出産手当金はいつ申請する?申請期間や申請書の書き方を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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出産手当金はいつ申請する?申請期間や申請書の書き方を解説

申請書

出産手当金は、産休中の従業員の生活を支える重要な制度です。ただし、受給するためには「健康保険の被保険者であること」といった要件を満たす必要があります。支給対象となるのは、原則として、出産に伴い就労できず、かつ給与の支払いがない期間に限られます。

また、申請には医師・助産師による証明や、事業主による賃金支払状況の証明が必要となるため、会社と従業員の円滑な連携が不可欠です。本記事では、出産手当金の支給条件や計算方法、申請書類の書き方から手続きの流れまでを解説します。

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本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。

◆この資料でわかること

  • 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
  • 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
  • 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
  • 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要

2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 出産手当金とは?

はたらく妊婦

出産手当金は、健康保険の被保険者が産休中の給与の支払いを受けない期間、その生活を保障するために支給される手当金です。産休中とは産前42日と産後56日の期間であり、健康保険法では次のとおり定められています。

健康保険法
(出産手当金)
第百二条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。

引用:健康保険法|e-Gov法令検索

勤務先を通じて自分が被保険者として加入している健康保険から支給されるため、扶養家族や国民健康保険加入者など、被保険者でない場合は受け取れません。

なお、「出産手当金」はあくまで産休期間中の給与の補填です。出産にかかる費用を保障する「出産育児一時金」と間違いやすいので明確に区別できるようにしましょう。

参考:出産手当金|全国健康保険協会

1-1. 出産手当金の支給要件

出産手当金の給付を申請し、従業員が受給するためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。

  1. 健康保険の被保険者であること
  2. 妊娠4ヵ月(85日)以上の出産であること
  3. 出産のために仕事を休み、休業中に十分な給与の支払いを受けていないこと

なお、ここでいう出産には流産、死産、人工妊娠中絶も含まれます。

また、この産前産後休業中に給与が支給される場合でも、その額が出産手当金より少なければ差額が支給されます。一方、給与額が出産手当金を上回る場合、出産手当金は支給されないので注意が必要です。

2. 出産手当金の申請期間

手当木の人形

出産手当金は、申請期間が定められており、いつでも申請できるわけではありません。ここでは、出産手当金の支給対象期間と申請期間について、具体例を用いて解説します。

2-1. 出産手当金の支給対象期間

出産手当金の支給の対象となる期間は、単胎妊娠の場合は出産の日以前の42日間と、出産日の翌日から56日間です。多胎妊娠の場合は、産前期間が98日前(14週間前)からとなりますが、産後の期間は出産日の翌日から起算して56日間で単胎妊娠と同じです。

支給日数は出産日を基準に計算され、出産が予定日より早ければ産前期間は短くなり、予定日より遅れればその分長くなります。

次の図は、出産手当金の対象期間のイメージです。

出産予定日より早く出産した場合

産前産後休業が可能な対象期間内に、実際に会社を休んだ日数が受給対象日数となります。そのため、受け取る出産手当金の額は従業員ごとに異なります。案内の際には注意しましょう。

2-2. 出産手当金はいつから申請できる?

出産手当金の申請は、出産後におこないます。なぜなら、医師または助産師の証明書や、事業主の証明欄の記入などの必要書類の添付が必要なためです。出産日や実際の出産状況(予定日より早い・遅いなど)が確定しないと、支給対象期間や日数が決まらないため、事前申請はできません。

また、出産手当金の申請の消滅時効は2年であり、「労務に服さなかった日」ごとに請求権が発生します。そのため、出産手当金の支給対象期間の早い日付順から時効の締切が来る点が重要です。

2-3. 【2026年1月13日~】協会けんぽで電子申請が可能に!

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、2026年1月13日から出産手当金の電子申請に対応しています。これにより、オンライン上で申請手続きが完結するだけでなく、申請状況をリアルタイムで確認できるので、社内での進捗管理や情報共有もスムーズになるでしょう。

また、紙申請では、記載漏れや添付書類の不備があった場合に差し戻しや再提出が必要となり、手続きに時間がかかることがあります。一方、電子申請であればオンライン上で修正・再提出が可能なため、こうした手続きの遅延を軽減できる点も大きなメリットです。

一方で、電子申請を利用するためには、事前に環境整備が必要となり、初めて操作する際は手続きに戸惑い時間がかかる可能性もあります。そのため、事前に利用するシステムの操作方法や申請フローを確認しておくことが重要です。

