育児休業期間はいつからいつまでか徹底解説
更新日: 2023.2.1
公開日: 2022.9.12
目黒颯己
育児休業を取得している従業員は、育児休業給付金の支給など手厚い支援を受けることができます。上手に活用することで仕事と育児の両立が実現できる制度ですが、期間はどのくらいあるのでしょうか。
この記事では、育児休業期間がいつからいつまであるのか詳しく解説しています。従業員から休業の延長依頼をされたときの手続き方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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1. 育児休業期間はいつからいつまで?
育児休業とは、1歳未満の子どもを養育するために法律で定められた制度です。休業期間は、原則として子どもが1歳になる前日までとしています。
女性の場合、出産直後の8週間は産休になるため、育児休業の開始日は子どもが生まれて57日目以降からになるのです。
育児休業は子ども1人につき1回まで取得できます。しかし、法改正により2022年10月以降は休業期間の分割が認められるようになるため、今後は期間中であれば分割して2回の取得も可能です。
1-1. 男性の育休期間は女性と異なる?
男性の育児休業期間は、配偶者の出産予定日から1歳になる前日までです。女性は出産後、産後休業を挟むため、男女で育休期間は異なります。
育休開始日は出産予定日としていますが、実際予定日通りに出産できるとは限りません。予定より早く生まれた場合は、会社に申し出ることで育児休業開始日の繰り上げが可能ですが、遅く生まれた場合は元々の予定日から育児休業がスタートします。
男性の場合も申請することで、育児休業給付金の受給が可能です。出産が遅れた場合でも、出産予定日から支給対象となります。
男性の育休取得率は、2021年の調査で13.97%であり、女性の85.1%と比較すると非常に低い数値です。しかし、それでも年々上昇傾向にあるため、以前よりは取得しやすくなってきています。
ですが、取得期間は2週間未満が50%以上を占めており、子どもが1歳になるまで取得できている人はほとんどいません。
1-2. 多胎妊娠の場合
双子など2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠する多胎妊娠であっても、子ども1人の場合と育児休業期間は変わりません。
多胎妊娠によって期間が変わるのは、産前休業のみです。通常、産前休業は6週間としていますが、多胎妊娠は14週間前からの取得ができます。
なお、育児休業給付金の額も、子どもの人数に関係なく額は同じです。
2. 育児休業期間は延長できる?
育児休業期間は、子どもが1歳を迎えるまでが基本の期間ですが、状況によっては延長も可能です。近年では待機児童問題があるため、「保育所に入園できなかった」など事情もあるでしょう。
このようなやむを得ない理由がある場合、子どもが1歳6か月になるまで延長できます。さらに延長が必要になった場合は、最長2歳まで可能です。
2-1. 育児休業期間延長の条件
育児休業期間を延長するための条件は、延長をしないと子どもを養育する人がいない場合です。具体的には、主に以下のような理由が挙げられます。
- 保育所へ入園申込みをしたが入れなかった
- 配偶者の怪我、病気、死亡により養育が困難になった
- 配偶者と別居した
子どもが1歳の時点で、2歳までの延長希望を出されたとしても認められません。1歳6か月まで延長するときと、2歳まで延長するときそれぞれで、条件に当てはまっている必要があります。
また、保育所への入園申し込みと入所希望日は、1歳の誕生日より前であることも条件です。
2-2. パパ・ママ育休プラスで2か月の延長が可能
夫婦ともに育児休業を取得する場合は、「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用することで、1年2か月まで取得が可能になります。
パパ・ママ育休プラスは、夫婦が一緒に取得する方法や、育休を交代する形で取得する方法など、パターンはさまざまです。
この制度の利用条件は、以下のようになります。
- 夫婦ともに育児休業を取得していること
- 配偶者は子どもの1歳の誕生日までに育児休業を取得していること
- 本人の育休開始予定日が子どもの1歳の誕生日前であること
- パパ・ママ育休プラスの取得者の休業開始日が、配偶者の開始日以降であること
夫婦どちらが先に育休を取得しても問題ありませんが、先に取得した方は、制度の対象とはならず、通常通り子どもが1歳になるまでの期間となります。
パパ・ママ育休プラスは、特別な事情がなくても利用できる制度です。
3. 育児休業期間を延長するための手続き
育児休業期間を延長する場合は、従業員からの申し出を受けて、会社側が手続きを行う必要があります。
延長手続きを行わなかった場合、育児休業給付金が支給されなくなってしまうため、速やかに申請することが望ましいでしょう。
延長するために必要な書類はハローワークへ提出しますが、休業終了の2週間前までに申請しなければなりません。以下は、延長の理由によって異なる必要書類です。
- 保育所に入園できなかった場合:市区町村が発行する入所不承諾通知書
- 配偶者の怪我、病気、死亡により養育が困難になった場合:住民票、母子健康手帳、医師の診断書など
- 配偶者と別居した場合:住民票と母子健康手帳
これらを従業員に提出してもらう必要があります。なお、保育園に入れなかった証明となる「入所不承諾通知書」は、1歳の誕生日時点の入所状況が確認できるものに限るので、注意が必要です。
会社側は、以下の2つの書類を用意しましょう。
- 育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳や出勤簿など、支払い状況を証明できる書類
上記2つの書類は、初回の給付金申請手続きで使用したものと同じなので、用意は難しくありませんが、従業員に提出してもらう書類はできる限り早めに回収しましょう。
3つの書類がそろったら、管轄のハローワークへ提出して、延長手続きを完了させます。
4. 育児休業期間の短縮は可能?
育児休業期間は、一般的に延長する人の方が多いかもしれませんが、中には短縮して早く復職したいと考えている方もいます。
そのような場合、予定よりも育児休業期間を短くすることは可能です。子どもが1歳になるより前に保育所が見つかった場合や、従業員が復職を希望している場合などは、育児休業期間の変更を行う必要があります。
ただし、終了予定日の変更を認めるかどうかは会社の判断に任されているため、トラブル防止のためにも、育児休業期間変更に関する内容は就業規則に規定しておいた方が良いでしょう。
休業期間を終了させるためには、従業員から「育児休業終了届」を提出してもらいます。また、休業期間中は社会保険料が免除されているため、「育児休業等取得者申出書・終了届」を日本年金機構に提出することも忘れずに行いましょう。
5. 育児休業期間は状況次第で延長できる
育児休業期間は、産後休業終了の翌日から子どもが1歳になるまでを原則としています。しかし、預け先の保育園が見つからなかったなど、やむを得ない理由がある場合は、最長2歳まで延長可能です。
延長手続きを行うとき、企業担当者は育児休業に関する要件や内容を理解した上で、進めていく必要があるでしょう。
従業員が安心して子育てができるよう、夫婦ともに育児休業が取得できる職場環境を作っていくことが大切です。待機児童問題で保育所に入れないケースも多々あるので、延長依頼があった際は、適切に対処できるようにしておきましょう。
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