【例文でわかる】稟議書の書き方|承認されるポイントと業務改善のコツ
公開日: 2025.8.4 jinjer Blog 編集部

「この稟議書、どうすればスムーズに承認されるだろうか?」
部署や役職を問わず、多くのビジネスパーソンが一度は悩んだことのあるテーマではないでしょうか。特に、各部署から上がってくる稟議書を取りまとめたり、全社的な視点でコストやルールを管理したりする総務部門の方にとっては、非常に身近な課題でもあるでしょう。
稟議書は、単に物品購入や契約締結の許可を得るための書類ではありません。組織としての正式な意思決定プロセスを可視化し、会社を動かすための重要なコミュニケーションツールです。
本記事では、稟議を起案するすべての方に役立つ「承認される稟議書の書き方」の原則を、具体的な例文と共に解説します。さらに、総務部門の視点から見た「紙の稟議」が抱える課題と、それを解決する「ワークフローシステム」による業務改善の可能性についても掘り下げていきます。
目次
- 「承認者が出張/直行/休暇などの不在で稟議が止まってしまう…」
- 「期日のある申請の進捗状況に関する問い合わせ対応に追われている…」
- 「稟議承認のためだけに出社するのはもうやめたい…」
このような課題は、ワークフローの見直しで解決できるかもしれません。本資料では、紙やExcelでの申請・承認業務が抱える課題と、システム化によって得られる解決策をわかりやすく解説しています。
◆この資料でわかること
- 自社の運用に合わせた承認ルートの組み方(直線・並列・条件分岐など)
- 導入で失敗しないためのシステム選定・運用のポイント
興味はあるけれど「何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 稟議書とは?その目的と組織における重要性


組織における稟議書の主な目的・重要性は以下の3点です。
- 意思決定プロセスの可視化: 「誰が、何を、なぜ」提案し、それに対して「誰が、どう判断したか」というプロセスが明確になります。
- 公式な合意形成: 口頭での約束ではなく、文書として回覧・承認することで、組織としての公式な合意を形成します。
- 証跡(エビデンス)としての記録: 後日、監査やトラブル発生時に「なぜその決定がなされたのか」を客観的に証明する証拠となります。
2. これだけは押さえたい!承認される稟議書の4つの共通原則


決裁者が多忙な中でも内容を即座に理解し、「承認しよう」と思える稟議書には、共通の原則があります。
2-1. 原則①:結論ファーストで書く
「何を承認してほしいのか」を件名や冒頭で明確に伝えましょう。決裁者はまず、この稟議のゴールを知りたいと考えています。
- NG: 長々と背景を説明してから、最後に「〇〇を購入したい」と書く。
- OK: 件名に「〇〇(備品名)購入に関する稟議」と明記し、冒頭で「標記の件、購入の承認をお願いいたします」と記載する。
2-2. 原則②:5W1Hを明確にする
稟議の全体像が掴めるよう、基本情報を簡潔に整理して記載します。
- When(いつ): 実施時期、納期
- Where(どこで): 実施場所、納品場所
- Who(誰が): 担当部署、担当者
- What(何を): 購入する物品、契約するサービス
- Why(なぜ): 実施する目的、背景
- How(どのように): 実施方法、手順
2-3. 原則③:客観的な根拠(データ)を示す
「〜が必要だと思います」といった主観的な表現だけでは、説得力に欠けます。
「なぜなら、〇〇というデータがあるからです」というように、客観的な事実や数値を基に必要性を裏付けましょう。
2-4. 原則④:費用対効果とリスクを隠さず明記する
投資(費用)に対して、どのようなリターン(効果)が見込めるのかを具体的に示します。
同時に、考えられるリスクやデメリット、そしてその対策も併記することで、誠実さが伝わり、決裁者は安心して判断を下せます。
3. 【テンプレート付】稟議書の基本的な書き方と必須項目


ここでは、多くの企業で使える汎用的な稟議書のテンプレートをご紹介します。
| 項目 | ポイント |
| 起案日・起案部署・起案者(When,Where,Who) | 「いつ」「誰が」起案したかを記載します。 |
| 決裁日 | 最終決裁者が承認日を記入する欄です。 |
| 件名 | 【結論ファースト】内容が一目でわかるように。「〇〇導入に関する稟議」など。 |
| 目的・背景(Why) | なぜこの稟議を上げる必要があるのか、現状の課題や背景を簡潔に説明します。 |
| 提案内容(What, How) | 具体的に何を実施したいのか、その方法や手順を記載します。 |
| 期待される効果 |
【費用対効果】提案が承認された場合に得られるメリットを、可能な限り数値化して示します。 (例:〇〇時間の工数削減、〇〇%のコスト削減など) |
| 費用(How much) | 見積書などを基に、必要な費用を正確に記載します。複数社の相見積もりがあるとより説得力が増します。 |
| リスクと対策 | 【リスク管理】想定されるリスクや懸念点と、それに対する具体的な対策を正直に記載します。 |
|
添付資料 |
根拠となる資料(見積書、製品カタログ、比較表など)を添付します。 |
このようなサンプルを参考に稟議書を作成していきましょう。
4. 【ケース別例文】すぐに使える稟議書の書き方