なお、出産手当金の電子申請に対応しているかはそれぞれの組合によるため、自社が所属する健康保険組合が対応しているかは事前によくチェックしておくとよいでしょう。

参考:健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

3. 出産手当金の計算方法

はてなマーク

出産手当金の支給額は、出産が予定通りかどうか、実際に何日休んだかなどによって、支給額が変動します。ここでは、出産手当金の計算式をもとに計算方法と具体例を解説します。

3-1. 出産手当金の計算式

出産手当金の支給額は、次の計算により算出されます。

【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日× 3分の2 ×支給対象日数

計算式の各項目を解説します。

  • 標準報酬月額

社会保険料の算出を簡単にするため、従業員の月々の給料を一定範囲に分けて区分した値で、社会保険料算出の基礎になるものです。

関連記事:標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説

  • 支給対象日数

実際に会社を休んだ日数のことです。1日あたりの出産手当金に、支給対象日数をかけて、受け取れる出産手当金の総額が算出されます。

  • 支給開始日

一番最初に出産手当金が支給された日のことです。なお、出勤していない日に対して出産手当金の額より少ない給与が支払われているときは、その差額が支払われます。

なお、支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合、次のうちいずれか低い額を「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額」の代わりに使用して計算します。

  • 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
  • 標準報酬月額の平均額(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
    30万円:支給開始日が令和7年3月31日以前の方
    32万円:支給開始日が令和7年4月1日以降の方

引用:出産手当金|全国健康保険協会

3-2. 出産手当金の計算例

続いて、産前休業中に支給される出産手当金の計算方法と計算例を解説します。なお、ここでは全ての場合において、計算の際に活用する標準報酬月額の平均を280,000円とし、日額は6,220円として計算します。日額算出の計算式は次の通りです。

標準報酬月額の30分の1相当額:280,000円 ÷ 30日 = 9,330円(10円未満四捨五入)
1日あたり支給額(日額):9,330円 × 3分の2 = 6,220円(1円未満四捨五入)

参考:出産手当金|全国健康保険協会

この数字を用いて、3つのケースに分けて、実際の産前休業中に支給される出産手当金の計算例を紹介します。すべての出産が予定日通りの出産とは限らないため、予定日と実際の出産日が違う場合の計算方法も確認しておきましょう。

①出産が予定日通りのケース

出産のために休業した日数

42日

出産手当金

6,220円(日額)×42日=261,240円

②出産が予定日より早まったケース

出産のための休業予定日数

42日

出産が予定日より早まった日数

10日

出産のために実際に休業した日数

32日(42日-10日)

出産手当金

6,220円(日額)×32日=199,040円

③出産が予定日より遅れたケース

出産のための休業予定日数

42日

出産が予定日より遅れた日数

5日

出産のために実際に休業した日数

47日(42日+5日)

出産手当金

6,220円(日額)×47日=323,440円

3-3. 産前休業を取らなかった場合の出産手当金の扱い

産前休業を取得せず出産日当日まで勤務した場合でも、出産日以前42日間(多胎妊娠は98日間)のうち、実際に勤務しなかった日は支給対象です。妊娠中の体調不良による休業や、出産日当日に勤務しておらず給与の支給がない場合には、その期間が産前休業として扱われ、出産手当金の支給対象となります。

一方、産後休業は労働基準法により取得が義務付けられているため、必ず休業させなければなりません。そのため、産後休業分は原則全期間が出産手当金の支給対象です。

ただし、産後6週間経過後であり医師の許可があれば就業可能なので、就業した場合は出産手当金の対象外となります。

3-4. 【ポイント】出産手当金は非課税所得に該当する

出産手当金は「非課税所得」に該当します。年末調整の際に従業員が誤って出産手当金を収入として申告してしまうと、配偶者控除や扶養控除、基礎控除などの所得控除の判定に影響し、本来適用可能な控除が受けられなくなるおそれがあります。

また、従業員自身が確定申告をおこなう場合も同様に、出産手当金は申告書の収入金額に含める必要はありません。誤って計上してしまうと課税所得が過大に算定され、適正な申告ができなくなるおそれがあります。こうした誤りを防ぐためにも、産休に入る前後のタイミングで従業員へ案内をおこなっておくとよいでしょう。

関連記事:産休中も年末調整は必要?正しい処理方法と控除との関係を解説

4. 出産手当金の申請に関して注意すべきケース

注意のイメージ

出産手当金は、申請時の状況によって支給額や受給可否が変わる場合があるため、事前に制度の仕組みを理解しておくことが大切です。ここでは、出産手当金を申請する際に特に注意したいケースについて解説します。

