【2026年最新】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

【2026年最新】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

【2026年最新】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

【2026年最新】育児・介護休業法改正のポイントは?企業がすべき対応や罰則をわかりやすく解説

子供と遊ぶ父親

育児介護休業法とは、育児や介護をおこなう労働者が、家庭と仕事を両立できるように休業や勤務時間の短縮などの支援制度を定めた法律です。

育児介護休業法では、近年、労働者のワークライフバランスの実現を目指した改正が続いています。

本記事では、人事・労務担当者が押さえておくべき改正の重要ポイントから、実務への具体的な対応策までをわかりやすく解説します。最新の制度を正しく理解し、安心できる職場づくりに役立ててください。

育児・介護休業の対応、もう迷わない! すべてがわかる【実務担当者向けルールブック】

育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。

◆この資料でわかること

  • 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
  • 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
  • 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
  • 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要

2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 2026年5月現在、育児介護休業法改正はすべて施行済み

はてなのふきだし

育児・介護休業法は、2025年4月と10月の2回に分けて改正されました。改正内容には企業に義務付けられる事項も含まれているので、最新の制度内容を正しく理解し、対応していない場合には早急に社内制度や運用の見直しを検討しましょう。

関連記事:育児介護休業法とは?制度内容と2025年改正を簡単にわかりやすく解説 

sharoshi_default

育児介護休業法は、育児や介護を行う労働者の仕事と家庭の両立を実現するための法律です。昨今の少子高齢化社会や共働き世帯の増加などに対応するため改正が続いています。

こうした改正の影響もあり、男性の育児休業取得が促進され2024年の男性の育児休業取得率は初めて40%を超えるなど柔軟な働き方は着実に広がっています。一方で、度重なる改正によって企業に求められる対応は年々複雑化し労務担当者の負担が増大しているのも事実です。

そのため、各休業制度や関連する支援措置について、改めて内容や運用方法を正しく整理して理解しておくことが重要です。制度を正確に運用できる体制を整えることで、従業員からの相談や疑問にも適切に対応でき、安心して働き続けられる職場づくりにつながります。

解説:社会保険労務士

2. 【2025年4月施行】育児・介護休業法の改正内容

キーポイント

育児・介護休業法は、2025年4月と10月に分けて改正内容が順次施行されました。この章では、まず2025年4月の改正について解説します。

改正項目

主な改正内容

対象

子の看護等休暇の見直し

対象年齢を小学校3年生修了まで拡大。取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等、入園・入学式、卒園式を追加

育児

所定外労働(残業免除)の制限の対象拡大

対象を3歳未満の子から小学校就学前の子を養育する労働者へ拡大

育児

短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加

3歳未満の子を養育する労働者向けの短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加

育児

テレワーク環境整備の努力義務化

3歳未満の子を養育する労働者、要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう努める

育児・介護

育児休業取得状況の公表義務拡大

男性の育児休業等取得状況または育児休業等と育児目的休暇の取得率の公表義務対象を従業員数1,000人超から300人超の企業へ拡大

育児

介護休暇の取得要件緩和

労使協定により除外できる労働者から、継続雇用期間6ヵ月未満の労働者を除外

介護

介護離職防止のための雇用環境整備

研修、相談窓口設置、事例提供、方針周知のいずれかの措置を義務化

介護

介護に直面した旨の申出をした労働者への個別周知・意向確認

介護休業制度等の内容、申出先、介護休業給付金について個別周知・意向確認を義務化

介護

介護に直面する前の早期情報提供

40歳に達する年度などに、介護休業制度等に関する情報提供を義務化

介護

2-1. 子の看護等休暇への見直し

2025年4月より、労働者が子の看護休暇制度をより利用しやすくするため、次のとおり包括的な見直しがおこなわれました。

  • 名称を「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更
  • 対象年齢を「小学校就学の始期に達するまで」から 「小学校3年生修了まで」 に拡大
  • 取得できる理由に③④を追加
    ①病気・けが
    ②予防接種・健康診断
    ③感染症に伴う学級閉鎖等
    ④入園(入学)式、卒園式
  • 労使協定による除外できる対象者のうち「継続雇用期間6ヵ月未満」を廃止
    →今後は「週の所定労働日数が2日以下」の労働者が除外対象

