契約解除するときの注意点や通知書の作成方法を解説
更新日: 2023.1.11
公開日: 2022.9.15
MEGURO
法的な拘束力を持つ契約は、条件次第で解除できます。
しかし、契約の解除をする際にはトラブルに見舞われることも多いため、契約解除の意味や方法についてあらかじめ確認しておく必要があります。
そこで今回は、契約解除の概要と契約解除における注意点について解説します。また、契約解除通知書の必要性や作成方法に関してもあわせて紹介します。
「契約書に契約不履行だったときの対応が記載されていない」
「担当者が自社に不利な契約書を持ってくるのはなぜ?」
「契約書に載っていない合意内容があった」
契約書には、取引内容はもちろんのこと、取引不履行だった場合や協議事項が発生した場合の対応についても記載しておく必要があります。
もし契約書に抜け漏れがあったとしても、締結された内容を一方的に破棄することは難しいでしょう。
ですが中には、契約書に載っていない合意内容があることが締結後に発覚することもあるかもしれません。
契約書のトラブルを防ぐためには、法務担当者が確認するだけでなく、担当する従業員が契約書に記載しなければならない項目を理解することが必要です。
本資料では、契約の基礎知識から、契約書に記載される主な項目などをまとめています。
また契約に関して従業員から上がってくる質問集や、リーガルチェックを円滑にすすめるためのチェックシートも付いているので、従業員の勉強用資料としてもご利用いただけます。ぜひご活用ください。
1. 契約解除とは?
契約解除とは、契約締結の時にさかのぼり契約を解消することを指します。契約解除により、契約の当事者は契約の拘束力から免れることが可能です。
また、契約解除時に残っている債務があった場合でも、その債務については履行する必要がありません。契約解除により、契約締結前の状態に回復できますので、契約の当事者同士で契約締結前の状態に戻すように請求できますし、すでに履行された債務を戻すように請求することもできます。
1-1. 契約解除の種類
契約解除には、次の3つの種類が挙げられます。
◇契約解除の種類3つ
・約定解除
・法定解除
・合意解除
以下、これら3つの契約解除の種類について確認していきます。
1-2. 約定解除
契約の当事者で契約解除の内容を自由に決定できるものが、約定解除です。
約定解除では、契約書の条項に定められた内容に従い、契約を解除できます。
1-3. 法定解除
法定解除とは、民法で定められた債務不履行があった場合に認められる契約解除を指します。債務不履行の際には、催告を行い、期間内に履行がない場合は契約解除が可能です。
法定解除は、民法で定められた事由が発生した場合に認められる契約解除です。
民法で定められた事由とは、債務不履行があった場合があたります。債務不履行があった場合には、催告後、期間内に履行がないときに限り契約の解除が可能です(催告による解除)。
なお、催告不要で契約が解除できる場合には、次のようなものが該当します。
・債務の全部又は一部の履行が不能な場合
・債務者が債務の全部又は一部の履行を拒絶する意思をはっきりと示した場合
・一部の履行が不能であっても、契約の目的が達成できない場合
・期間内に履行がなければ契約の目的を達成できない場合
・催告しても履行される見込みがない場合
1-4. 合意解除
約定解除要件や法定解除要件を満たしていない場合であるときでも、当事者間で双方の合意があれば契約の解除が可能な場合があります。
これを合意解除といいます。
2. 契約解除における注意点
契約解除をする際には、契約解除における注意点についてあらかじめ確認しておく必要があります。
契約解除における注意点として挙げられるのは、次の2点です。
◇契約解除における注意点2つ
・契約解除の条件を満たしているかの確認を行う
・可能な範囲で双方が合意した段階で契約解除を行う
以下、具体的にこれら2つの注意点について解説します。
2-1. 契約解除の条件を満たしているかの確認を行う
契約締結時には、契約解除時のトラブルを防止するため、契約解除の条件を定めておくとよいでしょう。
契約解除を考えた場合には、定められた契約解除の条件を満たしているかについて、あらかじめ確認しておくようにします。
2-2. 可能な範囲で双方が合意した段階で契約解除を行う
契約満了以外に契約解除を行うパターンとして、トラブルにより契約解除に至ることもあります。契約解除を行う際には、可能な範囲で双方合意のもと契約解除をすると、余計な揉め事を防ぐことができます。
万が一の事を考え、円滑に契約解除できるようにするためにも、契約解除の条件について具体的に定めておくのがよいでしょう。
実際に契約解除をする場合には、契約内容を確認した上で契約解除を行います。
円滑に契約解除を進めるためには契約書に、解除の条件を記載しておく必要があります。また、いざ解除するときに契約書を提示しなければなりません。そのためにも、契約書類は日頃から適切に管理する必要があるでしょう。また、契約締結の前に法務部門を通して契約内容を確認することも大切です。
