OJTで新人が放置されていると感じる理由は?退職させないOJTの管理方法
更新日: 2024.10.30
公開日: 2024.5.26
OHSUGI
OJTで新入社員の放置が発生している企業は多く存在します。
「OJTの教育担当者が新入社員を放置する状況を防ぐためにはどうすればいい?」と悩むケースは多いのではないでしょうか。
OJTで新入社員を放置すれば、生産性が下がって社内全体の士気が下がる可能性があります。モチベーションが低下すれば退職率の増加にもつながるため、OJTでは新入社員を放置しない体制づくりが重要です。
そこで本記事では、OJTで新入社員が放置されたと感じる理由や、放置している原因を解説します。OJTを効果的に実施するポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
当サイトでは、「モチベーション管理において、まず何から始めていいのかわからない」「具体的にどのような分析・活用をすべきなのか知りたい」という人事担当者の方に向けて「従業員満足度調査のハンドブック」を無料配布しています。
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1. 実はOJT中に「放置されている」と感じる新入社員は多い
しかし、OJT中に「放置されている」と感じる新入社員も意外と多いのが現実です。例えば、「しばらくこれをやっておいてね」と言われて放置され、その間に何のフィードバックも受けられないケースは少なくありません。
このような状況では、新入社員は何をどう学ぶべきか分からず、不安と不満を抱えがちです。アドバイスがなかったために成果を感じられず、最終的には身に付くものが少ないという事態が起きるのです。OJTの目的を達成するためには、トレーナーの適切なサポートが不可欠です。
1-1. どんな時に「放置されている」と感じるの?
新入社員がどんな時に「放置されている」と感じるのを理解しておくことは重要です。
例えば、「しばらくこれをやっておいてね」と言われた後、トレーナーがその場を離れてしまうと、新入社員は不安を感じます。
特に途中でやり方が分からなくなった場合や、予定より早く作業が終了してしまった場合など、次に何をすればよいのか分からず立ち往生してしまうことが多いです。そのため、トレーナーは新入社員の進捗や疑問点に常に目を配り、適切なタイミングでサポートをおこなうことが重要です。
1-2. 「放置」と「教育」の違いを理解しておこう
「放置」と「教育」は根本的に概念が異なります。OJT(On-The-JobTraining)は、トレーナーが実務を通じて新入社員を教育する方法です。そのため、一時的に新入社員に仕事を任せることには問題はありません。
しかし、「放置」とは、トレーナーが不在の時間が長く、新入社員が不安や疑問を持っても解決できない状態が続くことを指します。一方、「教育」においては、トレーナーが適時進捗を確認し、疑念が生じた場合には適切にフォローします。
つまり、教育では新入社員が業務を間違いなく遂行できるよう、適度な間隔でのフィードバックがおこなわれます。一方で、放置では新入社員が自分の進捗や方法が正しいかどうか確認できないため、誤った認識のまま業務を続けるリスクが高まるでしょう。この違いを理解しておくことは、新入社員の適切な育成と定着に非常に重要です。
2. 新入社員がOJTで「放置されている」と感じる4つの理由
新入社員がOJTで放置されていると感じる原因は、主に以下の4つです。
- 教育担当者が不在となる時間が多い
- マニュアル化されていない業務が多い
- 育成が体制化されていない
- 「やっておいて」と仕事を任されている
以下、それぞれ具体的に解説します。
2-1. 教育担当者が不在となる時間が多い
OJTで放置されたと感じる原因の一つに、教育担当者が不在となる時間が多いことが挙げられます。途中でやり方に困ったり疑問が生じたりした際にすぐに質問できる相手がいないため、不安や孤立感を感じることになるでしょう。
また、教育担当者が不在の際は自己学習を強いられますが、経験不足の新入社員がおこなう自己学習には限界があります。とくに、業務に必要な知識やスキルが複雑な場合は自己学習が難しく、新入社員が「成長できない」と感じる可能性も高いです。
2-2. マニュアル化されていない業務が多い
マニュアル化されていない業務が多いことも、OJT期間中に新入社員が放置されていると感じる原因の一つです。
マニュアルにない業務は、手順や注意点がわかりません。自力で業務を進める際に不明点が多く、「適切な指導を受けられていない」と感じやすいでしょう。
また、マニュアルが存在しない場合、業務の正しい進め方を理解するために上司や先輩社員に頻繁に質問をする必要があります。
