同月得喪とは?社会保険料の取り扱いと実務上の注意点をケース別に解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

同月得喪とは?社会保険料の取り扱いと実務上の注意点をケース別に解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

同月得喪とは?社会保険料の取り扱いと実務上の注意点をケース別に解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

同月得喪とは?社会保険料の取り扱いと実務上の注意点をケース別に解説

電卓で計算する

同じ月に社会保険の資格を取得し、さらに喪失の手続きをすることを「同月得喪」と呼びます。

給与担当者にとって、通常の入退社手続きとは異なる特殊なルールが求められる、非常にミスの起きやすい業務です。

この記事では、同月得喪の基礎知識からケース別の保険料徴収についてのルール、給与計算時の注意点までを詳しく解説します。同月得喪の手続きを迷わず正確におこないたい人事・労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

保険料計算の手間とミス。 この問題から解放されたい方へ

給与計算業務でミスが起きやすい社会保険料。保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。
当サイトでは、社会保険4種類の概要や計算方法から、ミス低減と効率化が期待できる方法までを解説した資料を、無料で配布しております。

「保険料率変更の対応を自動化したい」「保険料の計算が合っているか不安」「給与計算をミスする不安から解放されたい」という担当の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 同月得喪とは

はてなと手

「同月得喪」とは、同じ月内に社会保険の資格取得と喪失の両方をおこなうことです。具体的には「6月1日入社・6月25日退職」のように、資格取得日と資格喪失日が同一の月内にある状態を指します。

1-1. 同月得喪の具体例

同月得喪の判定のポイントは「資格喪失日」が取得月内にあるか否かです。

同月得喪が発生するケース
  • 4月1日入社、4月15日退職のケース→4月1日が資格取得日、4月16日が資格喪失日
  • 4月15日入社、4月20日退職のケース→4月15日が資格取得日、4月21日が資格喪失日

資格取得日の属する月と資格喪失日が属する月が同じ4月のため、同月得喪が発生します。

同月得喪が発生しないケース
  • 4月1日入社、4月30日退職のケース→4月1日が資格取得日、5月1日が資格喪失日
  • 4月15日入社、4月30日退職のケース→4月15日が資格取得日、5月1日が資格喪失日

資格取得日の属する月と資格喪失日が属する月が違う月のため、同月得喪は発生しません。

原則として、社会保険の資格を喪失する日は退職日の翌日です。そのため、月末に退職した場合は資格喪失日が翌月の1日となり、翌月喪失扱いとなります。

1-2. 同日得喪との違い

「同月得喪」と混同されやすい用語に「同日得喪」があります。

「同日得喪」とは60歳以上の退職者が、1日の空白もなく継続再雇用される際、資格の喪失と取得を同時におこなう特例の手続きです。

本来、継続勤務する従業員の標準報酬月額を変更するタイミングは、固定的賃金に2等級以上の変動が生じた際の随時改定や、年一度の定時決定を待つのが原則です。

しかし、同日得喪をおこなうと60歳以上で退職した方を再雇用した際に、新たな給与に基づいた標準報酬月額を初月から適用ができます。

手続きとしては、社会保険の「被保険者資格喪失届」と「被保険者資格取得届」を同時に提出します。その際に、就業規則や雇用契約書などの証明書類の添付が必要です。

同月内の入社・退社への対応である「同月得喪」とは異なるため、混同しないよう注意しましょう。

参考:60歳以上の方を、退職後1日の間もなく再雇用したとき|厚生労働省

2. 同月得喪時の社会保険料の計算方法

電卓で計算する

社会保険料は、原則として「資格を取得した月」から発生し、「資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月分」までを納めるルールです。月の初めである1日に入社した場合でも、月半ばに入社した際でも、資格取得日の属する月から1ヵ月分の保険料が発生します。

しかし、同月得喪は特例的な対応が必要です。

同月得喪の場合、健康保険・介護保険や厚生年金の保険料は何月分まで発生し、いつまでに納付するのかなどの対応を社会保険の種類ごとに確認していきましょう。

2-1. 厚生年金保険料

厚生年金では、同月得喪の場合でも1ヵ月分の保険料が発生します。

この際、日割り計算による減額などはおこなわれません。そのため、1ヵ月分の全額を徴収・納付することが必要です。

ただし、特例として、厚生年金の資格を喪失した同月内に別の年金制度へ加入した場合は保険料の納付は不要になります。具体的には、次のいずれかに該当した場合です。

  • 別の企業で新たに厚生年金保険の資格を取得した場合
  • 国民年金(第1号被保険者または第3号被保険者)の資格を取得した場合

徴収した厚生年金保険料の納付期限は、「資格取得月の翌月末日」です。当月徴収・翌月徴収など、企業によって採用している運用ルールが異なるため、自社のルールに従って従業員負担分を徴収します。

