育児・介護休業法とは?目的や企業の対応について解説
更新日: 2023.2.13
公開日: 2022.9.16
目黒颯己
「育児休業」「介護休業」という言葉は知っていても、具体的な内容は曖昧という方は多いのではないでしょうか。
育児休業と介護休業は、「育児・介護休業法」に含まれる制度で、従業員が育児・介護と仕事が両立できるように支援する目的で導入されました。
育児・介護休業法は、2022年6月に改正され、2022年4月以降3段階に分けて改正内容が施行されます。
2023年4月にも改正内容の施行があるため、自社がどのように対応すべきなのかを確認しておきましょう。
そこで本記事では、育児・介護休業法についてだけではなく、2022年4月以降の改正で何が変わるのかについて徹底解説していきます。
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また、2022年4月より段階的におこなわれている法改正の内容と対応方法も解説しているため、法律に則って適切に従業員の育児・介護休業に対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法とは、育児・介護を理由に労働者が離職することなく、両立しながら働けるように支援する目的で創設された法律です。
育児・介護休業法は、主に下記2つの制度を設けています。
- 育児休業制度
- 介護休業制度
ただし、本記事で紹介している「休業制度」は法律で定められたものを指します。
企業が独自で行っている「育児休暇」などとは異なる定義や内容となるので注意しましょう。
1-1. 育児休業制度について
育児休業制度とは、「子どもの養育を目的」に休業を取得できる制度を指します。
ある一定の条件を満たしていれば、正社員だけでなく派遣社員なども利用が可能です。
原則として、子どもが1歳を迎える前日までの期間内であれば希望する時期に育児休業が取得できます。
また、1歳を迎えたあともやむを得ない事情がある場合は、育児休業を延長することができます。
1-2. 介護休業制度について
介護休業制度とは、「要介護認定されている家族の介護を目的」に休業を取得できる制度を指します。
育児休業制度と同様に、ある一定の条件を満たせば正社員以外の雇用条件の方でも利用が可能です。
対象となる家族1人につき、取得できる介護休業は最大3回までとなっており、通算93日までの休業の取得ができます。
2. 2022年から2023年にかけて段階的に実施
育児・介護休業法は1991年に制定されて以降、何度も改正をおこなってきました。
さらに2021年6月に育児・介護休業法が改正され、2022年4月、2022年10月、2023年4月の3段階に分けて段階的に施行される流れとなりました。
今回の改正により、育児・介護休業がより取得しやすくなっただけでなく、より仕事と両立できるような内容に変更されています。
育児・介護休業法の各スケジュールの改正事項は、下記の通りです。
2-1. 2022年4月の改正について
2022年4月の改正の改正で変わる点は下記2点です。
- 雇用環境整備や個別の周知・意向確認の措置の義務化
- 有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件の緩和
「雇用環境整備や個別の周知・意向確認の措置の義務化」は、育児休業をより取得させる目的で改正されました。
従業員が妊娠・出産の申し出をした際に、企業側は「育児休業」に関する周知と取得意向の確認を個別でおこなうことが義務付けられます。
「有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件の緩和」は、パートや契約社員などの有期雇用労働者がより休業取得しやすくなる目的で改正されました。
2022年4月からは、「1年以上」継続雇用の従業員であればパートや契約社員でも育児・介護休業の取得対象となります。
2-2. 2022年10月の改正について
2022年10月の改正の改正で変わる点は下記2点です。
- 育児休業の分割取得
- 産後パパ育休制度の新設
「育児休業の分割取得」は、より柔軟に育児と仕事を両立できるような目的で改正されました。
いままでの育児休業は、パパ休暇を利用する以外は「休業期間の分割取得が不可」となっていました。
しかし、2022年10月の法改正に伴い育児休業においても「2回まで分割取得が可能」に変更となります。
「産後パパ育休制度」は、父親の育休取得率アップを目的に導入されたものです。
原則休業の2週間前までに申し出ることで、出生後8週間以内に4週間までの休暇を取得できます。
法改正によって、産後パパ育休制度は従業員から申し出があった場合、企業は承認が義務付けられています。
厚生労働省によると、産後パパ育休を取得させなかった場合の罰則規定はありませんが、申出を拒否することは明確な法令違反であり、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が調査に入り、厳しい行政指導がおこなわれるとされています。
2-3. 2023年4月の改正について
2023年4月からは、常時雇用の従業員が1,000人を超える企業の場合、育児休業の取得状況を年1回ペースで公表することが義務付けられるようになります。
公表する内容は、下記2つのいずれかとなります。
- 男性の育児休業等の取得割合
- 育児休業等と育児目的休暇の取得割合
改正後は、上記の内容をインターネットの利用またはそれ以外の適切な方法で、一般の方が閲覧できるように準備しておく必要があります。
3. 育児・介護休業法の目的
近年では、育児・介護と仕事の両立が日常となってきており、女性の社会進出が支援されるようになりました。
しかし実際には、現行の制度では「育児・介護と仕事の両立が難しい」のが現状です。
実際に「国立社会保障・人口問題研究所」の調査では、約5割の女性が出産・育児により退職しています。
さらに「株式会社日本能率協会総合研究所」の調査では「仕事との両立が難しかった」という理由で退職されている人が最も多いことがわかっています。
上記の結果からも、現行では介護・育児と仕事の両立するための支援が十分ではないと判断され、育児・介護休業法が2022年4月から2023年4月にかけて改正されることになりました。
また、男性の育児休業取得率は年々増加傾向にあるものの、いまだに10%台となっています。
今回の改正では「育児休業の分割取得」「産後パパ育休制度の新設」など、配偶者の育児支援をしてもらえるような改正が多く導入されています。
そのため、女性の社会進出の促進だけでなく、出産・育児を理由とした退職率の減少に繋がる可能性が期待されています。
4. 育児・介護休業法への対応ポイント
育児・介護休業法が改正したことによって企業側が対応すべきポイントは下記2つです。
- 育児・介護休業の対象条件や企業義務を確認しておく
- 育児休業に関する事前説明・確認をおこなう
2022年4月より有期雇用労働者への育児・介護休業の対象条件が緩和されます。
しかし、労使協定の締結と就業規則の変更によって、勤続年数1年未満の従業員の場合は「適用対象から除く」こともできます。
自社における対象条件や起業義務を再度確認し、従業員に周知しておくと良いでしょう。
また、雇用環境整備や個別の周知・意向確認の措置の義務化もされるため、育児休業に対する周知や取得の事前確認をおこなうようにしましょう。
5. 育児・介護休業法について
育児・介護休業法とは、育児・介護を理由に労働者が離職することなく、両立しながら働けるように支援する目的で創設された法律です。
今回の改正により、育児・介護休業がより取得しやすくなっただけでなく、より仕事と両立できるような内容になりました。
企業側は、改正内容をしっかりと理解し、従業員がより育児・介護と仕事の両立ができるように支援していくことが大切です。
本記事を参考に、法改正に伴う企業準備を事前にしておきましょう。
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