参考:出産手当金|全国健康保険協会

4-1. 産休中に給与を支給する場合

出産手当金は、産休中に「給与の支払いがないこと」を前提として支給される制度です。そのため、産休中に会社から給与が支給されている場合は、その金額に応じて出産手当金が減額されたり、支給されなかったりする点に注意が必要です。

具体的には、支給される給与の日額が出産手当金の日額を下回る場合、その差額が出産手当金として支給されます。一方で、給与の日額が出産手当金の日額以上となる場合には、出産手当金は支給されません。

会社が独自に産休中の給与を一定割合で補償している場合には、最終的な受給額に影響が生じるので、あらかじめ制度の内容を確認しておくことが重要です。

4-2. 傷病手当金を同時に受け取れる場合

出産手当金と傷病手当金は、いずれも健康保険から支給される所得補償ですが、原則として同一期間に両方を同時に受け取ることはできません。

出産手当金の受給期間中に病気やけがにより就労できなくなった場合は、まず出産手当金が優先して支給されます。そのため、傷病手当金については、出産手当金の支給終了後にあらためて受給することになります。

一方で、すでに傷病手当金を受給している途中で出産手当金の支給対象となった場合には、傷病手当金の支給は一時的に停止され、出産手当金が優先されます。その後、出産手当金の支給期間が終了すると、傷病手当金の支給が再開されます。

なお、出産手当金の支給額が傷病手当金の額を下回る場合には、その差額分について傷病手当金が支給される仕組みとなっています。

関連記事:従業員が出産手当金をもらえないケースとは?支給条件や対応策を解説

5. 出産手当金申請時の必要書類「出産手当金申請書」

申請書

協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合、出産手当金申請の際に必要となる書類は「健康保険出産手当金支給申請書」のみです。ここでは、出産手当金申請書の書き方を解説します。

参考:健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

5-1. 被保険者記入用ページの書き方

1ページ目の被保険者記入用には、被保険者番号や氏名、住所、電話番号、生年月日などの基本情報を記入します。また、出産手当金の振込先として被保険者名義の口座情報も記載しますので、記入漏れの無いよう、すべての項目を正確に記入しましょう。

なお、訂正が必要な場合は、該当箇所を判読できないように塗りつぶしたうえで、欄外に正しい内容を記入します。

5-2. 被保険者・医師・助産師記入用ページの書き方

2ページ目は、被保険者・医師・助産師記入用のページです。出産日・出産予定日は、支給対象期間を計算する基準になるので日付を正しく記入しましょう。医師・助産師の署名は、協会けんぽに提出する正式な証明のために必須となります。

これらは出産後に記入するため、入院中や産後の通院時に依頼するのが一般的です。申請書は3ページ構成ですが、証明欄のある2ページ目だけを産院に渡しても問題ありません。出産日や妊娠週数などの記入漏れがあると差し戻しとなる可能性があるため、申請前に必要事項がすべて記載されているか確認しましょう。

また、医療機関によっては証明書記入に文書料が発生する場合があります。事前に確認しておきましょう。

5-3. 事業主記入用ページの書き方

3ページ目は事業主記入用です。被保険者の勤務状況や賃金の支払状況、事業主による証明を記入します。

勤務状況については月別に記入欄があり、申請期間中に出勤した日を〇印で囲みます。この欄に有給休暇の取得日を記入する必要はありません。ただし、賃金の支払状況欄には、取得日に支払った賃金額を記入する必要があります。

賃金の支払状況欄には、有給休暇の賃金のほか、出勤日でない日に支払った報酬や手当(通勤手当や住宅手当など)を記入します。また、事業主の証明は申請の都度必要です。産前休業と産後休業を分けて申請する場合など、2回目以降の申請の際にも省略はできないため注意しましょう。

こちらが実際の出産手当金支給申請書です。

出産手当金申請書の記入例

引用:健康保険出産手当金支給申請書 | 全国健康保険協会

ここまで解説したとおり、申請書には医師・助産師の証明欄と事業主証明欄が含まれているため、原則として別途診断書の添付は不要となります。ただし、不備や記載内容の不一致がある場合には、本人確認書類などの追加提出を求められることもあるので用意しておくとよいでしょう。