2-2. 健康保険料

同月得喪の場合、厚生年金保険料と同様に1ヵ月分の健康保険料が発生し、納付する必要があります。

なお、健康保険においては、厚生年金で認められている「同月内に別の年金制度へ加入した場合は納付不要」という特例の仕組みはありません。

そのため、たとえ同月内に再就職などで新しい健康保険に加入した場合、資格を喪失した企業側でも1ヵ月分の保険料を納めます。結果としてその月は二重に保険料が発生します。

徴収した健康保険料の納付期限は、厚生年金と同様の「資格取得月の翌月末日」です。こちらも同様に、企業が採用している当月徴収・翌月徴収などの運用ルールに従って従業員負担分を徴収します。

2-3. 介護保険料

介護保険料は、「健康保険料に上乗せして徴収する保険料」という位置付けとなり、「健康保険料と同じ」ルールで処理をします。

同月得喪の場合、勤務日数が短いため「翌月支払われる給与が存在しない」ケースがあります。また、日割り給与額よりも社会保険料が高くなり、給与から控除しきれない場合もあります。そのため、最後の支給となる給与計算の際に必ず、1ヵ月分の保険料が徴収できるか、不足する場合はどう徴収するか(例えば、本人から振込をしてもらうなど)の確認が必要です。

3. 同月得喪のケーススタディ

はてなと男性

同月得喪の実務では、制度の理解だけでなく「実際の特例の対応方法」の把握が重要です。ここでは、他社への転職や国民年金への移行、賞与支給があった場合の3つのケースを詳しく解説します。

複雑な同月得喪の社会保険料の精算ルールを整理し、実務でのミスを防ぎましょう。

3-1. 同月得喪の月に他の事業所で厚生年金に加入した場合

同じ月に資格の取得と喪失が重なり、かつ別の企業で厚生年金に加入した場合、先に喪失した企業での厚生年金保険料の納付は不要です。

3-1-1. 退職時の給与計算および納付

ただし、退職の際、従業員が同月内に他社で社会保険に加入するかどうかを退職元の企業側で判断できません。

そのため、実務上は次の対応をおこないます。

  • 暫定的な保険料の徴収:原則通り、退職時の給与から1ヵ月分の厚生年金保険料(被保険者負担分)を徴収します。
  • 社会保険の納付:企業負担分と合わせて、通常通り翌月末までに保険料を納付します。
3-1-2. 日本年金機構からの通知と金額の確認

その後、同月内に他社での資格取得が確認されると、日本年金機構側で「同月得喪」の判定がおこなわれます。

後日、年金事務所より保険料還付の通知が送付されます。送付までには一般的に数ヵ月程度の期間がかかります。

3-1-3. 対象者への返金と源泉徴収票の再交付

還付通知書の内容を確認したら、精算手続きに入ります。ここでは「厚生年金保険料の返金」だけでなく、源泉徴収票の再発行も必要です。

  • 本人への厚生年金保険料の返金:通知書に基づき、本人負担分の保険料を元従業員へ返金します。
  • 退職時の源泉徴収票の再交付:厚生年金保険料の徴収金額が変わるということは、つまり、源泉徴収票の社会保険料控除額が変わるということです。そのため、源泉徴収票を正しい金額で作成し直し、元従業員へ再交付をおこないます。

転職先の年末調整後に返金となる場合は、年末調整のやり直しが発生する可能性があるので、早急の確認が必要です。

また、退職後しばらく経ってから精算が発生するケースもあるため、元従業員との連絡が取れなくなるリスクにも注意が必要です。連絡先や振込口座の情報をあらかじめ確認しておくとともに、後日精算が発生する可能性がある旨を退職時に案内しておくことで、スムーズに対応できるでしょう。

sharoshi_default

「同月得喪」は、退職代行の一般化などにより退職のハードルが下がり、入社後間もなく離職するケースも増え、実務での対応場面が増加しています。健康保険と厚生年金で異なる保険料の徴収・還付ルールは、給与担当者にとって非常に負担が大きく、ミスが起きやすいポイントです。だからこそ、人事・労務担当者がルールを正確に把握し、退職時に丁寧な説明をおこなうことが重要です。短い在籍期間であっても、退職時に仕組みを丁寧に説明し、最後までミスのない誠実な対応を徹底することが、企業への確かな信頼感へと繋がります。また、こうした複雑なイレギュラー処理を正確かつ効率的におこなうため、同月得喪に対応した適切な給与システムを導入することもおすすめです。

