契約不履行とは?3つの種類やトラブル時の対処法も解説!
更新日: 2023.1.20
公開日: 2022.9.15
MEGURO
ビジネス上の契約において見られることの多いトラブル「契約不履行」ですが、契約不履行の内容を理解していることにより、実際にトラブルが発生した場合でも迅速な対応が可能となります。
そこで今回は、契約不履行の内容について詳しく解説します。また、契約不履行の種類や契約不履行が発生したときの対処法についてもあわせて紹介します。
「契約書に契約不履行だったときの対応が記載されていない」
「担当者が自社に不利な契約書を持ってくるのはなぜ?」
「契約書に載っていない合意内容があった」
契約書には、取引内容はもちろんのこと、取引不履行だった場合や協議事項が発生した場合の対応についても記載しておく必要があります。
もし契約書に抜け漏れがあったとしても、締結された内容を一方的に破棄することは難しいでしょう。
ですが中には、契約書に載っていない合意内容があることが締結後に発覚することもあるかもしれません。
契約書のトラブルを防ぐためには、法務担当者が確認するだけでなく、担当する従業員が契約書に記載しなければならない項目を理解することが必要です。
本資料では、契約の基礎知識から、契約書に記載される主な項目などをまとめています。
また契約に関して従業員から上がってくる質問集や、リーガルチェックを円滑にすすめるためのチェックシートも付いているので、従業員の勉強用資料としてもご利用いただけます。ぜひご活用ください。
1. 契約不履行とは?
契約不履行とは、契約を行った当事者間での合意において、一方が契約を守らない(履行しない)ことを指します。
この場合には、一方の当事者が「正当な理由なく」契約の実行をしないことを意味しており、民法上は「債務不履行」という用語で定義されています。
そのため、契約不履行および債務不履行は同義の言葉と考えて問題ないでしょう。
2. 契約不履行の種類
契約不履行には、その内容ごとに大きく分けて次の3つの種類があります。
◇契約不履行の種類3つ
・履行遅滞
・履行不能
・不完全履行、その他の契約不履行
以下、これら3つの契約不履行について説明していきます。
2-1. 履行遅滞
履行遅滞とは、あらかじめ契約で定められた期限になっても、債務者が義務の履行を行っていない場合を指します。
履行遅滞の原因としては、債務者の故意の他、過失なども挙げられます。
履行遅滞では、履行の遅滞時期(いつから遅れたか)という点が重要となります。
この履行遅滞の遅滞時期をいつに設定しているかによる契約不履行の説明について、改正民法第412条の内容から紹介します。
2-1-1. 確定期限があるとき
確定期限とは、契約の履行がなされる時期を確定した期限を指します。
例えば、ある商品の納入期限を令和4年6月30日と定めている場合、令和4年7月1日からは履行遅滞での契約不履行となります。
2-1-2. 不確定期限があるとき
契約の履行期限の発生は確実であるが、期限が確定していない状態を不確定期限とします。
この場合、あくまでも期限が不確定なため、債務者に対する責任を生じさせることはできません。
しかし現行の民法では、不確定期限がある場合については、債務者が期限の到来を知ったとき、もしくは債務者が期限到来後に履行の請求を受けたときのどちらか早い時期を履行遅滞の対象としています。
過去には、債務者側が契約履行の請求を受けた場合でも、期限の到来を認識していなかったなどの反論を行えましたが、改正民法では、期限の到来後に履行請求を受けた場合も履行遅滞の対象となるようになったのです。
2-1-3. 期限を定めなかったとき
親族や友人など、親しい間柄の取引において、契約の履行期限を定めないときもあります。
このように履行期限を定めなかったときは、債務者が契約履行の請求を受けたときから遅滞の責任を負うことになります。
2-2. 履行不能
履行不能とは、履行が可能である履行遅滞と異なり、履行自体が不可能である状態を指します。
例えば、商品の売買時、引き渡し前に破損してしまったケースや、債務者が死亡してしまったケースなどが、履行不能にあたります。
2-3. 不完全履行、その他の契約不履行
契約の履行そのもののはされているものの、履行内容が一部不完全となっている状態が不完全履行です。
例えば、納入した商品の数に不足があったり破損があったりした場合、また、貸したお金の一部しか返済されていないといった場合が該当します。
不完全履行の場合には、当事者間の認識違いが後のトラブルに発展する場合もありますので、あらかじめ契約書内ではっきりとした記載をしておく必要があります。
3. 契約不履行で損害賠償が請求できるとき
契約不履行が発生し、損害賠償が請求できるときには、次の3つのパターンがあります。
◇契約不履行で損害賠償が請求できるとき3つ
・約束どおりの債務を履行しなかった場合
・債務者の故意や過失の有無が立証できない場合
・損害発生の事実と契約不履行との因果関係がはっきりしない場合
3-1. 約束どおりの債務を履行しなかった場合