しかし、現場の上司や先輩社員も自身の業務に追われているため、新入社員の質問に応じられないケースも珍しくありません。新入社員にとって大きなストレスとなり、業務の効率性や正確性を損なうことにつながるでしょう。
2-3. 育成が体制化されていない
育成体制が体系化されていないことも、「放置された」と感じる原因になるでしょう。
新入社員の育成計画や教育プログラムが明確に定められていないと、具体的な学習目標や自身の進捗がわからないためです。自己流で業務を進めざるを得なくなるため、不安や孤立感が増大して放置されている感覚につながりやすくなります。
また、育成が体制化されていなければ、教育担当者も新入社員に対してどのように指導すればよいかがわかりません。新入社員に適切なフィードバックやサポートを実施できず、新入社員が「放置されていた」と感じやすいです。
2-4. 「やっておいて」と仕事を任されている
実務を通して経験値をつけることを目的に「やっておいて」と仕事を任されることも、放置されたと感じる原因です。新入社員は職場のルールや業務の流れに不慣れなため、途中で手詰まりになった際に孤立感や不安を抱えることになります。
ただ、「やっておいて」でなく「やってみよう」と声かけをすれば、一緒に仕事を進めてくれると安心感を与えられるでしょう。
新入社員が自信を持って業務に取り組むためにも、業務をやらせて終わりにせず、明確な目標設定と定期的なフォローアップが重要です。
3. OJT担当者による新入社員の放置が発生する原因4選
OJT担当者が新入社員を放置する原因として考えられるのは、以下の4つです。
- 指導者に時間・余裕がない
- 教育体制が整っていない
- 「見て学べ」の指導方法が根付いている
- 教育担当者の指導力が不足している
以下、それぞれ具体的に解説します。
3-1. 指導者に時間・余裕がない
指導者に時間や余裕がないことは、OJT期間中に新入社員が放置される主な原因の一つです。
2022年に新入社員・若手社員の育成施策担当者1,000名を対象に、日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が実施した調査によると、OJTに課題を抱える企業のうち約6割が「指導側に余裕(時間)がない」ことを問題視しているとわかっています。
指導者が新入社員に十分な時間を割けない主な原因は、自身の業務と新人教育を並行しておこなうことによる負担です。
教育担当者の業務量の調整や組織的なサポートの提供、デジタルプラットフォームを活用したOJTの効率化などの対策を図りましょう。
3-2. 教育体制が整っていない
OJTで新入社員が放置されがちな原因として、企業の教育体制が整備されていない点も挙げられます。
教育体制が曖昧な状況では、OJT担当者が新入社員に対して一貫した指導を実施できません。OJTの目的や進め方、評価基準も明確でないため、どのように指導すればよいのかの判断も難しくなるでしょう。
実際、JMAMが実施したアンケートでも、「指導側に余裕(時間)がない」についで2番目に「指導のバラツキ」が挙げられています。
教育体制を整えるためには、OJTの具体的な計画を策定し、OJT教育担当者に対して研修を提供することが重要です。目的・進め方・評価基準などを明確にし、教育担当者が新入社員を適切に指導できるようにサポートしましょう。
3-3. 「見て学べ」の指導方法が根付いている
先輩社員の仕事を観察して必要なスキルや業務の流れを学ぶ指導方法が根付いていることも、新入社員のOJT放置が発生する原因です。
「見て学べ」は、新入社員の自主性を養う上では効果的な反面、何に注目すべきか、どのように学びを深めるべきかがわかりません。孤立感を感じることで、「放置されている」と思う人もいるでしょう。
業務の背景や理由が明示されなければ、単に表面的な作業の流れを真似るだけで本質的な理解に至らない場合も多いです。新入社員が自ら学ぶだけでなく、教育担当者からも積極的な指導やサポートを実施するようにしましょう。
3-4. 教育担当者の指導力が不足している
教育担当者の指導力不足も、新入社員の放置が発生する理由の一つです。
教育担当者の指導力が足りなければ、新入社員に適切なフィードバックの提供や、疑問の解消ができません。新入社員は自分の業務に対する理解を深められず、成長の機会を逃すでしょう。
また、わかりやすい説明や適切な助言ができなければ、新入社員のモチベーションを維持することも難しいです。新入社員のモチベーションが低下すれば、孤立感につながりやすくなるでしょう。
4. OJT期間中に新入社員を放置する3つのリスク
OJT期間中に新入社員を放置すれば、以下のようなリスクが発生します。
- 退職する可能性が高まる
- 成長できず生産性が上がらない
- 社内の士気が低下する
