早出残業とは?36協定との関係性や残業代の計算方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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早出残業とは?36協定との関係性や残業代の計算方法を解説

「日本人は早出残業が多いってホント?」

「必要ない早出残業を減らすための取り組みは?」

「勝手に早出残業する従業員には残業代を出さなければいけない?」

人事労務担当者のなかには、上記のような疑問を抱えている方も多いでしょう。

早出残業とは、出勤時間よりも早く出社して所定労働時間以上の仕事をすることです。基本的に残業代を支払う対象となります。早出残業に該当する条件は、企業側があらかじめ準備しておくことが重要です。

そこで本記事では、早出残業の概要や対処法、36協定との関係性について解説します。また、残業代の計算方法や注意点についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 早出残業とは

早出残業とはどういうものかについて、以下の流れで解説します。

  1. 早出残業の概要
  2. 早出残業に該当するケース
  3. 早出残業に該当しないケース

1-1. 早出残業の概要

早出残業とは、定められた始業時刻よりも早く出社して所定労働時間以上の仕事をすることです。早朝の時間でも通常の勤務時間外に該当する場合は、原則として残業の一部として扱われます。

日本では、始業時刻が午前9時で所定労働時間が8時間(1時間の昼休憩あり)の企業が一般的です。例えば、上記の企業で、従業員が午前7時から午後6時(定時)まで働くと、2時間分の残業代が発生します。

一方で、午前7時に出社しても午後4時に退社すれば、所定労働時間内であるため残業代は発生しません。早出残業は所定労働時間に影響することに注意が必要です。

1-2. 早出残業に該当するケース

早出残業に該当する具体的な事例を紹介します。

  • 企業や上司からの指示がある
  • 出席の義務がある朝礼や会議に参加しなければいけない
  • 始業時刻の前に立会が必要な業務がある
  • 始業前に制服に着替える

出席や立会が必要な業務や労働の準備のために不利益を受ける場合も、暗黙の指示が合ったものとして早出残業に該当します。企業や上司からの強制的な指示がある場合に限らない点に注意しましょう。

1-3. 早出残業に該当しないケース

早出残業に該当しない具体的な事例を紹介します。

  • 出勤ラッシュを避ける目的で自発的に出勤している
  • 始業時刻の前に出勤して新聞や雑誌を読んでいる
  • 企業が早出出勤を禁止または注意指導している

従業員が自発的に早朝に出勤する場合や、職場についてプライベートな時間を過ごしている場合は早出残業に該当しません。また、企業の就業規則や上司の指示に反して、従業員が勝手に早出する場合も対象外です。

2. 早出残業と36協定の関係性

早出残業であっても、一般的な残業と同じく36(サブロク)協定に従う必要があります

36協定とは、企業が従業員に残業や休日出勤を命じる場合に必要な労使間契約です。36協定を結んでいない企業は、従業員に以下の法定労働時間を超えて仕事を依頼できません。

  • 一日8時間
  • 週40時間

上記の時間を超える部分には、通常の報酬に加え割増賃金を支払います。従業員が早出残業する場合、36(サブロク)協定が関わる点に注意が必要です。

参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき|厚生労働省

3. 早出出勤の残業代の計算方法

早出残業の計算方法は、通常の残業代の計算と同じです。具体的な計算式は以下となります。

残業代=基礎賃金/所定労働時間×割増率(1.25)×早出残業時間

早出出勤によって法定労働時間を超える部分が発生した場合は、通常の賃金の1.25倍の残業代を支払う必要があります。そのため割増率として1.25をかける仕組みです。

例えば、基礎賃金が月20万円、所定労働時間が月160時間、早出残業時間が月40時間のケースは以下の計算になります。

20万円÷160時間×1.25×40時間=62,500円

計算方法を理解し、適切に算出しましょう。

参考:割増賃金の計算方法|厚生労働省

4. 早出出勤の残業代を計算するときの注意点

早出出勤の残業代を計算するとき、状況により割増率が変化することに注意が必要です。例えば、以下の2つが原因として挙げられます。

  1. 深夜労働
  2. 月60時間を超えた法定外労働

ここからは、それぞれ詳しく解説します。

4-1. 深夜労働

午後10時から午前5時までは深夜労働に該当します。深夜労働は割増率が1.25倍です。

例えば、始業時刻が午前5時の企業で、午後4時から早出残業している場合は、割増率が1.5倍になります。

割増率:1.25倍+0.25倍=1.5倍

早出残業の時間が午前5時をまたぐ場合は、それぞれ分割して計算しましょう

4-3. 月60時間を超えた法定外労働

早出残業を含めた法定外労働が月60時間を超えた部分は、割増率が1.5倍です。

例えば、9月25日時点で普通の残業と早出残業の合計が40時間に達したとき、26日から月末までの残業代は高い割増率で計算します。

割増率:1.25倍+0.25倍=1.5倍

早出残業が習慣化している従業員がいる場合は注意が必要です

5. 勝手に早出残業する従業員に対しての対処法

勝手に早出残業する従業員に対しての対処法は以下のとおりです。

  1. 就業規則の明確化
  2. 企業や上司からの指導・注意
  3. 勤怠管理システムの導入

ここからは、それぞれの内容を解説します。

5-1. 就業規則の明確化

就業規則を明確にして、従業員に内容を周知させましょう。そもそも企業に早出残業を禁止するルールがあれば、従業員が残業代を目的として早出出勤することはありません

例えば、就業規則に「指示がない早出残業を禁止する」旨の文言を記載することが効果的です。また、経営者・上司は朝礼やグループミーティングのタイミングで、規則の内容を従業員に伝えましょう。

組織全体で共有できる体制を整え、ルールを形骸化させない取り組みが重要です。

5-2. 企業や上司からの指導や注意

勝手に早出残業する従業員には、企業や上司が個別面談することが効果的です。なかには仕事しているように装って、休憩していたりタバコを吸ったりしているだけの従業員もいます。

面談では早出残業する理由を聞き取り、「今後は早出残業を減らしたい」などと会社の方針を伝えましょう。なお、実態が悪質な場合は、処分を実施することも有効です。

一方で、早出残業の理由が業務負担や職場の慣習によるものであれば、業務をほかのメンバーに調整するなどの対策を取りましょう。

5-3. 勤怠管理システムの導入

不要な早出出勤を減らしたい企業は、勤怠管理システムの導入を検討することがおすすめです。従業員が勝手に早出出勤する原因の一つに、出退勤時間の管理が不十分なことがあります

例えば、始業開始時刻の直前にならないと打刻できない設定の勤怠管理システムを導入することが有効です。また、所定労働時間外にサーバーをダウンさせる企業もあります。

結果として、残業代のコストを削減し労働時間を適正に管理することが可能です。手動でのタイムカードや口頭での報告では限界を感じている経営者や労務担当者の方は、DXツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

6. 必要ない早出残業を減らして生産性を高めよう!

早出残業は、企業にとって大切な労務・管理上の課題です。特に経営者や労務担当者の方は、36協定の内容を理解して、正確に早出残業のコストを計算する必要があります

なかには残業代ほしさで、必要ない業務のために早出残業する従業員もいるでしょう。企業としては、無駄な残業代を発生させないための取り組みを実施する必要があります。

例えば、就業規則を明確にして従業員への周知を徹底させたり、勤怠管理システムを導入して所定労働時間の管理を強化したりすることが有効です。必要ない早出残業を減らして、企業の生産性を高めていきましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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