IT導入補助金における労働生産性とは?その目標と目指すべき未来 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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IT導入補助金における労働生産性とは?その目標と目指すべき未来

西暦が書いてある道路

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者、個人事業者などに対し、ITツールの導入にかかる経費を最大450万円還元する制度です。[注1]IT導入補助金を活用すれば、費用の補助を受けながら自社の課題改善や業務効率化に役立つITのツールを導入できます。

そんなIT導入補助金の目的は、中小企業や小規模事業者などの「労働生産性」を向上させることです。この記事では、IT導入補助金で重要視されている労働生産性について詳しく解説します。

労働生産性の意味とその目的をしっかりと理解し、適切に制度を活用していきましょう。

[注1]IT導入補助金2021|事業概要

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1.IT導入補助金における労働生産性とは?

連携して仕事をする様子
IT導入補助金は、労働生産性の向上に役立つITツールの導入に対して補助金を支給する制度です。

そもそも、IT導入補助金における労働生産性とは一体何なのでしょうか。まずは、労働生産性の意味について見てみましょう。

1-1.労働生産性とは「従業員1人が1時間あたりに生み出す価値」

労働生産性とは、従業員1人が労働時間1時間あたりに生み出す価値のことを指しています。労働生産性を把握することで、どれほど労働力が効率的に使われて、どれほど生産性のある仕事ができているかを把握することが可能です。

なお、IT導入補助金について語る際は、労働生産性ではなく「生産性」という言葉が使われることもあります。生産性とは、ヒトだけではなくカネやモノ、情報がどれほど効率的に使われているのかを示す指標です。

労働生産性は「ヒト」だけに焦点を当てた指標ですが、IT導入補助金においては、「生産性=労働生産性」を意味していると考えて問題ありません。

1-2.IT導入補助金で求められる労働生産性の要件

IT導入補助金の対象事業者になるためには、補助企業を実施することで労働生産性が1年後に3%、3年後に9%以上、もしくはこれらと同等以上の数値目標を作成する必要があります。[注2]

なお、労働生産性は以下の式で算出された数値のことを指します。

粗利益(売上-原価)÷(従業員数×1人あたり勤務時間(年平均))

たとえば、経費精算を手書きの申請書とExcelのシートなどで行っている企業の場合、専用の経費精算システムを導入すれば経理従業員1人あたりの勤務時間が削減されるでしょう。その結果、今までと同様の労働時間でも多くの利益を生み出せるようになり、労働生産性を向上させることが可能です。

このように、IT導入補助金では売上の向上だけではなく、上記のような業務の効率化による生産性の向上も、補助金の対象としているのです。

[注2]IT導入補助金2021|補助対象となる事業者

2.IT導入補助金において労働生産性を重視する目的

的を撃ちぬく様子
IT導入補助金では1人あたり労働生産性の向上を制度利用の要件として定めていますが、そもそもどうして生産労働性を重要視しているのでしょうか。その目的を3つ紹介します。

2-1.業務の効率化

IT導入補助金で労働生産性を重視するのは、何といっても中小企業の業務を効率化させるためです。

ITツールを導入すれば、業務の一部もしくは大部分を自動化することが可能となります。今まで事務作業等に追われていた従業員は、より価値を生み出せるコア業務に集中できるようになるため、従業員がより多くの価値を生み出せるようになるでしょう。

各中小企業や小規模事業者が、業務を効率化することによって生み出せる価値が増やせれば、日本の経済や社会全体が活性化されます。そのため、IT導入補助金では労働生産性を重視しているのです。

2-2.ITツールの活用

中小企業の経営者や上層部にはITツールに関する理解が乏しい人も多く、現場の従業員が希望しても導入に至らないというケースが多々あります。

そもそもITツールに対する理解が少なくて導入のメリットがわかっていない場合もあれば、設備への投資や業務フローの変化に伴うリスクを回避したいと考え、導入を先送りにしている場合もあるでしょう。