ですが中には、「従業員が社内規定通りの運用をしていない」といった企業もあるかと思います。適切な管理を徹底するためには、従業員一人ひとりが「契約書が適切に管理されないこと」や「契約を法務部門が認識していないこと」で起こり得る問題を理解することが重要です。
当サイトで無料配布している「【従業員周知用】ビジネスにおける契約マニュアル」では、契約の定義や契約書類の保管義務、契約書に記載される主な項目について解説しています。また契約を変更するときはどうしたら良い?というような従業員からのよくある質問もまとめているので勉強用資料として活用できます。気になる方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3. 契約解除通知書の必要性
契約解除通知書は、以下のような契約解除を行う際に重要となる書類です。
以下、具体的に3つのケースを例に挙げ、紹介します。
3-1. 賃貸住宅を借りる際に家賃の滞納があった場合
賃貸住宅を借りる場合、借主側に家賃の滞納があった場合は、債務不履行として契約解除の対象となります。
この際、いきなりの契約解除はできず、貸主がある程度の期間を定めた上で家賃の支払いを求める催告を行いますが、その目安としては大体3ヶ月程度とされます。
家賃滞納が3ヶ月を超え、さらに相当の期間内に支払われない場合には、家賃滞納を理由とした契約解除ができるようになります。
契約解除通知書では、一定の程度の期間を示し、期間内に支払いがない場合には契約を解除する旨通知しておくとよいでしょう。
3-2. クーリング・オフ制度を利用する場合
消費者保護の目的として作られたクーリング・オフ制度は、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できるという、特定商取引法第9条で定められた制度です。
クーリング・オフの対象となるのは、キャッチセールスや訪問販売、電話勧誘など特定商取引法に規定されたものを指します。
クーリング・オフでは、契約書面受け取り後8日間で契約解除可能となっているものが大半となっており、契約解除を希望する場合には、この期間内に契約解除通知書の発行を行います。
3-3. 請負契約の解除を行う場合
請負契約については、注文した側からいつでも契約の解除を行うことが可能です。これは仕事の完成までの時期を問いません。
ただ、請負側に問題がない場合には、契約解除までの報酬については支払う必要があります。
もし請負側に契約義務違反がある場合には、契約解除通知書に契約の解除理由を記載し、契約解除を行います。
4. 契約解除通知書の作成方法
契約解除通知書を作成する場合には、内容証明郵便で1枚に記載できる範囲である最大520字の制限内に文字数をおさめる必要があります。
この文字数を超えると料金が加算されるため、注意しましょう。
なお、契約解除通知書には決まった形式はないものの、最低限記載しなければならない内容には、以下の5つが挙げられます。
・契約当事者
・契約内容
・契約締結日
・契約の解除理由
・催告の場合は催告期間を記載し、期間を終了後に契約解除をする旨を記載
債務不履行の場合には、内容や根拠となる条文についても記載しておくとよいでしょう。
5. 契約解除の意味や方法を理解し事前のトラブルを回避しよう
締結した契約は条件によって解除が可能となっていますが、場合によってはトラブルにつながる場合もあるため、契約解除が持つ意味や方法についてあらかじめ確認しておかなければなりません。そのためにも、契約解除とはなにか、また、契約解除における注意点について前もって知っておくことも重要です。
賃貸住宅を借りる場合やクーリング・オフ制度を利用する場合、請負契約の解除を行う場合など、契約解除の内容によっては、契約解除通知書の発行を行うことで契約解除がスムーズに進む場合もあります。
なお、契約解除通知書を発行する場合には、本記事の内容を参考に、記載内容と文字数を確認の上、作成を行っていくとよいでしょう。
「契約書に契約不履行だったときの対応が記載されていない」
「担当者が自社に不利な契約書を持ってくるのはなぜ?」
「契約書に載っていない合意内容があった」
契約書には、取引内容はもちろんのこと、取引不履行だった場合や協議事項が発生した場合の対応についても記載しておく必要があります。
もし契約書に抜け漏れがあったとしても、締結された内容を一方的に破棄することは難しいでしょう。
ですが中には、契約書に載っていない合意内容があることが締結後に発覚することもあるかもしれません。
契約書のトラブルを防ぐためには、法務担当者が確認するだけでなく、担当する従業員が契約書に記載しなければならない項目を理解することが必要です。
本資料では、契約の基礎知識から、契約書に記載される主な項目などをまとめています。
また契約に関して従業員から上がってくる質問集や、リーガルチェックを円滑にすすめるためのチェックシートも付いているので、従業員の勉強用資料としてもご利用いただけます。ぜひご活用ください。
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