休職手当とは?条件や期間・もらえないケース・申請方法をわかりやすく解説
更新日: 2025.2.20
公開日: 2025.2.20
OHSUGI
「休職手当(傷病手当金)とはどのような制度?」
「休職手当(傷病手当金)の申請方法は?」
休職手当(傷病手当金)は、一定の条件を満たすことで休職中の収入減少を補える制度です。病気やケガで働けなくなった被保険者が安心して療養に専念できるよう、健康保険から給付金を受け取れます。
本記事では、休職手当の概要や支給条件、支給期間などを詳しく解説します。休職手当がもらえないケースや申請方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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1. 休職手当(傷病手当金)とは
俗にいう休職手当とは、協会けんぽや健康保険組合から支給される「傷病手当金」のことを指します。被保険者が業務外の理由で病気やケガを負い、働けなくなった際に支給される健康保険の給付制度です。
休職手当は、被保険者が安心して療養に専念できるよう、金銭的に支援することを目的としています。休職中に企業から給与が支払われない場合でも、一定の条件を満たせば休職手当が支給される仕組みです。
2. 休職手当の支給条件
休職手当の支給条件は、以下のとおりです。
- 健康保険に加入していること
- 業務外で発生した病気・ケガが原因で休職すること
- 連続する3日を含めて4日以上仕事ができないこと
- 休職中に給与の支払いがないこと
2-1. 健康保険に加入していること
休職手当の支給を受けるためには、健康保険に入っていることが絶対条件です。会社員や公務員が加入する社会保険のみが該当し、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険は含まれません。
パートタイムやアルバイトなどの非正規雇用者でも、以下の条件を満たしていれば社会保険に加入可能です。
- 週20時間以上働いている
- 月額賃金が8.8万円以上
- 雇用期間が2ヵ月以上見込まれる
一方、任意継続被保険者(退職後も自費で健康保険を継続する制度)は、休職手当の給付対象外と定められています。任意継続被保険者になってから新たに病気やケガが発生しても、休職手当は支給されません。
2-2. 業務外で発生した病気・ケガが原因で休職すること
休職手当は、業務外で発生した病気やケガが原因で休職することも支給条件の一つとして挙げられます。
業務中や通勤中の事故など業務上の事由による場合は、休職手当ではなく労災保険が適用されるためです。健康保険法第55条にも、労働者災害補償保険法や公務員災害補償法に相当する給付を受けられる際は支給しないと明記されています。
また、美容整形や自ら望んで実施する治療など、医療行為が病気によるものとみなされない場合も支給対象になりません。自己申告では労務不能と認められないため、医師の診断書によって証明する必要がある点にも注意が必要です。
2-3. 連続する3日を含めて4日以上仕事ができないこと
休職手当は、連続する3日を含めて4日以上仕事ができないことも条件の一つです。
最初の3日間を「待機期間」として休んだ後、4日目以降の休業から支給されます。有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれ、給与の支払いがあったかどうかは影響しません。
待機期間の起算日は、病気やケガによる労務不能が発生した日です。就業中に発症した場合はその日、就業時間外に発症した場合は翌日から起算されます。
なお、待機期間は連続して休む必要がある点に注意が必要です。待機期間中に勤務した場合はリセットされ、新たに3日間連続の休みを取らなければなりません。
2-4. 休職中に給与の支払いがないこと
休職手当が支給されるための条件に、休職中に給与の支払いがないことも挙げられます。
休職手当が生活保障を目的とした制度であり、労働者が働けない期間中の最低限の収入を補うために設けられているためです。給与と併給できず、企業から給与が支払われている場合は手当の支給対象外となるか支給額が調整されます。
有給休暇を取得している期間は労働基準法によって給与が支払われるため、休職手当は支給されません。病気やケガで仕事を休む場合は、有給休暇を消化するかどうかを十分に検討しましょう。
3. 休職手当の支給期間
休職手当の支給期間は、支給開始日から原則で最長1年6ヵ月です。通算で計算される点が特徴で、支給後一時的に復職して支給が停止された場合も1年6ヵ月の通算期間には含まれます。