以下、それぞれ詳しく解説します。
4-1. 退職する可能性が高まる
OJT期間中に新入社員を放置すると、仕事へのモチベーションが低下して退職する可能性も高まります。
どれだけやる気のある新入社員でも、業務の進め方や会社の文化について十分に理解できていなければ、仕事を上手に進められません。会社に対する帰属意識や満足感が得られず、仕事にモチベーションを感じられなくなります。
また、スキルアップができなければ、自分の成長やキャリア形成の見通しも立ちません。将来の不安が募れば、退職するリスクが高まるでしょう。
4-2. 成長できず生産性が上がらない
OJT期間中に新入社員を放置すると、新入社員の成長が停滞して生産性向上の機会を逃すことになりかねません。
新入社員に適切な指導やサポートが提供されず、業務に必要なスキルや知識を習得できないためです。自身の役割や業務の進め方を理解できず、十分にパフォーマンスを発揮できないでしょう。
また、新入社員が業務を遂行する上で必要なスキルを身につけられないと、ほかの社員が不足を補わなければなりません。新入社員の成長が停滞することで、チームや組織全体の生産性にも影響が波及するおそれがあるでしょう。
4-3. 社内の士気が低下する
OJT期間中に新入社員を放置すれば、社内の士気低下にもつながりかねません。
新入社員が放置されれば、企業文化が育成と支援を軽視する方向に傾く可能性があるためです。放置されている状況を見た既存の社員が「自分の行動・成果が適切に評価されないのでは」と不安に感じる可能性があります。
また、新入社員が業務において孤立することで、チームワークの乱れやコミュニケーション不足にもつながりかねません。生産性が低下して売り上げが下がれば、社内の士気も大幅に低下するでしょう。
5. 新入社員を放置せずOJTを実施するポイント
新入社員を放置することなくOJTを実施するためには、以下のポイントを守ることが大切です。それぞれみていきましょう。
5-1. まずは職場環境を整える
新入社員を放置せずOJTを実施するための第一歩は、職場環境を整えることです。
OJTで放置されがちな原因の一つに、トレーナー自身の業務量が多すぎて新入社員の指導に十分な時間が割けないことがあります。この問題を解決するためには、職場の労働環境を見直し、業務量の適正化を図る必要があります。
例えば、現場でアンケートを実施して業務量をヒアリングし、人手不足の部署には追加の人員を投入するなどの対策が考えられます。職場環境が整えば、トレーナーが新入社員に対してより一層丁寧な指導をおこなうことができ、OJTの質も向上します。
5-2. 明確な目標と計画を策定する
OJTで新入社員を放置することなく成功させるためには、明確な目標と計画を策定することが重要です。
何を学ぶべきか、どのようなスキルを身につけるべきかなど具体的な目標を設定することで、新入社員は自身の成長を実感できます。
また、明確な目標と計画があれば、教育担当者や上司も指導の方向性を適切に定めることが可能です。OJTを開始する前に、スケジュールや評価の方法、フィードバックのタイミングなどを計画しておきましょう。
5-3. 具体的な教育方法を確立する
新入社員の教育には具体的な教育方法が必要です。単に業務を任せるのではなく、一歩一歩着実に学べるような段階的な指導が効果的です。例えば、OJTマニュアルを使用して具体的な業務の手順を伝える、定期的にフィードバックをおこなう、メンター制度を導入するなどの工夫が求められます。これにより、新入社員は安心して学び、効率よく業務を理解することができます。
しかし、人事担当者が「OJTを実施しておいてね」と現場にOJTを丸投げしてしまっては、トレーナー側もなにから教えればよいのか分からず途方に暮れてしまいます。OJTでの放置を防ぐための取り組みとして、教育方法を確立するということが重要です。例えば新入社員を指導するためのマニュアルを整備することで、全社的に均一な質のOJTを実施できる確率が高まります。また、OJT前にOff-JTを実施して業務に必要な基礎知識の提供も有効です。
5-4. 教育担当者として適切な人物を選出する
OJTで新入社員の放置を防ぐためには、適切な人物を教育担当者として選出することも不可欠です。
教育担当者は、業務の知識やスキルはもちろん、社会人としての心構えや職場のルールを伝える役割も担います。教育担当者として適切な人物を選出することで、すぐに職場や業界に適応した人材を育てられるでしょう。
5-5. 社員がコミュニケーションを取れる場を設ける
社員同士が気軽にコミュニケーションを取れる場を設けることは、新入社員の放置を防ぐために非常に効果的です。職場での人間関係が良好であれば、OJT中の放置も少なくなります。具体的には、定期的なチームミーティングやランチミーティング、リラックスできるスペースの設置などが考えられます。
