組織変革とは?必要性と生じやすい問題点・フレームワークを紹介
更新日: 2025.3.24
公開日: 2025.2.8
OHSUGI
「組織変革とは何か?」
「組織変革とは具体的にどういうことをするのか?」
上記のように、組織変革について詳しく知りたいと考えているのではないでしょうか。
組織改革とは、企業の持つ価値観や長期目標、システムや人員配置に至るまで、あらゆる事柄を一から見直して変えることです。
本記事では、組織変革の基本的な知識と必要性、問題点などを解説します。組織変革をおこなう際に役立つフレームワークもチェックしましょう。
企業のさらなる成長を目指す経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
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1. 組織変革とは
組織変革とは、組織や企業の風土や構造などを根底から変えることを意味します。
変革は、単なる人員配置の見直しやシステムの変更にとどまりません。企業の長期目標や戦略の再構築、新しい価値観の確立など、企業の存在価値に関する部分にもおよびます。
変化の著しい昨今の社会で、長期的に必要とされる企業としてあり続けるためには、組織変革が不可欠です。
2. 組織変革の目的
組織変革には以下のような目的があります。
- 企業の業績アップ
- 従業員エンゲージメントを高める
- 組織文化をブラッシュアップする
それぞれの目的を詳しく解説します。
2-1. 企業の業績アップ
組織変革の目的の一つは、企業の業績アップです。企業の存続・成長のためには、業績アップが必須となります。企業の業績アップのために必要な取り組みは以下のとおりです。
- 市場のニーズに応える新しい商品・サービスの開発
- コスト削減
- 顧客満足度の向上
- 業務の効率化
- 新市場の開拓
- 従業員のスキルアップ
以上の実現を目標として組織変革をおこなえば、企業全体の業績アップが見込めるでしょう。
2-2. 従業員エンゲージメントを高める
組織変革のもうひとつの目的は、従業員のエンゲージメント向上です。従業員エンゲージメントの高さは、企業が社会に必要とされる企業として存続するための重要なポイントとなります。
エンゲージメントが高い従業員の特徴は、以下のとおりです。
- 仕事や組織に対して高い信頼感や愛着心がある
- モチベーションが高い
- 自己成長の意欲がある
エンゲージメントの高い従業員が増えれば、生産性の向上やイノベーションの促進、企業全体の競争力の向上につながるでしょう。離職率も低くなり、優秀な人材が自社で能力を発揮し続けてくれるようになります。
2-3. 組織文化をブラッシュアップする
企業の骨格ともなる価値観や信念、従業員の行動規範などを意味する組織文化のブラッシュアップも、組織変革の大きな目的となります。
組織文化は、従業員の働き方や意思決定の方法、コミュニケーションスタイルなどに大きく関わるものです。組織改変の目的である、業績アップや従業員エンゲージメントの向上にも影響を与えるでしょう。
組織文化のブラッシュアップには、新しい価値観を取り入れつつ、古い価値観の良い部分だけを保持するといった改変が必要となります。社会の急速な変化に対応できる柔軟性を持つことも大切です。
3. 組織変革の必要性
組織変革は、企業が新しい社会で持続可能な成長を遂げるために必要です。かつての高度成長期では消費者の購買力が高く、新しい技術も次々に開発されていました。製品を市場に出せば比較的容易に売れる時代だったといえます。
しかし、現代はすでに高品質な商品やサービスが出回っており、ほかと差別化することが困難です。また、消費者のニーズや好みも多様化しており、ターゲットに合わせた戦略も求められています。
現代の社会で勝ち残るためには、かつての企業の在り方を一新しなくてはなりません。
また、業務のコスト削減や効率化のためには、デジタル化が必須でしょう。女性や高齢者、外国人、障害者など多様な背景をもつ従業員が能力を発揮できる職場づくりも必要です。
課題を解決するためには、場当たり的な取り組みでは解決できません。組織全体を根本から見直す組織変革が必要となるでしょう。
4. 組織変革をおこなうタイミング
組織変革には、おこなうべきタイミングがあります。従業員に変革が受け入れられやすいタイミングに実施することで、組織変革が成功する可能性が高まるでしょう。
組織変革を実行するタイミングには、外部的要因と内部的要因があります。以下の表を参考にしてください。
要因 | 具体例 |
外部的要因 | ・経済や社会情勢の変化
・顧客ニーズの変化 ・デジタル化の浸透 ・法令の改正 ・感染症の流行 |
内部的要因 | ・経営者の交代
・大規模な人員異動 ・企業の財政状況の変動 ・新技術の導入 ・労働環境の改善 ・新技術の導入時 |
変革のタイミングを逃すと実行が困難になる場合もあるので、然るべきタイミングで組織変革を実行することが求められます。
5. 組織変革の際に生じやすい問題点
組織変革の際に起こりやすい課題と対策を紹介します。
5-1. 従業員に抵抗や混乱が生じる
今までの組織文化や業務内容に慣れている従業員は、変革に抵抗する可能性が高いです。業務上で混乱が生じたり、士気が下がったりすることもあるでしょう。
とくに、変革の目的や意義を理解していない従業員は、不安や不満を感じやすいです。しかし、組織変革は従業員の協力なしでは成し遂げられません。経営陣は、従業員と変革の目的やビジョンを共有しつつ、従業員の意見に耳を傾けることが大切です。
また、新しいプロセスや業務に慣れるまで、一時的に生産性が低下する可能性もあります。生産性の低下を最小限にするためには、従業員への研修や適切なサポートが必要となるでしょう。
5-2. リーダーシップが発揮されない
