建物減価償却の方法や耐用年数についてわかりやすく解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.3.16
jinjer Blog 編集部
事業用に不動産を購入した場合には、建物の減価償却額を事業の経費として計上することが可能ですが、この際、支払う税額にも大きな影響を及ぼします。
減価償却の正しい考え方を理解していないと、正しい税額が算出できないため、注意しなければなりません。ぜひこの機会に、建物の減価償却について、正確な計算方法や考え方を理解しておきましょう。
今回は、建物減価償却の概要や方法、建物減価償却における建物の耐用年数について解説していきます。
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1. 建物減価償却とは?減価償却の意味とあわせて確認
建物減価償却とはどのようなものなのでしょうか。その前には、まず「減価償却」とは何かを知っておくことが大切です。
ここでは、減価償却の意味を確認したうえで、建物減価償却について紹介していきます。
1-1. 減価償却とは
減価償却とは、減価償却の対象となる資産を取得するにあたり、かかった費用(購入金額など)を資産の種類によって定められた年数に分割して、経費計上する計算方法です。
減価償却の対象となる資産とは、事業用に使用する目的で取得し、時間の経過とともに価値が落ちていく固定資産を指します。通常、減価償却資産の購入金額は10万円以上とされており、主な減価償却資産には機械や備品、ソフトウェア、建物などがあります。
1-2. 建物減価償却とは
不動産を減価償却で計算する場合、建物と土地を分けて計算するのが一般的です。
この理由として、土地は時間が経過しても価値が変動しないものの、建物は時間の経過で価値が落ちていくことが挙げられます。
建物は減価償却の対象となりますが、土地は減価償却の対象とならないのはこのためです。
土地と建物を同時に購入した場合には、建物減価償却をするために建物の金額のみを計算しなければならないこともあります。
2. 建物減価償却の方法
建物の減価償却をする場合、定額法もしくは定率法いずれかの方法で算出を行います。
ここでは、定額法と定率法それぞれの算出方法を紹介するとともに、建物減価償却の計算に必要な項目と計算が必要なケースについて取り上げます。
2-1. 定額法とは
定額法とは、毎年の減価償却額を一定に定めた計算方法を指します。そのため、定額法の会計上の減価償却額は毎年同額となります。
定額法で算出する場合には、以下の計算式を使用します。
定額法での減価償却額=取得価額×償却率
2-2. 定率法とは
一方、定率法は、取得時の減価償却額が高く、年を経るごとに減価償却額が減少していく計算方法です。減価償却額が償却補償額を満たさなくなると、以降は毎年同額で計上していきます。
定率法で減価償却額を算出する場合は、以下の計算式とします。
定率法での減価償却額=(取得価額-前年度までの償却費の総額)×償却率
2-3. 建物減価償却の計算で知っておきたい項目とは
建物減価償却の計算をする際に知っておきたい項目には、「取得価額」「耐用年数」「償却率」の3つがあります。
以下、それぞれについて確認していきます。
① 取得価額
取得価額とは、不動産の減価償却において建物のみの取得費用を計算する場合に、建物を取得した費用のことを指します。
② 耐用年数
耐用年数とは、建物の取得費用の振り分けが可能となる資産の使用可能期間のことを指します。
③ 償却率
建物の減価償却額を算出する際、取得した際の価値に掛ける率を償却率といいます。
償却率は、国税庁ホームページの「減価償却資産の償却率表」にて定められた値を使用します。[注1]
2-4. 建物減価償却の計算が必要なケース
建物減価償却の計算が必要なケースには、以下の2つが挙げられます。
① 不動産を売却する場合
不動産を売却した際には「不動産譲渡所得」が発生しますが、不動産譲渡所得では減価償却の計算を行わなければなりません。
不動産譲渡所得は、他所得と分けて考えられ、所得税と住民税が課されます。
② 賃貸経営での収入がある場合
マンションなどの賃貸経営で家賃収入があるときには、建物減価償却の計算を行います。家賃収入は所得税の納付時に所得として申告しますが、減価償却については経費として計上します。
3. 建物減価償却における建物の耐用年数
上述のとおり、建物減価償却を計算する際には、建物の耐用年数を知ることが大切です。法律で定められた法定耐用年数は、建物の構造や用途・種類によって異なります。
また、建物の築年数が法定耐用年数を超えた場合と超えていない場合とで、耐用年数の算出方法に違いがあります。
ここでは、主な建物の法定耐用年数を紹介するとともに、建物が法定耐用年数を超えた場合と超えていない場合に分けて、建物の耐用年数の算出方法を紹介します。
3-1. 主な建物の耐用年数
主な建物の法定耐用年数については、国税庁ホームページの「耐用年数(建物/建物附属設備)」にて記載されています。[注2]
法定耐用年数を確認したい場合には、参考にするとよいでしょう。
3-2. 建物の築年数が法定耐用年数を超えた場合の算出方法
建物の築年数が法定耐用年数を超えた場合には、以下の計算式で耐用年数を算出します。
耐用年数=法定耐用年数×0.2(端数は切り捨て)
たとえば、鉄骨鉄筋コンクリート造の事務所では、法定耐用年数が50年と定められていますが、上記計算式で算出すると「50×0.2」となり、耐用年数は10年となります。
3-3. 建物の築年数が法定耐用年数を超えていない場合の算出方法
建物の築年数が法定耐用年数を超えていない場合には、以下の計算式で耐用年数を算出します。
耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2(端数は切り捨て)
たとえば木造の飲食店では、築年数が10年の場合、木造の法定耐用年数が20年と定められているため、計算式に当てはめると「(20-10)×0.2」となり、耐用年数は5年となります。
4. 建物減価償却は不動産取得時に重要な意味を持つ考え方
不動産取得時には、税金が発生しますが、事業用に取得したものについては減価償却額として事業の経費に計上できます。
減価償却額を正確に算出できない場合、所得税や法人税といった税金の額に大きな影響を及ぼすため、事前に正しく理解しておく必要があります。
本記事で紹介した内容を参考に、建物の減価償却についての概要をつかみ、減価償却額の計算方法や用語についての理解を深めておくことをおすすめします。
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