ジョブクラフティング研修のやり方は?研修の目的や得られる効果を解説
更新日: 2025.11.21 公開日: 2025.4.18 jinjer Blog 編集部

「ジョブクラフティング研修を自社で実施したい」
「どのように研修をおこなえばよいのだろう」と悩む担当者もいるでしょう。
ジョブクラフティングは、従業員が仕事に意味を見出し、主体的に業務を設計していくことで、モチベーションの向上やキャリア形成につながるとされている考え方です。
本記事では、ジョブクラフティング研修の概要や目的、効果を解説します。あわせて、具体的な実施方法も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
人的資本の情報開示が義務化されたことで人的資本経営への注目が高まっており、今後はより一層、人的資本への投資が必要になるでしょう。
こういった背景の一方で、「人的資本投資にはどんな効果があるのかわからない」「実際に人的資本経営を取り入れるために何をしたらいいの?」とお悩みの方も、多くいらっしゃるのが事実です。
そのような方に向けて、当サイトでは人的資本経営に関する実際調査の調査レポートを無料配布しています。
資料では、実際に人事担当者にインタビューした現状の人的資本経営のための取り組みから、現在抱えている課題までわかりやすくレポートしています。
自社運用の参考にしたいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
1. ジョブクラフティング研修とは

まずはジョブクラフティングとはどのような考え方なのか知っておきましょう。近年注目されている理由や、ジョブデザインとの違いもあわせて解説していきます。
1-1. そもそもジョブクラフティングとは
ジョブクラフティング(Job Crafting)とは、Wrzesniewski & Dutton(2001)によって提唱された概念であり、「課題や対人関係における従業員個人の物理的または認知的変化」と定義づけられています。
平易に言い換えれば、仕事に対する認知や行動を主体的に調整し、充実感を得られるように従業員自身が工夫するための取り組みのことです。
ジョブクラフティング研修を通して、従来の「与えられた仕事をこなす」という受動的な姿勢から「自分の仕事は自分で創り上げる」という能動的な姿勢への転換を促せるでしょう。
参考:第3節 「働きがい」をもって働ける環境の実現に向けた課題について|厚生労働省
1-2. ジョブクラフティング研修が注目される背景
現代は「VUCA」の時代と言われており、将来の予測が難しく、不確実性の高い状況が続いています。さらに、顧客の価値観は多様化し、業務内容も複雑さを増しています。こうした環境下では、従来のトップダウン型マネジメントだけでは柔軟に対応することが難しくなってきました。企業が成長し、生き残っていくためには、さまざまな面において時代に合った変化が求められています。
そこで今、注目されているのが「ジョブクラフティング研修」です。従業員が自らの仕事の意味を見直し、主体的に考え行動する力を育むこのアプローチは、変化の激しい時代にも柔軟に順応できる組織づくりを支える手段として期待されています。
1-3. ジョブデザインとの違い
ジョブクラフティングとよく似た言葉に「ジョブデザイン」がありますが、両者はアプローチが大きく異なります。混同しないように、違いをしっかりと理解しておくことが大切です。
ジョブクラフティングは、従業員自身が主体となって自らの仕事に意味づけをし、自己成長や自己実現を目指すアプローチです。一方のジョブデザインは、企業側が中心となり、役割や業務内容を設計・割り振ることで、従業員のモチベーションを向上し、組織の生産性向上を目指す手法です。
つまり、主体が従業員にあるのがジョブクラフティング、企業にあるのがジョブデザインという点が、両者の大きな違いです。
2. ジョブクラフティング研修に必要な3つの観点

ジョブクラフティング研修では、「作業」「人間関係」「認知」の3つの観点に基づいて取り組みを進めていくのが一般的です。各要素の内容や具体的なジョブクラフティングの例から、自社に取り入れた際の研修内容を考えてみましょう。
2-1. 作業・人間関係・認知に分けて考える
ジョブクラフティング研修では、作業・人間関係・認知の3つに分けて研修内容を考えていきます。
作業(仕事のやり方)
