パフォーマンスマネジメントとは?効果や進め方のコツを紹介
更新日: 2024.5.22
公開日: 2023.5.29
OHSUGI
パフォーマンスマネジメントとは、上司と部下が連携して目標達成の道筋を考え、部下のモチベーションを高めながら結果に繋げるマネジメント手法を意味します。個々の目標を設定することで社員一人ひとりの主体的な行動を促し、組織目標の達成を目指します。
一方で、パフォーマンスマネジメントで成果を上げるためには、組織の管理者がその正しい進め方を理解していなければなりません。本記事ではパフォーマンスマネジメントの効果や社員をマネジメントする際のコツを紹介します。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. パフォーマンスマネジメントとは?
パフォーマンスマネジメントとは、社員個々の行動と結果を測定し、上司と部下が連携して業務内容の改善に取り組むマネジメント手法のことです。そのプロセスは主に「目標設定」「フィードバック」「評価と報酬」の3つの要素で構成されます。
- 目標設定:組織やチームの目標を個人の目標に落とし込み、目標達成の期限や評価の手法を設定することにより、個人の明確な目標設定をおこなう
- フィードバック:上司が部下に対して定期的にフィードバックをおこない、業務内容の改善を繰り返して業務効率の向上を図る
- 評価と報酬:目標の達成度合いを評価し、昇給や昇進といった報酬と結びつけることで部下のモチベーションを高め、目標の達成を促す
パフォーマンスマネジメントでは上司と部下がそれぞれの意見を尊重しながら「目標設定」「フィードバック」「評価と報酬」というプロセスを繰り返していきます。上司から一方的に課題を押し付けるのではなく、コミュニケーションの強化によって部下の主体的な行動や成長を促すことがパフォーマンスマネジメントの特徴です。
1-1. パフォーマンスマネジメントが求められる理由
人材をマネジメントする手法はパフォーマンスマネジメントだけではありません。代表的なマネジメント手法に目標管理制度が挙げられます。しかし、目標管理制度では求める効果を得られない可能性があります。そのため、目標管理制度に代わる人材マネジメント手法として、パフォーマンスマネジメントが着目され始めています。
2. パフォーマンスマネジメントによる効果
パフォーマンスマネジメントは組織や個々の社員に様々なメリットをもたらします。期待される主な効果は以下のとおりです。
2-1. 主体性の向上
パフォーマンスマネジメントには社員の主体性を高める効果があります。なぜなら組織目標とリンクした個人目標を設定することで、社員が、自分は組織に必要とされているという肯定感を抱くようになるためです。その結果、社員一人ひとりが当事者意識を持って業務に臨むようになり、主体的な行動や自己成長を促すことができます。
2-2. 業務効率の改善
積極的なフィードバックによる業務効率の改善もパフォーマンスマネジメントに期待される効果のひとつです。パフォーマンスマネジメントでは、上司から部下へのフィードバックを通じて個々の課題を解決に導き、個人やチームの業務効率改善を図ります。
なお、部下の主体性ばかりに頼るのではなく、コーチングによって部下の成長をサポートすることもパフォーマンスマネジメントにおける上司の役割です。
2-3. モチベーションの向上
パフォーマンスマネジメントでは、上司が部下の行動と結果を測定し、それに対し適切な評価を与えることで部下のモチベーション向上を図ります。なお、部下のモチベーション向上に繋がるのは、昇給や昇進といった目に見える報酬だけではありません。上司から賞賛や感謝の言葉をかけるだけでも部下のモチベーションは高まります。
2-4. コミュニケーションの改善
パフォーマンスマネジメントは上司と部下のコミュニケーションを重視したマネジメント手法です。目標設定やフィードバックを適切に実行するためには、上司と部下の連携が欠かせません。パフォーマンスマネジメントを取り入れることにより、普段から上司と部下がコミュニケーションを取るようになり、組織の風通しも改善していきます。
3. パフォーマンスマネジメントと目標管理制度(MBO)の違い
パフォーマンスマネジメントと目標管理制度(MBO)は、どちらも個人目標を設定し、目標の達成度合いを評価するという点では共通する制度です。しかし、それぞれの内容を見ると特徴や目的が異なることが分かります。
目標管理制度は、社員それぞれに個人目標を与え、各々が目標をクリアすることで組織としての目標達成を目指す仕組みです。通常、目標管理制度では半年もしくは1年程度の評価期間を設定し、評価期間の修了後に個人の目標達成度合いを評価します。目標達成度合いの定量的な測定により客観的な人事考課をおこなうことが目標管理制度の目的です。
一方、パフォーマンスマネジメントの目的は、社員のモチベーション向上を図って業務に対する主体性を育てることにあります。個人目標の設定はあくまで手段であり、それのみに着目するものでありません。目標管理制度と比較した場合、パフォーマンスマネジメントはより総合的な視点で実施されます。
