電子契約をスタートアップ企業が導入する際の選定ポイントや注意点とは?
更新日: 2022.12.8
公開日: 2022.1.30
HORIUCHI
リモートワークやDX化を背景に電子契約サービスを導入するスタートアップ企業が増えてきました。
スタートアップ企業が電子契約サービスを導入をする上で把握するべき特有のポイントがあります。
この記事では、スタートアップ企業が電子契約を導入するべき理由や、サービス選定ポイント、取引先に利用してもらう際の方法を解説します。
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目次
1.スタートアップ企業が電子契約を利用するメリット・デメリット
スタートアップ企業が電子契約を導入する際は、必ずメリットとデメリットを比較しましょう。
立ち上げ初期で不安定な体制であるスタートアップ企業で大切なのは、契約締結が不利にならないことです。
ここでは電子契約サービスがスタートアップ企業に対して実現できることについて解説します。
1-1.スタートアップ企業の電子契約の導入メリット
スタートアップ企業の電子契約導入メリットは下記2点です。
●業務効率化
スタートアップ企業は従業員規模が小さいため、契約締結業務に割ける工数は限られています。
契約書面の作成、捺印だけでなく、印紙や切手の購入、契約書の製本、宛名記入やポスト投函なども含めると契約書を送付するまでに時間と工数がかかり、本業に支障が出てしまう状況も考えられます。
電子契約では、契約締結の署名依頼をメールで送信し、相手方は届いたメールからボタン一つで電子署名を捺印できます。そのため製本や郵送作業をまるまる削減でき、効率よく契約締結をおこなえます。
●費用削減
スタートアップ企業は業務委託契約を結ぶことも多いかと思います。請負の業務委託契約の場合は4,000円分の印紙を契約書原本に貼る必要がありますが、電子契約では印紙を貼り付ける必要はありません。印紙税法に基づき不要と解釈されています。
電子契約で印紙税が不要な根拠の詳細は、下記記事をご確認ください。
電子契約はなぜ印紙税が不要?法的根拠とコスト削減例をご紹介!
また、人件費や郵送費も込みで計算すると、全体でかかっている費用をどのくらい削減できるかイメージしやすいです。例は以下の通りです。
例)
電子契約未導入の場合
通勤費¥6,000/月 ※週3出社×4週×500円(1回の交通費)=6,000円
印紙代4,000円×20件=8万円/月
郵送費(レターパックライト)370円×2通(1往復)×20件=14,800円
↓↓↓
電子契約を導入した場合
通勤費0円(捺印出社しない場合)
印紙代0円
郵送費0円
送信料200円×20件=1,400円 ※ツールによる
つまり、こちらの事例では13,400円/月 のコストを削減できる計算となります。
1-2.スタートアップ企業の電子契約導入デメリット
電子契約サービスを活用する上でネックになる点、デメリットは以下の通りです。
●利用料
月額5,000~10,000円程度発生するサービスが多いです。ある程度のリターンを得るためには、自社で締結している契約書の枚数や、関連業務をおこなっている従業員の工数を計算して利用するかどうか決定しましょう。
スタートアップ企業においては事業立ち上げ当初で固定費をかけられない状況も考えられますので、慎重な判断が必要です。
●社内体制・運用ルールの整備
どのようなルールで電子契約サービスを利用するか決める必要があります。基本的には今までの書面契約の締結フローが定まっていれば問題ないですが、一から構築する場合は一定の工数が必要です。
責任者や推進者を立てることでスムーズに運用に乗せることができるので、早い段階で決めておきましょう。
1-3.スタートアップ企業が契約締結で不利にならないために大切なこと
スタートアップ企業は規模や資本が小さいため、取引先に足元を見られてしまうケースもあるかと思います。
トラブルにならないためにも、契約締結に法的効力を担保させたいものです。
電子契約では単にWEB上で電子サインを捺印するだけでは法的な効力を持ちません。認証局や各電子契約ベンダーが発行する「電子署名」を付与することによって、法的効力を持った契約が可能です。
また、電子契約で締結した内容が改ざんされる恐れがありますが「タイムスタンプ」を付与することで非改ざん性を担保できます。
電子署名で契約締結する際に「タイムスタンプ」機能があれば電子署名を捺印した日時でタイムスタンプが付与され、いつ何の契約書がどのような内容で契約されたのか記録できます。改ざんされたか否かはタイムスタンプが付与された際の契約書の内容と照らし合わせて確認できます。契約は安全?導入メリットは?ガイドブックで解説!