作業では仕事のやり方を中心に考えます。ジョブクラフティングの基本になる部分で、既存のやり方を見直して業務の効率化や生産性の向上を目指します。
すでに決まっているフローやルーティン化している業務に対しても、従業員が主体的に向き合うことや、小さな工夫でも自主的におこなっていくことが重要です。
人間関係(周囲との関わり方)
人間関係は上司や同僚、部下など、周囲の人との関わり方についてです。自ら働きやすい環境を作るためにコミュニケーションを増やしたり、協力関係を構築したりするなど、人間関係を自主的に調整することを考えます。また、社内での自分の立場や役割を見直すこともおこなっていきます。
認知(仕事の捉え方)
認知では従業員本人の意識と向き合います。仕事を通して自分がどう成長したか、社内での自分の価値はどこにあるか、自分の強みは何か、などを考えることが重要です。これまでの貢献や求められているものを認識し、自分で自分を活かせるように能動的に動く意識を身に着けていきます。
2-2. ジョブクラフティングの一例
作業(仕事のやり方)
仕事では業務のやり方や順番などを中心に考え、課題の洗い出しや無駄を省く行動をしていきます。
- 仕事を効率化をするための新しい手順や方法を検討する
- ツールやシステムを活用して自動化を進める
- 優先順位が高い作業と低い作業を洗い出して整理する
- 情報収集をして精度の高い業務をおこなう
一例としてはこのようなものがあります。
仕事のやり方を見直して無駄を省くことで、充実感や達成感を得られます。既存のやり方を見直すことが基本になるため、新たな気づきや課題の発見にもつながるでしょう。
人間関係(周囲との関わり方)
人間関係では周囲との関係やコミュニケーションの方法を見直し、よりよい関係や協力体制を作ることを考えていきます。
- コミュニケーションを増やし良好な関係を築く
- 報連相やフィードバックをしっかりとおこなう
- 担当や部署を超えた協力関係をつくる
- 定期的な面談や相談しやすい環境を作って心理的安全性を高める
職場の人間関係を工夫し、協力体制の構築や円滑なコミュニケーションをしていくことで業務をより効率的に進められるようになります。精神的な負担も減るため、ストレスへの対策にもなるでしょう。
認知(仕事の捉え方)
認知ではこれまでの自分を振り返り、異なる視点でこれまでの業務やスキルを見直していきます。
- 自分は会社にどのように貢献できているか考える
- 今後自分はどのように貢献・成長したいか改めて見直す
- 取引先やクライアントの立場になって価値を考える
- 自分の強みとそれを業務に活かす方法を分析する
- 業務やプロジェクトによって自分がどう成長できたか考える
こうした取り組みにより、自分の会社内での価値や今後のビジョンを見直すことで、成長ぶりに気づき、課題を見つけられるでしょう。新たな価値観や意識の変化が生まれ、パフォーマンスの向上も期待できます。
3. ジョブクラフティング研修の目的

ジョブクラフティング研修には、主に以下3つの目的があります。
- 従業員の主体性を高める
- イノベーションを促進させる
- 労働生産性を向上させる
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 従業員の主体性を高める
ジョブクラフティング研修の大きな目的のひとつは、従業員の主体性を高めるということです。
従業員が主体性を持って自ら仕事内容や方法を工夫することで、業務の意義をより深く理解し、能動的に関われるようになります。また、「自分の行動によって効率化ができた」「自分の提案によって貢献できた」などの充実感も生じるため、業務に対する姿勢にも変化が現れます。
ジョブクラフティングの効果を検証した先行研究においても、ワークエンゲージメントが向上し、ストレスが低減したという研究結果が報告されています。
「与えられた仕事」から「自分でデザインした仕事」へと変わり、積極性と生産性の向上が期待できるでしょう。
参考:第3節 「働きがい」をもって働ける環境の実現に向けた課題について|厚生労働省
3-2. イノベーションを促進させる
新しい視点や方法で仕事に取り組むことで、イノベーションが生まれやすい環境づくりを促進する目的もあります。
ジョブクラフティングによる意識の変化によって、従業員自らがクリエイティブな業務や役割に挑戦できるようになるためです。自身の発想や個性を仕事に取り入れるチャンスが増えることで、革新的なアイデアの創出が促進されるでしょう。
