コンセプチュアルスキルとは?身につけるメリットや伸ばし方を紹介
更新日: 2025.5.1
公開日: 2025.4.19
jinjer Blog 編集部
「コンセプチュアルスキルとはどのようなものだろう」
「コンセプチュアルスキルを身につけるメリットや伸ばし方を知りたい」
上記のように考える人事労務担当の方は多いでしょう。
コンセプチュアルスキルとは、複雑な知識や情報を概念化し物事の本質を見極めるスキルのことです。明確な正解のないビジネスの世界において、よりよいビジネスプランを打ち出すために必須のスキルといえるでしょう。
この記事では、コンセプチュアルスキルの概要や身につけるメリット、伸ばし方などを紹介します。ぜひ参考にして、コンセプチュアルスキルをもつ人材の採用や、コンセプチュアルスキルをもつ人材の育成を進めましょう。
目次
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、
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1. コンセプチュアルスキルとは|モデルについても解説
コンセプチュアルスキルとは、さまざまな知識や情報を概念化して扱い、物事の本質を理解する能力のことで、ビジネスの発展に役立ちます。
論理的思考や先見性、戦略的思考などのコンセプチュアルスキルがあれば、解決すべき問題に対して論理的かつ創造的に解決策を考え、ビジネスを前進させられるからです。
コンセプチュアルスキルには次の二つのモデルがあります。
- カッツモデル
- ドラッカーモデル
カッツモデルでは、対象者とスキル重要度の関係性は下表のように示されます。
テクニカルスキル
(業務遂行能力) |
ヒューマンスキル
(対人関係能力) |
コンセプチュアルスキル
(概念化能力) |
|
トップマネジメント層 | 低 | 中 | 高 |
ミドルマネジメント層 | 中 | 中 | 中 |
ロワーマネジメント層 | 高 | 中 | 低 |
カッツモデルではマネジメント層をトップマネジメント層・ミドルマネジメント層・ロワーマネジメント層の三つに分類します。
それぞれの層でテクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの重要度が異なることが特徴です。
一方カッツモデルをもとに新しく提唱されたドラッカーモデルでは、ナレッジワーカー層が追加され、階層は四つに分類されます。
また、スキルもカッツモデルの三つに加えてマネジメントスキルが追加され、コンセプチュアルスキルはどの階層でも等しく重要とされていることが特徴です。
ドラッカーモデルの対象者とスキルの重要度を表で示すと、次のようになります。
テクニカルスキル
(業務遂行能力) |
ヒューマンスキル
(対人関係能力) |
マネジメントスキル | コンセプチュアルスキル
(概念化能力) |
|
トップマネジメント層 | 低 | 中 | 高 | 高 |
ミドルマネジメント層 | 中 | 中 | 中 | 高 |
ロワーマネジメント層 | 高 | 中 | 低 | 高 |
ナレッジワーカー | 最高 | 中 | – | 高 |
2. コンセプチュアルスキルの構成要素
コンセプチュアルスキルの構成要素として、下表に示すような能力が挙げられます。
論理的思考(ロジカルシンキング) | 解決すべき課題に対して、論理的・客観的に思考し、因果関係を推測する能力 |
水平思考(ラテラルシンキング) | 常識や先入観にとらわれずに、新しい考え方や手法を自由に発想する能力 |
批判的思考(クリティカルシンキング) | 物事を批判的に捉えることで本質を見抜き、現在の手法の改善策やよりよい施策を見出す能力 |
多面的視野 | 物事を多面的に捉えることで、一つの事象に対して複数のアプローチを見出し実行する能力 |
俯瞰力 | 事象や組織を俯瞰することで、現在置かれている状況や施策の立ち位置を把握し、現状でベストな選択を見抜く能力 |
先見性 | 過去と現在、将来へのつながりを適切に予測し、目の前のことだけではなく将来的に最適な選択をする能力 |
柔軟性 | さまざまな考え方や状況の変化に臨機応変に対応する能力 |
受容性 | 自分の考えと異なる意見も広く受け入れて、相手の意見も取り入れながらよりよいビジネスプランを進行する能力 |
知的好奇心 | 新しいことや社会で起きていることに広く興味をもち、自身の知識を常に最新のものにアップデートする能力 |
探究心 | 一つの事象を十分に考察・分析し、表面的な思考ではわからないようなことを発見・理解する能力 |
チャレンジ精神 | 前例のない未経験のことにも、リスクを恐れず挑戦し成果を生み出す能力 |
いずれの能力も効率的なビジネスの推進には欠かせない能力であり、重要なものだといえるでしょう。
3. コンセプチュアルスキルに優れた人の特徴
コンセプチュアルスキルに優れた人の代表的な特徴は、次の三つです。
- 論理立てて効率よく事業を進められる
- どのような立場の人にもわかりやすい説明ができる
- トラブルへの対処が冷静かつ的確である
3-1. 論理立てて効率よく事業を進められる
コンセプチュアルスキルに優れた人は、論理立てて効率よく事業を進められます。
