環境会計とは?ガイドラインや自然資本会計との違いをわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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環境会計とは?ガイドラインや自然資本会計との違いをわかりやすく解説

環境会計がPCに浮かぶ企業が環境問題に取り組むのが当たり前になっている今、環境会計を導入する会社も増えてきています。

環境省も日本企業における環境会計の導入を後押ししており、1999年には環境会計のガイドラインを策定・公表しました。

今回は、環境会計の基礎知識と、環境省が公表しているガイドライン、環境会計の機能や役割について解説します。

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1. 環境会計とは?

話し合いをする3人

そもそも、環境会計とはなにを指すのでしょうか。本章では、環境会計の定義や必要性、自然資本会計との違いについて解説します。

1-1 環境会計の定義

環境省は環境会計について、以下のように定義しています。

環境会計とは、企業等が、持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちつつ、環境保全への取組を効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動における環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的(貨幣単位又は物量単位)に測定し伝達する仕組みです。

[引用]環境会計|環境省

持続可能(サステナブル)な発展を目指すための取り組みであることから、別名「サステナブル会計」と呼ばれることもあります。
具体的には、事業として環境保全のために費やしたコストや、そこから生まれた効果を、貨幣単位または物量単位で測定し、評価することを意味しているのです。

1-2. 環境会計が必要とされる理由

持続可能な社会を実現していくためには、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムを改めると共に、環境保全に配慮した経営をおこな行う必要があります。そして消費者も、そのような経営をおこなう企業を適切に評価していかなければなりません。

しかし、それまで環境保全の観点から企業を評価するという取り組み自体がなく、従来の財務会計からは企業の環境保全の状況を把握し、評価することができませんでした。そこで、企業が取り組んでいる環境保全を正しく理解し、評価する仕組みが必要になったのです。

日本では1999年3月に環境庁(現環境省)が「環境保全コストの把握及び好評に関するガイドライン」を公表し、2000年には正式なガイドラインを発表しました。
その後も内容を随時改定し、2005年版が最新のものとなっています。
一般消費者や投資家の関心も高く、ガイドラインが発表された当初から多くの企業で環境会計が導入されました。

1-3. 自然資本会計との違い

環境会計と似た言葉で「自然資本会計」というものがあります。環境会計が「環境保全のためのコストとその活動により得られた効果を定量的に測定する仕組み」であるのに対して、自然資本会計は自然環境を「会社経営の資本」として捉えて、その価値を正確に把握するための仕組みとして用いられます。

2. 環境会計の機能・役割

PCの機能

環境会計の機能は、内部機能と外部機能の2つに分類されます。

2-1. 内部機能

内部機能とは、企業等の環境情報システムの一環として、環境保全コストの管理および環境保全対策の費用対効果の分析を可能にし、適切な経営判断を通じて効率的かつ効果的な環境保全への取り組みを促す機能のことです。
社内において、環境保全対策に費やしたコストとその効果を評価することで、環境保全対策をより効率的・効果的なものにするために有効な機能です。
また、環境保全活動が事業活動に与える影響を把握したいときにも役立ちます。
具体的な例として、企業が利用している経営管理ツールなどが挙げられます。

2-2. 外部機能

外部機能とは、企業等の環境保全への取り組みを貨幣単位または物量単位で測定した結果を開示することで、ステークホルダーの意思決定に影響を与える機能のことです。
ここでいうステークホルダーとは、消費者や取引先、投資家、金融機関、地域住民、NGO、行政、国民などが挙げられます。
環境会計情報を、環境報告書に記載した環境保全への取り組み姿勢や具体的な対応等と合わせて公表することで、環境保全への取り組みをステークホルダーに伝達することが可能になります。
情報開示によってステークホルダーに説明責任を果たせると同時に、寛容に配慮した事業活動に対する適切な評価を得る役割が期待されます。
具体的な例として、社会との間で築く信頼関係や評価、説明責任などが挙げられます。

3. 環境会計ガイドラインとは?

