ヘッジ会計の要件や方法を初心者向けにわかりやすく紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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ヘッジ会計の要件や方法を初心者向けにわかりやすく紹介

ヘッジ会計企業経営は、価格変動や金利変動などさまざまなリスクにさらされています。

リスクをそのまま放置すると、将来大きな損失につながるおそれがあるため、あらかじめリスクヘッジを行う必要があります。

そんなリスクヘッジと深い関係があるのがヘッジ会計です。

今回は、ヘッジ会計の概要と、ヘッジ会計を適用する要件、ヘッジ会計の方法についてわかりやすくまとめました。

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1. ヘッジ会計とは

PCをうつ男性

ヘッジ会計とは、一定の要件を満たすヘッジ取引に適用される会計処理のことです。

1-1. ヘッジ取引とは

ヘッジ取引とは、企業が事業活動を行う上でさらされる価格変動リスク、金利変動リスク、為替変動リスクといった相場リスクを回避するために行う取引のことです。

具体的には、リスクにさらされている取引(ヘッジ対象)と正反対の動きをする取引(ヘッジ手段)を用いることで、相場変動リスクを相殺し、リスクの回避を目指します。

ヘッジ取引には、公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジの2種類がありますが、いずれもヘッジ手段としてデリバティブ取引が用いられます。

デリバティブ取引には先物取引や先渡取引、スワップ取引、オプション取引などがありますが、これらの会計処理は原則として決算日に時価評価を行い、当期の損益に反映します。

しかし、ヘッジ手段としてデリバティブ取引を用いる場合、上記のような方法で会計処理を行うと、ヘッジ対象に関わる損益認識時期と、ヘッジ手段の損益認識時期にずれが生じてしまい、ヘッジ効果を財務諸表に反映できなくなるおそれがあります。

こうした事態を回避するために、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益を同一会計期間に認識する「ヘッジ会計」を行うことで、ヘッジ効果を財務諸表に反映する必要があります。

2. ヘッジ会計の要件

ピースをもつ二人

ヘッジ会計を行うためには、一定の要件を満たす必要があります。

ヘッジ会計が適用される要件は、大きく分けて2つあります。

2-1. 事前テスト

事前テストとは、ヘッジ目的のデリバティブ取引を行う前に満たすべき要件のことです。

ヘッジ会計をなぜ行うのか、ヘッジ目的のデリバティブ取引を行うことでどのような効果が得られると想定されるのかなどを、あらかじめ文書にして示しておく必要があります。

そもそも、デリバティブ取引の会計処理は、「金融商品会計基準」に基づき、時価をもって貸借対照評価額とし、評価差額は原則として当期の損益として処理することとされています。[注1]P9

そのため、「とりあえずヘッジ会計にする」といった曖昧な処理は認められず、ヘッジ会計を適用するのなら取引の前段階でその目的や予想される効果をはっきり提示しなければなりません。

前述した金融商品会計基準ではヘッジ会計の事前要件として、ヘッジ取引時において、その取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることを客観的に認められることを掲げています。[注1]p11

具体的には、以下いずれかの方法に該当することが要件となります。

当該取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること
企業のリスク管理方針に関して明確な内部規定及び内部統制組織が存在し、当該取引がこれに従って処理されることが期待されること

取引前の段階で上記いずれかの要件を満たしていなければ、ヘッジ会計を適用できませんので要注意です。

[注1]企業会計基準委員会「金融商品会計基準」
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/fv-kaiji.pdf

2-2. 事後テスト

事後テストとは、ヘッジ取引以後に満たすべき要件のことです。

具体的には、以下いずれかに該当することが条件となります。

ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態
ヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定され、その変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること

事前テスト同様、場当たり的なヘッジ会計を防止するための措置で、ヘッジ取引によって一定の効果が出たことを証明する必要があります。

ヘッジ会計が適用されるには、事前・事後テストの両方を満たしていることが必須要件となります。

なお、外貨建取引に対応スル通貨、金額、決済時期の為替予約の場合は、キャッシュ・フローが固定されるので、為替相場の変動は完全に相殺されます。

この場合、事後テストは省略することが可能です。

3. ヘッジ会計の方法

4つのチェック

ヘッジ会計の方法は原則として「繰延ヘッジ」を用いますが、例外として「時価ヘッジ」「振当処理」「金利スワップ特例処理」などを行う場合もあります。

ここではそれぞれの方法の特徴を説明します。

3-1. 繰延ヘッジ

繰延ヘッジとは、時価評価されているヘッジ手段に係る損益または評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで資産または負債として繰り延べる方法のことです。

前述の通り、デリバティブ取引は時価評価し、評価差額を当期で計上するのが基本ですが、ヘッジ手段にかかる損益をヘッジ対象にかかる損益が認識されるまで繰延すれば、両方の損益を同一会計期間で認識できるようになります。

ヘッジ手段に係る損益または評価差額は、税効果を調整の上、純資産の部に記載することになります。

3-2. 時価ヘッジ

時価ヘッジとは、ヘッジ対象にかかる損益を計上するタイミングをヘッジ手段の損益が発生するタイミングに合わせる方法です。

時価ヘッジを適用するためには、ヘッジ対象の時価が貸借対照評価額と認められるものに限定されます。

その性質上、時価ヘッジの適用対象となるのはその他有価証券のみですので、日本では例外的なヘッジ会計と認識されています。

3-3. 振当処理

振当処理とは、輸入取引などにおいて為替予約を行った際、将来の支払い額を予約した為替レートによってキャッシュ・フローを固定し、会計処理する方法です。

まず外貨建金銭債権債務を為替予約のレートで換算し、為替差損益を直々差額と直先差額の2つに分解します。

直々差額は予約日を含む会計期間の損益に計上する一方、直先差額を為替予約締結日から決算日にわたって按分します。

振当処理を適用するためには、ヘッジ会計の要件を満たすことと、ヘッジ対象をキャッシュ・フローが固定される金銭債権債務に限定することが要件となります。

3-4. 金利スワップ特例処理

金利スワップ特例処理とは、金利スワップを時価評価しない例外的な会計処理のことです。

金利スワップの想定元本とヘッジ対象の資産・夫妻の元本金額がほぼ一致している、金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定である、などいくつかの要件を満たせば、金利スワップ特例処理の対象となります。

ただ、条件をすべて満たすのはハードルが高いため、適用するのは簡単なことではありません。

4. ヘッジ会計の要件や方法をよく理解しておこう

電球をもつ男性

ヘッジ会計は、ヘッジ目的で行ったデリバティブ取引の会計処理を行う時に、例外として認められる会計方法です。

ヘッジ会計をOKのアウト、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益認識時期を合わせることが可能になり、ヘッジ効果を財務諸表に反映させることができます。

ただし、ヘッジ会計を行うためには、事前テストと事後テストという2つの要件をすべて満たす必要があります。

場当たり的にヘッジ会計を適用することはできませんので、ヘッジ会計を行う際は要件や方法をよく理解し、計画的に実施するようにしましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
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jinjer Blog 編集部

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