インボイス制度に対応した補助金の種類や受給条件とは
更新日: 2024.1.17
公開日: 2022.2.4
jinjer Blog 編集部
2023年10月1日からインボイス制度の導入が始まります。課税事業者が仕入税額控除を受けるために、今後は適格請求書等の提出が必須です。仕入税額控除を受けるための手続きの処理が異なってくるので、事務負担が増えてしまうかもしれません。
また、今の段階で免税事業者の場合、仕事を受けるために課税事業者になる選択を検討する必要があります。適格請求書等を発行するために必要なことではありますが、大きな税負担がのしかかる可能性もあるため、注意が必要です。
インボイス制度の導入に向けて、覚えておきたいのがいくつかある補助金です。制度の導入によって増えてしまう事務負担や税負担を軽減すべく、受けられる補助金について確認しておきましょう。
本記事では、インボイス制度に対応した補助金の種類や受給条件について、細かくご紹介します。
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1. 補助金の目的とは
日本の中小企業は、経営を続けていくうえで深刻な向かい風を受けているのが現状です。商品やサービスの値上げを下手にできない状況下で、物価の上昇に加えてインボイス制度の導入や被用者保険、働き方改革などにまで対応することが求められています。また、深刻な人材不足にも悩まされています。
向かい風のなかで新たな制度や環境への対応が求められているなかで、生産性の向上を目的とした設備投資やIT導入、販路開拓といったことを目的として、数々の補助金が用意されています。
事業者の方々は、自分の業種や現在の状況を踏まえたうえで、受給できる補助金がないか確認してみてください。
2. インボイス制度に対応した補助金を紹介
それでは、インボイス制度に対応した補助金について、いくつか詳しく見ていきましょう。
2-1. 小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)
事業者によっては、厳しい経営状況が続いており、なかなか生産性の向上に向けた施策を実行するにしてもそのコストが確保できないこともあるでしょう。たとえば赤字経営が続いていると、新しい制度への対応はおろか、日々を繋いでいくので精一杯かもしれません。
小規模な事業者向けに、生産性の向上を目的とした施策を実行するべく、用意されているのが小規模事業者持続的発展支援事業です。持続化補助金とも呼ばれます。この補助金には4つの枠が用意されており、それぞれの条件によって補助上限額が設定されています。
補助金の区分:補助上限額:補助率
通常枠:50万円:2/3
成長・分配強化枠:200万円:条件次第で赤字事業者は3/4
新陳代謝枠:200万円:2/3
インボイス枠:100万円:2/3
成長・分配強化枠は、賃上げや事業規模の拡大のために受けられる枠です。これに加えて、創業や後継ぎ候補者が新たな取り組みに挑戦するための新陳代謝枠、そしてインボイス発行事業者へ転換される方向けの特別枠です。
※2022年12月に閣議決定された税制大綱に、免税事業者がインボイス発行事業者に登録した場合、補助上限額が50万円上乗せされることが盛り込まれました。[注1]
[注1]リーフレット「インボイス制度、支援措置があるって本当!?」|財務省
2-2. IT導入補助金
インボイス制度は、紙媒体の書類だけでなく、電子データで取り扱う電子インボイスも存在します。インボイス制度に対応するために必要な会計ソフトや受発注システム、決済ソフトといったシステム、それらを用いるパソコンやタブレットといった端末、レジなどを整えるために使用できるのが、IT導入補助金です。
とくに、インボイス制度への対応を応援するために、補助率の引き上げやクラウド利用料2年度分の補助、ハード購入補助といったものが追加されています。
事業者のなかには、商業集積地やサプライチェーンといった細かく繋がっている複数の中小企業もあります。これらに向けてITツールや機器の導入を助けるべく、複数社連携型IT導入枠が用意されています。
また、令和4年度第2次補正予算では下限額が撤廃される見込みです。そのため、今までは対象外となっていた安価なシステムの導入でも申請することが可能となります。[注2]
システムやツール:補助金:補助率
ITツール:50万円:3/4
ITツール:50〜350万円:2/3
パソコンまたはタブレット:10万円:1/2
レジ:20万円:1/2
[注2]IT導入補助金|中小企業庁
2-3. ものづくり補助金
正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼ばれるものです。中小企業や小規模事業者、フリーランスの方などが、生産性の向上を目的とした施策を実行するために、必要な設備投資を用意するのに最大で2,000万円まで受けられる補助金となっています。
補助金の区分:補助上限額
通常枠:750万円、1,000万円、1,250万円:1/2(小規模事業者または再生事業者の場合は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠:750万円、1,000万円、1,250万円:2/3