新しいアイデアや考え方の誕生は、企業が成長し生き残っていくためには欠かせないものです。若手社員のイノベーションが促進され、新しい提案が生まれ、それが採用されればエンゲージメントも高まっていくでしょう。
3-3. 労働生産性を向上させる
生産性の向上もジョブクラフティング研修の目的です。
ジョブクラフティング研修によって、従業員が自発的に動けるようになれば、細かい部分でも業務効率が改善していきます。経営陣や役職では気づけない部分でも効率化が進むことで、企業全体の生産性も高まっていくでしょう。競争力の強い企業にもなっていくはずです。
また、生産性の向上は従業員のライフワークバランスの改善にもつながります。ホワイトな企業という印象ができてくれば、優秀な人材の確保にもつながっていきます。
4. ジョブクラフティング研修から得られる効果

ジョブクラフティング研修の実施から得られる効果は、以下の3つです。
- 職場が活性化する
- 離職率低下が期待できる
- 従業員の成長が促される
それぞれ詳しく解説します。
4-1. 職場が活性化する
ジョブクラフティング研修が成功すると、仕事に対する姿勢が変化し、主体性が高まります。従業員一人ひとりが自分の仕事に熱意や積極性を持って取り組むようになると、職場全体の雰囲気が活性化します。
また、ジョブクラフティング研修では、自主的に人間関係を構築する姿勢も育まれます。従業員それぞれが積極的にコミュニケーションを取ることで、人と人とのつながりが強くなり、活発な議論や提案もされていくでしょう。
さらにポジティブな発言も増え、それに影響された周囲の人も行動的になるという波及効果も期待できます。前向きで活発な人が増えれば、企業全体のエネルギーも高まって生産性も大きく向上するでしょう。
4-2. 離職率低下が期待できる
ジョブクラフティング研修の間接的な効果として、離職率の低下が期待できます。
従業員はジョブクラフティング研修を通して、自分なりに仕事をカスタマイズする方法や自発的に仕事に関わる意識を学べます。こうした行動は、結果としてワークライフバランスを向上させ、、仕事への充実感や満足感を生み出すことにつながるでしょう。
その結果、組織への帰属意識が高まり離職率が低下します。プライベートな時間が増えれば、ストレスの解消もできるためメンタルヘルスの問題で休職や退職する人も減っていきます。企業は人材流出を防げるため、組織の安定性と継続性を確保できるのもメリットの一つです。
4-3. 従業員の成長が促される
ジョブクラフティング研修によって自己成長を感じたり、自分の価値を認識できた従業員は、より一層の成長を目指す意識が高まります。自分の強みを活かす方法を考えたり、新たなスキルの取得を目指したりするなど、自発的な成長が促されるでしょう。
また、目標設定を自らおこない、達成に向けてアクティブに活動する従業員も出てきます。既存の体制では思いもよらなかったアイデアや工夫が提案され、新しい流れを作り出すこともあるかもしれません。
こうした従業員一人ひとりの成長は、次世代の人材を育てるために欠かせないものです。優秀な人材の育成・確保・流出防止の観点からも、ジョブクラフティング研修による従業員の成長は非常に重要なものです。
5. ジョブクラフティング研修の課題と対策

ジョブクラフティング研修は従業員の自主性や積極性を高め、企業全体によい変化を作るチャンスになり得るものです。しかし、メリットだけでなく課題もあります。ジョブクラフティング研修における課題とその対策を解説していきます。
5-1. 業務負担が発生する
ジョブクラフティング研修を実施する際には、必ず業務負担が発生してしまいます。
実施する側には、ジョブクラフティングについての学習や事前準備、指導など、新たな業務が増えます。外部の講師や講義を利用することで業務負担を減らせますが、それでもある程度の業務負担が発生するため、通常の業務を圧迫しないようにしっかりとした計画が必要です。
加えて、研修を受ける従業員側にも負担があることを覚えておきましょう。ジョブクラフティング研修によって、従業員が業務を急激に拡大したり、過度にアクションを起こしたりすると、物理的・精神的どちらにも負担がかかります。
これによってバーンアウト(燃え尽き症候群)になることや、過労、ストレスなどさまざまな問題が起きるおそれがあります。