目標管理制度は人事評価制度としての側面が強く、焦点を当てるのは過去の結果です。それに対し、パフォーマンスマネジメントでは未来の結果に焦点をあてます。社員の能力開発や将来的なキャリアアップを見据えて、上司が部下に対して個人目標の達成に向けたフィードバックやコーチングを実施することがパフォーマンスマネジメントの本質です。
4. パフォーマンスマネジメントの進め方
ここではパフォーマンスマネジメントの進め方について解説します。基本的な手順は以下の通りです。
4-1. 個人目標を設定する
パフォーマンスマネジメントでは、はじめに社員それぞれの個人目標の設定をおこないましょう。その際、上司が一方的に目標を提示するのではなく、部下の個性も尊重しながら組織目標の達成や自己成長に繋がる目標を共に考えることがポイントです。また、評価の方法や基準もあらかじめ決めておきます。
4-2. 定期的にフィードバックを実施する
上司は部下の行動を観察し、定期的にフィードバックを実施しましょう。パフォーマンスマネジメントでは数週間から1ヵ月程度の短いスパンでフィードバックをおこなうことが原則です。フィードバックの手段としては1on1でのミーティングや上司が直接的に指導するコーチングなどがあります。
4-3. 結果を評価する
目標の達成期限を迎えた際は、目標の達成度合いの測定とその結果に対する評価をおこないましょう。ただし、パフォーマンスマネジメントはコミュニケーションを重視するマネジメント手法であるがゆえに、評価に主観が入り込みやすいという課題もあります。目標の達成度合いは具体的な数字を用いて、客観的かつ公平に評価することが重要です。
5. パフォーマンスマネジメントの課題
パフォーマンスマネジメントを導入する際は次のような課題を把握しておきましょう。
- 評価されることに抵抗を持つ従業員もいる
- 導入コストとメリットが釣り合わない可能性がある
- スムーズな運用に時間がかかる可能性がある
5-1. 評価されることに抵抗を持つ従業員もいる
パフォーマンスマネジメントに関わらず、従業員によっては評価されることに抵抗感を抱くケースがあります。評価されることに抵抗感を抱く従業員に対しては、なぜパフォーマンスマネジメントが必要なのかをしっかりと伝えて、理解を得るようにしましょう。
5-2. 導入コストとメリットが釣り合わない可能性がある
パフォーマンスマネジメントを導入したとしても、コストとメリットが釣り合わない可能性があります。従業員一人ひとりを適切に評価するにはある程度の時間がかかります。かといって、企業にとって有益な成果につながるわけではありません。導入コストに見合った結果を得るためにはフィードバック方法をはじめ、ルールを定めておきましょう。
5-3. スムーズな運用に時間がかかる可能性がある
パフォーマンスマネジメントを導入した場合、運用までに時間がかかる可能性もあります。パフォーマンスマネジメントで結果を出すには、評価者である上司のコーチンが必要です。そのため、パフォーマンスマネジメントがスムーズに運用できるようになるまでには一定の時間がかかるかもしれません。
6. パフォーマンスマネジメントの効果を高めるコツ
パフォーマンスマネジメントは形式的におこなっても生産性の向上には繋がりません。ここではパフォーマンスマネジメントの効果を高める3つのコツを紹介します。
6-1. 目標設定はSMARTの原則に従う
部下と共に目標を定めるときはSMARTの原則を意識しましょう。SMARTの原則とは「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期間指定)」の要素からなる目標設定のフレームワークです。これら5つの要素を意識することで、より精度の高い目標を設定できます。
6-2. 上司は部下のサポート役に徹する
フィードバック時に上司から具体的な解決策を提示することは控えましょう。あくまで解決策を考えるのは部下自身であり、上司の役割は部下に対して気付きを与えることです。上司がサポート役に徹すれば部下は主体的に解決策を模索するようになるため、自己成長を促すことができます。
パフォーマンスマネジメントでは、上司が適切なフィードバックやコーチングを実施できなければよい結果は望めません。新たにパフォーマンスマネジメントを導入する場合は、あらかじめチームの管理者に対してフィードバックやコーチングの研修を実施することも検討しましょう。
6-3. 会社全体でパフォーマンスマネジメントに取り組む
パフォーマンスマネジメントは会社全体として取り組むことが重要です。個人の成果と企業業績を関連付けるためには、個人目標と組織目標が同じ方向を向いていなければなりません。会社全体としてパフォーマンスマネジメントに取り組まなければ、個人目標が会社のビジョンから逸脱してしまう可能性があります。
7. パフォーマンスマネジメントで生産性の向上を図ろう
パフォーマンスマネジメントは上司と部下が連携して個人目標の達成に取り組むマネジメント手法です。その本質は上司のサポートによって社員の自主性を向上させ、以降の自己成長やスキルアップに繋げることにあります。パフォーマンスマネジメントにより個々の社員の成長を促し、企業としての生産性向上を図りましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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