心理的安全性が低い職場とは?特徴や原因を知って適切な改善をおこなおう!
公開日: 2025.4.10 OHSUGI
「心理的安全性が低い職場ってどんな環境?」
「職場の心理的安全性が低い原因は?」
職場の心理的安全性について、上記の疑問をお持ちではありませんか。
心理的安全性が低い職場とは、従業員が自身の考えを積極的に発信できないことにより、生産性の低下などが起きる職場のことです。
本記事では、心理的安全性が低い職場の特徴や原因、デメリット、心理的安全性を高めるための具体的方法などについて解説をおこないます。従業員が安心して働ける環境を整え、より生産性の高い組織づくりをおこないたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
人事労務管理のペーパーレス化には、以下のメリットがあります。
- 入社手続きがオンラインで完結し、差し戻しなどやりとりにかかる時間を削減できる
- システム上で年末調整の書類提出ができ、提出漏れや確認にかかる工数を削減できる
- 人事情報がひとつにまとまり、複数のシステムやエクセルファイルで管理する必要がなくなる
このように、システムによってペーパーレス化を進めると、人事労務管理にかかる工数を削減し、注力したい業務に時間を割くことが可能です。 システムを利用したペーパーレス化について気になる方は、こちらからクラウド型人事管理システム「ジンジャー人事労務」の紹介資料をご覧ください。

1. 心理的安全性が低い職場とは?
心理的安全性が低い職場とは、組織内において、自分自身の意見や考えを表現することに対して消極的になる状態を表すものです。
心理的安全性という概念は、組織行動学専門家であるハーバード大学のエドモンドソンが1999年に発表した心理学用語です。心理的安全性とは、対人関係の中でリスクのある行動をとっても、チーム内が安全である意識が共有された状態の度合いであると同氏は定義しました。
心理的安全性が確保されていると、意見の相違があっても従業員は安心して職務に取り組めます。
2. 心理的安全性とぬるま湯職場との違い
心理的安全性が高い職場とぬるま湯職場の違いは、改善のための意見やアイデアなどが積極的に発信されるか否かです。心理的安全性が高いこととぬるま湯職場の違いを以下の表にまとめました。
心理的安全性が高い職場 | ぬるま湯職場 |
---|---|
自身の考えや意見の違いを率直に発信できる | 緊張感が無く、自身の考えや意見の発信に消極的 |
お互いの間違いなどについて指摘できる | 職務への意識が低く、対立構図となることを避けがち |
目標への達成意識がある | 成長意欲に欠ける |
チーム内で結束して同じ方向をめざす | チーム内の人間関係が希薄 |
この2つは、安心できて居心地のよい状態という共通項もあるため、混同しないように注意が必要です。この違いを意識することで、心理的安全性が低い職場を脱却するためのより効果的なアプローチが可能となります。
3. 心理的安全性が低い職場の特徴
心理的安全性が低い職場の特徴は、以下のようなものになります。
- 従業員から意見や質問がほとんど出ない
- 報告、連絡、相談などのコミュニケーションが少ない
- 指示待ち傾向が強く、主体的行動に欠ける
- 失敗を恐れ、新しいアイデアや挑戦に否定的となる
- リーダーの行動や評価に柔軟性が欠けている
ここで5つの特徴を取り上げました。このような特徴が職場に出ている場合、心理的安全性が低い職場である可能性が高いため、改善の余地があるでしょう。
4. 心理的安全性が低い職場になる原因
心理的安全性が低い職場になる原因として以下の4つが挙げられます。
- 無知であると思われる不安
- 無能であると思われる不安
- 邪魔していると思われる不安
- ネガティブであると思われる不安
4-1. 無知であると思われる不安
心理的安全性が低い職場になる原因の一つは、無知であると思われる不安です。
上司に不明なことを質問するとき、「そのようなことも分からないのか」といわれるときの不安を意味します。
わからないことを確認しようと思っても、不安が大きくすぐに行動に移せません。無知であると思われる不安にとらわれ必要なコミュニケーションが取れず、業務の確認漏れやミスが発生しやすくなります。
4-2. 無能であると思われる不安
心理的安全性が低い職場になる原因として、無能であると思われる不安があります。
職務の中でミスをしたときに、「仕事ができないやつだ」など思われないかという不安のことです。
無能であると思われる不安を感じると、ミスを報告することをためらう、ミスを認めないなどの問題が出てきます。そうすると、後になって大きなトラブルに発展する可能性も高くなるでしょう。
4-3. 邪魔していると思われる不安
心理的安全性が低い職場になる原因に、邪魔していると思われる不安があります。
「ここで異論を言うと議論の邪魔になるのではないか」などと気になることが、邪魔していると思われる不安です。
従業員がこの不安にとらわれると、発言を控えるなど積極的な意見の発信ができなくなります。そのため、業務を改善するようなアイデアや有意義な意見も出にくくなるでしょう。
4-4. ネガティブであると思われる不安
心理的安全性が低い職場になる原因として、ネガティブであると思われる不安もあります。
発言の際に、「プロジェクトに対して批判的」「ネガティブな意見ばかりだ」と思われるのを不安になるのがネガティブであると思われる不安です。
特に場の輪を乱さないことを重視する日本企業でこの傾向は顕著で、議論の停滞を引き起こすことになります。
5. 心理的安全性が低い職場のデメリット
心理的安全性が低い職場では、さまざまなデメリットが発生します。具体的には、以下の3つです。
- アイデアがマンネリ化しイノベーションが起きない
- 従業員のモチベーション低下や離職率増加につながる
- 不祥事や問題の隠ぺいが起きやすくなる
5-1. アイデアがマンネリ化しイノベーションが起きない
心理的安全性が低い職場では、「意見を発信してもどうせ何も変わらない」という雰囲気となり、結果としてアイデアなどがマンネリ化します。新商品の開発などにも影響が生まれ、同業他社などに後れを取る要因となるのです。
