労働安全衛生法の改正まとめ|2024年・2025年・2026年別に主な改正内容を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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労働安全衛生法の改正まとめ|2024年・2025年・2026年別に主な改正内容を解説

パソコンを操作する様子

「労働安全衛生法が改正された背景について知りたい」

「2024年以降の労働安全衛生法の改正内容を知りたい」

上記のようにお悩みの方も多いでしょう。

1972年に制定された労働安全衛生法は、制定後も内容を改めてよりよい法律にするための改正が重ねられています。昨今においても、施行期日が2024年以降の改正法が複数ありました。

本記事の内容は、労働安全衛生法の改正の背景や、施行期日が2024年から2026年までの労働安全衛生法の改正内容に関する解説です。

そのほかに、将来的に予想される法改正によるストレスチェックの義務化の拡大についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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1. 労働安全衛生法の改正の背景

パソコンでのデータ分析

近年における労働安全衛生法の改正の主な背景は、以下の2点です。

  • 化学物質による健康被害の増加
  • 精神障害による労災認定件数の増加

上記の背景にもとづく改正法にて、次のような事柄が義務化されました。

  • 化学物質に関するリスクアセスメントの実施
  • 労働者数が50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施

さらに、2024年からの改正により対象化学物質が追加され、各事業場の化学物質管理者の選任なども義務化されています。

1972年に制定された労働安全衛生法は、昨今の社会情勢や産業構造の変化、労働災害の傾向などに応じた法改正を重ねてきました。

さまざまな背景により、今後も労働安全衛生法の改正は予想されるため、最新情報の入手を心がけましょう。

ただし、改正法の公布から施行期日までが数年におよぶ場合もあります。改正法が公布された際には、改正内容の理解だけでなく実際に施行される施行期日の把握も大事です。

参考:労働安全衛生法が改正されます|厚生労働省

参考:労働安全衛生法の新たな化学物質規制|厚生労働省

2. 2024年施行|労働安全衛生法の主な改正内容

パソコンを右として作業する様子

2024年に施行された労働安全衛生法の主な改正内容は、以下の4つです。

  1. 表示・通知対象物質の追加
  2. リスクアセスメントの実施義務対象物質の追加
  3. 化学物質管理者の選任義務
  4. 保護具着用管理責任者の選任義務

それぞれの詳細について見ていきましょう。

2-1. 表示・通知対象物質の追加

2024年に施行された労働安全衛生法の主な改正内容の一つは、表示・通知対象物質の追加です。2024年の施行では、234種類の化学物質が追加されました。

上記の表示・通知対象物質とは、国のGHS分類により危険性や有害性が立証されて、ラベル表示やSDSの交付が義務化された全化学物質のことです。

GHS分類とは、ラベルやSDSの内容に整合性をもたせるために、化学品の危険有害性ごとに分類基準を設けた世界的な統一ルールのことを指します。日本における化学物質の分類方法も、GHS分類のルールによるものです。

なお、上記のSDSとは安全データシートとよばれる文書を指します。化学物質や化学物質を含む混合物を譲渡・提供する際に、化学物質や混合物に関する以下のような内容を記載して相手に提供します。

  • 危険性
  • 有害性
  • 取扱情報

規制外の化学物質による労働者の健康障害が増えたことが、改正の背景となっています。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

参考:労働安全衛生法の新たな化学物質規制|厚生労働省

参考:SDS[安全衛生キーワード]|厚生労働省

参考:GHS|保健・化学物質対策|環境省

2-2. リスクアセスメントの実施義務対象物質の追加

リスクアセスメントの実施義務対象物質の追加も、2024年に施行された労働安全衛生法の主な改正内容です。追加された表示・通知対象物質と同種の234種類の化学物質が、追加されました。

リスクアセスメントの実施とは、化学物質の危険性・有害性を特定し、労働者への危険性・健康障害を推定してリスクの低減対策を講じることです。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

参考:労働安全衛生法の新たな化学物質規制|厚生労働省

2-3. 化学物質管理者の選任義務

2024年に施行された労働安全衛生法の主な改正内容には、化学物質管理者の選任義務もあります。リスクアセスメントの実施義務対象物質に関して以下のような関わりをもつ事業場に対する義務で、自律的管理に向けた実施体制の確立が目的です。

  • 製造
  • 取り扱い
  • 譲渡提供

化学物質管理者は、次のような化学物質管理業務を適切に実施できる労働者から選びます。

  • ラベル表示やSDSの交付の確認
  • リスクアセスメントの実施管理
  • ばく露防止措置の実施・管理
  • 化学物質の自律的管理に対する各種対応

ただし、対象物質の製造に携わる事業場においては、専門的講習の修了者のみが選任の対象です。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

参考:労働安全衛生法の新たな化学物質規制|厚生労働省

2-4. 保護具着用管理責任者の選任義務

保護具着用管理責任者の選任義務も、2024年に施行された労働安全衛生法の主な改正内容です。リスクアセスメントの結果により、労働者へ保護具を使用させる事業場に義務が生じます。

