KSFとは?KPI・KGIとの関係性や具体例をわかりやすく解説
更新日: 2024.11.15
公開日: 2024.7.26
OHSUGI
KSF(キーサクセスファクター)は、会社が目指している目標やプロジェクトを成功させるためにもっとも重要な要素のことです。
自社にとって最適なKSFを設けることで、目標実現に向けて効率的に行動できます。しかし「KSFの設定方法がよくわからない」と、お悩みの方もいるでしょう。
そこで本記事では、KSFの概要と設定する手順について解説します。具体例や設定する際の注意点も紹介しているので、KSFについて深く知りたい方はぜひ最後までお読みください。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. KSF(キーサクセスファクター)とは
KSFとは「Key Success Factor」を略した言葉で、日本語で「重要成功要因」とあらわします。企業が掲げている目標やプロジェクトを成功させるために、なにが必要かを具体的にあらわすことです。
例えば、既存商品の販売数アップを目標としたときのKSFは、以下のような要素が挙げられます。
- Web広告による認知度の獲得
- ECサイトの立ち上げ
KSFは以下の2つの要因をもとに考えることで、現実的で効果的な成功に必要な条件を導き出せます。
外部要因 | ・市場の動き
・競合他社の参入・撤退状況 |
内部要因 | 自社の強み・弱み |
KSFを決めてからプロジェクトを進めると、もっとも注力すべき内容を明確にできます。目標実現の効率化につながるため、プロジェクトを成功させやすくなるでしょう。
2. KSFの重要性
企業で掲げた目標実現やプロジェクト成功のために、KSFを定めることで組織全体の行動に一貫性が生まれます。
目標実現のためにどのように行動するのかが明確になるため、行動指針がぶれません。
行動に一貫性が生まれることで、現時点で目標実現に向かっているかどうかの分析・改善がしやすくなります。KSFを設けることで、効率的にプロジェクトを進められるでしょう。
3. KSFとKPI・KGIの違い
KSFとKPI・KGIの違いは以下のとおりです。
KSF | KPI | KGI |
・Key Success Factorを略した言葉。
・日本語で「重要成功要因」 ・事業を成功させるための要因のことを指す |
・Key Performance Indicatorを略した言葉
・日本語で「重要業績評価指標」 ・中間目標の達成度をチェックする指標のことを指す |
Key Goal Indicatorを略した言葉
・日本語で「重要目標実現指標」 ・最終的な目標を数値化した指標のことを指す |
KSFはプロジェクトを成功させるためのきっかけを考えることですが、KGIは目標が実現できたかどうかを数値で調べることです。設定したKSFをもとにプロジェクトを進め、KGIで結果をチェックします。
KPIはプロジェクトが適切に進んでいるかどうかを調べる指標です。KGIで最終的な目標を定めて、KPIで実現に向けての進捗状況を把握すれば、必要に応じて軌道修正がしやすくなります。
4. KSFとKPI・KGIの関係性
最終目標を既存商品の売上高20%アップとして、KSFとKPI・KGIの関係性について解説します。
KGI | 既存商品の売上高20%アップ |
KSF | ・販売チャネルの拡大
・HPへの流入数増加 |
KPI | ・問い合わせ件数
・SEOからの流入数 |
具体的な施策 | ・LPの作成
・SEO記事の最適化 |
KGIを既存商品の売上高20%アップとするなら、KSFでKGIの実現にもっとも必要な条件を挙げましょう。
「販売チャネルの拡大」と「HPへの流入数増加」のKSFにもとづいて、KPIを決めます。KSFは、KGI実現に向けた適切なKPIを設定するために重要な要素です。
KPIの目標値を達成できれば、KSFを成し遂げたこととなり、結果としてKGI実現につながります。
5. KSFを設定する手順4ステップ
KSFを設定する手順は以下のとおりです。
- KGIを具体的にする
- 外部要因と内部要因を分析する
- KSFを洗い出して必要な要素に絞り込む
- KSFを設定する
自社でKSFを設定する際の参考にしてください。
5-1. KGIを具体的にする
KSFを設定する際は、まずKGIを具体的にする必要があります。具体的な最終目標がなければ、成功させるために最重要になる要素が明確になりません。
