収入印紙の捺印は必要?消印・割印の違いや正しい捺印方法を解説 | jinjerBlog

収入印紙の捺印は必要?消印・割印の違いや正しい捺印方法を解説

収入印紙

2021年の税制改正により、さまざまな税務関係書類の押印義務が廃止されました。しかし、依然として押印や捺印が必要なのが収入印紙です。もし収入印紙への捺印(消印・割印)を忘れたり、正しい方法で捺印しなかったりした場合、企業に過怠税が課される可能性があります。

この記事では、収入印紙の正しい捺印方法や、不適切な方法で捺印した場合のリスク、消印・割印を押すべき担当者についてわかりやすく解説します。

1. 収入印紙とは?印紙税を納付するための証票のこと

印紙

収入印紙とは、印紙税法上の「課税文書」に貼付し、規定の金額の印紙税を納付するための証票です。
課税文書とは、企業間取引で使われる約束手形や契約書、有価証券の受取書など、課税物件表に記載された20種類の文書を指します。企業間で一定以上の金額の金銭または有価証券のやりとりが発生した場合、印紙税が課税されます。

国が発行する印紙には、ほかにも雇用保険印紙、健康保険印紙、自動車重量税印紙などがありますが、印紙税を納付する場合は「収入印紙」の貼付が必要です。

2. 収入印紙への捺印とは?消印・割印の違いも解説

印鑑

収入印紙をただ貼付するだけでは印紙税を納付したことにはなりません。収入印紙には必ず捺印を行う必要があります。
2021年の税制改正を受け、多くの税務関係書類の押印義務が緩和されましたが、収入印紙への捺印は現在も必要です。収入印紙への捺印は、ビジネスシーンでは「消印」「割印」と呼ばれます。

ここでは、混同されやすい消印・割印の違いや、切手やはがきに押される「消印」との違いを解説します。

2-1. 消印とは?印紙税上使われる言葉のこと

消印(けしいん)とは、課税文書と収入印紙の彩紋を重ね、収入印紙が消えるようにハンコを押すことを指します。消印は、主に印紙税法や国税庁のホームページで使われている言葉です。印紙税法8条の2には次のような文章があります。

“課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。”

引用: 印紙税法|e-Gov法令検索

2-2. 割印とは?商慣習上使われる言葉のこと

割印(わりいん)とは、2つの文書にまたがって、印影が割れるようにハンコを押すことを指します。消印は主に印紙税法などで使われる呼び方ですが、割印は商慣習上広く使われてきた言葉です。

たとえば、契約書を2部作成するとき、それぞれの契約書の同一性を示すために割印を押すケースがあります。収入印紙にハンコを押す場合、正式な呼び方は「消印」ですが、実務上は割印という言葉を使っても問題ありません。

2-3. 切手やハガキに押される消印との違い

消印という言葉を聞くと、切手やハガキを出すときに押される「消印」を連想する方もいるかもしれません。
収入印紙に押す消印と郵便物に押す消印は別物です。郵便物に押す消印は、正式名称を「証示印(しょうじいん)」といいます。証示印(消印)を押す目的は、「切手の再利用を防ぐ」「切手代を受け取ったことを証明する」の2つです。

それに対し、「収入印紙の再利用を防ぐ」「印紙税を納付したことを証明する」ための手段が、収入印紙への捺印(消印)です。

3. 収入印紙への捺印(消印・割印)のポイント

押印

印紙税法や印紙税法施行令では、収入印紙への捺印方法についても細かく規定しています。もし間違った方法で捺印を行ったり、そもそも捺印を忘れたりした場合、印紙税法を納付したことになりません。

契約書や請求書が過怠税の対象となり、罰金が課される可能性があります。収入印紙への正しい捺印(消印・割印)方法を確認しましょう。

3-1. 正しい署名捺印の方法4つ

収入印紙への捺印といっても、必ずしもハンコを押す必要はありません。たとえば、ボールペンなどでの自筆の署名も認められます。収入印紙への正しい署名捺印の方法は次の4つです。

・シャチハタ印での捺印
・日付印での捺印
・角印(会社印、社判)での捺印
・ボールペンなどでの自筆の署名

3-2. NGな署名捺印の方法2つ

一方、不適切な署名捺印の方法は次の2つです。収入印紙に捺印するのではなく、自筆の署名を行う場合、鉛筆やシャープペンシルなど消えやすい筆記具は利用できません。

また、簡単な記号でのサインはそもそも署名と認められないため、自分の氏名をはっきりと記載しましょう。

・丸印・斜線・二重線など、簡単な記号でのサイン
・鉛筆やシャープペンシルなど、消えやすい筆記具での署名

3-3. 不適切な方法で捺印した場合のリスク

もし不適切な方法で収入印紙に捺印した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。収入印紙に捺印しなかったり、間違った方法で捺印したりした場合、収入印紙に消印をしたことになりません。

消印のない収入印紙は、印紙税法8条の2の規定により認められないため、印紙税を納付しなかったとみなされます。その場合、印紙税の金額に応じ、過怠税が課される可能性があります。通常、過怠税の金額は印紙税の3倍です。

たとえば、2,000円の印紙税を納付する場合、6,000円の過怠税が課される可能性があります。こうしたトラブルを避けるためにも、正しい方法で収入印紙に捺印(消印・割印)を行うことが大切です。

4. 収入印紙へ捺印する人は誰?

印鑑

そもそも、収入印紙は誰が捺印(消印・割印)すべきなのでしょうか。よくある誤解として、収入印紙には「作成者が消印を押さなければならない」「代表者の署名または押印が必要」というものがあります。しかし、印紙税法施行令5条には次のような規定があります。

“課税文書の作成者は、法第八条第二項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。”

引用:印紙税法施行令|e-Gov法令検索

つまり、収入印紙に捺印するのは、契約書の作成者や代表者に限らず、ほかの従業員や代理人であってもかまいません。印紙の再利用ができなくなればよいため、消印の印章は契約書の印章と異なるものでもOKです。

また、複数人で契約書を作成した場合も、全員が印紙を消す必要はありません。印紙税法基本通達64条の内容にしたがって、誰か1名が代表して消印を行いましょう。

5. 電子契約で収入印紙への捺印業務を削減

電子契約書

印紙の再利用を防止するため、2021年の税制改正後も収入印紙への捺印が引き続き義務付けられます。
契約業務の工数削減のため、すこしでも収入印紙への捺印の手間を軽減したい場合は「電子契約」の導入を検討しましょう。電子契約とは、PDFファイルなどの電子ファイルで契約書を作成し、インターネット上で契約を締結する方法です。

国税庁の文書回答によると、電子ファイルは課税文書には当たらないため、電子契約ではそもそも印紙税が課税されません。[注1][注2]

電子契約を導入すれば、収入印紙への捺印の手間を大きく削減できるだけでなく、コスト削減にもつながります。

[注1](別紙)|国税庁
[注2]請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|国税庁

6. 税制改正後も収入印紙への捺印は必要!正しい消印・割印の方法を確認しよう

押印

2021年の税制改正後も、契約書や請求書などの課税文書を作成するときは、収入印紙に捺印(消印・割印)を行う必要があります。収入印紙への捺印は、契約書の印章と異なる印章を使用してもかまいません。たとえば、収入印紙への捺印方法として「シャチハタ印」「日付印」「角印」「ボールペンでの署名」などが挙げられます。

ペナルティとして印紙税の過怠税を課されないため、正しい消印・割印の方法を確認しましょう。