4-1. 例文①:ITツール(Web会議システム)の全社導入稟議
|
件名:【全社】Web会議システム「〇〇」導入に関する稟議 1. 目的・背景 2. 提案内容 3. 期待される効果 4. 費用 5. リスクと対策 6. 添付資料 |
4-2. 例文②:オフィスレイアウト変更工事の稟議
|
件名:【本社】コミュニケーション活性化を目的としたオフィスレイアウト変更工事に関する稟議 1. 目的・背景
(以下、同様の構成で提案内容、効果、費用などを記載) |
5. 総務が直面する「紙の稟議」の限界と経営リスク


どんなに優れた稟議書を作成しても、その承認プロセスが非効率な「紙とハンコ」のままでは、企業全体の生産性を著しく低下させます。具体的には、以下のような課題が考えられます。
5-1. プロセスのブラックボックス化
回覧中の稟議書が「今どこで止まっているのか」分からず、進捗確認に手間取るケースがよくあります。
これは、業務が特定の担当者に属人化する原因にもなります。
5-2. 意思決定の遅延
承認者が不在・出張の場合、決裁が完全にストップします。
物理的な書類の移動に時間がかかり、ビジネスのスピード感を損ないます。
5-3. 内部統制・コンプライアンス上の脆弱性:
承認ルートを誤ったり、飛ばしたりするミスが起こり得ます。
また、書類の紛失や情報漏洩のリスクも常に付きまといます。
5-4. コストの増大
紙代、印刷代、ファイル代、保管スペース代、そしてそれらを管理するための人件費など、目に見えないコストが積み重なっています。このような課題があげられます。
特に、全社の業務プロセスを俯瞰する総務部門にとっては、見過ごせない経営リスクに繋がります。
そのため、特に従業員数が多く、稟議書を取り扱う数も多い企業では、早急に業務改善を視野に入れて進める必要があるでしょう。
6. 「ワークフローシステム」が全社の稟議プロセスを改革する


これらの課題を根本から解決するのが、稟議をはじめとする社内の申請・承認プロセス全体を電子化する「ワークフローシステム」です。
ワークフローシステムを導入することで、総務部門が主導する全社的な業務改善が実現します。
6-1. メリット①:申請・承認プロセスの標準化と可視化
正式な承認ルートをシステム上で設定することで、全社で統一されたルールを徹底できます。
誰でも現在の進捗状況をリアルタイムで確認でき、業務のブラックボックス化を防ぎます。
6-2. メリット②:時間と場所を選ばない迅速な意思決定
PCやスマートフォンさえあれば、出張先や在宅勤務中でも申請・承認が可能です。
意思決定のスピードが飛躍的に向上し、ビジネスチャンスを逃しません。
6-3. メリット③:内部統制の強化とペーパーレス化の実現
誰が・いつ・何を承認したかの履歴がすべて電子データとして記録され、改ざんも困難なため、内部統制とコンプライアンスが大幅に強化されます。
さらに、ペーパーレス化によるコスト削減効果も絶大です。
7. 稟議書の正しい書き方を定着させ電子化で業務改善を!


本記事では、承認される稟議書の書き方の普遍的な原則と、具体的な例文、そして総務部門が直面する稟議プロセスの課題と、その解決策について解説しました。
- 優れた稟議書は、「結論ファースト」「5W1H」「客観的根拠」「費用対効果とリスク」の4原則を押さえている。
- しかし、どんなに良い稟議書も、非効率な「紙のプロセス」がボトルネックとなり、企業全体の生産性を低下させる。
- ワークフローシステムは、稟議プロセスを電子化・標準化し、迅速な意思決定と内部統制の強化を実現する。
日々の業務に追われる中で、「稟議書の書き方」というスキルを磨くことはもちろん重要です。しかし、企業の成長を支える総務部門の責任者としては、もう一歩進んで、「稟議書の回覧プロセス」そのものを改革し、全社の生産性を向上させる視点を持つことが、今まさに求められています。



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- 「期日のある申請の進捗状況に関する問い合わせ対応に追われている…」
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