ガイドライン

環境会計ガイドラインとは、環境省が企業の環境会計の導入・実践を支援するために策定したガイドラインのことです。本章では、ガイドラインの概要や内容について解説します。

3-1. 環境会計ガイドラインの概要

前述のとおり、環境会計ガイドラインとは企業が環境会計の導入・実践をすることの支援を目的とした環境省が定めた指標です。企業の実施状況や国内外の調査結果をもとに2002年と2005年に改定されて現在のガイドラインが策定されています。

3-2. 環境会計の構成要素

2002年版の環境会計ガイドラインでは、環境会計を構成する要素として以下を挙げています。

  • 環境保全コスト
  • 環境保全効果
  • 環境保全対策にともなう経済効果

それぞれを詳しく解説します。

①環境保全コスト

環境負荷の発生の防止・抑制・回避、影響の除去、発生した被害の回復、またはこれらに資する取り組みのための投資額および費用額を貨幣単位で測定します。
ここでいう投資額とは、対象期間において環境保全を目的に支出した額のことです。
一方の費用額とは、環境保全を目的とした財・サービスの消費によって発生する財務会計上の費用または損失のことです。

②環境保全効果

環境保全に取り組んだ結果を物量単位で測定します。

環境保全コストに対し、どのくらいの効果が出たのかを計る指標となります。

③環境保全対策にともなう経済効果

環境保全対策を実施した結果を、企業等の利益に貢献した結果として、貨幣単位で測定します。

環境保全への取り組みは今や企業の義務であるという見方が強いため、積極的に実践している企業は消費者から高く評価され、その結果が経済効果につながるケースも多く見られます。

2-2. 環境会計の基本事項

環境会計ガイドラインでは、基本となる重要事項として以下4つを挙げています。

  • 対象期間と集計範囲
  • 環境保全コストの算定基準
  • 環境保全効果の算定基準
  • 環境保全対策にともなう経済効果の算定基準

詳しく確認していきましょう。

①対象期間と集計範囲

環境会計を行う対象期間と、集計する範囲のことです。

対象期間は原則として環境報告書と同一にします。

企業等の財務関係情報と環境保全活動、環境会計情報の整合が取れるように、その会社の事業年度と一致させるのが基本です。

集計範囲も環境報告書と同一にし、全社統一とするのが基本です。

ただ、子会社を持つ企業集団や、個別の事業所を持つ会社は、それぞれの単位で集計した方が企業等の実態に即した集計になる場合もあります。

②環境保全コストの算定基準

事業としての環境保全をおこなった際にかかったコストを算定する基準です。環境保全を目的とした取り組みであれば、環境保全コストとして計上できます。

③環境保全効果の算定基準

事業としての環境保全を行った結果、得られた効果を算定するための基準です。

具体的には、エネルギー消費量や水使用量、各種資源の投入量の減少のほか、エネルギー消費量における再生可能エネルギーの比率の増加、資源投入量における再生資源の比率の増加などが基準となります。

④環境保全対策にともなう経済効果の算定基準

環境保全対策にともなって発生した経済効果を算定する基準です。

実施した環境保全活動の結果、当期において実現した財務会計上の収益や、発生しないことが認められた費用(コスト減)といった実質的な効果を主な基準とします。

4. 環境会計は企業が行う環境保全活動を可視化する方法

ひらめいた女性

企業が行う環境保全活動は、今や企業が果たすべき社会的責任(CSR)のひとつになりつつあります。

以前は環境保全活動に費やしてきたコストや、そこから生まれた効果を可視化するルールが明確にされていませんでしたが、環境省が環境会計ガイドラインを公表したことにより、多くの企業が自社の環境保全活動を貨幣単位あるいは物量単位で測定するようになりました。

環境会計を取り入れれば、自社が取り組む環境保全活動のコストや効果を客観的に把握し、今後の活動に繋げられると共に、ステークホルダーに対して自社の活動をアピールすることができます。

環境省からは環境会計を取り入れるための基本的な情報などを提示したガイドラインが公表されていますので、その内容を参考にしながら環境会計に取り組んでみましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
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jinjer Blog 編集部

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