2025年4月の改正により、子の看護以外でも休暇を取得できるようになり、対象者も広がりました。なお、取得可能日数(年間5日、子が2人以上の場合は10日)は従来通りです。

関連記事:看護休暇とは?企業側のメリットや運用時の注意点を解説 

関連記事:看護休暇は無給でも問題ない?取得条件・メリット・給与計算・注意点を解説 

2-2. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

残業を免除される対象者の範囲が「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されました。

そのため、対象の従業員から請求があった場合、原則として企業は対象の従業員の所定外労働を免除しなければなりません。なお、労使協定により一定の労働者を対象外とする場合があります。

2-3. 短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加

3歳未満の子を養育する従業員向けの短時間勤務制度の代替措置として、新たに「テレワーク」が選択肢に加わりました。

 

改正前

改正後

代替措置

①育児休業に関する制度に準ずる措置

②始業時刻の変更等

①育児休業に関する制度に準ずる措置

②始業時刻の変更等

③テレワーク

企業では3歳未満の子を育てる従業員に、原則として短時間勤務制度(時短勤務)を設けなければなりません。ただし、業務の都合上短時間勤務をさせることが難しい場合は、労使協定によって短時間勤務の対象外とし、代替措置を講じる必要があります。

関連記事:時短勤務はいつまで取れる?気になる期限と就業規則の決め方 

2-4. 育児・介護のためのテレワーク環境整備が努力義務化

3歳未満の子を育てる労働者や、要介護状態の家族を介護する労働者が「テレワーク」を選べる環境を整えることが、事業主に対して努力義務化されました。

2-5. 育休取得状況の公表義務拡大

男性の育児休業取得促進のため、育休取得状況の公表義務の対象企業が拡大されました。

 

改正前

改正後

公表義務の対象となる企業

従業員数1,000人超の企業

従業員数300人超の企業

公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。年1回、年度終了後から3ヵ月以内に一般の人が閲覧できる方法で公表する必要があります。

次世代育成支援対策推進法に基づき、従業員数100人超の企業は、育児休業等の取得状況や労働時間の状況に係る数値目標の設定が義務付けられている点もあわせて押さえておきましょう。

参考:一般事業主行動計画の策定・届出等について|厚生労働省 

2-6. 介護休暇を取得できる労働者の要件の緩和

労使協定で介護休暇の対象から除外できる労働者の条件が変更されています。改正前は「継続雇用期間6ヵ月未満」も除外条件のひとつでしたが廃止され、「週の所定労働日数が2日以下」の労働者のみが対象となりました。

 

改正前

改正後

除外できる労働者

①週の所定労働時間が2日以下

②継続雇用期間6ヵ月未満

①週の所定労働日数が2日以下

2-7. 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑におこなわれるよう、事業主は次のいずれかの措置を講じる義務があります。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

上記のうち、複数の措置を講じることが望ましいとされています。

また、介護に直面した旨の申出をした労働者に対しては、介護休業制度等に関する情報を周知するとともに、介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向を個別に確認する義務があります。

周知事項

①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等の内容

②介護休業・介護両立支援制度等の申出先

③介護休業給付金に関すること

個別周知・意向確認の方法

面談(オンライン可能)、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか 

なお、「FAX」「電子メール等」は労働者が希望した場合に限り認められます。

参考:法改正のポイント|厚生労働省

さらに、介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供が義務化されています。

情報提供期間

①労働者が40歳に達する日の属する年度

②労働者が40歳に達する日の翌日から1年間のいずれか

情報提供事項

①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等

②介護休業・介護両立支援制度等の申出先

③介護休業給付金に関すること

情報提供の方法

「面談(オンライン可能)」「書面交付」「FAX」「電子メール等」のいずれか

情報提供にあたっては、介護休業制度が「介護体制を整えるために一定期間休業する場合に対応する制度」であることなど、各制度の趣旨や目的を踏まえた説明が望ましいとされています。また、あわせて介護保険制度についても周知するとより効果的です。

