円 |
21 | 28万円 | 27万円~29万円 |
22 | 30万円 | 29万円~31万円 |
23 | 32万円 | 31万円~33万円 |
24 | 34万円 | 33万円~35万円 |
25 | 36万円 | 35万円~37万円 |
26 | 38万円 | 37万円~39万5,000円 |
27 | 41万円 | 39万5,000円~42万5,000円 |
28 | 44万円 | 42万5,000円~45万5,000円 |
29 | 47万円 | 45万5,000円~48万5,000円 |
30 | 50万円 | 48万5,000円~51万5,000円 |
31 | 53万円 | 51万5,000円~54万5,000円 |
32 | 56万円 | 54万5,000円~57万5,000円 |
33 | 59万円 | 57万5,000円~60万5,000円 |
34 | 62万円 | 60万5,000円~63万5,000円 |
35(厚生年金32等級) | 65万円 | 63万5,000円~66万5,000円 |
≀ | ≀ | ≀ |
50 | 139万円 | 135万5,000円以上 |
参考:令和6年度保険料額表 令和6年3月分から|全国健康保険協会
左から標準報酬と報酬月額があり、その隣に標準報酬月額に応じた健康保険料と厚生年金保険料の金額が表示されています。ここでは、健康保険料と厚生年金保険料の金額については割愛しています。
例えば、報酬月額が21万円であれば、標準報酬は18等級・22万円です。健康保険料と厚生年金保険料は、この等級に対応する金額をそれぞれ労使折半する形となります。
2. 標準報酬月額に該当するものとしないもの
標準報酬月額に該当するものとしないものは以下のとおりです。
区分 | 該当するもの | 該当しないもの |
お金で支給されるもの | ・基本給(日給・週休・月給)
・年4回以上支給される賞与 ・残業代 ・住宅手当 ・通勤手当 ・休職手当 ・役付手当など |
・見舞金
・交際費 ・慶弔費 ・退職手当 ・傷病手当金 ・年3回まで支給される賞与 ・年金など |
現物で支給されるもの | ・通勤定期券
・食事代や食券 ・社宅や社員寮 |
・食事(自身の負担額が現物給与の価額の2/3以上のケース)
・制服や作業服 |
参考:算定基礎届の記入・提出のガイドブック令和5年度|日本年金機構
標準報酬月額に該当する報酬は、給料だけに限りません。通勤の際に使う定期券など、労働の代わりとして支給されている現物も報酬に含まれます。
しかし、一般的に月々に受け取ることがない交際費や慶弔費などの一時的な手当は、報酬に含まれないため、注意が必要です。
賞与の場合は、年に3回以下であれば一時的な報酬とみなされ、標準報酬月額に該当しません。もし会社として、年に4回の賞与を支給している場合は報酬に含まれるので、計算する際に注意が必要です。
3. 標準報酬月額の決定時期・変更する4つのタイミング
標準報酬月額の決定時期・変更するタイミングは、以下のとおりです。
- 年に1度の定時決定
- 随時改定
- 資格取得時
- 産前産後・育児休業終了時
標準報酬月額を活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
3-1. 年に1度の定時決定
標準報酬月額を決定するタイミングとして、定時決定があります。定時決定とは、毎年4〜6月までの3ヵ月間の賃金をもとに、年に1度だけ標準報酬月額を見直すタイミングのことです。
7月1日時点で在籍している社員を対象に手続きを実施して、新しい標準報酬月額へ変更するためにおこないます。新たな標準報酬月額は、変更した年の9月から次の年の8月まで有効です。
ただし、4〜6月までの3ヵ月間はそれぞれの月で17日以上の報酬支払基礎日数が必要になります。報酬支払基礎日数が基準を満たしていなければ、新しい標準報酬月額に変更できません。これまでの標準報酬月額が引き続き適用されます。
3-2. 随時改定
標準報酬月額は、随時改定で変更する場合があります。随時改定とは、定時決定以外の期間に、大幅な報酬額の変動があった際におこなう標準報酬月額決定の手続きのことです。
随時改定を実施する際は、以下の3つの条件を満たされなければなりません。
- 固定的賃金が変動した場合
- 変動月からの3ヵ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合
- 変動があった3ヵ月の各月の報酬支払基礎日数がそれぞれ17日以上ある場合
しかし、3ヵ月の平均報酬から算出した標準報酬月額がこれまでよりも下がる場合は、随時改定に該当しないので注意しましょう。例えば、基本給が上がっても残業代が減ったことにより給料が下がるなどです。
3-3. 資格取得時
標準報酬月額を決定するタイミングとして、社会保険に加入するときがあります。新入社員が入社して社会保険に加入する際は「被保険者資格取得届」の提出が必要です。