解説:社会保険労務士

3-2. 同月得喪の月に国民年金の第1号・3号被保険者になった場合

「同月得喪」において、退職後に別の企業へ入社せず、自営業者や無職などの国民年金の第1号被保険者や専業主婦・主夫などの第3号被保険者になった場合を説明します。

参考:年金制度の仕組みと考え方|厚生労働省

第1号被保険者になった場合
  • 厚生年金保険料:暫定的に徴収し、返金が必要です。同月得喪の月に第1号被保険者になった場合、その月の厚生年金保険料は徴収しません。
  • 国民年金保険料:退職者本人からの納付が必要です。退職者本人が納付書または振替などで1ヵ月分を納めます。
  • 健康保険料:徴収が必要です。退職時の企業から1ヵ月分が徴収され、かつ国民健康保険に加入した場合はそちらでも保険料が発生するため、二重払いとなります。
第3号被保険者になった場合
  • 厚生年金保険料:暫定的に徴収し、返金が必要です。同月得喪の月に第3号被保険者になった場合、その月の厚生年金保険料は徴収しません。
  • 国民年金保険料:不要(自己負担なし)です。第3号被保険者は自身の保険料を負担する必要がないため、この月の年金部分の保険料負担はなくなります。
  • 健康保険料:徴収が必要です。退職時の企業から1ヵ月分が徴収されます。ただし、配偶者の健康保険の扶養に入るため、二重払いにはなりません。

企業側の対応は、同月得喪の対応の原則通りに「厚生年金保険料」のみを元従業員に返金します。「健康保険料」は返金しません。

併せて、源泉徴収票を修正し、元従業員に再交付します。

3-3. 同月得喪の月に賞与を支給した場合

同日得喪があった月に支給した賞与にかかる社会保険料は、「賞与支給日に社会保険の被保険者資格を有しているか」という基準で社会保険料の徴収の要否を判断します。

支給日と資格の関係を、賞与支給日で分けた3パターンで整理します。

(例)4月10日資格取得(入社または労働条件変更による加入)、4月16日に資格喪失(4月15日に退職)した従業員

  • 4月2日に賞与を支給:まだ被保険者でないため、社会保険料の徴収は不要です。
  • 4月12日に賞与を支給:被保険者期間のため、社会保険料の徴収と賞与支払届の提出が必要です。
  • 4月20日に賞与を支給:既に被保険者資格を喪失しているため、社会保険料の徴収は不要です。

社会保険を前月から継続して加入している場合は、末日退職でない限り、その月の賞与から保険料を徴収する必要はありません。

参考:従業員に賞与を支給したときの手続き|日本年金機構

同じ月内の退職であっても対応が異なるので、資格取得日と喪失日を正確に把握するよう注意してください。

4. 同月得喪の仕組みを正しく把握しよう

棒を持った男性

同月得喪は、資格の取得と喪失が同じ月内に重なる特殊なケースであり、通常の入退社とは異なる対応が求められる重要な実務です。

特に厚生年金保険料は同月内に別の年金制度へ移行した場合に還付が発生する一方、健康保険料は二重払いが生じるなど、保険の種類によって対応が異なる点が実務上の大きな落とし穴です。

この仕組みを正しく理解し、退職時の暫定徴収から後日の精算、源泉徴収票の再交付までを見据えた体制を整えておくことが重要です。

適切に実務を運用できれば、退職者との後々のトラブルを防げるでしょう。

複雑に見えるルールも一つひとつ整理すれば必ず対応できます。制度のポイントを押さえ、同日得喪の手続きを進めていきましょう。

保険料計算の手間とミス。 この問題から解放されたい方へ

給与計算業務でミスが起きやすい社会保険料。保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。
当サイトでは、社会保険4種類の概要や計算方法から、ミス低減と効率化が期待できる方法までを解説した資料を、無料で配布しております。

「保険料率変更の対応を自動化したい」「保険料の計算が合っているか不安」「給与計算をミスする不安から解放されたい」という担当の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

勤怠・給与計算のピックアップ

新着記事