新しいアイデアや改善プランなどが発信されない職場では、イノベーションが生まれる確率も低くなります。広くチームメンバーのアイデアを吸い上げて生産性を向上するためにも、心理的安全性を高めることは重要です。
5-2. 従業員のモチベーション低下や離職率増加につながる
心理的安全性の低い職場では、「意見や提案を出しても無駄だ」という雰囲気となります。そのため、従業員が自分の仕事に創意工夫を見出すことが減り、モチベーション低下につながるでしょう。
また、従業員は「言われたことをやっているだけ」の状態となり、「自分がやっている仕事に価値があるのか」という疑念を持つようになります。自分の存在意義を見出せないことで、おのずと仕事に対する熱意は低下し、転職・退職を検討する従業員も出てくるでしょう。
心理的安全性の有無は、離職率などにも強く影響し、残ったメンバーの負担も重くなります。
5-3. 不祥事や問題の隠ぺいが起きやすくなる
心理的安全性が低い職場では、「上司の言うことには従わなくてはならない」「組織の方針に意見を言うことはできない」という雰囲気が蔓延します。そのため、不祥事や従業員のモラル低下につながる点も問題です。「不正などをしても求められる業務は絶対達成する必要がある」というバイアスがかかります。
また、不祥事とまでいかずとも、問題や業務上のミスが起きたとき報告しづらい土壌があることで、隠ぺいをおこない業務に支障をきたす可能性もあります。問題が深刻になってから発覚すると、対応のために本来不要であったはずの労力を割く必要にも迫られるでしょう。
6. 心理的安全性が低い職場の改善方法
心理的安全性を高める具体的な方法について、以下の3つを紹介します。
- 1on1ミーティングを実施する
- 会議やミーティングの場で特定の人に発言が偏らないよう心がける
- ミスなどを積極的に報告できる空気を作る
6-1.1on1ミーティングを実施する
Googleなどの企業において実際に心理的安全性を高めるために取り入れているのが、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1でおこなう対話となります。主な目的は、人間関係の活性化と部下の成長サポートです。
仕事の相談に乗るのもよいですが、雑談などを交えながら話していくことで、互いの信頼感を高められます。信頼関係を深めることで、相談や発言をしやすい環境構築に寄与するでしょう。
6-2. 会議やミーティングの場で特定の人に発言が偏らないよう心がける
いつも特定の人しか発言していないような会議やミーティングでは、新しいアイデアや改善案も出てこないものです。できるだけ発言が均等になるようにし、「〇〇さんはどう思う?」などと発言を引き出すようにしてみるとよいでしょう。
緊張感をほぐすために、会議などの前に軽い日常会話を盛り込むのも効果的です。一見風通しのよい組織でも、よくみると特定の人しか意見を言っていない状況もよくあります。
新入社員や若手社員も含めてそれぞれに発言させることで、意見を言うことに抵抗のない組織づくりを心がけるとよいでしょう。
6-3. ミスなどを積極的に報告できる空気を作る
先に述べたように、心理的安全性の低い組織においては、問題の隠ぺいなどの致命的トラブルを起こすリスクがあります。失敗やミスをあまりとがめず積極的に報告できる雰囲気作りが大切です。
そのためには、上司やリーダーが「だれでもミスを犯すことは当然あるので、何かあれば報告してほしい」などと呼びかけてみるとよいでしょう。
7. 心理的安全性が低い職場を脱却して生産性を向上しよう
心理的安全性が低い職場では、従業員の意見の発信が抑制されアイデアが出なくなるなど、さまざまなデメリットを抱えています。
そのため、本記事で紹介した心理的職場が低い職場の改善方法なども活用し、心理的安全性を高め、より生産性に優れた組織づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。
社会保険の手続きガイドを無料配布中!
社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびにおこなう手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
当サイトでは社会保険の手続きをミスや遅滞なく完了させたい方に向け、最新の法改正に対応した「社会保険の手続きガイド」を無料配布しております。
ガイドブックでは社会保険の対象者から資格取得・喪失時の手続き方法までを網羅的にわかりやすくまとめているため、「最新の法改正に対応した社会保険の手続きを確認しておきたい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
人事・労務管理のピックアップ
-
【採用担当者必読】入社手続きのフロー完全マニュアルを公開
人事・労務管理公開日:2020.12.09更新日:2024.03.08
-
人事総務担当が行う退職手続きの流れや注意すべきトラブルとは
人事・労務管理公開日:2022.03.12更新日:2024.07.31
-
雇用契約を更新しない場合の正当な理由とは?通達方法も解説!
人事・労務管理公開日:2020.11.18更新日:2025.04.16
-
法改正による社会保険適用拡大とは?対象や対応方法をわかりやすく解説
人事・労務管理公開日:2022.04.14更新日:2025.04.04
-
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点
人事・労務管理公開日:2022.01.17更新日:2025.02.14
-
同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
人事・労務管理公開日:2022.01.22更新日:2024.10.16
タレマネの関連記事
-
ジョブクラフティング研修のやり方は?研修の目的や得られる効果を解説
人事・労務管理公開日:2025.04.18更新日:2025.04.10
-
ピープルマネジメントって何?定義やメリット・従来の手法との違いを解説
人事・労務管理公開日:2025.04.18更新日:2025.04.10
-
異動希望を従業員が出す理由は?重要性や通さない場合の注意点を解説
人事・労務管理公開日:2025.04.17更新日:2025.04.10