3. 【2025年10月施行】育児・介護休業法の改正内容

法律の改正

次に2025年10月に施行された育児・介護休業法に関する改正内容を解説します。

改正項目

主な改正内容

対象

柔軟な働き方を実現するための措置の義務化

3歳から小学校就学前の子を養育する労働者を対象に、5つの措置から2つ以上を導入

育児

柔軟な働き方制度の個別周知・意向確認

事業主が導入した措置について、対象労働者へ個別に周知し、利用意向を確認

育児

仕事と育児の両立に関する個別意向聴取・配慮

妊娠・出産等の申出時や子が3歳になる前の時期に、勤務時間帯・勤務地・制度利用期間などの意向を聴取し、配慮をおこなう

育児

参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和7(2025)年4月1日から段階的に施行|厚生労働省 

関連記事:2025年10月施行!柔軟な働き方を実現するための措置の内容と企業の対応事項を解説

3-1. 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の義務化

企業は「3歳から小学校就学前の子を養育する労働者」を対象に、次の5つの措置のうち最低2つを制度として導入する義務があります。従業員は、企業が導入した措置の中から1つを選んで利用できます。

  1. 始業・終業時刻の変更(時差出勤またはフレックスタイム制)
  2. テレワーク等(月10日以上利用可能なテレワーク制度)
  3. 保育施設の設置運営等(費用負担やベビーシッターの手配など)
  4. 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
  5. 短時間勤務制度(所定労働時間を6時間に短縮できる制度)

2、4は原則として、時間単位で取得可とする必要があります。

また、企業がどの措置を導入するか決定する際には、過半数組合等から意見を聴取する機会を設ける必要があります。

3-2. 育児期の柔軟な働き方に関する個別周知・意向確認の義務化

3歳未満の子を養育する従業員に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、企業には柔軟な働き方を実現するための措置が求められています。「3-1. 育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の義務化」で選択した対象措置に関する、次の事項の周知と制度利用の意向の確認を個別におこなわなければなりません。

周知時期

従業員の子が3歳の誕生日の1ヵ月前までの1年間(1歳11ヵ月に達する日の翌々日から2歳11ヵ月に達する日の翌日まで)

周知事項

①選択した柔軟な働き方を実現するための措置(2つ以上)の内容

②対象措置の申出先

③所定外労働・時間外労働・深夜業の制限に関する制度

個別周知・意向確認の方法

面談(オンライン可能)、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか

なお、利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められないため注意しましょう。

3-3. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

企業には、労働者が妊娠・出産を申告した時や、子どもが3歳になる前の適切な時期に、各家庭の状況に応じた仕事と育児の両立について労働者の意向を個別に確認することが義務付けられています。

意向聴取の時期

①労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき

②労働者の子が3歳の誕生日の1ヵ月前までの1年間(1歳11ヵ月に達する日の翌々日から2歳11ヵ月に達する日の翌日まで)

聴取内容

①勤務時間帯(始業・終業時刻)

②勤務地(就業場所)

③両立支援制度の利用期間

④業務量や労働条件の見直しなど就業条件

意向聴取の方法

面談(オンライン可能)、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか

なお、「FAX」「電子メール等」は労働者が希望した場合に限り認められます。

聴取した意向は、自社の状況に応じて必ずしも実施が必要ではありませんが、可能な限り配慮しなければなりません。

<具体的な配慮の例>

  • 勤務時間帯、勤務地にかかる配置
  • 両立支援制度等の利用期間等の見直し
  • 業務量の調整
  • 労働条件の見直し

また、子に障害がある場合など、労働者から希望があったときは、短時間勤務制度や子の看護等休暇について、法定の対象年齢・取得日数を上回る措置を検討することが望ましいとされています。ひとり親家庭についても、子の看護等休暇の付与日数などに配慮することが推奨されています。

