男性の育児休暇に関する義務化はいつから?法改正の内容や企業がおこなうべき準備とは
更新日: 2025.12.24 公開日: 2025.6.21 jinjer Blog 編集部

男性の育児休暇取得は法改正により環境整備が企業に義務付けられ、男性の育児休暇(出生時育児休業)に関しては、2022年10月から改正育児・介護休業法が段階的に施行され、2025年4月以降も企業には就業規則の見直しや数値の公表など新たな対応が求められます。
また、出生時育児休業(産後パパ育休)の創設により、父親が短期間で育児に関与できる仕組みも整いました。
本記事では、男性の育休に関して義務化された内容や、会社がしておくべき事前準備などを解説します。男性の育休取得を促し、人材が定着しやすい環境の構築を目指す人事労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
- 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
- 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
- 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
- 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要
2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 男性の育児休暇取得の義務化はいつから始まる?


2025年4月1日から、従業員数300人以上の企業に「男性労働者の育休取得状況を年1回公表すること」が義務付けられました
従来は「従業員数1,000人以上の企業」に限られていましたが、法改正により公表義務の適用範囲が拡大しています。
また、2025年10月には「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」が取れるよう、就業規則の見直しが義務化されます。担当者は、最新の法改正内容を正確に把握し、しっかりと対応していきましょう。
1-1. 出生時育児休業(産後パパ育休)とは?
出生時育児休業は、子どもが出生した際に父親が取得できる育児休業制度で、通称「産後パパ育休」とも呼ばれます。
この制度は、育児・介護休業法に基づき、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで取得することができます。育児休業給付金の支給対象となり、取得期間中の経済的負担を軽減することができます。
出生時育児休業の特徴として、取得期間の柔軟性があります。従来の育児休業は連続して取得するのが一般的でしたが、出生時育児休業は分割して取得することが可能です。この制度により、父親が育児に積極的に参加できるようになるので、育児と仕事の両立がしやすくなります。
企業には、従業員が出生時育児休業を取得する際に、取得手続きや制度内容についての情報提供をおこなう義務があります。情報をしっかり周知することで、従業員は制度を理解して円滑に取得できるようになるのです。
1-2. 通常の育児休業制度との違い
通常の育児休業制度は、子どもが1歳に達するまでの期間で取得することができますが、出生時育児休業は、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで取得できます。「出生後」に限定して取得期間を短くすることで、育児と仕事の両立を図るための柔軟な対応が可能となっています。
また、育児休業給付金の支給期間や条件も異なるので注意してください。通常の育児休業では、育児休業給付金は休業開始から6ヵ月までは賃金日額の67%、その後は50%が非課税で支給されます。一方、出生時育児休業(産後パパ育休)の給付金は、休業開始から最初の4週間について賃金日額の67%が非課税で支給されます。取得を2回に分割する場合でも、それぞれの期間ごとに支給されるので間違えないようにしましょう。
企業は、従業員に対して両制度の違いを明確に説明し、適切な申請サポートをおこなう必要があります。しっかりサポートすることで、従業員は自分に適した制度を選択できるので、円滑に育児と仕事の両立を図れます。
1-3. 出生時育児休業(産後パパ育休)の特徴
出生時育児休業の最大の特徴は、父親が短期間で育児に関与できる点にあります。制度上、2回に分けて取得することが可能であり、子どもの出生直後の育児参加を促進します。父親の育児休業に特化した制度が施行されることで、父親の育児参加が進み、家庭内での育児負担の分担が進むことが期待されます。
さらに、育児休業給付金が支給されるため、経済的負担を軽減しながら休業を取得することも可能です。お金に関する不安がなくなると、父親はより積極的に育児に関与しやすくなり、育児と仕事の両立がしやすくなります。
企業は、従業員の希望に応じた柔軟な対応が求められ、休業取得状況の把握や周知徹底が法的に義務付けられています。義務づけることで、男性の育児参加が促進される仕組みが整備されたといえるでしょう。
2. 男性の育児休暇に関して義務化された通知・取得推進の内容