復職後に同じ病気やケガで再度休職する場合でも、前回の支給開始日から1年6ヵ月以内であれば残りの期間分を受給可能です。ただ、1年6ヵ月を超えると、同一傷病では新たな受給資格が発生しません。
一部の健康保険組合では、特定の条件を満たした場合に1年6ヵ月の支給期間終了後も延長措置を設けている場合があります。例えば、日本航空健康保険組合では、1年6ヵ月を過ぎても治療のため復職できない場合はさらに期間を最長3ヵ月延長可能です。
企業が健康保険組合に加入している場合は、詳細を確認しておきましょう。
参考:-保険給付-療養のため休職したとき|日本航空健康保険組合
4. 休職手当がもらえないケース
休職手当がもらえないケースは、以下のとおりです。
- 労災保険の休業補償給付を受けている
- 障害厚生年金や障害手当金を受けている
- 出産手当金を受けている
4-1. 労災保険の休業補償給付を受けている
労災保険の休業補償給付を受給している場合、休職手当は支給されません。どちらも働けない間の収入減少を補うために設けられた制度であり、受給の重複が認められていないためです。
ただ、平成28年4月から、休職手当とほかの手当との調整ができるよう変更されています。労災保険から休業補償給付を受給している期間中でも、支給額が休職手当の日額より少ない場合は差額分を受給可能です。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
4-2. 障害厚生年金や障害手当金を受けている
障害厚生年金や障害手当金を受けている場合は、一定の条件下で休業手当の支給が制限されます。二重の公的支援を防ぐため、同じ期間に両方の給付を全額受け取ることはできません。
障害厚生年金を受給している場合、年金の360分の1にあたる額が休職手当の日額より低い場合は、差額を支給します。障害厚生年金を優先的に受け取りつつ、休職手当との差額分だけが補填される仕組みです。
また、厚生年金保険法の障害手当金(一時金)の支給を受ける場合も、調整が実施されます。厚生年金保険法の障害手当金が休職手当の総額に達するまでの間は、休職手当が支給されません。
調整制度は複雑なため、どの制度に該当するか、どのような影響があるかを正確に把握することが重要です。
4-3. 出産手当金を受けている
健康保険の出産手当金を受ける場合も、休職手当と同時に受け取ることはできません。どちらも生活保障が目的であり、同一期間中に二重で受け取ることは認められていないためです。
出産手当金は、出産前後の一定期間中に仕事を休み、給与が支払われない場合に健康保険から支給される給付です。出産手当金が優先的に支給され、休職手当が一時的に停止されます。
ただし、健康保険法第103条により、出産手当金の支給額が傷病手当金の支給額より少ない場合は、差額分を休職手当として受給可能です。状況によって異なるため、申請時に書類や計算方法を確認し、受け取れる額を把握しておきましょう。
5. 休職手当の金額・計算方法
休職手当の金額・計算方法は、以下の2つのケースに分けられます。
- 支給開始日以前に12ヵ月の標準報酬月額がある場合
- 支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合
5-1. 支給開始日以前に12ヵ月の標準報酬月額がある場合
基本的に、休職手当(傷病手当金)の支給額は支給開始日以前の12ヵ月間の標準報酬月額をもとに計算されます。休職手当の1日あたりの金額も求める計算式は、以下のとおりです。
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準月額の平均 ÷ 30日 × 3分の2
例えば、直近12ヵ月間の標準報酬月額が30万円の場合、1日あたりの支給額は次のように計算できます。
300,000円 ÷ 30日 × 3分の2 = 6,667円
求めた金額を休業日数に応じて掛け合わせることで、総支給額を算出可能です。
なお、標準報酬月額には、基本給だけでなく通勤手当や残業手当なども含まれます。正確な金額を把握したい場合は、会社や健康保険組合に確認するとよいでしょう。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
5-2. 支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合
被保険者期間が12ヵ月未満の場合は、以下のいずれか低い方を基準に計算する点が特徴です。
- 支給開始日以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