また、トレーナーと新入社員が十分にコミュニケーションを取れるように、定期的にトレーナーと新入社員、部門長やマネージャーも交えた三者面談を実施することも効果的です。さらに、自宅から参加できるオンライン交流会なども新入社員が先輩社員や同僚と気軽に交流できる機会を提供します。
これにより、質問や相談がしやすい環境が整い、コミュニケーションが活発になり、社内の一体感も向上します。
5-6. 第三者による面談・フィードバックを実施する
OJTを実施するなら、第三者による面談・フィードバックも大切です。面談・フィードバックの機会を設けることで自身の成長を実感できるうえ、疑問点の解消や悩みの相談もできます。
客観的な視点からの評価やアドバイスを受けるために、新入社員と直接の業務関係にない人物に実施してもらうことが重要です。関係者には言いづらい自身の感想や課題も、オープンに共有してくれるでしょう。
また、面談・フィードバックの結果、新入社員が今後の行動計画を具体的に立てられるように心がけることも大切です。そのため、フィードバックをする際は、できるだけ具体的で建設的な内容を伝えるようにしましょう。
5-7. 定期的に教育に関する研修を実施する
定期的な教育に関する研修を実施することで、新入社員を放置せずOJTの質を高めることができます。OJTトレーナーは一般的に入社後数年から5年目程度の社員が担当することが多く、指導経験が浅いため、結果として新入社員を放置するケースが見受けられます。
このような問題を防ぐために、OJTトレーナーに対して定期的な研修をおこなうことが重要です。研修では、指導の際のコツや心構えを具体的に伝え、OJTの進行状況を共有することでトレーナー間の連携を強化することができます。
これにより、各部署でOJTが効果的に進行し、新入社員の成長を促す環境が整います。
5-8. 外部機関を利用する
トレーナーの育成をおこなう担当者は、いわば「指導者の指導者」にあたります。そのため、社内で指導力育成のための研修を実施できる人材の確保が難しく、なかなか自社でOJTトレーナー向け研修を実施できないといったケースもあるでしょう。
そういった状況を解消するためには、外部機関が提供するOJTトレーナー向け研修を利用することがおすすめです。外部機関の研修を通じて、トレーナーとして必要な知識や心構えを体系的に身に付けることで、トレーナー自身の成長につながり、新入社員を効果的にサポートすることが可能になります。
こうした研修を採用することで、新入社員の育成がよりスムーズにおこなわれるようになり、組織全体の人材育成力が向上します。
6. 退職させないための正しいOJTの管理方法
6-1. やってみせる(SHOW)
OJTの最初のステップとして、まずはトレーナー自身が実際の業務へ取り組み、手本を見せることが重要です。トレーナーが自らの仕事の流れを実演することで、新入社員は具体的な業務プロセスや必要な知識を目で見て学ぶことができます。
これにより、業務の進め方や注意点を理解しやすくなり、新入社員の不安を減少させ、スムーズな業務遂行が可能となります。このようにしてOJTを正しく管理することで、新入社員の早期退職を防ぎ、長期的な成長と定着を促進します。
6-2. 言って聞かせる(TELL)
正しいOJTの管理方法としては、まずお手本を見せた後に口頭で仕事の方法やコツを説明することが求められます。OJTにおいては新入社員が先輩社員の「背中を見て学ぶ」ことも重要ですが、細かな手順やコツ、注意点などは見るだけでは完全には伝わりません。
そのため、「Show」の後に「言って聞かせる(TELL)」が必要です。「この点がポイントだよ」「ここはミスが発生しやすいから気を付けて」といった具合に、「Show」でおこなったことを言語化しながら、できる限り具体的に説明すると効果的です。これにより、習得するべき内容が明確になり、新入社員が業務に対する理解を深めやすくなります。
6-3. させてみる(DO)
「させてみる」では、新入社員が実際に仕事に取り組むことで、過去のステップで教わった内容を実践していきます。この実践は、学んだ知識を確認し、定着させるために非常に重要です。トレーナーは新入社員の手順をよく観察し、適切なフィードバックを提供し、次に取り組む内容を明確に指示することが求められます。
これにより、曖昧な指示による孤立感を防ぎ、新入社員が自身の役割を理解し、安心して仕事に取り組める環境を整えることが可能です。
6-4. ほめる(CHECK)
また、新入社員に「させてみる」過程の中で達成した項目に対しては、率直に褒めることも重要です。「ほめる」は、新入社員が自信を持ち、モチベーションを維持するための大切な要素です。達成できた点をしっかりと認め、さらに改善点がある場合は、それを建設的に伝えましょう。このフィードバックプロセスを通じて、新入社員は成功体験を積み重ね、自身の成長を実感できます。
