限定正社員とは?正社員・契約社員との違いやメリット・デメリットを解説
公開日: 2025.1.31 OHSUGI
「限定正社員とは何?」
「限定正社員を採用するときの注意点は?」
限定正社員とは、勤務地や職務内容、勤務時間などを限定して働く正社員のことを指します。多様な働き方へのニーズが高まるなか、柔軟に働ける手段の一つとして注目を集める制度です。
本記事では、限定正社員の概要や種類、正社員や契約社員との違いを詳しく解説します。また、導入のメリット・デメリットや注意点も解説するので、これから限定社員制度の導入を考える人はぜひ参考にしてみてください。
目次 [非表示]
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1. 限定正社員とは
限定正社員とは、勤務地や職務内容、勤務時間などの条件が限定された正社員のことを指します。ジョブ型正社員とも呼ばれ、従来の無限定正社員とパート・アルバイトなどの非正規雇用の中間的な位置付けとして登場しました。
限定正社員は、通常の正社員に当然に求められる転勤・職種変更・長時間労働などが制限される点が特徴です。生活が仕事に左右されにくいとして、育児や介護などでワークライフバランスのとれた働き方を求める人々から注目を集めています。
2. 限定正社員の種類
限定正社員の主な種類は、以下の3つです。
- 勤務地限定正社員
- 職務限定正社員
- 勤務時間限定正社員
それぞれ、具体的に解説します。
2-1. 勤務地限定正社員
勤務地限定正社員とは、勤務する地域や事業所を限定して働く形態の正社員のことです。地域に根ざした技能や知識を持つ人材を育成・維持したい場合や、転勤が難しい労働者も雇いたい企業などに活用されています。
主に、以下のような条件が設定される点が特徴です。
- 転居を伴う異動がない
- 特定の事業所に勤務が限定される
- 居住地から通勤可能な範囲内で異動がある
子育て中や介護中で遠距離通勤が難しい人や、転勤・単身赴任を避けたい人、地元での生活を希望する人にとって適した雇用形態といえるでしょう。
2-2. 職務限定正社員
職務限定正社員とは、特定の職務や業務内容に限定して働く正社員のことです。
以下のように、担当する仕事の範囲が明確であり、専門性の高い業務や特定のスキルが必要とされる職種に適しています。
- 営業職
- システム開発
- 医療・福祉分野
職務限定正社員を活用することで、専門的なスキルを持つ人材を確保しやすくなります。新しく事業をはじめるために、外部からプロフェッショナル人材を招いたり、特定分野で業務効率化を図ったりする際に効果的です。
2-3. 勤務時間限定正社員
勤務時間限定正社員とは、働く時間や時間帯に制限を設けた雇用形態の正社員のことです。所定労働時間を短縮したり、残業や休日出勤を免除したりすることで、労働者が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選べます。
勤務時間限定正社員の代表的な形態は、以下の通りです。
- 短時間勤務(1日5時間勤務など)
- 残業・休日出勤免除
- 勤務日数限定(週3日勤務など)
育児・介護や持病の治療などでフルタイム勤務が難しい人でも、安定した雇用形態で働ける環境を提供できるでしょう。また、副業やボランティア活動など、仕事以外の活動を重視する人からも注目されています。
3. 限定正社員と正社員・無期契約社員の違い
ここからは、限定正社員と正社員・無期契約社員の違いを解説します。
- 限定正社員と正社員の違い
- 限定正社員と無期契約社員の違い
混同されやすいそれぞれの違いを把握し、限定正社員について理解を深めましょう。
3-1. 限定正社員と正社員の違い
限定正社員と正社員の最大の違いは、働き方の範囲が限定されているかどうかです。
具体的な違いを以下の表にまとめました。
限定正社員 | 正社員 | |
契約期間 | 無期限 | 無期限 |
勤務地・職務・時間 | 制限あり | 制限なし |
雇用形態 | 正規雇用 | 正規雇用 |
給与水準 | 低い場合がある | 高い |
一般的な正社員は、勤務地や職務内容、勤務時間などに制限がなく、企業の指示に応じて転勤や職務変更が求められます。一方で限定正社員は、勤務地や職務、勤務時間などが明確に限定されており、特定の条件下でのみ働く点が特徴です。