4. 育児・介護休業法改正で企業が対応すべきこと

介護する

2025年4月・10月に施行された育児・介護休業法の改正により、実務担当者の負担は増加しました。ここでは、改正に対応するための具体的な対応策を紹介します。既に法改正は施行されているので、未対応の場合は速やかに対応することが重要です。

4-1. 就業規則・労使協定を改定し周知する

法改正によって自社の制度が変更された箇所は、就業規則や労使協定の改定が必要です。就業規則の見直しが必要な箇所は主に次の通りです。

改正事項

就業規則や労使協定の見直しが必要な箇所

子の看護休暇

  • 「子の看護休暇」を「子の看護等休暇」に変更
  • 取得事由に感染症に伴う学級閉鎖等と入園(入学)式、卒園式を追加

所定外労働(残業)の制限

  • 対象を「3歳未満の子を養育する労働者」から「小学校就学前の子を養育する労働者」に変更

短時間勤務の代替措置

  • 代替措置のメニューにテレワークを追加(代替措置としてテレワークを選択する場合)

育児介護のためのテレワーク導入

  • 就業規則にテレワークの措置を受けることができる旨を記載する

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

  • 労使協定による継続雇用期間6ヵ月未満除外規定の廃止(労使協定を締結している場合は就業規則の見直しが必要)

柔軟な働き方を実現するための措置

  • 次の5つのうち2つ以上選択して就業規則に規定する
    ①始業時刻等の変更
    ②テレワーク等(月10日以上)
    ③保育施設の設置運営等
    ④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇
    ⑤短時間勤務制度

改定の内容は厚生労働省が公開している『育児・介護休業等に関する規則の規定例』 を参考にすると便利です。法令以外にも、自社で独自に導入したルールがある場合には、合わせて改定しましょう。

就業規則の改定後は、従業員への周知とともに労働基準監督署への届出が必要です。いずれも漏れのないよう対応しなければなりません。なお、育児・介護休業等に関する労使協定は締結のみで、届出は不要です。

4-2. 柔軟な勤務体系に対する環境を整備する 

2025年10月以降、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に関して、柔軟な働き方を実現するための措置が企業に義務付けられています。次の5つから2つ以上を選択して措置を講じなければなりません。

改正内容に合わせて、柔軟な勤務体系を導入し、働く環境を整備しましょう。

選択して講ずべき措置

詳細

始業時刻等の変更

フレックスタイム制の導入、始業または終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度(時差出勤)の導入

テレワーク等

1日の所定労働時間を変更せず、月に10日以上利用できるもの

保育施設の設置運営等

保育施設の設置運営、ベビーシッターの手配や費用負担など

就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇

1日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上取得できるもの

短時間勤務制度

1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの

4-3. 従業員数が300人超の企業は育児休業の取得状況公表準備をおこなう

従業員数が300人を超える企業は「男性の育児休業取得率」または「男性の育児休業と育児目的休暇の取得率」を公表しなければなりません。自社ホームページや、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」など、一般の方が閲覧できる方法でおこないます。

 

育児休業等の取得割合

育児休業等と育児目的休暇の取得割合

計算方法

育児休業等をした男性労働者の数

配偶者が出産した男性労働者の数

育児休業等をした男性労働者の数

小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度

を利用した男性労働者の数の合計数

配偶者が出産した男性労働者の数

参考:男性の育児休業取得率等の公表について|厚生労働省

参考:両立支援ひろば|厚生労働省

4-4. 勤怠管理・給与計算システムの設定および運用を見直す

男性の育児休業の取得率などデータの算出にはシステムの活用がおすすめです。勤怠管理システムや人事データベースで、取得日数や取得率を正確に集計できる仕組みを整えましょう。