2022年10月1日から順次施行されている法改正において、2025年4月以降に企業に求められる対応は以下の4点です。
- 男性労働者の育休取得状況を年1回公表すること
- 両立支援の拡大にともない就業規則を見直すこと
- 育児中の従業員に対して、労働時間や勤務場所の柔軟な対応を図ること
- 仕事と育児の両立に関して本人の意向を個別に聴取し業務上の配慮をおこなうこと
ここでは、それぞれの詳細を解説します。
2-1. 男性労働者の育休取得状況を公表すること
2025年4月以降、常時雇用する労働者が300人以上の企業は、男性労働者の育休取得状況を年1回公表する義務があります。
公表する内容は、以下のいずれか一方の割合を選択して算出します。
| 1. 育児休業等の取得割合 | 育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数 |
| 2. 育児休業等と育児目的休暇の取得割合 | (育児休業等をした男性労働者の数+育児目的の休暇制度を利用した男性労働者の数)÷配偶者が出産した男性労働者の数 |
育児目的の休暇制度は、企業が独自に設けている制度です。制度がない場合は1の計算式を用います。
公表はインターネット上で実施し、対象となる事業年度が終了してから3ヵ月以内を目安におこないましょう。厚生労働省は、公表の場として12万社以上の企業が登録する「両立支援のひろば」を推奨しています。
参考:2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます|厚生労働省
2-2. 両立支援の拡大にともない就業規則を見直すこと
2025年4月施行の法改正にともない、育児と仕事の両立を支援するための制度が見直されました。企業は、制度に応じて会社の就業規則を見直す必要があります。
主な変更点は以下のとおりです。
| 変更点 | 詳細 | |
| 子の看護休暇 | 対象となる子の範囲拡大 | 小学校3年生修了まで |
| 取得事由の追加 | ・感染症に伴う学級閉鎖等
・入園(入学)式、卒園式 |
|
| 除外労働者の規定撤廃 | 継続雇用期間6ヵ月未満 | |
| 所定外労働の制限
(残業免除) |
対象範囲の拡大 | 小学校入学前の子を養育する労働者 |
| 短時間勤務制度の代替措置 | 措置の追加 | テレワーク |
さらに、育児のためのテレワーク等の導入が「努力義務」とされました。
対象となるのは「現時点で育児休業をしておらず、3歳に満たない子を養育している労働者」です。
企業は、該当する従業員がテレワークを活用できるよう、勤務制度や設備面での環境整備を進めることが求められます。
参考:育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説|厚生労働省
2-3. 育児中の労働時間や勤務場所の自由度を高める措置を講じること
2025年10月からは「3歳〜小学校入学前の子」を養育する労働者に対し、以下の5つの措置のうち2つ以上を講じることが義務付けられます。
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(1ヵ月につき10日以上)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(年間10日以上)
- 短時間勤務制度
企業は、上記で選択した措置について、該当する労働者への個別の周知・意向確認を個別に実施しなければなりません。
実施にあたっては、以下のタイミングや内容に沿って対応しましょう。
| 周知時期 | 労働者の子が2歳に達する日の前日まで |
| 周知事項 | ・企業が選択した措置の内容(2つ以上)
・措置の申出先 ・ 所定外労働・時間外労働・深夜業の制限に関する制度の概要 |
また、育休復帰時や時短勤務期間中など、状況が変化しやすいタイミングでは、定期的に面談の機会を設けることが望ましいとされています。
参考:育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説|厚生労働省
2-4. 仕事と育児の両立に関して個別に意向を聴取し、配慮すること
2025年10月1日以降、企業は仕事と育児の両立について、対象となる労働者の意向を個別にヒアリングする必要があります。
| 聴取時期 | ・労働者が当人または配偶者の妊娠出産を申し出たとき
・労働者の子が2歳に達する日の前日まで |
| 聴取内容 | ・勤務時間帯
・勤務地 ・両立支援制度などの利用期間 ・就業に関する条件(勤務形態や制限の希望など) |
企業は労働者の意向について、自社の業務状況を踏まえたうえで、可能な範囲で配慮をしなければなりません。
具体的には、配置転換や業務量の調整などを通じて、労働者が安心して育児と仕事を両立できる環境づくりに努める必要があります。
参考:育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説|厚生労働省
3. 男性の育児休暇の通知・取得推進が義務化された背景