例えば「売上アップ」を目標にするのではなく、「売上を20%アップする」など、数値を用いた最終目標にしましょう。
目標を具体的にすることで、適切なKSFの設定につながります。
5-2. 外部要因と内部要因を分析する
具体的なKGIを定義したら、外部要因と内部要因を分析しましょう。外部要因としては、市場の経済状況や競合他社の動向などが挙げられます。
内部要因は、自社商品の強みや信頼性、認知度などです。外部要因と内部要因をそれぞれ分析して、自社が抱える課題や取るべき行動を洗い出しましょう。
自社の課題や取るべき行動は、もっとも最適なKSFを選定する際に役立ちます。
5-3. KSFを洗い出して必要な要素に絞り込む
外部要因と内部要因を分析したら、KSFを洗い出して成功にもっとも必要な要素を絞り込んでいきます。
絞り込む際は、最終目標を実現するために必要な要素かどうかをきちんと考えてから判断しましょう。
洗い出したKSFの重要度は、自社の経営戦略や市場動向などをもとに、客観的に評価することが大切です。
5-4. KSFを設定する
必要な要素を絞り込めたら、重要度が高い内容をKSFとして選びます。最終的な目標であるKGIに、大きな影響を与える可能性が高い要素を選ぶことが大切です。
例えば既存商品の売上アップを目標にしている場合、以下のようなKSFが考えられるでしょう。
- 商品のアップグレード
- 市場での認知度獲得
KSFをもとにKPIを設定することで、目標実現を具体的に評価する指標として活用できます。またプロジェクトに関わる経営者や社員同士で、KSFを共有しましょう。
目標実現に向けての一貫性のある行動が取れるため、効率的にプロジェクトを進められます。
6. KSFを設定する際の3つの注意点
KSFを設定する際の注意点は以下の3つです。
- 内部要因と外部要因をバランスよく分析する
- 組織全体で共有する
- 定期的な見直しを実施する
注意点を把握してから、KSFを設定しましょう。
6-1. 内部要因と外部要因をバランスよく分析する
KSFを設定するときは、内部要因と外部要因をバランスよく分析することが重要です。どちらか一方に偏って分析すると、対策できなかった内容が企業の弱点になる可能性があります。
内部要因と外部要因をそれぞれバランスよく分析することで、現実的で効果的なKSFを導き出せます。
6-2. 組織全体で共有する
KSFを設定する際は、組織全体への共有が不可欠です。プロジェクトの関係者と共有しないと、異なる意見や専門知識などを取り入れられません。
役職者や他部署の社員と連携をとることで、目標実現に向けて効率的に行動できます。
コミュニケーションを増やし、アイディアや新たな視点を取り入れながら、自社にとって最適なKSFを定めましょう。
6-3. 定期的な見直しを実施する
KSFは定期的に見直すことが大切です。一度決めたKSFを放置していると、市場や顧客層の変化などに対応できないためです。
KSFの見直しを怠ったことにより、新たなビジネスチャンスを逃したり問題点への対応が遅れたりします。
定期的なKSFの見直しをおこない、時代に沿った内容に更新しましょう。
7. KSFの具体例
コンビニ業界を参考に、KSFの具体例を紹介します。コンビニ業界では、以下のようなKSFを設定しました。
- 24時間営業
- 商品・サービスの多様性
コンビニは24時間営業を開始したことで、売上アップを実現しています。働き方の多様化などで、深夜でも活動する人が増えたことから、KSFの重要性を高める結果となりました。
また以下のような多様なサービス・商品を展開していることも、コンビニのKSFです。
- ATM
- 宅配
- 雑誌
- 生活用品
例えば、宅配を頼むついでに飲料水も買うなど、本来買う予定がなかった商品の購入を促しています。
時代の変化や顧客のニーズを分析してKSFを設定することで、売上や来店客数の増加に成功している事例です。
8. KSFを設定して組織の行動指針を明確にしよう
企業で掲げた目標の実現やプロジェクト成功のために、KSFを設定しましょう。もっとも注力すべき条件が決まれば、組織の行動指針が明確になります。
組織全体で一貫性のある行動がとれるため、効率的に目標実現に向けて行動可能です。
組織全体で共有しながら、現実的で効果的なKSFを設定することで、効率よく最終目標を達成できるでしょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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