ブレジャーとは?メリットや注意点を事例とともに解説
更新日: 2024.12.7
公開日: 2024.12.7
OHSUGI
「ブレジャーとワーケーションの違いがわからない」
「ブレジャーを導入するとどのようなメリットがあるの?」
上記の疑問をお持ちではないでしょうか。ブレジャーとは新しい働き方として取り入れる企業が増えている制度で、出張などの機会を利用して余暇も楽しめる制度です。
本記事では、ブレジャーとは何かをワーケーションとの違いやメリット・デメリット、導入事例などを通して詳しく解説します。ブレジャーへの理解を深めたい人事労務担当者はぜひご一読ください。
目次
1. ブレジャーとは
ブレジャーとは、出張など社外での仕事の機会を利用して余暇を楽しむ制度のことです。
ビジネス(business)とレジャー(leisure)を組み合わせた造語で、ブリージャーとよばれることもあります。観光庁が推進している新しい働き方の一つです。
日本の企業では出張先での仕事が終わり次第すぐに帰宅・帰社する従業員が多い傾向があります。ブレジャーは、出張のついでに現地での滞在を延長し、観光も楽しむことでプライベートも充実させる取り組みです。
2. ブレジャーとワーケーションの違い
ブレジャーとワーケーションの違いは、仕事と余暇のバランスです。ブレジャーは仕事のあとに余暇を楽しむのに対して、ワーケーションでは余暇を楽しみながらその最中に仕事をします。
ワーケーションとはワーク(work)とバケーション(vacation)を組み合わせた造語です。帰省先や旅行先など、好きな場所で余暇を楽しみながら業務もおこないます。
一方ブレジャーでは、余暇を楽しむのはあくまでも仕事が終了してからです。仕事と余暇がはっきり分けられています。
3. ブレジャーを導入する4つのメリット
ブレジャーを導入するメリットは次のとおりです。
- 優秀な人材の定着につながる
- 有給休暇取得の促進ができる
- 生産性が向上する
- 企業ブランディングの向上につながる
3-1. 優秀な人材の定着につながる
ブレジャーには優秀な人材の確保や定着につながるメリットがあります。
ブレジャーは多様な働き方を促進し、働きやすい環境づくりに貢献する制度です。従業員の働きやすさを重視することで企業への帰属意識を高められ、離職を予防できます。
また、採用活動においてブレジャーを通して働きやすい環境であることをアピールすれば、求職者の興味を引けるため、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。
3-2. 有給休暇取得の促進ができる
ブレジャーを通して有給休暇取得の促進ができるメリットもあります。
ブレジャーは出張などのあとに滞在を延長して余暇を楽しんでもらう制度です。余暇を楽しむ方法として、出張と有給休暇を組み合わせ、出張後にそのまま数日間旅行を楽しむ方法があります。
ブレジャーを導入すれば出張に合わせて有給休暇を取得する従業員が増え、有給消化率も向上するでしょう。
3-3. 生産性が向上する
ブレジャーのメリットには生産性の向上もあります。
ブレジャーを活用すれば余暇を通して従業員のストレス解消が可能です。ブレジャーを通して適度にストレスを発散すれば、モチベーションを保ちながら仕事に集中できるため、生産性の向上が期待できます。
3-4. 企業ブランディングの向上につながる
ブレジャーを社外にも向けてアピールすれば、企業ブランディングの向上につなげられるメリットがあります。
企業ブランディングとは企業のイメージや価値の形成のことです。ブレジャーによる働きやすさの強調は求職者だけでなく、顧客に対しても良いイメージを与えられます。
従業員を大切にしているイメージがつくことで、信用できる企業である印象も高められるでしょう。
4. ブレジャーを導入する3つのデメリット
ブレジャーを導入するデメリットは次のとおりです。
- 勤怠管理が複雑になる
- 経費の不正使用のおそれがある
- 労災認定の線引きが難しくなる
4-1. 勤怠管理が複雑になる
ブレジャーには勤怠管理が複雑になるデメリットがあります。
