契約書の甲乙とは?優劣はある?雇用契約書・業務委託での使い方や注意点 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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契約書の甲乙とは?優劣はある?雇用契約書・業務委託での使い方や注意点

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雇用契約書や業務委託契約書を締結する際、慣例的に用いられる「甲」と「乙」。人事労務担当者として、多数の従業員や外部委託先と契約を交わす中で、この表記の正しい使い方や管理に悩んだ経験はないでしょうか。
「どちらを甲にすべきか」「大量の契約書で甲乙を取り違えたらどうなるのか」といった疑問は、契約管理の実務において重要な課題です。
本記事では、契約書における甲乙の基本的な意味や上下関係の有無を解説します。さらに、人事労務担当者が主に取り扱う雇用契約書や業務委託契約書に焦点を当て、具体的な表記例と、多数の契約書を管理する上でのリスクと効率的な解決策までを詳しく解説します。

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◆押さえておくべきポイント

  • 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
  • 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
  • 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
  • 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策

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1. 契約書における「甲」「乙」の基本的な意味

契約書における「甲(こう)」および「乙(おつ)」は、契約の当事者を区別するための記号(ラベル)です。契約書本文で「株式会社〇〇」「田中 太郎」といった正式名称を繰り返し記載すると冗長になるため、簡略化のために用いられます。

法的拘束力はなく、「A」「B」や、後述する「貸主」「借主」といった表記も可能です。しかし、日本のビジネス慣習上、甲乙表記は広く浸透しており、多くの契約書で標準的に採用されています。

1-1. 甲と乙に法的な上下関係はない

結論から言うと、甲と乙に法的な優劣や上下関係は一切ありません。両者は契約上、対等な当事者です。

ただし、「お客様を甲とすべき」といった商慣習や、「通信簿の評価で甲が乙より上だった」という歴史的なイメージから、甲が優位な立場であると誤解されることがあります。重要なのは、契約内容そのものが両当事者にとって公平であることであり、甲乙のどちらになるかで有利・不利が決まるわけではありません。

1-2. 契約当事者が三者以上の場合は「丙」「丁」

契約当事者が三者以上になる場合は、古代中国の「十干(じっかん)」に基づき、「甲・乙・丙(へい)・丁(てい)・戊(ぼ)…」の順で使用されます。

音読み 訓読み
コウ きのえ
オツ きのと
ヘイ ひのえ
テイ ひのと
つちのえ
つちのと
コウ かのえ
シン かのと
ジン みずのえ
みずのと

2. 雇用契約書・業務委託契約書での甲乙の使い分け

人事労務担当者が日常的に扱う契約書に絞って、一般的な甲乙の使い分けを解説します。

2-1. 雇用契約書の場合:「甲=会社」「乙=従業員」が原則

雇用契約書では、事業者(会社)を「甲」、労働者(従業員)を「乙」と表記するのが一般的です。これは、契約書を準備・提示するのが主に事業者側であるという慣習に基づきます。

【例文:契約書の前文】

株式会社〇△×(以下「甲」という)と、人事 太郎(以下「乙」という)は、次の通り労働契約を締結する。

2-2. 業務委託契約書の場合:「甲=委託者」「乙=受託者」が一般的

業務委託契約書では、業務を依頼する側(委託者)を「甲」、業務を請け負う側(受託者)を「乙」と表記することが多いです。総務省が公開している契約書のひな型もこの形式に則っています。[注1]

【例文:契約書の前文】

株式会社〇△×(以下「甲」という)と、社会保険労務士法人〇〇(以下「乙」という)は、給与計算業務に関し、次のとおり業務委託契約を締結する。

[注1]業務委託契約書|総務省

3. 契約書の甲・乙表記のデメリット・メリット

契約書の甲・乙表記には、メリットだけでなくデメリットもあります。ビジネスシーンに合わせて甲・乙表記を使い分けることが大切です。契約書の甲・乙表記を使うデメリットやメリットを紹介します。