リーダーシップは組織の成長や変革において不可欠な要素です。しかし、リーダーシップが発揮されない状況では、組織は目指すべき方向性を見失います。リーダーがビジョンを明確に持ち、それをチームに伝える能力が欠けている場合、従業員の士気は低下し、混乱が生じることが多いです。さらに、リーダー自身が変革の重要性を理解していなければ、組織全体の動きにも悪影響を及ぼします。
この課題を克服するためには、リーダーが自らの役割を再確認し、具体的な行動計画を立てた上で、従業員と共有することが重要です。透明なコミュニケーションを通じて、リーダーシップを強化し、全員が変革に向けて共に歩む環境を整えることが求められます。こうした取り組みにより、組織全体の活力を引き出し、持続可能な成果へとつなげることができるでしょう。
6. 組織変革を成功させるためのフレームワーク
組織改編を成功させるためのフレームワークは以下のとおりです。
- ジョン.P.コッターの8段階の変革プロセス
- マッキンゼーの7S
それぞれのフレームワークを詳しく解説します。
6-1. ジョン.P.コッターの8段階の変革プロセス
ジョン.P.コッターが提唱する8段階の変革プロセスは、リーダーが組織の変革を効果的に導くためのフレームワークです。
変革のリーダーとなる方は以下の順序を意識しておこなうと良いでしょう。
8段階のプロセス | 詳細 | |
1. | 危機感の醸成 | 従業員にこのままでは企業が危機に陥ることを伝え、改変の必要性を認識してもらう |
2. | 変革推進のためのプロジェクトチームをつくる | 権限のある経営陣や、危機感を認識した従業員で変革推進チームをつくる |
3. | 変革のビジョンをつくる | 従業員に向けて簡潔に説明できるビジョンをつくる |
4. | 変革のためのビジョンを周知する | あらゆる手段を使って、複数回にわたり変革のビジョンを従業員に広く伝える |
5. | 従業員の自発を促す | 自らの意思で変革に参加する従業員の障害となる組織構造やシステムを変えていく |
6. | 短期的成果を実現する | 短期で成果が出せる目標を達成し、変革に参加する人のモチベーションを上げる |
7. | 成果を活かしてさらに変革を進める | 小さな成功をバネにして、変革を進めていく |
8. | 新しい方法を組織文化に定着させる | 売上アップや顧客満足度向上などの良い変化は、変革によって成し遂げられたものだとアピールし新しいやり方を定着させる |
ジョン.P.コッターの8段階の変革プロセスを活用すれば、従業員を強制的に動かすのではなく、自発的に変革に関わってもらえるでしょう。
6-2. マッキンゼーの7S
マッキンゼーの7Sとは、マッキンゼー・アンド・カンパニーのウォーターマンとピーターズが提唱したフレームワークです。
企業には7種類の経営資源があり、それぞれの資源が互いに影響し合いながら、組織のパフォーマンスを形成しています。組織変革をおこなう際には、7種類の経営資源のバランスを意識することを忘れてはいけません。
マッキンゼーの7Sで分類される経営資源は、3つのハード面と4つのソフト面で構成されています。以下の表にまとめたので、参考にしてください。
ハード面 | 戦略(Strategy) | 企業が掲げる目標に向けた具体的な戦略 |
構造(Structure) | 組織内のしくみ | |
システム(System) | ITシステム・財務管理・制度・規則など | |
ソフト面 | スタイル(Style) | 企業の経営方針・風土・行動規範など |
人材(Staff) | 従業員の能力・人材配置・採用・教育など | |
スキル(Skills) | 組織が持つ経営能力・販売スキル・マーケティングスキル・技術など | |
共有価値観(Shared Values) | 組織全体の価値観・ビジョン・理念 |
7つの経営資源のうちの1つが変化すると、ほかの6つの要素も影響を受け変化します。
考えられるのは、以下のようなケースです。
- 組織内のしくみを変えたときに、人材配置や従業員の教育方法が変化する
- 組織全体の価値観が変わったときに、戦略やシステムの変更が必要となる
組織改変ではさまざまな事柄に変化が起こるため、それぞれの要素の整合性をとることがとても重要なポイントになります。
6-3. クルト・レヴィンの3段階モデル
クルト・レヴィンの3段階モデルは、組織変革を進める際の基盤となる理論です。このモデルは「解凍」「変革」「再凍結」の3つの段階から成り立っています。
1段階目の「解凍」は、変革が必要な事実を受け入れるフェーズです。現状の組織文化や慣行に対して挑戦し、変革が必要であることを従業員に認識させることで、心理的な準備を促します。
2段階目の「変革」では、新しい組織体制や行動指針を導入し、実行に移すことが求められます。このプロセスには、従業員の協力と積極的な関与が必要不可欠です。学習や新しい価値観の導入を通じて、組織が新たな方向へと進むことを目指します。
3段階目の「再凍結」では、変革した内容を組織に定着させるために取り組みます。新たな文化や慣行を浸透させ、それが組織内の常識となった状態がゴールです。
この3段階のプロセスを通じて、組織は変革を成功させることが可能になります。
7. 組織変革を成功させ企業を成長させよう
組織変革とは、組織や企業の風土・構造などを根本から変えることです。新しい社会で長期的に活躍し続ける企業となるには、組織変革は不可欠でしょう。
組織変革を考えている経営者の方は、変革が受け入れられやすいタイミングを見計らって変革を始めることをおすすめします。
従業員の抵抗や業務の混乱、短期的な生産性の低下など、生じやすい問題もあるでしょう。しかし、紹介したフレームワークを上手く活用すれば、変革が成功する可能性が高まります。
組織変革は、時間をかけて辛抱強く取り組むことが必要です。従業員とのコミュニケーションをとりながら着実に進め、企業を成長させましょう。
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