もしOJTの中で上手くいかなかった点があった場合には、なぜそれが上手くいかなかったのか、次はどのようにすれば改善できるのかを丁寧にフィードバックします。この過程で新入社員が感じる疑問や不安に対しても、トレーナー側から積極的にアプローチし、「何か分からないことはあった?」と尋ねることで新入社員の疑問を解消しやすくします。
こうしたアクティブなコミュニケーションが、新入社員の退職を防ぎ、より良い職場環境を作り上げるためのカギとなります。
7. OJTの仕組みを改善するために人事・会社側ができること
7-1. OJTトレーナー向けに研修をおこなう
OJTの仕組みを改善するために、人事や会社側ができることとしてOJTトレーナー向けに研修をおこなうことが重要です。OJTトレーナー研修は、OJTトレーナーとしての指導力育成にフォーカスした研修です。自社内でのOJTトレーナー研修が難しい場合、外部機関を利用して研修をおこなうことが推奨されます。例えば、外部から講師を招いて対面研修を実施したり、外部でおこなわれているOJTトレーナー研修に担当者を参加させたり、eラーニングを活用したりする方法があります。
これにより、OJTトレーナーは効果的な指導技術やコミュニケーションスキルを習得し、新入社員の育成を一層効率的におこなえるようになります。また、自社に最も適した方法を選択することが重要です。
7-2. メンター制度を取り入れる
OJTの仕組みを改善するためには、メンター制度を取り入れることが有効です。メンター制度は、社歴の近い若手社員や先輩社員が、新入社員をサポートする制度です。最近では、OJTとは別にこのメンター制度を導入する企業も増えています。
OJTが仕事に関するノウハウを伝達するのが目的であるのに対し、メンター制度は業務に直接関連しない新入社員の悩み事や相談を解決するのが狙いです。メンター制度を導入することで、新入社員がOJTで行き詰まりを感じたり、放置されていると感じてしまったりした際にも迅速に対応できるようになります。
また、メンター制度があることで、新入社員は自分が困ったときに相談できる相手がいると感じ、安心感を持って業務に取り組むことができます。結果、新入社員の早期離職を防ぎ、企業全体の生産性向上にも寄与します。
7-3. 定期的に1on1の面談をおこなう
定期的に1対1の面談を実施することも、OJTの質を改善する上で有効です。OJTで常にマンツーマンの指導をおこなっているため不要だと考えてしまいがちですが、OJTで伝達する内容はどうしてもその場の業務に関連した指導に限られてしまいます。定期的に1on1の面談をおこなうことで、新入社員はOJTの場では得られない俯瞰的な視点からのアドバイスを受けることができます。
また、トレーナーとの対話の機会が定期的に確保されることで、新入社員が困難や問題に直面した際に迅速に対処できる仕組みが整います。このような対策を講じることで、新入社員が適切にサポートされ、自身の成長を実感しやすくなるでしょう。
7-4. OJTのフォローを欠かさない
OJTの後半には、成長度合いやOJTトレーナーとの関係性にも差が見られてくるものです。この時期にOJTで学んだ内容の振り返りやまとめを実施すれば、OJTでの指導のモレを防いだり、OJTで学んだ内容のより一層の定着を促したりすることができます。
具体的には、OJTの実施後に、「なにかOJTで解決できなかった疑問点はないか」といった内容をアンケートでヒアリングすることが有効です。また、OJT新入社員を対象としたフォローアップ研修を実施することで、OJTで学んだ知識を復習し、理解を深める機会を提供できます。これにより、新入社員の成長を持続的にサポートし、効果的なOJTを実現するための環境が整います。
8. OJTは従業員が放置される状況にならないよう実施しよう
今回は、OJTで新入社員が「放置された」と感じる理由や放置気味になる要因、その対処方法を解説しました。
OJTで新入社員が放置気味になる背景には、教育担当者の業務負担や企業の教育体制が大きく影響します。企業全体でOJTが上手に機能するようサポートすることで、適切にOJTを実施できるようになるでしょう。
また、OJTの目標・計画を明確にしたり、第三者による面談・フィードバックを実施したりすることも重要です。新入社員・教育担当者ともに理解しやすい研修になるよう心がけましょう。
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
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