男性の育休取得を推進するために法改正がおこなわれた背景として、高齢化にともなう労働人口の減少が挙げられます。
特に、出産や育児を理由に離職する女性の多さが、労働力不足の大きな要因となっています。実際に、2021年10月〜2022年10月の1年間で、「出産・育児のため」に離職した女性の数は14万人を超えました。
厚生労働省の調査によると、夫の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高くなる傾向にあるとされています。企業が男性の育休取得を後押しすることで、男性の育児参加が進み、結果として女性の就労継続や復職を促せるでしょう。
男性の育休取得を促すことは、労働力の減少を最小限に抑え、企業の生産性を維持・向上させる重要な取り組みといえます。
4. 男性の育児休暇取得に向けて企業が準備すべきこと


男性の育休取得を推進するうえで、企業がおこなうべき事前準備は以下のとおりです。
- 育休中の経済的支援について労働者への周知徹底を図る
- 育休を取得しやすい労働環境を整備する
- 会社が利用できる助成金について理解を深める
それぞれ詳細を見ていきましょう。
4-1. 育休中の経済的支援について労働者への周知徹底を図る
男性の育休取得を促すためには、育休中に受けられる経済的支援についての情報を社内で共有することが重要です。
収入の減少を懸念して、育休の取得をためらう労働者も少なくありません。
厚生労働省の調査によると、男性が育休を利用しなかった理由は「収入を減らしたくなかったから」が最多でした。
育休中は、給与・賞与にかかる社会保険料が免除されるほか、育児休業給付金などの支援制度を利用できます。結果として、手取りベースでは休業前とほぼ同水準の収入を維持できるケースもあります。
制度を正しく理解してもらうことで、男性の育休取得に対する心理的ハードルを下げられるでしょう。日頃から労働者への情報共有や相談体制の整備に努め、不安や疑問を解消しておくことが重要です。
参考:育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します|厚生労働省
4-2. 育休を取得しやすい労働環境を整備する
男性の育児休暇取得を促進するためには、制度の周知だけでなく、取得しやすい労働環境を整備することが重要です。
例えば、長時間労働の是正や業務分担の明確化、テレワークやフレックスタイム制の導入など、柔軟な働き方を可能にする取り組みが求められます。また、休業中の業務を円滑に引き継げる体制を構築することも重要です。「自分が休むことで周囲に迷惑がかかる」というのも取得へのハードルになります。そのため、職場全体の負担を軽減し、休暇取得への心理的ハードルを下げましょう。
さらに、管理職が率先して理解を示し、取得を前向きに支援する姿勢を示すことも不可欠です。厚生労働省が公表する指針では、企業に対し労働者が希望通りに育休を利用できるよう環境を整える努力義務が課されています。
こうした取り組みを継続することで、男性従業員が安心して育休を取得できる体制が実現します。
4-3. 会社が利用できる助成金について理解を深める
男性が育休を取得した場合、企業は「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」を受給できる可能性があります。
出生児両立支援コースには、以下の2つの種別があります。
| 支給要件 | 支給額 |
| 第1種:男性の育休取得者が出た場合 | 1人目:20万円
2・3人目:10万円 |
| 第2種:男性の育休取得率が上昇した場合 | 60万円(1事業主につき1回限り) |
厚生労働省が設ける「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」は、男性の育児休暇取得を実際に進めた企業に対して支給される制度です。
初めて育児休暇を取得する男性労働者が出た場合や、一定以上の取得率を達成した場合などに助成金が交付されます。助成金を受けることで企業の負担軽減につながり、制度周知や環境整備に必要な取り組みを進めやすくなります。
ただし、支給要件や申請手続きはやや複雑なので、必要に応じて社会保険労務士など専門家への相談を検討すると安心です。
参考:2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内|厚生労働省
5. 事前準備を整えて男性の育児休暇取得を推進しよう


男性の育児休暇取得は、2022年の法改正以降、企業に環境整備義務が課されました。2025年4月からは取得状況の公表義務が拡大されるなど、実効性を高める動きも進んでいます。
男性の育休取得率を高めるためには、制度の内容を正しく理解し、早期に運用の方向性を社内で定めることが重要です。
出生時育児休業(産後パパ育休)の新設により、短期間でも父親が育児に関与できる仕組みが整いました。企業は、従業員が利用しやすい就業規則や労働環境を整備するとともに、両立支援等助成金などの制度を活用し、取得を促進することが求められます。法的義務への対応にとどまらず、男性の育児参加を後押しすることは企業の持続的成長や人材定着にもつながります。
従業員の満足度向上につなげるためにも、育児と仕事を両立できる職場環境の構築を目指しましょう。



育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
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