コンセプチュアルスキルがあれば、事象を論理的かつ多面的に分析し、因果関係を明確にしたうえで、クリティカルな問題に対して適切な処理をおこなえるためです。
「現在の作業フローは最適化されているか」「本当にこの作業が必要か」などと思考し、本質からビジネスを検討できるため、事業が最適化されていくでしょう。
3-2. どのような立場の人にもわかりやすい説明ができる
コンセプチュアルスキルに優れた人は、どのような立場の人にもわかりやすい説明ができます。
相手との前提知識をあわせて、相手に合わせた論理的な説明をだれに対してもおこなえるからです。
例えば、上司に対しては説明に必要な知識をもっていることを前提として、説明すべき内容のみを端的にまとめられます。
一方で、部下や新規採用者に対しては、前提知識がないことを踏まえて、丁寧な背景説明から論理的に組み立てた説明ができるでしょう。
このようにコンセプチュアルスキルがある人は、だれに何をどのような順番で説明するか論理的に見抜けるため、どのような相手からも説明がわかりやすいと評価されます。
3-3. トラブルへの対処が冷静かつ的確である
コンセプチュアルスキルに優れた人は、トラブルへの対処も冷静かつ的確におこなえます。
多くの人がパニックに陥りがちなトラブル発生時にも、論理に基づき全体を俯瞰した先見性のある対応ができるからです。
イレギュラーが多く発生するトラブル時にも、焦りや不安から場当たり的な対応をするのではなく、本質的な問題に対する適切な対応ができるでしょう。
結果、論理的で冷静な問題解決を実行でき、被害を最小限に抑えられます。
4. コンセプチュアルスキルを身につけるメリット
従業員がコンセプチュアルスキルを身につけるメリットは次の三つです。
- 組織全体のパフォーマンスが向上する
- 変化の早いビジネス環境に対応できる
- イノベーションや新規事業が創出されやすい環境になる
4-1. 組織全体のパフォーマンスが向上する
従業員がコンセプチュアルスキルを身につけると、組織全体のパフォーマンスが向上します。
従業員一人ひとりが本質的に物事を捉えられるようになり、業務の効率化・成果の最大化が見込めるためです。
コンセプチュアルスキルがある人材は、個人としての能力が高いことはもちろん、周囲の人のレベルも引き上げます。
優れた説明力や相手を受容する力で、周囲の人を巻き込みながら業務を効率化できるため、従業員がコンセプチュアルスキルを身につければ組織全体が活性化するでしょう。
4-2. 変化の早いビジネス環境に対応できる
コンセプチュアルスキルのある従業員が多ければ、変化の早いビジネス環境にも対応できます。
なぜなら、先見性や批判的思考などがある人は、環境の変化をいち早く察知し、事前に自社の重要課題に対する解決策を実行できるからです。
ビジネス環境の変化が激しくなった現代でも、従業員がコンセプチュアルスキルを身につけていれば、生き残れる可能性を高められるでしょう。
4-3. イノベーションや新規事業が創出されやすい環境になる
イノベーションや新規事業の創出にはコンセプチュアルスキルをもつ従業員の存在が欠かせません。
コンセプチュアルスキルのチャレンジ精神や知的好奇心、探究心などはイノベーションや新規事業に重要なためです。
また、コンセプチュアルスキルを身につけた人材が多ければ、意見や施策案が受容されやすい安心感から、社内のアイデア出しも活発化するでしょう。
新しいアイデアで革新的な事業を実現したい場合には、コンセプチュアルスキルをもつ従業員の育成メリットは大きいです。
5. コンセプチュアルスキルを高める方法
コンセプチュアルスキルを高める方法としては、次のようなものがあります。
- OJTをおこなう
- 外部研修を受ける
- e-ラーニングを実施する
社内にコンセプチュアルスキルの高い人材が多ければ、OJTの中でコンセプチュアルスキルを教えられるでしょう。
費用がかからず、事業を進める中で自然にコンセプチュアルスキルを身につけられるため、効率的に人材を育成できます。
社内にコンセプチュアルスキルをもつ人材が少ない場合は、外部研修やe-ラーニングを活用することを検討しましょう。
コンセプチュアルスキルを身につけられる研修サービスは非常に多いため、実績や費用から利用するサービスを検討しましょう。
6. コンセプチュアルスキルで問題解決を効率化しよう
コンセプチュアルスキルは、知識や情報を抽象化・一般化して物事の本質を見抜くスキルで、ビジネスの前進に役立ちます。
論理的思考や水平思考、チャレンジ精神や探究心などのさまざまな能力を総称したもので、それぞれの能力がビジネス上の問題解決を効率化するために欠かせません。
コンセプチュアルスキルがある人材が多ければ、組織全体のパフォーマンスが向上したり、変化の早いビジネス環境に対応できたりとメリットは多いです。
OJTや外部研修を利用しつつ、コンセプチュアルスキルをもつ従業員を増やし、より革新的な事業の創出や既存ビジネスの効率化を図りましょう。
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、
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