介護休業中の社会保険料は免除される?ポイントを徹底解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.10.13
MEGURO
「介護休業」とは、要介護の認定がされている家族を介護するために休みを取得できる制度です。
介護休業中は、会社を休んで介護に専念できる期間ですが、その間の給与発生の有無や社会保険料の支払いなど、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
結論からいうと、介護休業中は「社会保険料が免除」されず、「賃金が発生しない」ケースが多いです。
とはいえ介護休業の場合は、一定の条件を満たせば雇用保険の「介護休業給付」を活用でき、賃金の67%の給付金を受け取れます。
本記事では、介護休業中の社会保険料免除や給与について詳しく紹介していきます。
介護休業中の社会保険料の支払い方法などについても解説しているので参考にしてください。
1. 介護休業とは?
「介護休業」とは、要介護の認定がされている家族を介護するために休みを取得できる制度で、ある一定の条件を満たせば正社員以外の雇用条件の方でも利用が可能です。
育児・介護休業法で定められた国の規則であり、労働者が介護と仕事を両立することを目的に導入された制度となっています。
対象となる家族1人につき、取得できる介護休業は最大3回までとなっており、通算93日までの休業の取得ができます。
介護休業時は、1人だけで介護を行うのではなくケアマネージャーと相談し「介護サービス」を検討・利用しながら介護を行います。
1-1. 介護休業を取得するための条件
介護休業を取得するための条件として下記2つがポイントとなります。
- 介護休業を取得できる対象者であること
- 該当する家族との間柄が対象者であること
介護休業は労働者全ての人が取得できるわけではなく、下記2つに該当する人に限り取得が可能です。
- 雇用期間が1年以上であり、要介護状態の対象家族を介護している
- 介護休業を実施する予定日から93日の経過後、6か月以内に労働契約期間が満了すると明らかでない
上記の2つに該当していないと「介護休業を取得できる対象者」として認められません。
一方で、該当していた場合は雇用形態に係わらず、正社員やパート、派遣社員でも対象になります。
また、「介護休業を取得できる対象者であること」だけでなく「該当する家族との間柄が対象者であること」も重要です。
介護休業では、介護の対象となる家族の範囲が決められています。
対象となる家族範囲は下記の通りです。
- 配偶者(事実婚の場合を含む)
- 父母(養父母を含む)
- 子(養子を含む)
- 同居し、かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫
上記に該当していない場合は、介護休業の申請が認められないため注意しましょう。
補足として、上記の条件以外に「介護休業の対象にならない人」も確認しておくと良いです。
介護休業の対象にならない人は下記の通りです。
- 雇用開始期間から1年未満である
- 日雇い労働者である
- 申し出た日から93日以内に雇用が終了する
- 1週間の所定労働日数が2日以下である
- 労使協定で対象外にしている
介護休業は、介護と仕事の両立であると共に「介護を理由として離職を防ぐ目的」もあるので、休業中に雇用が終了する場合は対象外となります。
1-2. 介護休業と介護休暇の違い
「介護休業」と類似したものとして「介護休暇」が存在します。
介護休暇は、介護休業と同様に要介護認定の家族を介護するために休みを取得できる制度です。
介護休業と介護休暇の具体的な違いは下記の通りです。
概要や目的は、類似していますが取得可能な日数や対象者などは大きく異なるため、しっかりと違いを理解しておくことが大切です。
2. 介護休業中は社会保険料は免除される?
「育児休業中」は社会保険料が原則免除されます。
では、「介護休業中」の場合は社会保険料はどうなるのでしょうか?
結論からいうと、介護休業の場合は「社会保険料は免除されない」です。
介護休業の場合は、被保険者・企業の社会保険料免除の仕組みがないため、介護休業の期間中も通常どおり保険料を納付しなければなりません。
その理由として、介護休業の期間は最大で93日であるため、育児休業と比較すると短期間の休業期間となるからです。
一方で、雇用保険料に関しては、賃金が発生しない場合は支払う必要はありません。
2-1. 介護休業中の社会保険料の支払いについて
介護休業中も社会保険料を納付し続ける必要がありますが、休業中どのように支払いをすればいいか分からない方も多いです。
介護休業中の社会保険料の支払いは、一般的に3つの方法の中から支払われます。
- 会社側が全額負担する
- 会社側で立て替えて納付後、被保険者が職場復帰した際に精算する
- 被保険者に毎月振り込んでもらう
上記は、企業によって異なるため事前に確認しておくことが得策でしょう。
3. 介護休業給付金はもらえる?
介護休業は、賃金の支払いが法的に定められていません。
一般的には「賃金が発生しないケース」の方が多いですが、企業によって異なります。
とはいえ介護休業の場合は、一定の条件を満たせば雇用保険の「介護休業給付」を活用でき、賃金の67%の給付金を受け取れます。
「介護休業給付」は、事業主を経由してハローワークに申請する必要があるため、事前の準備をしておくと良いでしょう。
申請期間は、介護休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末までとなっており、介護休業中に給付金は受け取れないので注意が必要です。
介護休業給付を受け取れる条件は下記2点です。
- 介護休業を取得した雇用保険の受給資格者であること
- 介護休業の開始前の2年間に雇用保険に12か月以上加入していること
上記を満たしていれば、介護休業給付によって賃金の67%が支給されるでしょう。
留意点として、介護休業給付は「介護を目的に休業する人の経済支援をする」制度です。
介護休業中に就労した日数が「10日を超える」と該当する期間は支給の対象外となるため注意しましょう。
4. 介護休業中の社会保険料について
介護休業の場合は「社会保険料は免除されない」です。
介護休業の場合は、被保険者・企業の社会保険料免除の仕組みがないため、介護休業の期間中も通常どおり保険料を納付しなければなりません。
また、介護休業は賃金の支払いが法的に定められておらず、賃金が発生しないケースが多いです。
とはいえ介護休業の場合は、一定の条件を満たせば雇用保険の「介護休業給付」を活用でき、賃金の67%の給付金を受け取れます。
「介護休業給付」は、事業主を経由してハローワークに申請する必要があるため、事前の準備をしておくと良いでしょう。
社会保険手続の電子申請はe-Gov連携のシステムを導入するのがおすすめです。システムを利用することで、以下のメリットがあります。
・従業員の登録情報から自動で申請書が作成でき、書類記入にかかる工数やミスを削減
・システム上からすぐに申請が可能。複数従業員の一括申請にも対応
システムを利用した社会保険手続きの電子申請が具体的にどのようにできるか気になる方は、以下のボタンからクラウド型人事管理システム「ジンジャー人事労務」の社保手続きサービスの紹介ページをご覧ください。
人事・労務管理のピックアップ
-
【採用担当者必読】入社手続きのフロー完全マニュアルを公開
人事・労務管理
公開日:2020.12.09更新日:2023.11.30
-
人事総務担当が行う退職手続きの流れや注意すべきトラブルとは
人事・労務管理
公開日:2022.03.12更新日:2023.09.01
-
雇用契約を更新しない場合の正当な理由とは?通達方法も解説!
人事・労務管理
公開日:2020.11.18更新日:2023.11.30
-
法改正による社会保険適用拡大とは?対象や対応方法をわかりやすく解説
人事・労務管理
公開日:2022.04.14更新日:2023.10.24
-
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点
人事・労務管理
公開日:2022.01.17更新日:2023.09.01
-
同一労働同一賃金が中小企業に適用されどう変わった?
人事・労務管理
公開日:2022.01.22更新日:2023.09.01