源泉徴収票は電子化しよう!義務基準やメリットをわかりやすく解説
更新日: 2025.3.27
公開日: 2024.7.31
OHSUGI
「源泉徴収票は電子化できるの?」
「源泉徴収票を電子化して配布を楽にしたい」
「社内のペーパーレス化を推進したい」
上記のようにお悩みではありませんか。
源泉徴収票は、電子化することで紙での管理におけるさまざまな手間を削減できます。経理・労務業務の効率化ができるでしょう。
本記事では、源泉徴収票を電子化するメリットやデメリット、電子化する際の注意点などを解説します。源泉徴収票の管理にお悩みの方はぜひご一読ください。
目次 [非表示]
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

1. 源泉徴収票は電子化できる
近年は電子申請の対応範囲が広がり、法定調書の電子化も進んでいます。
源泉徴収票も電子化し、従業員への電子交付も可能になりました。電子化は段階的に企業の義務にもなってきているため、電子交付方法や義務基準を知っておきましょう。
1-1. 源泉徴収票の電子交付方法
源泉徴収票は電子化可能です。
ペーパーレス化の推進に伴い、平成31年(2019年)4月以降の確定申告の提出分から源泉徴収票の原本添付が不要になりました。したがって、確定申告に使用する源泉徴収票はコピーやデータでも認められています。
源泉徴収票の電子交付の方法は主に3つあります。
- 電子メールを利用する方法
- 社内LAN・WANやインターネットなどを利用して閲覧に供する方法
- CDなどの媒体に記録して交付する方法
受給者は必要に応じて書面に出力し、確定申告の記入や提出に使用します。
参照:給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A|国税庁
1-2. 2027年からは義務基準が引き下げられる
法定調書の電子申告は段階的に義務化の範囲が広がっています。
現在(2025年)は前々年に提出すべきだった法定調書が「100枚以上あった場合」に電子申請の義務が発生する状態です。
これが2027年の1月1日以降に提出する分からは、この法定調書の枚数が「30枚以上」に引き下げられます。従業員の人数が少ない企業でも電子申請の義務が発生する可能性があるため、注意しておきましょう。
ただし、この100枚や30枚は「法定調書の種類ごと」にカウントされます。複数の法定調書をまとめた枚数ではなく、源泉徴収票であれば源泉徴収票の提出枚数のみが基準を超えていなければ電子申請の義務は発生しません。
また、法定調書の枚数は「法定調書の提出義務を有する者ごと」におこないます。本社や支社など、複数の事業場がある場合はそれぞれで枚数を数えればよいことになっています。
参照:e-Tax等による法定調書の提出が義務化されています!|国税庁
2. 源泉徴収票を電子化する3つのメリット
源泉徴収票を電子化することで下記のメリットを得られます。
- コストを削減できる
- 業務を効率化できる
- 保管・管理が簡単になる
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
2-1. コストを削減できる
源泉徴収票を電子化するとコストの削減が可能です。
源泉徴収票を紙で発行するには印刷代やインク代、郵送料などが発生します。何百人も従業員がいる場合、源泉徴収票の出力や郵送にかかる費用は大きなものです。
源泉徴収票を電子化すれば、メールやインターネットを使った開示ができるようになるため、出力や郵送に伴う費用が一切かからず、コストを削減できます。
2-2. 業務を効率化できる
電子化により出力や郵送が不要になれば、業務の手間も大きく削減できます。
源泉徴収票を電子交付する場合、作成したデータを電子メールや社内システム上で自由に閲覧できるようにすることが可能です。出力した源泉徴収票の整理や封入などをしなくてよいため、業務の手間や時間を大きくカットできます。
源泉徴収票の電子化をしておけば、従業員の人数が増えても担当部署の業務負担が大幅に増えることはありません。事業拡大をする場合も、人件費が膨れ上がることを防ぎやすくなるでしょう。
2-3. 保管・管理が簡単になる
源泉徴収票の電子化により書類の保管や管理の手間もなくなります。
源泉徴収票は税務署と従業員に提出するため、基本的に会社側に原本は残りません。しかし、再発行時の手間を減らすため、多くの企業で源泉徴収票のデータをまとめた源泉徴収簿を保管しています。
源泉徴収簿は個人情報のため、情報漏えいを予防する厳重な管理が必要です。人的なミスにより源泉徴収簿を廃棄するリスクもあります。
一方、源泉徴収票を電子交付する場合、給与計算ソフトなどの利用・閲覧できる社員を制限すれば、情報漏えいのリスクを軽減可能です。また、バックアップを取っていれば万が一ファイルを削除しても復元できます。
3. 源泉徴収票を電子化する2つのデメリット
源泉徴収票を電子化するにはデメリットもあります。
- 同意のない従業員は電子交付できない
- データ改ざんのリスクがある
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
3-1. 同意のない従業員は電子交付できない
源泉徴収票の電子化のデメリットとして、同意のない従業員は電子交付できないことが挙げられます。