2.スタートアップ企業の電子契約サービス選定ポイント
前章のメリットを理解した上で、電子契約導入によって課題が解決され、業務工数や諸経費を削減してコストメリットを享受できるかどうか検討することが大切です。ここでは各導入メリットを得るために必要なサービス選定のポイントを解説します。
2-1.書面契約と電子契約、両方に対応できるサービスか否か
スタートアップ企業は、書面契約・電子契約両方の契約締結を取引先に合わせて柔軟におこなう必要があります。
臨機応変に対応するために、書面締結した契約書データをインポートできる電子契約サービスを利用しましょう。スキャンした契約書を取り込めるようにすることで、電子と書面両方の契約に対応できます。
電子契約サービスによっては契約書データをインポートする機能が無いものやオプション機能として利用できるものがあるため、確認しましょう。
2-2.法的有効性とセキュリティが担保されている「電子署名」機能
電子署名法3条によって、電子契約の中でも「電子署名」は書面契約と同じ法的効力を認められているため、クライアントとトラブルに発展することはありません。
法的効力を担保するために、「電子署名」を採用した電子契約サービスを利用しましょう。なかには無料で電子サイン機能だけ使えるサービスもありますが、電子サインは「電子証明書」を認証局から付与されていない単なる署名機能であるため、本人確認性を担保することができない可能性もあります。
電子署名法については以下の記事を参照してください。
電子署名法をわかりやすく解説!おさえておくべき条文のポイントは?
また、電子契約は個人情報や機密情報をWEB上でやりとりします。通信の暗号化など安全性の高いセキュリティ対策が十分なサービスを選ぶことも重要です。
2-3.業務工数削減効果の観点
電子契約サービスによって、スタートアップ企業は本当に業務工数を削減できるのでしょうか。
一般的な導入検討理由で多いのは、契約の作業工数を割いていて、本業に支障が出ている場合です。
また、スタートアップ企業はリモートワークで作業を進めている会社も多いかと思います。契約締結作業や押印のためだけに出社するのは、通勤時間などの出社工数がかかるため望ましくありません。
まずは具体的に月間平均の契約締結数、契約締結や郵送作業に何時間かかっていて、出社対応に何時間かかっているかなどを整理して、電子契約サービスの導入後にどのくらい業務工数が削減されるかシミュレーションしてみましょう。
2-4.コストパフォーマンスの観点
電子契約サービスは月額利用料や初期費用がかかります。
中長期的に利用することが前提となるサービスであるため、月額利用料を払うことによって、節約可能な印紙税・郵送費・人件費・交通費を計算し、コストパフォーマンスが高いのか、リターンを得られるのか計算しましょう。
ここまで電子契約サービスを選定するポイントについて解説しましたが、当サイトでは、電子契約サービスを導入検討中の方向けに導入フローやチェックリストをまとめた資料を無料で配布しております。「電子契約サービスを導入するにあたり、何が必要か、何を考慮すべきかを手っ取り早く確認したい」という方は、こちらから「電子契約の始め方ガイドブック 」をダウンロードしてご確認ください。
3.相手が電子契約を受け入れない場合の対処法
取引先が電子契約を未導入の場合、電子契約の安全性やメリットについて説明して納得していただくことが大切です。
それでも取引先が電子契約の利用を拒む場合も考えられます。どのようにすれば納得して電子契約を利用していただけるのでしょうか。
こちらでは、電子契約を取引先に依頼するコツや、電子契約の利用に対して納得していただけない場合の対処法について解説します。
3-1.電子契約のメリットのアピール
電子契約を取引先に依頼する際は、「セキュリティ面の安全性」「業務工数や経費の削減」の2点をアピールしましょう。
電子契約は、前述の通り書面契約と同等の安全性がある契約方法です。セキュリティが担保されたサービスであることや、電子署名を付与することで法的効力を担保できる点について説明しましょう。
また、書面契約による管理や郵送作業がなくなり、契約締結をスムーズに行うことができる点についてアピールしましょう。印紙税や郵送費などをカットできる点もアピールしたいところです。
以上の2点を取引先に説明し、疑問点をを解消することが大切です。
また、取引先が電子契約を未導入であっても契約締結できるサービスがあり、導入面のハードルを下げられます。
3-2.どうしても受け入れられない場合
無理して電子契約をする必要はありませんので、素直に書面契約を受け入れましょう。締結した契約書データを電子契約サービスのインポート機能でクラウド上に取り込んで保管すれば問題ありません。
取引先に合わせて、最適に対処しましょう。
4.スタートアップの契約は柔軟な対応を推奨
スタートアップ企業は規模が小さく設立年数が短い場合に取引先から足元を見られたり、契約締結において様々な要望を受けることがあります。
大切なのは、どんな取引先にも対応できるように、書面契約も電子契約も柔軟に対応できるようにすることです。
そして契約締結で不利にならないように、法律を確認したり場合によっては弁護士にリーガルチェックを頼むと良いでしょう。
また、電子契約する際は電子署名で本人性を担保し、タイムスタンプで非改ざん性を担保できる電子契約サービスであるかどうか確認して、法的根拠や契約の有効性を確保しましょう。
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