ジョブクラフティングは長期的におこなうものであることを伝え、小さな変化でもしっかりと共有してサポートしていくことが重要です。
5-2. 従業員の間に不公平感が発生することがある
ジョブクラフティング研修を真剣に受け、自発的に意識を変えて業務に対する姿勢も変化する人と、そうでない人の間に不公平感が発生することがあります。
積極的に動けば業務は増え、責任も増していくにも関わらず、以前と変わらない人がいたら不和が生じてしまうのは当然かもしれません。
また、自主的に動くようになった従業員が過剰な働きかけをし、周囲の負担が増えることでトラブルになることも考えられます。その場合、ジョブクラフティング研修そのものに冷ややかな視線が向けられることもあり得ます。
こうした事態を防ぐには、従業員が自分本位に業務を捉えないようにすることが大切です。会社全体でジョブクラフティングの方針や基準を決め、上司によるマネジメントをしっかりとおこなうことが求められます。
5-3. 過度なプレッシャーになるおそれがある
ジョブクラフティング研修によって、ジョブクラフティングが強く推奨されていると感じられた場合、一部の従業員に大きなプレッシャーがかかることが考えられます。
自己改革や業務の改善などを早急にしなければならない、形にしなければならない、と焦ってしまうと、プレッシャーがかかります。
ほどほどのプレッシャーはプラスになることもありますが、過度なプレッシャーはストレスやモチベーションの低下を招きます。これではジョブクラフティング研修をした意味がありません。
ジョブクラフティング研修がプレッシャーの元にならないように、研修内容を十分に検討し、無理のない範囲での取り組みを促しましょう。
6. ジョブクラフティング研修プログラムの流れ

ここでは、慶應義塾大学教授 島津明人研究室が公開している「ジョブ・クラフティング研修プログラム」を参考に、研修を進める手順や内容についてご紹介します。手順については以下のとおりです。
- 事前準備
- ジョブクラフティング研修の目的について理解する
- 事例を使ったワークの実施
- ジョブクラフティング計画の作成
- 計画の実行とフォローの実施
- ジョブクラフティング研修の振り返り
各手順ごとに内容を詳しく解説します。
参考:ジョブ・クラフティング研修プログラム|慶應義塾大学総合政策学部 島津明人研究室
6-1. 事前準備
まず、研修の目的や対象者を明確にしましょう。全従業員向けに実施するのか、特定の部署や階層に限定するのかを決定します。なお、テーブルのセッティングは、1グループにつき4人とするのが理想です
研修の主宰者は、実施会場の手配やプロジェクター、PC、配布用の資料など、研修当日に必要な道具も合わせて準備しておきましょう。
ジョブクラフティング研修プログラムは、全6週間かけておこないます。必ずしも期間を守る必要はありませんが、ジョブクラフティング研修をおこなった後に計画を実行する期間を1ヶ月とり、再びジョブクラフティングをおこない、最後に2週間の計画実行期間を設けます。
この流れを踏まえて資料作りや工程の説明ができるようにするとよいでしょう。
6-2. ジョブクラフティング研修の目的について理解する
研修の冒頭では、ジョブクラフティング研修の目的や期待される効果を参加者と共有します。たとえば、ワークエンゲージメントの向上や仕事のパフォーマンス向上などが挙げられます。これらを事前に理解してもらうことで、参加者の取り組む姿勢にも前向きな変化が生まれやすくなります。
また、ジョブクラフティングの3つの視点(仕事のやり方への工夫、周りの人への工夫、考え方への工夫)についても丁寧に説明し、具体的な事例を交えながら紹介することで、参加者の理解をより深めることができます。
自発的な行動や積極的なコミュニケーションを推奨すると、身構えたり評価を気にしたりする人が出てくる可能性があります。長期的なプログラムであることや、評価に直接影響しないこともここで説明しておくとよいでしょう。
6-3. 事例を使ったワークの実施
次に、ある従業員がモチベーション低下や停滞感を感じている状況を想定した架空事例を用いて、ワークをおこないます。
架空事例に対して、ジョブクラフティングに必要な3つのエッセンス(仕事のやり方への工夫・周りの人への工夫・考え方の工夫)を個人ワークで自由に考えてもらいましょう。