上述した契約不履行となる状態(履行遅滞・履行不能・不完全履行)のように、当事者が約束どおりの債務を履行しなかった場合には、損害賠償請求できます。
3-2. 債務者の故意や過失の有無が立証できない場合
債権者側において、債権者の故意や過失を立証する必要がありませんが、債務者側では故意や過失の有無について立証する必要があります。
この立証ができない場合には、損害賠償請求の対象となります。
3-3. 損害発生の事実と契約不履行との因果関係がはっきりしない場合
損害賠償請求をする際には、損害発生の事実と契約不履行との因果関係を明確にしておく必要があります。ここがはっきりしていないと、損害賠償の対象とはなりません。
契約解除は可能ですが、損害賠償は発生しない可能性もあります。
事前に契約書で責任の所在や範囲、確認方法などを細かく定めておくことで、前述した条件を満たすことが容易になる可能性があります。また、もし条件を満たしていた場合も、社会的妥当性が認められない契約など、契約自体が有効と判断されない場合は損害賠償も発生しません。
ですが、法務部門でリーガルチェックをおこなう際に、契約の有効性を正確に判断することは難しいでしょう。また、契約書の内容に修正を依頼しても、実際の交渉は担当の従業員がおこなう場合がほとんどです。そのため、認識のズレが生じて意図しないかたちで伝わることも考えられます。
これらの問題を防ぐためには、法務部門以外の従業員も契約の基礎知識を持つことが大切です。
当サイトで無料配布している「【従業員周知用】ビジネスにおける契約マニュアル」では、契約の定義や契約が有効または無効になる条件、契約書に記載される主な項目について解説しています。
ほか従業員と契約に関するやり取りを円滑に進めたいと考えている方におすすめの資料なので、興味のある方はこちらからダウンロードしてご覧ください。
4. 契約不履行が発生したときの対処法
ここでは、契約不履行が発生した際の債権者側の対処法について紹介します。
主に債権者側がとるべき対処については、次の3つが挙げられます。
◇契約不履行が発生したときの対処法3つ
・履行の強制
・損害賠償請求権
・契約解除
以下、これら3つの対処法について具体的に説明します。
4-1. 履行の強制
債務者によって債務が履行されないときには、債権者は強制的に債務の履行をさせる「履行の強制」を裁判所に請求できます。
あくまでも履行の強制は、契約不履行発生時に債務の履行が可能である場合が前提であり、履行不能にあたる場合は請求できない点に注意が必要です。
4-2. 損害賠償請求権
債権者は債務者に対して、債務の履行が行われなかった場合の損害を賠償してもらう権利「損害賠償請求権」も持っています。
損害賠償請求で認められる損害賠償の範囲は、契約不履行により生ずる損害もしくは予見できた特別な事情による損害のみとなります。
損害賠償請求には時効があり、以下の場合には債権が消滅するとされています。
・債権者が権利を行使できることを知ったときから5年間行使しない場合
・債権者が権利を行使できる時から10年間(人の生命または身体の侵害による損害賠償請求の場合は20年間)経過した場合
4-3. 契約解除
契約解除とは、債務者側に債務の履行遅滞や履行不能がある場合、債権者側で債務者との契約を解除し、新たな契約を結ぶことを可能とする権利です。
原則、債権者に帰責事由がある場合には、債権者は契約の解除を行うことはできませんので注意しましょう。
5. 契約不履行などのトラブル発生を未然に防ぐために契約書での規定を
契約不履行とは、契約の当事者間での合意において、一方が契約を守らないことを指します。契約締結を行う際には、契約不履行があった場合の対処法についてもあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
また、契約を締結する際には、トラブルを未然に防止するため、内容を明記した契約書を用意しておくようにするなど、当事者間の権利および義務を規定した文書を用意しておくようにしましょう。
「契約書に契約不履行だったときの対応が記載されていない」
「担当者が自社に不利な契約書を持ってくるのはなぜ?」
「契約書に載っていない合意内容があった」
契約書には、取引内容はもちろんのこと、取引不履行だった場合や協議事項が発生した場合の対応についても記載しておく必要があります。
もし契約書に抜け漏れがあったとしても、締結された内容を一方的に破棄することは難しいでしょう。
ですが中には、契約書に載っていない合意内容があることが締結後に発覚することもあるかもしれません。
契約書のトラブルを防ぐためには、法務担当者が確認するだけでなく、担当する従業員が契約書に記載しなければならない項目を理解することが必要です。
本資料では、契約の基礎知識から、契約書に記載される主な項目などをまとめています。
また契約に関して従業員から上がってくる質問集や、リーガルチェックを円滑にすすめるためのチェックシートも付いているので、従業員の勉強用資料としてもご利用いただけます。ぜひご活用ください。
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