コンプライアンスとガバナンスの違いとは?企業が押さえるべき重要ポイントを徹底解説
更新日: 2025.7.17 公開日: 2025.7.1 jinjer Blog 編集部

ガバナンスとは、組織行動を適切に制御・統制する仕組みです。
企業経営においては、「コーポレートガバナンス:企業統治」とも呼ばれ、企業が健全な経営活動をおこなうためのガバナンスを指します。
一方コンプライアンスは、法令や社内ルールなどを組織として守る姿勢を指します。
本記事では、両者の意味や違い、企業がガバナンス強化に取り組むべき重要ポイントをコンプライアンス違反のリスクなどの観点から解説します。
人的資本の情報開示が義務化されたことで人的資本経営への注目が高まっており、今後はより一層、人的資本への投資が必要になるでしょう。
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1. コンプライアンスとガバナンスの違い

コンプライアンスとは、法令を守るだけでなく、社会的規範や倫理、社内のルールなども含めて「組織としてあるべき姿を守ること」を指します。
一方、ガバナンスとは、企業が自らの経営を適切に監督・管理する仕組みのことです。特に「コーポレートガバナンス」という言葉は、不正やコンプライアンス違反を未然に防ぎ、企業の透明性や健全性を高める体制づくりを意味します。
つまり、コンプライアンスは「守るべきルール」、ガバナンスは「それを守らせる仕組み」と言い換えることができます。
ガバナンスは、コンプライアンスを維持し補完する役割を果たします。
1-1. ガバナンスが必要な理由
ガバナンスは、日常の業務から不正行為を防止する機能があります。
ガバナンス強化によって、従業員が会社の業務から健全な事業活動をおこなっていることを認識できます。結果的に、従業員たちの仕事へのモチベーションを保つことができるでしょう。
次に、ステークホルダー(企業の利害関係者)以外からも信頼を得られます。信用があり財政面も安定していれば、今後の事業活動の展開に期待されるでしょう。
一方で、コンプライアンス違反が発覚した場合、事業停止や刑事処罰を受ける可能性があります。
そして、社会的な信用も失うことによって、金融機関から融資を受けづらくなる場合や業績不振によって退職者が増加する場合もあるため、会社へのダメージは非常に大きいです。
つまり、ガバナンスの強化をすることにより、企業は従業員のモチベーションと企業イメージを高めることができます。
1-2. 中小企業でもガバナンス強化は可能
ガバナンスは、大企業が取り組むこととして認識されている方も多いのではないでしょうか。実は、日本の企業の約99%は中小企業が占めています。
中小企業こそ、ガバナンスを整えることで、今後の信頼性や業績の向上の余地があります。
コストや人材の制約のある中でも、外部の専門サービスやITツールを活用すれば、コストを大幅に抑えて、ガバナンス強化ができます。
2. ガバナンスを強化するメリット

ここでは、ガバナンスを強化した企業へのメリットについて解説します。しっかり理解して、ガバナンスを整えていきましょう。
2-1. コンプライアンス違反の防止
ガバナンスを強化する一番のメリットは、企業の不祥事を防ぐことです。
企業が受ける典型的なリスクは以下の内容です。
- 個人情報の漏洩や株主訴訟などに発展して、コンプライアンス違反に該当する。
- 場合によっては、課徴金や役員解任、行政処分を科される可能性があります。
コンプライアンス違反がない企業では、従業員や顧客に対して、健全な事業活動をおこなっていることを示すことができます。
2-2. 社会的信用・財政面の安定
安全な事業活動をおこなっている企業は、ステークホルダー(企業の利害関係者)以外からも良い印象を持たれます。その結果、新規顧客の増加や取引先との長期的な契約を結ぶことができ、業績の安定化が望めます。
次に、企業が成長するには、投資家と金融機関の存在が非常に重要です。。株主が安心して投資しやすい状況を作ることを心がけましょう。企業活動における「信用」は、金融機関との関係に対して密接に影響します。なぜなら、社会的信用がある企業は融資を受けやすいため、資金調達がしやすいメリットがあるからです。
社会的信用があり財政面が安定している企業は、今後の経営方針に対して柔軟に対応ができるでしょう。
2-3. 労働環境の改善
従業員が健全な業務をおこなえることを認識できれば、仕事へのモチベーションアップにつながり、会社内の雰囲気が良くなります。
一方で、コンプライアンス違反が発覚した企業は、従業員たちの会社に対する不信感や会社内の雰囲気の悪化などにより、退職者の増加傾向が見られます。
結果的に、ガバナンスを構築することで、従業員が働きやすい環境を作ることができるでしょう。
3. ガバナンスを強化させる方法とそのポイント