出張中の勤怠管理は基本的に自己申告に頼るしかありません。実際には仕事がすでに終わっており余暇を楽しんでいても、「残業」として申告される可能性があります。
出張中の仕事と余暇をきちんと区別するため、勤怠管理システムの導入などを検討しましょう。
4-2. 経費の不正使用のおそれがある
ブレジャーを導入すると経費の不正使用に気をつけなければいけないデメリットがあります。
ブレジャーでは出張先での必要経費とプライベートでの使用との区別があいまいになりがちです。あらかじめ経費として認められる場合のルールを明確に決めておかなければ、経費の不正使用につながります。
ブレジャーの導入前に、出張先で認められる経費のケースを従業員にしっかり周知しましょう。
4-3. 労災認定の線引きが難しくなる
ブレジャーのデメリットは労災認定の線引きが難しくなる点です。
出張先で仕事のみおこなう場合、事故や事件に巻き込まれた際は基本的に労災に認定されます。しかし、ブレジャーを利用する場合、仕事中の出来事なのか、余暇中の出来事なのかによって労災を認めるかどうかを判断しなければいけません。
具体的にいつどのようにして起きた事故・事件なのかを深掘りしなければいけなくなり、従業員に不信感を抱かせるリスクもあります。
必要に応じて弁護士など法律に詳しい専門家も頼り、ブレジャー中の労災認定についてあらかじめ明確なルールを決めて従業員に周知しましょう。
5. ブレジャー導入時の注意点
ブレジャーを導入する際は、従業員間の不平等が生じないよう注意しましょう。出張が少ない従業員はブレジャーを利用する機会が少ないため、享受できる福利厚生も少なくなります。
部署によっては出張が全くなく、ブレジャーを利用する従業員のために書類作成などの仕事が増えるだけになるかもしれません。この場合従業員が不平等を覚えるのは当然であり、仕事に対するモチベーションが下がります。
出張の機会がない従業員も有給休暇を取りやすい制度の導入や、部署によって特別年次休暇を設けるなどして、なるべく従業員間の不平等が生じないようにしましょう。
6. ブレジャーの導入事例
ブレジャーの導入を考えている企業のお手本となる導入事例を以下の2つ紹介します。
- 航空系A社
- IT系B社
6-1. 航空系A社
航空系A社は2019年5月にブレジャーを導入しました。
ダイバーシティ戦略に関連した取り組みとして時間と場所に捉われない新しい働き方を推進しており、ブレジャーもその一貫です。
最初は有給休暇の取得率向上を目的に2017年にワーケーションを導入し、結果的に長期休暇の取得促進にも成功しました。その後、2019年5月にブレジャーをスタートし、年度合計の総数実績は約170件です。
上司への報告や勤怠管理システムなどを通し、ワーケーション中やブレジャー中の業務状況もきちんと把握できるようにしています。
出張にともなう休暇を促すブレジャーの導入により、さらに働きやすい環境を実現した事例です。
6-2. IT系B社
IT系B社は、正確にはブレジャーを導入しているのではなく、仕事をする時間と場所を従業員に任せている企業です。
いつでもどこでもだれとでも仕事ができる環境を整えており、特別な手続きをせずブレジャーやワーケーション、在宅勤務ができます。
経営者と従業員と人事管理、全員にとってwin-winとなる働き方を目指した結果です。効率的で効果的、そして継続的なビジネスのあり方を追求し、働きやすさと企業競争力の向上の両方を達成しています。
7.ブレジャーを導入して従業員の出張を有意義なものにしよう
ブレジャーは出張を通して仕事と余暇を両立できる制度です。ブレジャーを導入することで優秀な人材の定着や生産性の向上、企業ブランディングの向上などができるメリットがあります。
一方、勤怠管理や経費の使い方、労災認定が複雑になるデメリットもあるため、ブレジャーを導入する前に細かいルールを設定することが大切です。
ブレジャーにより、仕事をこなすだけでなく羽を伸ばしてストレスを発散できる有意義な出張を推進しましょう。
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