スキルマップのITSSとは?レベル評価や運用するためのポイントを解説
更新日: 2025.5.27 公開日: 2025.5.22 jinjer Blog 編集部
「スキルマップのITSSとは?」
「ITSSをうまく運用するにはどうすればいいのか知りたい」
上記のような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
ITSS(ITスキル標準)は、高度なIT人材を育成するために設計されたスキル指標で、企業が研修や評価をおこなう際の基準として広く利用されています。
スキルレベルを可視化することで、育成計画の立案や人材配置をスムーズに進めやすくなります。
今回は、ITSSの基本的な仕組みやレベル評価での考え方、実務で活用するための運用ポイントを解説します。自社に合った活用方法を見つけ、ITSSを効果的に取り入れていきましょう。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. スキルマップのITSSの定義とは

ITSS(ITスキル標準)は、ITサービスに求められるスキルを体系化した指標です。IT人材の育成や評価に役立つことから、「ITスキル標準」とも呼ばれています。
職種は11種類に分類され、それぞれが38の分野に細かく分かれています。さらに、各分野のスキルは、一人ひとりのスキルや実績に応じて7段階で評価される仕組みです。
ITSSではスキル体系が明文化されているため、人材の育成や配置、評価の指針として多くの現場で取り入れられています。
また、実務で活用する際は、キャリア形成を支援する「キャリアフレームワーク」と組み合わせて運用するのが一般的です。
2. スキルマップのITSSが施策された背景

ITSSが施策された背景には、IT業界の構造変化や人材育成の重要性の高まりが関係しています。特にAIやクラウドの普及が進んだことで、企業は従来の育成方針を見直す必要に迫られています。
以前は市場全体が人材不足であり、専門性を問わず採用を進めるケースも多く見られました。しかし、技術の高度化や現場業務の複雑化によって、現場での対応が追いつかなくなりつつあります。
こうした状況を受けて、企業は戦略的なスキル開発を重視するようになり、客観的な指標の整備が求められるようになりました。
3. スキルマップのITSSとほかのITスキル標準との違い

IT人材の評価では、ITSSをはじめとする複数のスキル基準があります。それぞれ対象や目的は異なるので、自社の業務内容や目的に合わせて適切な基準を選ぶことが大切です。
ここでは、ITSSと次の代表的なスキル水準の違いを整理します。
- UISSとの違い
- ETSSとの違い
- CCSFとの違い
それぞれ詳しく解説します。
3-1. UISSとの違い
UISS(情報システムユーザースキル標準)とは、ユーザー企業のIT部門における企画や導入のスキルを整理するために定義された指標です。
システムの企画や導入、運用などの業務に必要な知識や技術を明確にし、ITを「利用する側」の企業に向けて策定されています。
一方、ITSSはITサービスを「提供する側」の人材に求められるスキルを体系化したものであり、対象とする立場が大きく異なります。
ITSSとUISSは目的や対象が異なる別の基準として位置づけられています。
3-2. ETSSとの違い
ETSS(組込みスキル標準)とは、自動車や家電などの組み込みシステム開発に携わるエンジニアを対象に設計された指標です。
制御系技術やリアルタイム処理など、ハードとソフトが高度に連携する分野で必要とされる専門スキルが整理されています。
一方、ITSSは、技術面に加えて、コミュニケーション力やマネジメント力などの業務遂行力も含めて評価するスキル体系として構成されているのが特徴です。
ETSSが「専門技術の深さ」に重点を置いているのに対し、ITSSは「総合的なビジネススキルの可視化」に重きを置いている点が大きく異なります。
3-3. CCSFとの違い
CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)とは、ITSS・UISS・ETSSなどの複数のスキル標準を一元的に整理した上位のフレームワークです。
企業がCCSFを活用することで、自社のニーズに合わせて各スキルを自由にカスタマイズできます。それぞれの標準を個別に管理する手間を減らし、統合的に運用できるのがメリットです。
ITSSは、CCSFの一要素として位置づけられており、特定の職種や必要なスキルを定義する役割を担っています。
一方、CCSFは複数のスキル標準を横断的に管理する仕組みであり、複数指標を連携させたい企業に適したフレームワークとなっています。
4. スキルマップのITSSが規定しているレベル評価