また、健康保険組合の場合は、組合によって手続きが異なる場合があります。そのため、母子手帳のコピーなど追加書類の提出を求められることもあるので、自社の加入している健康保険組合に必要書類を確認し、手続きを進めましょう。

6. 出産手当金の申請手続きの流れ

電卓とお札

出産手当金の申請方法は、産前休業分と産後休業分に分けて申請する方法と、産後一括して申請する方法があります。ここでは、協会けんぽに加入している方を例に挙げて、産後一括して申請する方法を解説します。

参考:健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

参考:出産手当金について|全国健康保険協会

6-1. 会社側と従業員側双方で手続きが必要

出産手当金の申請には、会社側と従業員側の双方での手続きが必要です。

「出産手当金」は、従業員が申請する場合でも、会社側は賃金の支払期間や計算方法などを記載し証明する必要があります。

6-2. 出産手当金を申請する流れ

実際に出産手当金を申請する流れを解説します。会社側と従業員側に分けて、それぞれ対応すべきことを順に解説しているので、ぜひ実務の参考にしてください。

①【会社】産前・産後休業の申請を受ける

従業員から妊娠の報告を受けたら、産前・産後休業の規定を説明し、取得の希望を確認しましょう。産前産後休業は休業届がなくても法的には取得可能ですが、正確に把握するために、「産前産後休業申請書」などを準備しておくとよいでしょう。

②【会社】申請に必要な書類を従業員に渡す

協会けんぽや各健康保険組合のホームページから出産手当金の申請書類をダウンロードし、必要な添付書類を確認します。なお、協会けんぽの場合、申請書には次の項目の記入が必要です。

  • 被保険者情報
  • 振込先指定口座
  • 申請内容
  • 出産予定日と出産日
  • 被保険者が出産のために仕事を休んだ期間(産前・産後休業期間)
  • 申請期間中に事業主から給与が支払われたかどうか、およびその金額
  • 医師・助産師記入欄

医師や助産師の記入が必要な部分もあるため、産休に入る前に従業員に渡しておき、産休明けに提出してもらうとスムーズです。

参考:健康保険出産手当金支給申請書 | 全国健康保険協会

③【従業員】必要事項を記入する

申請書類を受け取った従業員は、被保険者情報を記入します。氏名や住所、被保険者番号などの記入が必要なので従業員とあらかじめ必要な情報を共有しておきましょう。

④【従業員】産院で医師や助産師の項目を記入してもらう

申請書の2ページ目には医師・助産師の証明欄があります。該当ページを提出し、医師・助産師に必要事項を記入してもらいましょう。入院中や産後の通院時に記入・返却してもらうのが一般的です。

なお、医師・助産師による記入内容を訂正する場合は、該当箇所を黒の二重線で抹消し、正しい内容を記入するよう案内することが重要です。

また、出産手当金は、産前分と産後分など複数回に分けて申請することも可能です。1回目の申請が出産後であり、その際の証明によって出産日などが確認できている場合には、2回目以降の申請において医師・助産師の証明を省略できます。

⑤【会社】事業主証明書類を作成する

申請書の3ページ目には事業主の証明欄があります。産前・産後休業期間を終えた後、従業員の賃金や出勤状況を記載しましょう。なお、出産手当金を複数回に分けて申請する場合、事業主証明欄は毎回証明が必要となります。

⑥【会社・従業員】健康保険団体に必要書類を提出する

従業員の産休が終わった後、申請書など書類の準備が整ったら、所定の窓口(協会けんぽまたは、健康保険組合)に提出します。

以上で、出産手当金の申請は完了です。給付金は申請書に記載した従業員の口座に直接支払われます。

産前産後休業中は給与が支払われないことから、従業員から「出産手当金の入金を早めたい」と要望されることがあります。その場合は、あらかじめ会社と従業員の双方で必要な申請書や証明書を準備しておくことが大切です。事前に準備しておくことで産後に「医師・助産師の証明欄」が確認でき次第、スムーズに申請書を提出できます。

7. 退職を予定している場合の出産手当金の申請方法

電卓とノート

産休中に退職を予定している場合でも、要件を満たせば退職後も出産手当金が継続して支給されます。支給の条件と申請方法を解説しますので、注意すべきポイントを理解して従業員に説明しましょう。

7-1. 退職予定でも出産手当金の申請ができる条件

出産手当金の退職後の継続給付を受けるには、次の3つの要件を満たさなければなりません。

  1. 退職日前日までに継続1年以上の被保険者期間があること
  2. 退職時点で出産手当金を受けているまたは受けられる状態(産前42日※多胎妊娠の場合98日~産後56日で労務に服していないこと)であること
  3. 退職日に出勤していないこと