ここでは柔軟な思考や新しい発想を出してもらうことが大切です。上下関係や評価を気にして萎縮しないように、心理的安全性を確保しながらワークを進めることが理想です。
その後、グループワークで共有します。この一連のワークを実施することで、ジョブクラフティングの理解をさらに深め、また他の参加者のアイデアも知ることができます。
6-4. ジョブクラフティング計画の作成
次におこなうのが、ジョブクラフティングの計画作成です。まずは参加者に自分の業務を3つ挙げてもらい、それぞれどのくらいジョブクラフティングができているかを3段階評価してもらいます。さらに、3つのエッセンスそれぞれに対して自分ができるジョブクラフティングを探索し、それをグループワークで意見共有し、アイデアを膨らませる流れです。
なお、この計画は従業員が主体的に考えなければなりません。指導する人や上司が考えを押し付けて目標設定を変えさせたり、強制的な行動をさせたりするとジョブクラフティング研修の効果が十分に発揮できなくなります。マネジメントは重要ですが、押し付けにならないように注意しましょう。
計画が完成したら「何を・いつ・どこでするか」まで落とし込んだ計画カードを作成し、研修1回目は終了です。計画の実行期間として、1ヵ月間のインターバルを設けましょう。
6-5. 計画の実行とフォローの実施
実行期間中、研修の主催者は参加者が計画を着実に実行できるようサポートをおこないます。具体的には、研修内容のリマインドをメールで送信し、個別相談を通じて、ジョブクラフティング計画の進捗や課題について支援します。
ここでも指導者や上司が強制するようなことがないように注意しましょう。従業員の主体性を重視し、これまでにない考え方ややり方、提案なども否定せずに柔軟に受け入れることが大切です。指導する人は、あくまでも従業員が作った計画実行をサポートする立場としてマネジメントすることが求められます。
また、ジョブクラフティング研修によってプレッシャーやストレスを感じている従業員がいないか、過剰に業務をしていないかなどにも配慮しましょう。
6-6. ジョブクラフティング研修プログラムの振り返り
1ヵ月間かけて実行したジョブクラフティングを経て、実行した回数や感じたこと、改善点などを個人ワークで振り返ります。個人ワークが終わったら、グループワークで共有しましょう。
次におこなうのが、改善版のジョブクラフティング計画作成です。実践しやすく、仕事へのモチベーション向上につながる具体的な方法を、個人ワークとグループワークで考えます。改善版ジョブクラフティング計画では、ダメだしにならないように注意しましょう。全体的にポジティブな捉え方で、仕事に前向きになれるような内容でより具体的な計画にしていきます。
最後に1回目の研修と同様にジョブクラフティングの計画カードを作成します。改善版ジョブクラフティング計画を元に2週間の実行期間をつくり、1回目と同様にフォローやマネジメントをして終了です。
ジョブクラフティングは定着させることでより高い効果を発揮します。1度の実施ではなく、繰り返しおこなってジョブクラフティングという考えの浸透を目指しましょう。
7. ジョブクラフティングを成功させるためのポイント

ジョブクラフティングを効果的に実施するために、3つの注意点があります。
- 従業員の自主性を尊重する
- 業務の属人化を防ぐための工夫が必要になる
- 従業員が生み出した成果を共有する場を作る
それぞれ詳しく解説していきます。
7-1. 従業員の自主性を尊重する
ジョブクラフティングの成功には、従業員が自ら考え行動する姿勢が不可欠です。トップダウン型の指示や管理では、創造的な工夫や自発的な改善は生まれにくくなります。指導者の考えを押し付けたり、圧力をかけたりすることも、ジョブクラフティングの妨げになりやすいです。
従業員が義務だと感じると、形だけの取り組みになり、本来目指すべきやりがいの創出やモチベーション向上には結びつきません。自らの意思で行動し、仕事に対する姿勢が変化していく形が理想です。
会社側は基本的な枠組みや方向性を示しつつも、具体的な取り組み内容については従業員の自由な発想を尊重しましょう。
7-2. 業務の属人化を防ぐための工夫が必要になる
ジョブクラフティングでは、従業員が自分なりの工夫で業務に取り組むことになります。独自のやり方や自分しかわからないコツがいつの間にか増えてしまい、その結果仕事の属人化が発生することがあります。。属人化とは、特定の業務が「その人にしかできない状態」となることです。急な欠勤への対応が難しくなるほか、離職時のダメージが大きくなるなどのリスクをもたらします。
