不動産取引における印紙代について契約の種類別に紹介
更新日: 2022.12.13
公開日: 2022.9.9
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印紙代(印紙税)とは、国税庁が定める課税文書を作成するときに納付しなければいけない国税のことです。不動産取引を行う際に作成される契約書や領収書も課税文書に含まれるため、金額に応じた印紙代を納める必要があります。
この記事では、不動産取引における印紙代について解説します。印紙代を適切に納めないと過怠税が科されるおそれがあるため、適切な納付額を知っておくことが大切です。
2022年5月施行のデジタル改革関連法の改正により、不動産業界での電子契約が解禁されました。
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1. 印紙代とは
印紙代(印紙税)とは、契約書や領収書、証書などを作成するときに課される国税のことです。国が定める20種類の課税文書[注1]を書面で作成するときは、契約書などに記載されている金額に応じた印紙代の納付が必要です。
印紙代を納付するときは、郵便局や法務局、コンビニなどといった「収入印紙売りさばき所」で決められた金額の収入印紙を購入し、課税書類に貼付して、消印を押す必要があります。単に窓口で収入印紙を購入するだけではなく、消印を押すことで納付完了となる点に注意しましょう。
不動産取引においても、契約書などの必要書類を作成するときは印紙代が必要となります。
関連記事:印紙代とは?意味・必要性・購入方法を徹底解説 | jinjerBlog
2. 契約種類別の印紙代
不動産取引で印紙代が必要となるのは、以下の3つのケースで契約書を締結する場合です。
・不動産を売買するとき
・工事の請負契約を締結するとき
・住宅ローンを組むとき
ここからは、各契約書に必要となる印紙代について詳しく解説します。
2-1. 不動産売買契約書
不動産売買契約書とは、「取引の対象となる不動産を、買主が契約書に記載されている金額で買い受けること」を明記した契約書のことです。金額はもちろん、支払いの手段や時期、対象となる不動産の住所や面積、買主・売主の情報などが記載されます。
不動産売買契約書を作成するときに必要となる印紙代は、以下のとおりです。[注1]
なお、不動産交換契約書や不動産売渡証書といった書類も、印紙代は不動産売買契約書と同様です。不動産売買契約書は、平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成されたものに関しては、印紙税が軽減されます。[注2]
関連記事:売買契約書の印紙代はいくら?必要性や金額を解説 | jinjerBlog
2-2. 工事請負契約書
工事請負契約書とは、注文者が請負人に工事を発注し、請負人が納品することを約束する契約書のことです。新築工事や改装工事、外構工事などを依頼する際に締結されます。
工事請負契約書を作成するときに必要となる印紙代は、以下のとおりです。[注1]
こちらも印紙代は不動産売買契約書と同様、平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成されたものに関しては印紙税が軽減されます。[注2]
関連記事:請負契約書の印紙代について契約金額別に紹介 | jinjerBlog
2-3. 金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書とは、金銭を返すことを約束する代わりに、それと同額の金銭(利息も含む)を返す契約のことです。住宅ローンの契約をするときに、この契約書が締結されます。
工事請負契約書を作成するときに必要となる印紙代は、以下のとおりです。[注1]
金銭消費貸借契約書に関しては、印紙代の軽減措置がないため注意しましょう。
3. 不動産売却時の領収書の印紙代
不動産取引の際に作成される課税文書は、決して契約書だけではありません。不動産売却時の領収書も、実は課税文書に含まれます。
ただし、領収書に関しては印紙代が必要なケースと不要なケースの2パターンに分類できます。ここでは、それぞれのケースについてみてみましょう。
3-1. 印紙代が必要なケース
不動産売買を営利目的で行う場合は、印紙代が必要です。たとえば、「不動産会社が利益を挙げるために戸建てを売る」「投資用のアパートを売却する」といった場合は、どのようなケースでも印紙代が必要になります。
また、法人が不動産を売却する際は、住居用の家や駐車場などを売るときでも営利目的であると判断されます。そのため、法人のあらゆる不動産取引の領収書には印紙代が必要であると理解しておきましょう。
3-2. 印紙代が不要なケース
個人が非営利目的で物件を売却する場合は、領収書に印紙代がかかりません。たとえば、「住み替えにより、自分が住んでいた家を手放す」「家庭菜園用の農地を売却する」といった場合は、営利目的の売却であると判断されないため、印紙代が不要です。
ただし先述したように、個人であっても営利目的の不動産売却をする場合は、領収書の印紙代が必要になります。収益用の物件を売却するときは、金額に応じた収入印紙を貼付しましょう。
4. 不動産取引における印紙代に関する注意点
不動産取引をする際は、印紙の金額以外にも気をつけなければいけないポイントが多く存在しています。ここでは、不動産取引において気をつけたい印紙代関係の注意点を紹介します。
4-1. 印紙代は買主・売主それぞれが平等に負担する
印紙代は、課税文書1通ごとに支払う必要があります。通常、不動産取引の契約書などは2通作成して買主と売主の双方で保管するため、印紙代は2通分必要です。
契約書などに貼る収入印紙は、原則買主と売主が平等に折半して負担することになります。各々が自分の保管する契約書分の印紙代を負担するということです。
なお、契約書のコピーを作成する場合は、そのコピーが単なる控えや写しであるなら印紙代は不要です。原本をどちらか一方が保管し、もう一方は写しを保管して印紙代を節約するという手法もよく取られています。
4-2. 印紙代未納の場合は過怠税が科される
印紙代は、適切に納めないと過怠税が科されるため注意が必要です。課税文書を作成したのに印紙代を支払わない場合、または印紙代が不足している場合は、以下の金額の過怠税が科されます。[注3]
・印紙代を支払わなかった:印紙代の3倍に相当する金額
※自ら申し出たときは、印紙代の1.1倍に相当する金額
・収入印紙の消印を押さなかった:印紙代の額に相当する金額
たとえば、本来は5,000円の印紙代が必要な契約書を作成したのに印紙代を納めなかった場合、1万5,000円の過怠税を支払うことになるのです。なお、過怠税は必要経費や損金に算入できない点に注意しましょう。
5. 不動産取引に印紙代の知識は必要不可欠
不動産取引をするときは、契約書や領収書など多くの課税文書を作成することになります。課税文書を作成するときは印紙代を支払って収入印紙を貼付する必要があるため、印紙代の金額やルールをしっかりと知っておくことが大切です。
なお、課税文書を作成する場合でも、書類を電子データで交付したり電子契約を締結したりする場合は印紙代が不要です。2022年5月18日より不動産取引の電子契約が解禁されているため、印紙代の節約を希望する企業は、ぜひ書面交付の電子化を検討してみてください。
[注1]印紙税額の一覧表(第1号文書から第20号文書まで)|国税庁
[注2]No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税局
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