契約審査とは?審査の流れや注意点をわかりやすく解説
公開日: 2023.4.12 jinjer Blog 編集部
契約書の内容をさまざまな観点から審査することを契約審査または契約書審査と呼びます。
契約にはリスクが潜んでいることがあり、契約を締結したのちに問題が発覚すると大きな損失を被る可能性も考えられます。トラブルなく契約を進めるためにも、必ず契約書の内容をチェックしておきましょう。
本記事では契約審査の重要性や実際に審査を行う際の流れについて解説していきます。
目次
1. 契約審査とは契約書の内容を事前に精査すること
契約審査とは企業が締結する契約書のレビューを行うことをいいます。
ビジネスにおいては法的に契約を成立させる過程で契約書を作成するのが一般的です。契約書を作らなくても契約は成立しますが、のちのちのことを考えれば正しい形式で契約書を作成しておくのが安心です。
契約書には多くの文言を盛り込むため、事前に内容を詳しく確認しておく必要があります。契約審査では、契約の内容が法令に違反していないか、自社にとって不利な条件になっていないかといった点をチェックします。
契約審査には契約に関するリスク制御という意味合いもあります。契約が履行されないケースや契約に関するトラブルが起きるケースを事前に想定して対処しておけば、リスクを最小限に抑えられます。
2. 契約審査を行う目的や重要性とは
契約審査には契約にかかわるトラブルを避け、円滑な契約を進めるという重要な意味合いがあります。また、契約管理がしやすくなるのも契約審査が必要とされる大きな理由です。
ここからは、契約審査が重要視される理由についてみていきます。
2-1. お互いの認識を確認できる
事前の契約審査は、認識の違いや誤解によるトラブルを防止する上で重要です。
文言の解釈違いに気づかないまま契約すると、あとあとのトラブルで追加の費用支払いや損害賠償を求められるかもしれません。難解な法律用語を使っている部分にはコメントや注釈をもらうなど、読み違いを防ぐための対処をしておきましょう。
2-2. 不利な契約を避けられる
契約審査の大きな目的は、不利な契約のリスクを避けることにあります。
一方にとって著しく有利な内容が契約書に記されるケースは少なくありません。自社にとって重い契約条件になっている場合、契約後にトラブルに発展する可能性が考えられます。無理な対応を求められたり損害賠償請求を受けたりといった大きなリスクを避けるためにも、必ず契約書の内容を審査しておきたいものです。
2-3. 契約が違法でないかを確かめられる
契約書に記載すべき内容は法令である程度決められています。正しい記載ができていない契約書は無効になったり違法とみなされたりすることがあるので注意したいものです。
契約審査には、法令に沿って正しい記載がされているかを確認し、体裁を整えるという目的もあります。
2-4. 契約トラブルに対処しやすくなる
契約審査の際に、トラブルが起きたときの対応方法やトラブル回避のための条件を盛り込んでおくケースもあります。損害賠償条項や契約の解除に関する条項をあらかじめ決めておけば、契約トラブルが起きたときの対処がしやすくなります。
契約書を交わす際には、リスクを想定し先回りして対策しておくことも重要です。
2-5. 契約に関する業務を効率化できる
企業の法務部門ではさまざまな契約書類を取り扱います。多くの業務を効率的に進めるためには、業務フローを確立することが重要です。
契約審査によって業務内容を適正化することで、法務部門の担当者の業務負担が軽くなります。契約審査という形で業務フローを確立することは属人化を防ぐことにもつながります。
2-6. 高いクオリティで契約書を作成できる
契約審査を行えば契約書のクオリティが高まりやすくなります。
契約審査では必要な情報を各部署から聞き取り、契約書に盛り込むことになります。多くの契約書を交わす企業では、契約書に盛り込むべき内容もおのずと定まってくるものです。契約審査の手法を整備することは、契約書作成の質を安定させることにつながります。
3. 契約審査の具体的な流れ
多くの企業では各部署の契約書を法務部門で取りまとめた上で契約審査を行います。ここからは、契約審査の具体的な流れについて説明していきます。
3-1. 契約書を共有する
契約審査は、各部署や部門で扱う契約書を法務部門へ共有することから始まります。
案件の概要について担当部署から聞き取りをしておくと、契約審査がスムーズに進みます。なぜその契約が必要なのか、取引の目的や経緯について把握しておきましょう。
よりスムーズに契約審査を行うために、各部署に契約審査依頼書の作成を求める企業も存在します。契約書の内容を詳しく記入してもらえば、審査がしやすくなります。
3-2. 契約書の内容を把握する
続いて契約書の内容を確認し、分析を進めていきましょう。このとき、契約書にリスクになりうる要因や問題点がないかを注意深くチェックすることが重要です。
また、契約書の体裁が正しいか、条項に漏れがないか、誤字脱字がないかといった点も確認しておきましょう。
3-3. フィードバックを行う
契約書の内容を確認したら担当部署にフィードバックしましょう。
修正点が特にないときには、そのまま契約を締結できる旨を伝えれば問題ありません。修正が必要な点が見つかったときには、コメントを入れた修正案を作成します。修正にあたって相手方との交渉が必要となるケースでは、詳しいアドバイスを行いましょう。
3-4. 契約書の最終版を仕上げる
担当部署による修正や相手との契約交渉が行われたあとには、再度契約書のチェックを行います。内容に問題がなければ最終版として契約書を仕上げていくことになります。
法務部門で契約書の内容を丁寧に確認すれば、安心して契約に進むことができます。
4. 契約審査を実施するときの注意点
トラブルを防ぐためには、高いクオリティで契約審査を行う必要があります。企業が契約書を作成する際には、以下の2点を特に意識しましょう。
4-1. 体裁や受付方法を統一する
契約審査の際には、契約書の体裁や契約審査の依頼方法をできるだけ統一するよう努めましょう。
契約書の体裁や作成手順がバラバラだと、業務効率が下がってしまいます。また、体裁が整っていないために文言の見落としが起きるリスクも高まります。
業務フローを周知したり専用システムを導入したりといった形で、業務の効率化を図りましょう。
4-2. 法律に関する十分な知識が必要
契約審査の際には、法令に違反していないか、法律上必要とされる条項が含まれているかを必ずチェックしましょう。
例えば宅地建物取引の媒介契約では宅地建物取引業法に準拠した記載が必要です。また、契約書に定めた内容よりも法律が優先される強行規定というものもあります。
法律に関する十分な知識を有した従業員が契約審査を担当すれば、法律に準拠した適切な契約書を作ることができます。
5. リスクマネジメントの一環として適切な方法で契約審査を実施しよう
日々の業務において多くの契約書を取り交わす企業では、リスクマネジメントの一環として契約審査を取り入れる必要があります。
契約審査の担当者には高い専門知識が求められます。しかし近年では、契約審査をサポートするツールも数多くリリースされています。こういったツールを活用し、業務効率化を図るのもおすすめの方法です。
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