法令で求められるのは数値の公表のみですが、育児休業取得促進に関する自社の取り組みも併せて発信すれば、採用力や企業イメージの向上にもつながるでしょう。

関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ

4-5. 育児介護休業法改正の制度理解を促進する

育児介護休業法改正をうけて、人員配置の変更や社内への協力依頼、従業員への説明など、企業の対応業務は増加しています。まずは、経営層や人事が主体となって従業員に改正後の育児休業について正しい理解を促進しましょう。

育児休業や介護休業等を取得しやすい雇用環境を整備するため、企業には研修の実施や相談体制の整備、制度利用事例の提供、方針の周知などの措置が求められています。従業員の理解を促進するために研修の実施も有用でしょう。

従業員が制度利用を希望するときの具体的な手続き方法など、実態に即した内容を研修に盛り込むことでより理解が深まります。特に管理職向けに育児介護についての研修を実施すれば、部下の仕事と育児・介護の両立支援を後押しする意識づくりにつながるでしょう。

5. 育児・介護休業法に違反したらどうなる?リスクや罰則を解説

リスクのブロック

育児・介護休業法は、仕事と家庭生活の両立を支援するために企業にさまざまな義務を課しています。

sこれに違反した場合、行政から注意を受けるだけでは済まず、企業の社会的信用の低下や経営への重大な影響を及ぼすおそれがあります。この章では、違反した場合に想定される主なリスクと法的なペナルティについて解説します。

5-1. 行政指導・是正勧告を受ける

育児・介護休業法に違反している疑いがある場合、都道府県労働局から企業に報告を求められたり、必要な調査が入ったりすることがあります。違反が確認されると、助言・指導・勧告などの行政指導の対象となります。

例えば、「子の看護等休暇の取得を認めなかった」「正当な理由もなく残業免除の申請を拒否した」といった場合、法令違反として是正を求められる可能性があるため注意しましょう。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第56条、第58条|e-Gov法令検索 

5-2. 違反の事実および企業名が公表される

是正勧告を受けたにもかかわらずこれに従わなかった場合、厚生労働省は違反の事実と企業名を公表できます。この公表は、単なる行政上の手続きにとどまらず、企業の社会的信用や評判に直接的な影響を与える重大な措置です。

企業名が公表されると、いわゆる「ブラック企業」のイメージが広く浸透するおそれがあります。その結果、採用活動における応募者の減少、既存従業員のモチベーション低下、さらには取引先との関係悪化や企業ブランドの毀損など、多方面に悪影響が生じてしまうでしょう。

こうしたリスクを重く受け止め、是正勧告を受けた場合には速やかに改善策を実施し、再発防止のための体制整備や社内教育を徹底することが不可欠です。適切な対応を通じて、企業としての信頼性を維持・向上させることが、長期的な経営安定にもつながります。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第56条の2|e-Gov法令検索 

5-3. 刑事罰や損害賠償につながるおそれもある

育児・介護休業法には、企業が法令を遵守しない場合に対する刑事罰が定められています。例えば、厚生労働大臣から報告を求められたにもかかわらず報告をしなかったり、虚偽の内容で報告したりした場合には、20万円以下の過料が課されるおそれがあります。

さらに、不利益な取り扱いにより労働者に損害を与えた場合は、民事上の損害賠償請求を受けるリスクもあるでしょう。違法な対応が認められると、金銭的な負担が生じるだけでなく、企業のコンプライアンス体制や社会的信用にも大きな影響が及びます。

そのため、育児・介護休業法に基づく制度運用や従業員対応については、社内規程や労務管理の仕組みを整備するとともに、研修や相談窓口の設置などの対策を講じ、適切に対応することが重要です。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第56条、第13章罰則|e-Gov法令検索 