ジョブクラフティングを導入する際は、知識やノウハウが組織内で共有される仕組みづくりを意識します。グループワークによる定期的な意見交換や、フィードバックの機会を設けて、必要に応じてマニュアルを作成するなどして、業務が標準化するように工夫しましょう。
7-3. 従業員が生み出した成果を共有する場を作る
ジョブクラフティングは従業員の主体性を尊重しておこなうものですが、個人の成果を共有することも欠かせません。一人ひとりの活動や成果を共有することでコミュニケーションが活性化し、情報を交換したり、新しい発見が生まれたりするからです。自分の行動がほかの従業員に影響を与えれば、やりがいや達成感も感じられるでしょう。
また、ジョブクラフティングによって大きな成果を上げた場合には、それを表彰する制度もあるとよいです。本人のモチベーションが上がるだけでなく、ジョブクラフティングが効果的であることが示され、頑張りが評価されることが伝われば、より積極的に活動する従業員も増えるでしょう。
8. ジョブクラフティング研修を適切に実施し従業員の主体性を高めよう

ジョブクラフティング研修は、従業員が自らの仕事に意味を見出し、主体的に業務を設計していくためのスキルを身につける機会です。研修を適切におこなえば、スタッフの仕事に対する意欲が高まり、退職者数の減少や仕事の生産性が向上するなどのメリットが見込まれます。
ジョブクラフティングの実施にあたっては、従業員に無理やり押し付けないように意識するほか、業務が属人化しないように工夫するなどが重要です。
研修の適切な実施方法を理解し、従業員の主体性が高まる環境づくりをおこないましょう。
企業価値を持続的に向上させるため、いま経営者はじめ多くの企業から注目されている「人的資本経営」。
今後より一層、人的資本への投資が必要になることが想定される一方で、「そもそもなぜ人的資本経営が注目されているのか、その背景が知りたい」「人的資本投資でどんな効果が得られるのか知りたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて、当サイトでは「人的資本経営はなぜ経営者から注目を集めるのか?」というテーマで、人的資本経営が注目を集める理由を解説した資料を無料配布しています。
資料では、欧州欧米の動向や企業価値を高める観点から、人的資本経営が注目される理由を簡単に解説しています。「人的資本経営への理解を深めたい」という方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
人事・労務管理のピックアップ
-
【採用担当者必読】入社手続きのフロー完全マニュアルを公開
人事・労務管理公開日:2020.12.09更新日:2025.10.17
-
人事総務担当がおこなう退職手続きの流れや注意すべきトラブルとは
人事・労務管理公開日:2022.03.12更新日:2025.09.25
-
雇用契約を更新しない場合の正当な理由とは?伝え方・通知方法も紹介!
人事・労務管理公開日:2020.11.18更新日:2025.10.09
-
社会保険適用拡大とは?2024年10月の法改正や今後の動向、50人以下の企業の対応を解説
人事・労務管理公開日:2022.04.14更新日:2025.10.09
-
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点
人事・労務管理公開日:2022.01.17更新日:2025.11.21
-
同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
人事・労務管理公開日:2022.01.22更新日:2025.08.26
タレマネの関連記事
-
人事データに必要な項目とは?データ構築のメリットやポイントとともに詳しく解説
人事・労務管理公開日:2025.08.26更新日:2025.10.21
-
人事データアナリストとは?役割やスキル・企業の課題を解説
人事・労務管理公開日:2025.08.26更新日:2025.09.08
-
エクセルで人事データを分析するには?基本機能と活用例をわかりやすく解説
人事・労務管理公開日:2025.08.25更新日:2025.09.08