最後に、ガバナンス強化に向けてコストを抑えた方法とそれらのポイントについてを紹介します。必ずコンプライアンス違反を起こさないように努めましょう。
3-1. 企業理念やコンプライアンスの明確化と周知
まず、ガバナンス構築の参考となるのが、株式会社東京証券取引所の『コーポレートガバナンス・コード』や『内部統制報告制度(J-SOX)』です。
次に、コンプライアンスに関連する明文規定を、従業員に周知して明確化させる体制の導入が必要です。会社法と労働法、金融商品取引法などの法律やビジネスマナーについても必ず遵守できるように努めましょう。
参考:コーポレートガバナンス・コード|株式会社東京証券取引所
3-2. 社外取締役・相談役の非常勤登用
社外取締役とは、外部から招聘した取締役のことで、独立した立場から会社の情報を客観的に監査し、不正行為の防止に貢献します。一方、社外相談役は、従業員がハラスメントや個人的な問題を匿名で通報できる、社外の相談窓口としての役割を果たします。
これら社外の専門家を月数回程度の非常勤で登用すれば、自社に専任の社員を置くよりもコストを大幅に削減できます。さらに、専門家が匿名での相談に応じることで、従業員は安心して悩みを打ち明けられるようになり、ハラスメントの早期発見・解決に繋がります。
社外の専門家を派遣する企業もあるため、ぜひ一度検討してみることをお勧めします。
風通しの良い労働環境は、従業員の業務に対するモチベーションの向上につながり、業績アップや新規人材の確保も期待できます。
3-3. 継続的なコンプライアンス研修
上記の内容だけでは、従業員にコンプライアンスの知識を身に付けさせることはできません。
そこで、従業員にコンプライアンスを維持させる方法として、コンプライアンス研修があります。この研修では、ビジネスマナーや企業の不祥事が発覚した場合のリスクなどを学習します。e-Learningなどのシステムを活用すれば人事コストを抑え、受講履歴を残すことも可能です。
研修を継続的に実施することで、新法の施行や法令の改正なども柔軟に対応ができるようになるでしょう。
3-4. 反社会的勢力との対応をチェック
反社会的勢力と関係を持つ企業に対して、顧客や投資家の中で良い企業イメージを持っている人の割合は低いです。
事前に「不当要求に対する対応マニュアル」や「契約書に反社会的勢力と関係があることが発覚した時の処置」などを作成して行動指針を示しておきましょう。
反社会的勢力との関係性が指摘され問題になった企業に対して、行政処分や刑事罰を科した下されたという報道も多いです。今後の会社の繁栄のために、反社会的勢力と関係性がないことを明白に示せるようにしていきましょう。
4. ガバナンスを強化して、企業価値を高めよう

今回は、コンプライアンスとガバナンスに関して解説しました。
コンプライアンスとガバナンスを強化することで、企業の信用性と健全性を向上させることができます。そして、従業員の仕事への良いモチベーションにも繋がり、会社内の雰囲気の改善や企業規模の拡大が望めます。
必ずコンプライアンス違反にならないように、ガバナンスの構築に努める必要があります。
まずは自社の状態を確認し、改善の第一歩を踏み出しましょう。
企業価値を持続的に向上させるため、いま経営者はじめ多くの企業から注目されている「人的資本経営」。
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