産休中の退職でも、これらを満たせば継続給付の対象です。

7-2. 退職予定の場合の申請方法

退職後に出産手当金を申請する場合は、会社ではなく被保険者本人が申請します。退職後は、健康保険の被保険者資格を喪失しており申請を代行できないためです。

「健康保険出産手当金支給申請書」をダウンロードし、本人記入欄などの必要事項を記入します。医師・助産師記入欄は在職時の申請と同様、産院で証明を受けます。会社は事業主証明欄を記載し、被保険者本人へ郵送します。必要書類が揃ったら、本人が直接、協会けんぽ支部または健康保険組合へ郵送または窓口へ提出します。

退職後の出産手当金の申請は、次の記事でより詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:退職後でも出産手当金はもらえる?支給条件・もらえないケース・注意点を解説

8. 産休前後に必要なその他の労務手続き

PC作業する

産前産後休業に関しては、出産手当金の申請だけでなく、社会保険料の取り扱いや各種給付の手続きもあわせて対応する必要があります。これらを適切におこなうことで、従業員の負担軽減や手続き漏れの防止につながります。

8-1. 社会保険料の免除申請

産休中は手続きをすれば社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が労使ともに免除されます。免除の対象となる期間は、産休を開始した月から、産休終了日の翌日が属する月の前月までです。なお、免除期間中であっても保険料は支払ったとみなされ、将来の年金額にも反映されるので、従業員に不利益が生じることはありません。

この免除措置を受けるには、事業主が「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構(または加入している健康保険組合)へ提出する必要があります。提出期限は、産休中もしくは産休終了日から起算して1ヵ月以内です。

また、産休から育児休業へ移行する場合には、育児休業中の社会保険料についても別途免除の手続きが必要です。あわせて、育児休業給付金の申請も忘れずにおこないましょう。

参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き|日本年金機構

関連記事:産休中の社会保険免除はいつからいつまで?申請方法から具体例まで解説

関連記事:育児休業とは?2025年法改正や男性育休の手続きなど最新トピックスを解説

8-2. 標準報酬月額の改定・みなし措置

産休後に職場復帰した際、時短勤務などにより報酬が低下するケースがあります。このような場合には、通常の随時改定とは別に「産前産後休業終了時改定」の対象となる可能性があります。この改定をおこなうには「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を日本年金機構(健康保険組合)へ提出する必要があります。

この制度では、復帰後3ヵ月間の報酬をもとに標準報酬月額を見直すことができ、通常必要とされる「固定的賃金の変動」や「2等級以上の差」といった要件が求められません。そのため、実態に即した社会保険料へ早期に見直すことが可能です。

また、将来の年金額への影響を考慮し、子どもが3歳に達するまでの養育期間中に標準報酬月額が低下した場合には、従前の標準報酬月額を基に年金額を計算する「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を利用できます。この場合は、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を日本年金機構へ提出します。

参考:産前産後休業終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

関連記事:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?申請期間や必要書類を解説

8-3. 出産育児一時金の支給申請

出産時には、健康保険から「出産育児一時金」が支給されます。原則として、1児につき50万円(産科医療補償制度加入医療機関での出産の場合)が支給され、出産費用の負担軽減に役立ちます。

多くのケースでは「直接支払制度」が利用されており、医療機関が保険者へ直接請求をおこなうので、従業員が高額な費用を一時的に立て替える必要はありません。一方で、直接支払制度を利用しない場合には、出産後に被保険者本人が申請手続きをおこなう必要があります。

また、実際の出産費用が出産育児一時金の支給額を下回った場合には、その差額が支給されます。従業員への案内時には、この点もあわせて説明しておくとよいでしょう。

参考:出産育児一時金|全国健康保険協会

9. 出産手当金の申請方法を理解してミスのない手続きをしよう

女性従業員

出産手当金は、出産に伴い休業する従業員の生活を支える重要な制度です。会社側が申請方法や必要書類などを正しく理解しておくことで、手続きを円滑に進められ、従業員も安心して出産に専念できる環境を整えられます。

また、人事労務担当者は、申請書の内容や記入時のポイント、具体的な申請フローについて事前に従業員へ共有しておくことが大切です。産前産後のサポート体制をあらかじめ整備しておくことは、従業員の働きやすさの向上だけでなく、会社への信頼感の醸成にもつながります。

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