また、給与水準にも違いが見受けられるケースがあります。正社員は一般的にフルタイム勤務を前提としているため、給与水準が充実している点が特徴です。一方限定正社員は、働き方が限られている分、給与水準が若干低く設定される場合があります。
3-2. 限定正社員と無期契約社員の違い
限定正社員と無期契約社員(有期契約社員として通算5年以上勤務し、申し出た人)の最大の違いは、雇用形態です。
具体的な違いを以下の表にまとめました。
限定正社員 | 無期契約社員 | |
契約期間 | 無期限 | 無期限 |
勤務地・職務・時間 | 制限あり | 制限なし(有期契約時代の条件を引き継ぐ場合が多い) |
雇用形態 | 正規雇用 | 非正規雇用 |
福利厚生 | 正社員として適用 | 契約社員として適用 |
限定正社員は正規雇用である反面、無期契約社員は非正規雇用である「契約社員」となっています。そのため、限定正社員は正社員として福利厚生が適用されるのに対し、無期契約社員は有期雇用と同様の福利厚生である点が特徴です。
また、勤務地や職務、時間に制限があるかどうかも違いとして見受けられます。限定正社員は制限を設けて雇用されるのに対し、無期契約社員は有期雇用時代と変わらず制限がない場合が多いです。
4. 限定正社員を採用する3つのメリット
限定正社員を採用するメリットは、以下の3つです。
- 多様な人材を確保できる
- 働きやすい環境を提供できる
- 有期労働契約者の受け皿になる
それぞれ、具体的に解説します。
4-1. 多様な人材を確保できる
限定正社員制度を導入するメリットの一つに、多様な人材を確保できる点が挙げられます。勤務時間や勤務地、職務内容などを限定することで、従来の正社員制度では対応が難しい人材の採用も可能になるためです。
さらに、専門スキルを持つ人材にもアピールしやすくなります。「特定の分析業務のみを担当するアナリスト職」などと限定することで、特定分野での経験やスキルを持つ求職者に訴求可能です。
労働人口が減少するなかで、企業にとって人材確保は喫緊の課題となっています。限定正社員を採用することで、優秀な人材を確保しやすく、かつ長期的な雇用関係を築けるようになるでしょう。
4-2. 働きやすい環境を提供できる
限定正社員制度を導入するメリットとして、従業員にとって働きやすい環境を提供できる点も挙げられます。勤務時間や勤務地、職務内容などを限定することで、個々のライフスタイルやニーズに合った働き方が可能になるためです。
例えば、育児や介護を理由に転勤や長時間労働が難しい従業員でも、限定された条件のもとで安定した雇用を得られます。仕事と家庭の両立がしやすくなり、離職率の低下や定着率の向上につながるでしょう。
4-3. 有期労働契約者の受け皿となる
限定正社員制度を導入するメリットとして、有期労働契約者の受け皿として機能することも挙げられます。
2013年の「改正労働契約法」により、5年以上働く有期労働契約者が希望した場合、無期雇用契約に切り替わることになりました。切り替えの際に限定正社員として雇用継続できる仕組みを設けることで、より安定した雇用環境を提供可能です。
結果、業務に習熟した人材の定着が期待でき、人材育成や技能承継につながるでしょう。とくに、非正規雇用者の比率が高い企業では、限定正社員制度を活用することで人材確保や離職防止が期待できます。
5. 限定正社員を採用する3つのデメリット
限定正社員を採用するデメリットは、以下の3つです。
- 正社員と待遇のバランスを図りにくい
- 制度統計や人事管理が複雑化する
- 事業の変動に迅速に対応できないおそれがある
それぞれ、詳細に解説します。
5-1. 正社員と待遇のバランスを図りにくい
限定正社員を採用する際の大きな課題の一つは、正社員との待遇バランスを取ることが難しい点です。
限定正社員は勤務地や職務、勤務時間などが限定されているため、一般的な正社員とは異なる条件で働きます。一般的な正社員が不満を抱かないよう、賃金水準にある程度の差を設ける必要があるでしょう。
ただ、一般的な正社員であっても転勤や異動などがない場合、賃金水準に差があることで限定正社員が不満を抱く可能性もあります。限定正社員を導入する際は、公平性と透明性を重視した人事評価制度や給与体系の整備が不可欠です。
