決算月(決算期)はいつがいい?決め方や注意点を解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.3.17
jinjer Blog 編集部
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 決算月(決算期)とは
決算月(決算期)は、事業年度の最後の月を意味しています。法人の場合、個人事業主とは異なり自由に設定できます。ここでは、決算月(決算期)の概要を見ていきましょう。
1-1. 事業年度の最後の月を決算月と呼ぶ
決算月(決算期)とは1事業年度の最終月です。決算では、事業年度の決算書を作成して株主への報告や税金の納付をおこないます。
決算は、事業年度に2回に設定することも可能です。ただし、4月1日〜翌年3月31日や1月1日〜12月31日までを事業年度とみなし、最後の月に決算している企業は多いです。
1-2. 法人は決算月を自由に決められる
法人の場合、決算月を好きなように設定できます。個人事業主は12月が決算月と定められていますが、法人は1年以内の事業年度であれば自由に決められます。
また、決算日を決める規則もないため、3月31日や12月31日などの月末にする必要もありません。
個人事業主は、12月決算月で原則翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を済ませます。法人は、決算日の2ヶ月以内に法人税と消費税の決算申告をすることが定められています。
2. 法人の決算月(決算期)は3月・9月・12月が多い
法人の決算月は、以下の3つのパターンが多い傾向にあります。
- 3月
- 9月
- 12月
国税庁の調査によると、3月を決算月にしている法人がもっとも多い結果となりました。
決算月 | 法人数 |
4月 | 19万5,004 |
5月 | 22万7,592 |
6月 | 26万8,192 |
7月 | 21万109 |
8月 | 24万760 |
9月 | 29万9,291 |
10月 | 13万4,262 |
11月 | 10万2,304 |
12月 | 28万5,436 |
1月 | 10万172 |
2月 | 18万631 |
3月 | 50万2,060 |
出典 :「決算期別の普通法人数」|国税庁
ここからは、なぜ3月・9月・12月が多いのか見ていきましょう。
2-1. 3月は法改正に合わせられる
3月を決算月にしている法人が多い理由は、4月1日以降に税法改正されることが多いためです。会計年度の途中に経理処理を変えると、手間も時間もかかってしまいます。
また、3月決算となっている公的機関と決算月を合わせている法人もあります。取引先が公的機関の場合、決算月を同じにすることで3月に売上を伸ばせるでしょう。
2-2. 9月は繁忙期を避けられる
9月を決算月にすれば、忙しい時期を避けられます。4月は入社や人事異動が増える時期であり、3月を決算月にすると慌ただしい中で経理処理しなければなりません。
12月が決算月の場合、業界によっては繁忙期が重なってしまいます。そのため、3月・12月と比較すれば落ち着いている9月に決算をする法人は少なくありません。
2-3. 12月は海外企業の決算と同じにできる
12月を決算月にしている法人は、海外企業と取引しているケースが多いです。欧米諸国の企業では12月に決算することが標準化されています。
また、個人事業主からスタートして法人化した場合、個人事業主の決算月から変更せずに12月のままにしているケースもあります。
3. 法人の決算月(決算期)の決め方
決算月を決めるときは、繁忙期を避けて消費税の免税期間を考慮することが重要です。税金を納める必要があるため、資金の少ない時期も避けるようにしましょう。
ここでは、自由に決められるからこそ迷ってしまう決算月を決めるポイントをご紹介します。
3-1. 繁忙期を避ける
できる限り繁忙期を避けて決算月を設定することが大切です。繁忙期と重なると、事務や経理の負担が増えるため、間違いが起こりやすくなる可能性があります。
繁忙期は、想定していなかった損失や利益も出やすい時期であり、あらかじめ節税対策をすることも困難です。決算月を変更するときは、繁忙期以外にしましょう。
3-2. 消費税の免税期間を考慮する
資本金1,000万円未満の会社は、開業してから最初の2期目まで消費税納税が免除されます。免除期間が長ければ、余計な税金を払う必要がありません。
免除期間を長くする方法は、会社設立月からもっとも遠い時期を決算月にしましょう。
4月設立であれば翌年3月、1月設立の場合は12月にすれば、1期目を1年間に設定できます。
9月に会社を設立し12月を決算月にした場合、1期目は数ヶ月しかありません。1期目が12ヶ月になる決算月にして、最大限消費税免税を受けられるようにしましょう。
3-3. 資金的に余裕のある時期を選ぶ
資金が増える時期を決算月にすることもおすすめです。先述したとおり、決算後の2ヶ月以内に納税する必要があり、利益が多いほど大きな支出となります。
そのため、資金のある月を決算期にすれば2ヶ月後の納税に支障をきたすリスクを減らせるでしょう。
3-4. 売上の見込める月を期首に設定する
売上が高くなる月を決算期の最初にする方法もあります。売上の見込める月を決算月にすると、どれくらいの利益が出るのか予想が難しく節税対策しにくいです。
売上が期首に伸びたときは、決算月まで十分時間があるため節税対策がしやすくなります。
4. 決算月(決算期)の変更に必要な手続き
決算月を変更するためには、株主総会と税務署への届け出が必要です。スムーズに決算月を変更できるように、必要な手続きを押さえておきましょう。
4-1. 定款変更のために株主総会をおこなう
決算月を変更するためには、株主総会で定款の変更に関して特別決議する必要があります。定款には決算月が記載されており、法人側で勝手に変更できません。
株主総会では、議決権の過半数にあたる株主が出席し、議決権の3分の2以上が賛成であれば、定款を変更できます。
なお、会社によって規定が異なり、合同会社に関しては全社員が同意することで定款を変更できます。
4-2. 税務署などに届け出をする
決算月を変更した後は、以下の期間に異動届を提出します。
- 所轄税務署
- 都道府県税事務所
- 市役所
届出書だけではなく、変更した定款と株主総会の議事録も提出してください。また、銀行や取引先にも伝えておくと安心です。
5. 決算月(決算期)の決定・変更時の注意点
決算月によって、納税や事務処理などに大きな影響が出ます。ここでは、決算月の変更で失敗しないように変更時の注意点を解説します。
5-1. 税理士の繁忙期を回避する
決算月を変更する際は、税理士の忙しい時期を避けましょう。繁忙期に依頼すると、税理士や会計士側に余裕がなく決算書作成などの対応が疎かになる可能性があります。
先述したように、決算月でもっとも多いのは3月・9月・12月のため、これらの時期は税理士の繁忙期です。
また、2〜3月は税理士の忙しくなる個人の確定申告の時期と重なります。そのため、1月頃も決算月に向いていないといえるでしょう。
5-2. 1年未満の決算期が出るときもある
決算月を変えた場合、1回だけ決算期間が短くなることも注意点です。
たとえば、3月を決算月にしている会社が9月に変更する場合、2023年4月1日から2023年9月30日で決算する必要があります。
その後は1年1回の決算に変更されますが、1期のみ納税の前倒しがあるため、資金面には十分注意してください。
5-3. 自社だけで決算月を決めない
決算月を自社だけで決めるのは危険です。決算期を変更する場合、以下のようなデメリットがあります。
- 株主総会や届け出の手間がかかる
- 決算期間が短くなり決算業務の負担が増える
- 消費税の免税期間が短縮される恐れがある
なんとなく決算月を定めると、問題が発生して事業に影響が出てしまう可能性があります。
自社に合った決算月にするためには、税理士などの専門家に一度相談しましょう。専門家であれば、節税の観点からもアドバイスしてくれます。
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