保護具着用管理責任者の業務内容は、適切な保護具の選択や使用状況の管理などです。保護具に関する知識や経験を備えた労働者のなかから、適切な労働者を選任しましょう。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

参考:労働安全衛生法の新たな化学物質規制|厚生労働省

3. 2025年施行|労働安全衛生法の主な改正内容

チェック項目にチェックしながら進む

2025年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容は、以下の4つです。

  1. 表示・通知対象物質の増加
  2. リスクアセスメントの実施義務対象物質の増加
  3. 健康障害防止措置対象の拡大
  4. 保護具・作業手順に関する周知義務対象の拡大

各改正内容について見ていきましょう。

3-1. 表示・通知対象物質の増加

2025年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容の一つは、表示・通知対象物質の増加です。施行により約700種類の化学物質が追加されました。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

3-2. リスクアセスメントの実施義務対象物質の増加

リスクアセスメントの実施義務対象物質の増加も、2025年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容です。表示・通知対象物質と同様に、施行により約700種類の化学物質の増加が予定されています。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

3-3.健康障害防止措置対象の拡大

2025年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容には、義務化されている健康障害防止措置の対象の拡大もあります。上記の健康障害防止措置とは、危険箇所作業における禁止措置や退避措置のことです。

改正法により、自社の労働者に加えて、以下の対象者も健康障害防止措置の対象となりました。

  • 請負人
  • 資材搬入業者
  • 警備員

法改正の背景の一つは、建設アスベスト訴訟の最高裁判決において、健康障害防止措置の対象が自社の労働者に限定されないと判断されたことです。

参考:2025年4月から事業者が行う退避や立入禁止等の措置について|厚生労働省

3-4. 保護具・作業手順に関する周知義務対象の拡大

保護具・作業手順に関する周知義務対象の拡大も、2025年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容です。以下のような作業を請負人にまかせる場合、自社の労働者だけでなく請負人に対しても保護具の必要性や作業手順・方法に関する周知義務が生じます。

  • 危険箇所での作業
  • 適切な保護具の使用が義務化されている作業
  • 特定の手順や方法が義務化されている作業

書面による交付や見えやすい場所での常時掲示など、周知方法についての定めもあるため注意が必要です。

また、重層請負の場合は自社と契約した請負人に対してのみ周知義務が発生することも覚えておきましょう。例えば、自社が一次下請の請負人だった場合、自社の労働者と二次下請の請負人に対して周知義務が発生します。

つまり、三次下請の請負人に対する周知義務はありません。

参考:2025年4月から事業者が行う退避や立入禁止等の措置について|厚生労働省

4. 2026年施行|労働安全衛生法の主な改正内容

電子ペンでチェックする

2026年に施行予定の労働安全衛生法の主な改正内容は、以下の3点です。

  • 表示・通知対象物質の増加
  • リスクアセスメントの実施義務対象物質の増加
  • 新規化学物質の有害性の調査結果に関する届出・申請の原則電子化

上記の表示・通知対象物質とリスクアセスメントの実施義務対象物質は同様で、2026年の施行では約850種の化学物質の増加が見込まれています。

なお、届出・申請の電子化が著しく困難な場合は書面による届出や申請も可能です。

参考:新たな化学物質規制が 導入されます|厚生労働省

参考:化学物質による労働災害防止のための新たな規制について~労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号(令和4年5月31日公布))等の内容~|厚生労働省

参考:労働災害を防止するため リスクアセスメントを実施しましょう|厚生労働省

5. 労働安全衛生法の改正によりストレスチェックの義務化が拡大する予定

オフィスでの会議を上から見た様子

将来的な労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックの義務化の対象が拡大する予定です。

現在(2025年2月時点)努力義務である小規模事業所のストレスチェックの実施について、2024年に厚生労働省が促進に向けて取り組む方針を公表しました。小規模事業所とは、常時労働者が50人未満の事業場のことです。

厚生労働省によると、精神障害の労災支給件数やメンタルヘルス不調による労働者の休業・退職は増加傾向にあります。また、近年の事業場における労働者数別のストレスチェックの実施率は以下のとおりでした。

50人以上 84.7%
50人未満 32.3%

参考:ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 中間とりまとめ案|厚生労働省

つまり、法改正により実施率が低い小規模事業所のストレスチェックを義務化し、労働者のメンタルヘルス不調の予防につなげる意図です。

6. 労働安全衛生法の改正内容について理解しておこう

オフィスでのディスカッション

労働安全衛生法は、社会情勢や産業構造の変化、労働災害の傾向などに伴い、制定後も改正を重ねてきました。昨今においても、2024年以降に施行された改正法や施行期日が現在(2025年2月時点)以降の改正法が多数あります。

今後も社会情勢の変化や労働災害の傾向などに伴う法改正が予想されるため、最新情報の入手を心がけましょう。

本記事で解説した施行期日が2024年以降の改正法の内容も参考にしつつ、昨今の労働安全衛生法の改正内容について理解を深めてください。

\法改正の内容も解説/
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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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