5-2. 制度統計や人事管理が複雑化する
限定正社員制度を導入する際のデメリットの一つに、人事管理の複雑化も挙げられます。
勤務地限定正社員や職務限定正社員など条件が多岐にわたる場合、それぞれに適した給与体系や評価基準が求められるためです。勤怠管理や社会保険手続き、昇進・昇格基準の調整なども複雑化するため、管理コストが増大する可能性があるでしょう。
給与計算や勤怠管理を自動化するソフトウェアを活用するなど、人事業務の負担を軽減しつつミスを防ぐための工夫が大切です。
5-3. 事業の変動に迅速に対応できないおそれがある
限定正社員制度は、事業内容の変更や市場ニーズの変化に対応する柔軟性が損なわれる可能性があります。
もし、職務の廃止や事業所が閉鎖された場合、職務や勤務地に限定されていると別の業務や地域に配置転換できません。結果、人材を適切に活用できず、業務効率や生産性が低下するリスクがあるでしょう。
そこで、制度設計の段階で、将来的な配置転換や条件変更について一定の柔軟性を持たせた内容を考えておくことが重要です。「一定期間後に条件を見直す」などの取り決めを契約書や就業規則に盛り込むことで、限定正社員の柔軟性も確保できるでしょう。
6. 限定正社員を採用する際の注意点
限定正社員を採用する際の注意点は、以下の通りです。
- 限定する範囲を明確にする
- 従業員の理解・納得を得る
- 給与・ボーナス・退職金などの待遇を明確にする
それぞれ、順に解説します。
6-1. 限定する範囲を明確にする
限定正社員を採用する際には、「限定する範囲」を具体的にすることが重要です。範囲を明確にすることで、労働者と企業のトラブル防止や制度運用の円滑化につながります。
以下の表を参考に、それぞれ具体的な限定範囲を決定しましょう。
種類 | 限定する範囲の例 |
勤務地限定正社員 | ・採用時に決定した地区のみで勤務
・都道府県をまたぐ異動はおこなわない |
職務限定正社員 | ・商品の販売業務のみ
・特定の技術職務に従事 |
勤務時間限定正社員 | ・所定労働時間を短縮
・特定の曜日や時間帯のみ勤務 |
限定する範囲を明確にした後は、就業規則や労働契約書に明記し、従業員に周知徹底することも重要です。また、限定条件にもとづいた賃金体系や評価制度も設計し、公平性と透明性を確保することも忘れないようにしましょう。
6-2. 従業員の理解・納得を得る
限定正社員制度を導入する際には、従業員からの理解と納得を得ることも極めて重要です。
万が一怠ると、制度の運用がスムーズに進まないうえ、従業員のモチベーションや信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
制度の意図を適切に理解してもらうために、少なくとも以下の3点は必ず説明するよう心がけましょう。
- どのような背景で導入されるのか
- どのようなメリット・デメリットがあるのか
- どのような条件で適用されるのか
また、単に説明するだけでなく、従業員との意見交換の場を設けることも大切です。労働組合や従業員代表との協議を通じて多様な意見を収集し、反映させた制度設計を実施することで納得感を高められるでしょう。
6-3. 給与・ボーナス・退職金などの待遇を明確にする
限定正社員を採用する際は、給与やボーナス、退職金などの待遇を明確に定めることも重要です。同一労働同一賃金の原則にもとづき、勤務条件や職務内容に応じた合理的な待遇を設定するよう心がけましょう。
また、待遇差の説明が不足していると労使トラブルにつながりかねないため、透明性を確保することも大切です。就業規則や労働契約書に明確に記載するなど、従業員が自分の待遇について理解できる環境を整えましょう。
7. 限定正社員を適切に導入してトラブルを防ごう
本記事では、正社員や契約社員との違いを明確にし、限定正社員の種類やメリット・デメリット、注意点を詳しく解説しました。
限定正社員は、勤務地や職務、勤務時間などの条件を限定して働けるため、多様な働き方を実現する手段として注目されています。
ただ、実施する際は公平性や透明性を確保した制度設計が不可欠です。企業と従業員双方にとってメリットのある仕組みを構築し、トラブルを未然に防ぎましょう。
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