デジタル枠:750万円、1,000万円、1,250万円:2/3
グリーン枠:1,000万円、1,500万円、2,000万円:2/3
ポイントは、新たに追加された回復型賃上げ・雇用拡大枠です。厳しい経営状況のなかで、賃上げをした中小企業向けに新たに設けられました。優先採択や補助率の引き上げといったメリットがあります。
さらに、グリーン・デジタル分野に向けた取り組みとして、デジタル枠とグリーン枠という特別枠も設けられています。
2-4. 事業承継・引継ぎ補助金
事業承継や引継ぎのために受給できる補助金です。セカンドオピニオンを含む含む事業引き継ぎのために専門家を活用するのに使用していただけます。そのほか、事業継承や引継ぎにおける廃業費用にも使用できます。
仲介やFA手数料に関してはM&A支援機関登録制度に登録されている場合に限定されます。
補助金:補助上限額:補助率
事業承継・引継ぎ補助金:150万〜600万円:1/2〜2/3
3. 補助金を受けるための条件とは
それぞれの補助金において、受給するための条件について見ていきましょう。基本的にはインボイス制度の導入に向けた対応を目的とした取り組みを目的としていることが条件です。
それぞれの条件について、細かくご紹介します。
3-1. 小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金)の条件
補助の対象となるのは、小規模事業者や要件を満たしている特定非営利活動法人です。小規模事業者とは、従業員の人数によって定義が異なります。商業やサービス業であれば5人以下、宿泊業や娯楽業、製造業については20人以下の従業員が働いている場合、小規模事業者となります。
基本的に、会社や会社に準ずる営利法人、フリーランス、そして特定非営利活動法人が圃場対象となります。そのほかの学校法人や医療法人は対象に含まれません。
それぞれの枠については、取り組みによって細かくルールが設けられています。インボイス枠に関しては、2021年の補正予算案のなかで実施されることが明記されています。申請の開始は2022年からとなり、詳しい条件に関してはこれから提示されます。小規模事業者やフリーランス、特定非営利活動法人の方は、覚えておきましょう。
3-2. IT導入補助金の条件
IT導入補助金に関しましても、小規模事業者持続的発展支援事業と同様で2021年の補正予算案のなかに組み込まれており、2022年から申請が可能となります。細かな条件に関しては後ほど提示されますが、今の段階で対象となる事業者について確認しておきましょう。
IT導入補助金を受けられるのは、基本的に中小企業や小規模事業者の場合に限定されています。日本国内で事業を行っていたり、交付申請を行う直近の最低賃金が地域別最低賃金以上であったりなど、そのほかにも細かな条件が提示されています。
申請にあたり、特定サービスのアカウント取得や必要な手続きなどがありますので、こちらをご確認ください。[注3]
3-3. ものづくり補助金の条件
ものづくり補助金を受給するためには、中小企業や小規模事業者であることが条件です。一方で、業種は関係ありません。会社や組合、特定非営利活動法人、そしてフリーランスの場合でも受給は可能です。
しかし、フリーランスの場合は採択率が低いとされています。技術力の証明や事業の実施体制の整備、財務基盤の整備など、こういった部分でフリーランスは不利になってしまう理由です。
受給するには、あらかじめ創業していることが必須です。創業予定の場合はものづくり補助金は受給できません。企業であれば設立登記、フリーランスであれば開業届を提出している必要があります。申請の際に、創業・設立日、法人であれば法人番号の記入が必要です。
3-4. 事業承継・引継ぎ補助金の条件
インボイス制度の導入にともない、後継者がいないために事業を続けることが難しくなる場合、事業継承・引継ぎ補助金が受給できます。補助対象となるのは、基本的に中小企業者です。
受給するための条件としては、以下6点が挙げられます。
- 新商品の開発あるいは生産
- 新役務の開発あるいは提供
- 商品の新たな生産あるいは販売方式の導入
- 役務の新たな提供の方式の導入
- 事業転換による新分野への進出
- そのほか販路開拓や生産性のアップ、事業の活性化につながる取り組み
インボイス制度の対応のためであれば、受給できる権利が十分にあります。補助対象となる経費に関しましても詳しく区分されていますので、こちらから細かく確認してみてください。[注4]
[注4]事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)の交付までの流れ|事業承継・引継ぎ補助金
4. インボイス制度の導入に向けて対応は補助金の活用がポイント
インボイス制度の導入によって、税負担や事務負担の増加が予測されます。とくに、これまで免税事業者だった場合、課税事業者になることで大きな負担が発生するかもしれません。事業の新たな取り組みのために、補助金の活用をぜひご検討ください。
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