3-1. 契約書の甲・乙表記を使うデメリット

契約書の甲・乙表記を使うデメリットは下記の2点です。

  • 契約当事者が多い場合、契約書の可読性を低下させる恐れがある
  • 甲・乙表記に不慣れな人の場合、「甲」「乙」を取り違える場合がある

契約当事者が三者以上の場合、甲・乙表記を用いると契約書の可読性を低下させる恐れがあります。「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」といった略称を使うこともできますが、誰が「甲」で「乙」かがわかりづらいため、契約書の記載ミスや見落としが発生するリスクがあります。また、そもそも甲・乙表記に不慣れな人もいるため、相手に配慮して契約書を作成することが大切です。

特に、普段から契約書を読み慣れていない方の場合、甲・乙といった記号や特有の言いまわしに戸惑い、内容の確認が不十分になる可能性があります。結果として、意図せず法務部門の確認工数を増やしてしまうことにもつながりかねません。

3-2. 契約書の甲・乙表記を使うメリット

一方で契約書の甲・乙表記を使うメリットは2つあります。

  • 正式名称を記載する手間を減らし、契約書のページ数を削減できる
  • 契約書のひな型を作成し、契約書を作成する手間を削減できる

契約書の甲・乙表記を使うことで、「●●株式会社」などの正式名称を記載する手間を減らせます。契約書の文字数が減るため、ページ枚数を少なくすることも可能です。また、契約書の甲・乙表記を用いれば、契約書のひな型を作成することができます。前文の部分を置き換えるだけで他の契約業務に流用できるため、契約書を作成する手間を削減できます。

4. 甲乙の管理ミスを防ぎ、業務を効率化する「契約書の電子化」

甲乙表記のメリットの部分でも説明した効率性は、契約書を電子化することでさらに工数を削減することができます。特に、人事労務領域に特化した書類管理システムは大きな効果を発揮しますので、わかりやすく説明していきます。

4-1. テンプレート機能によるミスの防止

新入社員の入社、契約社員の更新、外部コンサルタントとの業務委託など、契約業務は多岐にわたります。契約書のひな型を使い回す際に、手作業で甲乙の当事者名を修正していると、ヒューマンエラーが発生するリスクが常に伴います。

万が一、甲と乙を取り違えたまま契約を締結してしまうと、契約の有効性について疑義が生じたり、権利義務関係が不明確になったりする恐れがあります。特に多数の契約書を同時に処理する場合、一件一件の内容を正確に確認する作業は、担当者にとって大きな負担となります。

その点、電子化をしておけば雇用契約書や業務委託契約書のテンプレートをシステム上に用意し、「甲=自社」として固定できます。相手方(乙)の情報だけを入力すれば、甲乙を取り違えることなく、正確な契約書を自動で作成できるのです。

4-2. 作成から締結までをオンラインで完結

作成した契約書は、システム上から対象者(従業員や委託先)に一括で配布できます。相手方はメールなどで通知を受け取り、オンラインで内容に合意・署名するだけ。印刷、郵送、返送といった物理的な手間とコストがゼロになります。

4-3. 進捗管理と保管の効率化

誰が未確認で、誰が締結済みかといった契約の進捗ステータスを、システム上で一元管理できます。締結後の契約書は、そのままセキュアなクラウド上に保管されるため、物理的な保管スペースも不要になり、後からの検索も容易です。

このように、契約書の電子化は、甲乙の取り違えといった単純なミスを防ぐだけでなく、人事労務の契約管理業務そのものを劇的に効率化し、担当者がより戦略的な業務に集中できる環境を実現します。

5. 契約書における甲・乙表記の意味を知り、ビジネスシーンに合わせて使い分けよう

喜ぶ女性

本記事では、契約書における甲乙の意味や、人事労務担当者が主に取り扱う雇用契約書・業務委託契約書での使い方について解説しました。

  • 甲乙は当事者を区別する記号で、法的な上下関係はない。
  • 雇用契約では「甲=会社」、業務委託では「甲=委託者」が一般的。
  • 多数の契約書を手作業で管理すると、甲乙の取り違えリスクや業務の非効率性が課題となる。

上記を正しく理解し、正確かつ効率的な契約管理を実現する上で、契約書の電子化は極めて有効な手段です。

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◆押さえておくべきポイント

  • 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
  • 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
  • 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
  • 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策

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jinjer Blog 編集部

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