6. 2022年・2023年施行の育児・介護休業法の改正履歴とポイント

ポイントマーク積み木

2025年以前にも、育児・介護休業法は段階的に改正され、育児・介護と仕事の両立支援が強化されました。ここでは、2022年以降の主な改正内容を整理します。

6-1. 2022年4月施行

2022年4月1日施行の改正では、次の2点がおこなわれました。

  1. 雇用環境の整備、育休について周知や従業員の意向確認が義務化
  2. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件が緩和

それぞれを詳しく解説します。

6-1-1. 雇用環境の整備、育休について周知や従業員の意向確認が義務化

育児休業や産後パパ育休の申出が円滑におこなわれるよう、事業主には次のいずれかの措置を講じることが義務化されました。

【育児休業を取得しやすい雇用環境の整備】

  1. 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  2. 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

【妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置】

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出をした従業員に対しては、個別に制度内容を周知し、育児休業取得の意向を確認することも義務となっています。ただし、取得を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。

周知事項

①育児休業・産後パパ育休に関する制度

②育児休業・産後パパ育休の申し出先

③育児休業給付に関すること

④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

個別周知・意向確認の方法

面談(オンライン可能)、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか

6-1-2. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件が緩和

有期雇用労働者の育児・介護休業を取得する要件が無期雇用労働者と同様の取り扱いとなりました。具体的には、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃され、育児・介護休業申出の時点で、次の要件を満たす有期雇用労働者が対象となりました。

育児休業:子が1歳6ヵ月に達する日までに、労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

介護休業:介護休業開始予定日から93日経過する日から6ヵ月を経過する日までに、労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

6-2. 2022年10月施行

2022年10月1日施行の改正では、次の2点がおこなわれました。

  1. 産後パパ育休制度が新設
  2. 育児休業の分割取得ができるようになった

それぞれを詳しく解説します。

6-2-1. 産後パパ育休制度が新設

男性育休の取得促進のため、「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が創設されました。

  • 対象期間:子の出生後8週間以内に最大4週間
  • 申出期限:原則休業の2週間前まで
  • 分割取得:2回まで分割取得可能
  • 休業中の就業:労使協定を締結している範囲で就業可能

関連記事:産後パパ育休とは?育児休業との違いや申請方法、給付金について解説

6-2-2. 育児休業の分割取得ができるようになった

従来は原則1回だった育児休業が、2回まで分割取得できるようになりました。また、1歳以降の延長開始日は1歳、1歳半の時点に限定されていたものが、開始日を柔軟に選択できるようになりました。

6-3. 2023年4月施行|育休取得状況の公表が義務化

2023年4月1日施行の改正では、従業員数1,000人超の企業を対象に、男性の育児休業取得状況の公表が義務付けられました。公表する内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。

その後、2025年4月の改正により、公表義務の対象は従業員数300人超の企業まで拡大されました。つまり、2026年5月時点では、従業員数301人以上の企業が公表義務の対象です。現在の公表義務については、本記事の「2-5. 育休取得状況の公表義務拡大」で詳しく解説しています。

7. 育児・介護休業法の改正ポイントをおさえて職場環境を整備しよう

ポイント

2025年4月・10月施行の育児・介護休業法改正は、育児・介護をしながら働く人をより幅広く支援するための重要な制度変更です。各措置の対象年齢や取得要件の緩和、柔軟な働き方を実現するための措置の導入、個別の意向聴取・配慮など、企業に求められる対応は多岐にわたります。

改正内容を確実に実務に落とし込むためには、就業規則や労使協定の見直し、従業員への周知・研修、人的リソース確保のための体制整備が欠かせません。また、法令上の義務を果たすだけでなく、制度利用を促進しやすい職場風土づくりや、取得実績・取り組みの積極的な発信も、企業価値向上につながります。

改正ポイントを正しく理解し、計画的かつ前向きに対応を進めることで、従業員が安心して長く働き続けられる職場環境を実現しましょう。

育児・介護休業の対応、もう迷わない! すべてがわかる【実務担当者向けルールブック】

育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。

◆この資料でわかること

  • 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
  • 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
  • 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
  • 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要

2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

人事・労務管理のピックアップ

新着記事