雇用開始日から5日以内に管轄の年金事務所もしくは事務センターに提出しなければなりません。
標準報酬月額の適用期間は、以下のように入社した月で異なります。
- 1〜5月末までに資格を取得したケース:同じ年の8月まで
- 6〜12月までに資格を取得したケース:次の年の8月まで
入社条件として提示した給与や雇用契約書に記載されている報酬をもとに、標準報酬月額が決定します。
3-4. 産前産後・育児休業終了時
産前産後・育児休業終了時も、標準報酬月額を変更するタイミングの一つです。終了日の翌日を含む月から3か月間の標準報酬月額に1等級以上差がある場合、4か月目から改定することができます。
標準報酬月額の適用期間に関しては、1月~6月までに改定された場合はその年の8月まで、7月~12月に改訂された場合は翌年の8月までです。
産休中や育休中は将来の年金の手取り額が減らないよう「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出して、養育前の標準報酬月額を適用する措置を取っているケースが多いです。産休や育休明けに短時間勤務や残業免除などで標準報酬月額が下がるケースもあるため、対象者がいる場合は案内するようにしましょう。
参考:産前産後休業終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構
参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構
4. 標準報酬月額に則った社会保険料の計算方法
「健康保険・厚生年金保険料額表」を見れば標準報酬月額に応じた保険料がすぐに調べることが可能ですが、担当者として計算方法についても押さえておきましょう。
標準報酬月額に則った以下の社会保険料の計算方法を以下の流れで解説します。
- 健康保険料の計算方法
- 厚生年金保険料の計算方法
社会保険料を算出する際は、ぜひ参考にしてください。
4-1. 健康保険料の計算方法
標準報酬月額に則った健康保険料の計算方法は、以下のとおりです。
健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率÷2 |
健康保険料率は各都道府県によって異なるので、算出する際には要注意です。今回は令和6年度の東京都の9.98%※を例に、標準報酬月額が25万円のケースでの健康保険料を求めました。
25万円×9.98%÷2=1万2,475円
標準報酬月額が25万円の場合は、会社が支払う健康保険料は12,475円です。
参考:令和6年3月分~適用 ・厚生年金保険料率|全国健康保険協会
4-2. 厚生年金保険料の計算方法
標準報酬月額に則った厚生年金保険料の計算方法は、以下のとおりです。
厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率÷2 |
令和6年の厚生年金保険料は、全国一律で18.3%※です。例えば、標準報酬月額を25万円としたときの、厚生年金保険料は以下の計算式で求められます。
25万円×18.3%÷2=2万2,875円
標準報酬月額が25万円の場合、会社が負担する金額は2万2,875円です。
※令和6年3月分~ 適用 ・厚生年金保険料率|全国健康保険協会
4-3. 労働保険料は標準報酬月額を使わず計算する
健康保険料や厚生年金保険料とは異なり、労働保険料の場合は実際の賃金に基づいて計算します。ちなみに、労働保険料の計算方法は以下のとおりです。
労働保険料=労災保険料+雇用保険料 ※労災保険料=賃金総額×労災保険料率 ※雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率 |
労災保険料率は事業の種類によってそれぞれ異なり、保険料は全額事業主が負担します。一方、雇用保険料率も事業の種類によって異なりますが、保険料は労働者と事業主がそれぞれの割合に応じて負担する仕組みとなっています。
同じ社会保険であっても、労働保険料は標準報酬月額を使わずに計算するため注意しましょう。
参考:令和6年度の労災保険率について|厚生労働省
参考:令和6年度の雇用保険料率について|厚生労働省
5. 標準報酬月額の手続きは正しく実施しよう
社会保険料の計算を簡単にするため、社員の月々の給料を一定範囲に分けて区分した値が標準報酬月額です。
健康保険で50等級、厚生年金で32等級と等級の範囲が異なるため、計算する際は注意しなければなりません。
また標準報酬月額の報酬として、該当するものとしないものがあります。金銭だけでなく現物支給で該当する場合もあるため、要注意です。
標準報酬月額の手続きを正しく実施して、正確な社会保険料を求めましょう。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
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