ITSSでは、職種や専門分野ごとにスキルレベルを段階的に設定しており、7つの基準によって個人のスキル熟練度を評価します。
スキルマップのITSSが規定しているレベル評価は、次の通りです。
| レベル | 評価 |
| 1 | ・情報技術に携わるものとして必要最低限の基礎知識を有している。
・スキル開発ではクリアパス実現に向け積極的なスキルの向上が求められる。 |
| 2 | ・上位者の指導により要求された作業を担当しており、プロフェッショナルに必要な技能や基本的知識を有している。
・スキル開発ではクリアパス実現に向け積極的なスキルの向上が求められる。 |
| 3 | ・求められた作業をすべて独力で遂行でき、プロフェッショナルに必要な技能や基本的知識を有している。
・スキル開発ではスキルの向上を継続することが求められる。 |
| 4 | ・独力で業務上の課題の発見や解決をリードでき、経験の知識化や応用に貢献しているハイレベルプレイヤー。
・スキル開発ではスキルの向上を継続することが求められる。 |
| 5 | ・社内でテクノロジ・メソドロジ・ビジネスを創造してリードできる。
・企業内のハイエンドプレイヤーとして認められる |
| 6 | ・社内外でテクノロジ・メソドロジ・ビジネスを創造してリードできる。
・国内のハイエンドプレイヤーとして認められる |
| 7 | ・社内外でテクノロジ・メソドロジ・ビジネスを創造してリードできる。
・世界で通用するハイエンドプレイヤーとして認められる |
どのレベルに到達しているのかを客観的に把握することで、次に強化すべきスキルやキャリアの方向性が見えやすくなります。
企業としても評価の基準が統一されれば、教育や評価制度との連携がしやすくなり、人材マネジメント全体の精度向上にもつながるでしょう。
5. スキルマップのITSSが分類している職種

ITSSでは、IT業務を担うさまざまな職種が体系的に整理されています。
具体的には以下のような職種があります。
- マーケティング
- セールス
- コンサルタント
- ITアーキテクト
- プロジェクト
- マネジメント
- ITスペシャリスト
- アプリケーション
- スペシャリスト
- ソフトウェア
- デベロップメント
- カスタマーサービス
- ITサービス
- マネジメント
- エデュケーション
それぞれの職種に求められるスキル水準が明確化されているため、組織内での育成方針を見直す際の判断材料としても有効です。
6. スキルマップのITSSを組織で運用するためのポイント

スキルマップのITSSを組織で運用するためのポイントは、次の通りです。
- 導入の目的を明確にする
- 全員で一緒にプロジェクトを進める
- 継続的に運用して修正する
それぞれ詳しく解説します。
6-1. 導入の目的を明確にする
ITSSを組織で運用する前に、導入の目的を明確にしましょう。
ITSSは、ITスキルを客観的に評価・活用するための共通基準です。導入する際は自社の経営方針や人材戦略に照らし合わせて、目的を具体的に定めることが大切です。
特に多くの企業では「IT人材の育成」に活用しており、育成を通じて生産性の向上や組織全体の成長につなげています。
ITSSによって社内のスキル状況をチェックすることで、人材面で不足している要素が可視化されます。どの層にどのような教育が必要かを判断しやすくなれば、人材育成を計画的に進められるでしょう。
6-2. 全員で一緒にプロジェクトを進める
ITSSを導入する際は、人事部門だけでなく経営層や現場部門も巻き込み、従業員が一体となって進めることが重要です。
一部の部門だけで導入を進めた場合、施策が表面的なものにとどまり、実質的な効果を得にくくなるリスクもあります。
トップダウンで一方的に進めるのではなく、各部署の意見を反映しながら進行できる体制を整えることが求められます。
人事・総務だけでなく、教育担当者や現場の開発・営業職なども初期段階から関与させることで、現場の実態に合わせたスキル設計が可能になるでしょう。
6-3. 継続的に運用して修正する
ITSSは導入して終わりではなく、運用後も定期的な修正・見直しを行いましょう。
ITSSを策定したIPA(情報処理推進機構)も、ITSSはスキルを測る基準として、企業のビジネス戦略に応じてスキルを設定・運用するべきだとしています。
例えば、従業員の異動や新入社員の配属にあわせて、個人ごとのスキル情報も定期的に更新しましょう。
組織の状況や求められるスキルが変化した際には、変化する組織のニーズに適した形へ調整していくことが大切です。
7. スキルマップのITSSを従業員のスキル管理に活用しよう

ITSSは、高度IT人材育成を目的とした、教育や訓練をおこなう際の指標です。IT用途の多様化や技術の進展などの背景から政府により導入されています。
ITSSを適切に活用することで、ITスキルの可視化や育成の効率化につながります。特徴やほかの基準との違いを理解し、自社の課題や育成方針にあわせた運用体制を構築していくことが大切です。
形だけの導入で終わらせないためにも、人事・経営・現場が連携しながら取り組みを設計し、現場に根づかせていきましょう。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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