- 健康保険組合全体の標準報酬月額の平均値
健康保険組合の標準報酬月額の平均値とは、支給開始日が属する年度の前年度9月30日における全被保険者の平均標準報酬月額を指します。基準額は固定値として設定され、令和5年度は30万円です。
例えば、直近5ヵ月間の標準報酬月額が50万円の場合、低い方である健康保険組合全体の標準報酬月額の平均値(30万円)を使用します。1日あたりの支給額の計算は以下のとおりです。
300,000円 ÷ 30日 × 3分の2 = 6,667円
各月の標準報酬月額の平均によって計算方法が異なるため、自身の加入状況や給与履歴を確認しておきましょう。
参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会
6. 休職手当の申請方法
休職手当の申請方法を以下の2つのケースに分けて解説します。
- 従業員側が実施すべきこと
- 事業者側が実施すべきこと
休職手当の手続きに必要なことを把握し、スムーズに手続きを進めましょう。
6-1. 従業員側が実施すべきこと
従業員が休職手当を申請する際、まずは自分が働けない状態であることを証明する必要があります。医師の診察を受診し、診断書を取得しましょう。
診断書を取得した後は、「傷病手当金支給申請書」に必要事項を記入します。傷病手当金支給申請書は、全国健康保険協会の公式ホームページや窓口で入手可能です。
記入が完了したら、申請書を健康保険組合や全国健康保険協会に提出します。提出方法は郵送か窓口持参が一般的ですが、一部ではオンライン申請も可能です。
なお、申請には期限があります。休職手当の場合、労務不能となった日の翌日から2年以内に申請しなければならない点に注意が必要です。
6-2. 事業者側が実施すべきこと
事業者は、従業員から休職手当の申請に関する依頼を受けた際に、従業員に代わって手続きを実施する責任があります。
従業員から提出された傷病手当金支給申請書を確認し、必要事項を記入しましょう。休業期間中の賃金支払い状況を証明するために、賃金台帳や出勤簿などの資料を準備しておくことが大切です。
次に、記入済みの申請書と添付資料を健康保険組合か全国健康保険協会に提出します。従業員との連絡を密に取りながら進捗状況を共有し、不明点があればすみやかに解消する姿勢が重要です。
7. 休職手当以外で従業員が休職する際に注意するべきポイント
休職手当以外で従業員が休職する際に注意するべきポイントは、以下のとおりです。
- 休職中の従業員も社会保険料の支払いが義務づけられている
- 休職中の従業員への給与・賞与(ボーナス)の支払いは自由
7-1. 休職中の従業員も社会保険料の支払いが義務づけられている
求職中の従業員も社会保険料の支払いが義務づけられていることに注意しましょう。
従業員の休職中も雇用契約は維持され、健康保険や厚生年金保険などの社会保険の被保険者資格が継続しているためです。給与が支給されない場合でも、社会保険料の支払い義務は免除されません。
また、休職中でも標準報酬月額(社会保険料計算の基準)は休職前と同じ水準が適用されます。休職中の保険料額は、休職前と同じ額になる点を覚えておきましょう。
7-2. 休職中の従業員への給与・賞与(ボーナス)の支払いは自由
従業員が休職する場合、休職期間中の給与や賞与(ボーナス)の支払いは自由です。
労働基準法では、労働者が労務を提供した場合にのみ賃金を支払う義務があると規定されています。休職により労務提供がないなら、給与や賞与を支払う必要はありません。
ただ、休職中の給与や賞与に関する取り扱いが不明確な場合はトラブルに発展するおそれがあるため、自社で明確にしておくと安心です。就業規則などに明記して従業員に説明することで、不安や誤解を解消できるでしょう。
8. 休職手当について理解を深めて適切に処理しよう
休職手当(傷病手当金)は、業務外の病気やケガで働けなくなった際に、健康保険から支給される給付制度です。支給には条件があり、申請には医師の診断書や必要書類の提出が求められます。
支給額は標準報酬月額を基準に計算され、最長1年6ヵ月間受給可能です。ただ、労災保険やほかの公的給付との併給が制限される点や、休職中も社会保険料の支払い義務が継続する点は理解しておきましょう。
休職手当を理解して適切な手続きと対応をおこない、従業員が安心して療養に専念できる環境を整えてください。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
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