源泉徴収票の電子化には、交付の対象である従業員の同意が必要です。従業員が電子交付ではなく紙での交付を望んでいる場合は、必ず紙で発行してください。
会社側が電子交付を導入したくても、すべての従業員が同意するとは限りません。多くの従業員が紙での発行を希望した場合、電子交付と紙での交付が混雑して余計に手間がかかるおそれがあります。
なるべく多くの従業員から電子交付の同意を得られるよう、電子化のメリットを説明したり、源泉徴収票を閲覧しやすいシステムを導入したりしましょう。
3-2. データ改ざんや漏洩のリスクがある
源泉徴収票を電子交付するデメリットとして、データ改善のリスクに注意が必要です。
源泉徴収票を作成・管理する給与計算ソフトなどのセキュリティ対策が甘い場合、社内外から第三者にアクセスされるおそれがあります。
改ざんや漏洩のリスクを最小限に抑えられるよう、パスワードや電子署名などの対策をしっかりおこないましょう。セキュリティに関する意識は、社内全体で高めなければなりません。必要に応じてセキュリティの勉強会や説明などを実施する必要性がでてきます。
4. 源泉徴収票を電子化して交付する流れ
源泉徴収票を電子化して交付する流れは以下のとおりです。
- 従業員の同意を得る
- 電子交付するための基準を満たす
- 紙での発行にも備える
それぞれのステップを細かく見ていきましょう。
4-1. 従業員の同意を得る
源泉徴収票を電子化するには、まず従業員の同意を得なければいけません。同意を得る方法には以下などがあります。
- 同意書を配布し全員に提出してもらう
- 採用時の雇用契約書に記載する
- メールで電子化について連絡し、同意しない場合は個別に連絡してもらう
同意を得る方法について特別規定はありませんが、同意書やメールには最低限以下の情報を盛り込みましょう。
- 電子化された源泉徴収票の閲覧・取得方法
- ファイル形式
- 交付予定日
- 交付開始日
電子化について従業員から質問があった場合は丁寧に回答しましょう。
4-2. 電子交付するための基準を満たす
従業員から同意が得られたら、次に下記の基準を満たす必要があります。
- 映像面への表示および書面への出力ができること
- 受給者などに対し、電子交付する(した)旨を通知すること
源泉徴収票を電子化して交付するには、電子メールや給与計算ソフト、CDなどの媒体を使う方法があります。選択した媒体で問題なく表示・出力ができることを確認したら、正式に電子交付を実行する旨を従業員に通知しましょう。
4-3. 紙での発行にも備える
電子交付について全員の同意が得られた場合でも、後から紙での再発行を要請される可能性があります。
電子交付に対する同意をしている場合でも、紙での発行を断ることはできません。要請された場合スムーズに発行できるよう、紙で発行する際の手順や規定も社内で共有しましょう。
5. 源泉徴収票を電子化する際の3つの注意点
源泉徴収票を電子化する際は、下記に注意しましょう。
- 会社側の独断で実施しない
- セキュリティ対策を強化する
- 既存システムとの相性を確認する
それぞれの内容を確認していきます。
5-1. 会社側の独断で実施しない
源泉徴収票を電子化する際は、会社側の独断で実施せず、必ず従業員の同意を得ましょう。電子交付に従業員の同意が必要なことは、所得税法231条により定められています。
同意を得る際は、決定事項として押し付けるのではなく、なぜ電子化が必要なのか説明したうえで協力してもらえるよう依頼しましょう。電子化に対する抵抗をなるべく少なくするため、周知の仕方に気をつけてください。
5-2. セキュリティ対策を強化する
電子化の導入にあたり、セキュリティ対策を強化しましょう。システムを使って源泉徴収票を作成・管理する場合、ウイルスや第三者の不正アクセスによる情報漏えいに注意する必要があります。
また、従業員のセキュリティに対する意識も強化しなければいけません。意識が甘いと、容易に第三者にパスワードを教えたり、個人情報が記載されている画面を表示したまま席を立ったりするおそれがあります。
システム上のセキュリティ対策に力を入れるだけでなく、従業員一人ひとりの意識の向上にも注意しましょう。
5-3. 既存システムとの相性を確認する
源泉徴収票を作成するソフトと、社内で使用している既存システムとの相性を確認しましょう。
会計システムや勤怠管理システムなどをすでに利用している場合は、同じ提供元のシステムを使用するとスムーズです。他社のシステムを利用する場合は既存システムとの連携ができないことがあるため、本格的に導入する前に必ず相性を確かめましょう。
6. 2027年からは義務基準が引き下げられる源泉徴収票の電子化を進めて業務効率化と法令への対応をしよう
源泉徴収票は従業員の同意があれば電子化が可能です。電子化することでコストの削減や業務の効率化ができます。
電子化にはデータ改ざんや情報漏えいのリスクがあるため、社内のセキュリティ対策の強化を忘れないようにしましょう。
また、従業員から紙の発行要請があった場合は応じなければいけません。電子化を導入したからといって完全にペーパーレス化にはならない点にも注意してください。
印刷代やインク代のコスト、業務の非効率性などに悩んでいる場合は、ぜひ源泉徴収票の電子化を検討してみてください。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
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