しかし、IT化が遅れればそれだけマンパワーが必要になるので、人手不足や資金不足が深刻化することもあります。したがって、日本の中小企業においてはITツールの活用促進が大きな課題となっているのです。

IT導入補助金における労働生産性の改善は、問題を抱えている中小企業へのITツールの浸透・活用促進も目的にしています。

2-3.コストや労働時間の削減

ITツールを導入すれば業務が自動化されるため、コストや労働時間の削減に役立ちます。

日本では以前から長時間労働が問題視されており、政府はさまざまな政策を打ち出して長時間労働の改善に取り組んでいます。しかし、中小企業や小規模事業者のなかには、現在でも長時間労働を強いられているところも多く、なかなか労働時間が改善しないという悩みを抱えている企業も多いでしょう。

ITツールを活用すれば業務が大幅に効率化されるため、労働時間の削減が目指せます。労働時間が減れば人件費も減るので、コスト削減効果も得られるでしょう。このように、IT導入補助金を通して労働生産性を改善することで、同時にコストや労働時間の削減も目指しているのです。

3.IT導入補助金における労働生産性が目指すこと

頂上を目指す様子
IT導入補助金によって労働生産性が向上されれば、企業にとっても日本社会にとっても大きなメリットがもたらされます。最後に、IT導入補助金における労働生産性が目指す日本の未来について見ていきましょう。

3-1.日本企業の生産性の低さの改善

公益財団法人 日本生産性本部の「労働生産性の国際比較 2020」によれば、日本人1人あたりの労働生産性は81,183ドルで、OECD加盟37カ国中26位ということがわかっています。時間あたりの労働生産性は47.9ドルで、こちらもOECD加盟37カ国中21位という結果でした。[注3]このように、日本の労働生産性は世界と比較しても低い水準にあります。労働生産性の向上にはIT化をツールの導入による業務の効率化が欠かせません。

しかし、中小企業や零細企業は、従業員数が減るほどにITツールの導入比率が低くなっているため、ITツールの導入促進によって労働生産性を改善させる必要があると考えられているのです。[注4]

[注3]公益財団法人 日本生産性本部|労働生産性の国際比較 2020
[注4]中小企業庁|中小企業白書

3-2.人手不足への対応

近年、日本は少子高齢化による労働力の減少が社会的問題となっています。労働力が少ないなか経済や社会を維持するためには、一人あたりの生産性を向上させることが不可欠です。

ITツールを導入すれば、少ない人手でも効率的に業務を遂行できるようになります。したがって、IT導入補助金によって労働生産性を高めようと取り組まれているのです。

3-3.感染症対策

IT導入補助金には、通常枠とは別に「低感染リスク型ビジネス枠」という枠が設けられています。これは、生産性の向上とともに業務形態の非対面化に取り組む企業に対して、優先的な支援を行うという制度です。

ITツールを導入すればテレワークが促進され、また対面せずとも業務を遂行しやすくなり、感染リスクの低減が目指せます。労働生産性の向上は、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの転換にも役立つのです。

4.IT導入補助金における労働生産性の向上は企業にとって利点だらけ

会議の様子
IT導入補助金における労働生産性とは、労働者1人が時間あたりに生み出す価値を意味しています。IT導入補助金が労働生産性の向上を要件にしているのは、日本の企業が抱えるさまざまな問題を解決するためです。

労働生産性を向上させることには、コストや労働時間の削減、人手不足への対応、感染症対策などといった効果があります。IT化は、中小企業や小規模事業者に長期的なメリットをもたらしてくれるため、ぜひ積極的にIT導入補助金を活用してみてください。

YOSHIDA

YOSHIDA

クラウドサービス比較のメディア運営を経て、jinjerBlog編集部に加入。バックオフィス向けサービス「ジンジャー」を導入いただいたお客様に事例取材をおこない、現場の課題をキャッチアップしながら、人事業務や契約業務に役立つ情報をお届けします。

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