パフォーマンスマネジメントとは?効果や進め方のコツを紹介
更新日: 2025.2.14
公開日: 2023.5.29
OHSUGI
パフォーマンスマネジメントとは、上司と部下が連携して目標達成の道筋を考え、部下のモチベーションを高めながら結果に繋げるマネジメント手法を意味します。個々の目標を設定することで社員一人ひとりの主体的な行動を促し、組織目標の達成を目指します。
一方で、パフォーマンスマネジメントで成果を上げるためには、組織の管理者がその正しい進め方を理解していなければなりません。本記事ではパフォーマンスマネジメントの効果や社員をマネジメントする際のコツを紹介します。
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人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. パフォーマンスマネジメントとは?
パフォーマンスマネジメントとは、社員個々の行動と結果を測定し、上司と部下が連携して業務内容の改善に取り組むマネジメント手法のことです。アメリカのコンサルタントであるオーブリー・C・ダニエルズ氏が、1970年代に提唱したことが始まりとされています。
パフォーマンスマネジメントのプロセスは、主に「目標設定」「フィードバック」「評価と報酬」の3つの要素で構成されます。
- 目標設定:組織やチームの目標を個人の目標に落とし込み、目標達成の期限や評価の手法を設定することにより、個人の明確な目標設定をおこなう
- フィードバック:上司が部下に対して定期的にフィードバックをおこない、業務内容の改善を繰り返して業務効率の向上を図る
- 評価と報酬:目標の達成度合いを評価し、昇給や昇進といった報酬と結びつけることで部下のモチベーションを高め、目標の達成を促す
パフォーマンスマネジメントでは上司と部下がそれぞれの意見を尊重しながら「目標設定」「フィードバック」「評価と報酬」というプロセスを繰り返していきます。
2. パフォーマンスマネジメントの特徴
パフォーマンスマネジメントの特徴は主に3つあります。特徴をそれぞれ把握し、パフォーマンスマネジメントが自社のビジョンや人事制度にマッチしそうか確認しましょう。
2-1. 上司と部下とのコミュニケーションが重視される
パフォーマンスマネジメントでは、上司と部下が一緒になって目標設定や行動計画の策定を進めていくため、双方のコミュニケーションを重視しているのが特徴です。そのため、1on1ミーティングが基本で、上司からの指導や評価も押し付けとならないよう注意しなくてはなりません。
コミュニケーション頻度が自ずと増えるため、部下との良好な関係構築にもパフォーマンスマネジメントは寄与します。部下も上司に相談しやすくなることで、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
2-2. 未来のアクションに焦点をあてる
パフォーマンスマネジメントでは、過去の結果に主眼を置きません。部下が目標達成するためにどのような行動を取るべきか、未来のアクションに焦点をあててコーチングするのも特徴です。
例えば、「○○の案件では、リサーチが浅かったように感じた」ではなく、「次はもう一歩深掘りして、より説得力のあるデータを揃えよう」というように、ポジティブな要素を加えて行動の変革を促します。これにより、部下は自分の取るべき行動が明確になるため、モチベーション維持にもつながります。
2-3. フィードバックのスパンが短い
フィードバックのスパンが短いのも、パフォーマンスマネジメントの特徴です。半年や1年に1回といった長いスパンではなく、数週間〜数ヶ月に1回といった短いスパンで実施します。
フィードバックの頻度を上げることで、部下は細かな軌道修正ができるようになり、目標により到達しやすくなります。
3. パフォーマンスマネジメントによる効果
パフォーマンスマネジメントは、組織や個々の社員に様々なメリットをもたらします。期待される主な効果は以下のとおりです。
3-1. 主体性の向上
パフォーマンスマネジメントには社員の主体性を高める効果があります。なぜなら組織目標とリンクした個人目標を設定することで、社員が組織に必要とされているという肯定感を抱くようになるためです。
その結果、社員一人ひとりが当事者意識を持って業務に臨むようになり、主体的な行動や自己成長を促すことができます。
3-2. 部下の特性や強みを把握できる
自ずとコミュニケーションの頻度が高くなるため、部下の能力だけでなく強みや弱み、性格など把握できるのも、パフォーマンスマネジメントの効果として挙げられます。
部下の強みや特性が把握できれば、人材配置に活用することも可能です。適材適所の配置が実現できれば、生産性の高い組織づくりを実現することもできるでしょう。
3-3. モチベーションの向上
パフォーマンスマネジメントでは、上司が部下の行動と結果を測定し、それに対し適切な評価を与えることで部下のモチベーション向上を図ります。
なお、部下のモチベーション向上に繋がるのは、昇給や昇進といった目に見える報酬だけではありません。上司から賞賛や感謝の言葉をかけるだけでも部下のモチベーションは高まります。
3-4. コミュニケーションの改善
パフォーマンスマネジメントは、上司と部下のコミュニケーションを重視したマネジメント手法です。目標設定やフィードバックを適切に実行するためには、上司と部下の連携が欠かせません。
パフォーマンスマネジメントを取り入れることにより、普段から上司と部下がコミュニケーションを取るようになり、組織の風通しも改善していきます。
4. パフォーマンスマネジメントと目標管理制度(MBO)の違い
パフォーマンスマネジメントと目標管理制度(MBO)は、どちらも個人目標を設定し、目標の達成度合いを評価するという点では共通する制度です。しかし、それぞれの内容を見ると特徴や目的が異なることが分かります。
目標管理制度は、社員それぞれに個人目標を与え、各々が目標をクリアすることで組織としての目標達成を目指す仕組みです。通常、目標管理制度では半年もしくは1年程度の評価期間を設定し、評価期間の修了後に個人の目標達成度合いを評価します。目標達成度合いの定量的な測定により客観的な人事考課をおこなうことが目標管理制度の目的です。
一方、パフォーマンスマネジメントの目的は、社員のモチベーション向上を図って業務に対する主体性を育てることにあります。個人目標の設定はあくまで手段であり、それのみに着目するものでありません。目標管理制度と比較した場合、パフォーマンスマネジメントはより総合的な視点で実施されます。
目標管理制度は人事評価制度としての側面が強く、焦点を当てるのは過去の結果です。それに対し、パフォーマンスマネジメントでは未来の結果に焦点をあてます。社員の能力開発や将来的なキャリアアップを見据えて、上司が部下に対して個人目標の達成に向けたフィードバックやコーチングを実施することがパフォーマンスマネジメントの本質です。
5. パフォーマンスマネジメントの進め方
ここではパフォーマンスマネジメントの進め方について解説します。基本的な手順は以下の通りです。実際の運用では、以下の3つの手順に従って、短期間にサイクルを回していく流れとなります。
5-1. 個人目標を設定する
パフォーマンスマネジメントでは、はじめに社員それぞれの個人目標の設定をおこないましょう。その際、上司が一方的に目標を提示するのではなく、部下の個性も尊重しながら組織目標の達成や自己成長に繋がる目標を共に考えることがポイントです。
また、評価の方法や基準もあらかじめ決めておきます。
5-2. 部下の行動を観察する
目標を設定したら、部下の日々の業務の様子や行動を観察します。目標達成に向けて適切な行動がとれているか観察をおこない、コミニケーションを取り合って進捗を確認しましょう。
中には、目標に伴った行動が取れていない部下がいるかもしれません。その際は、軌道修正が必要となりますが、あくまでも部下の主体性を尊重するのがポイントです。上司の方からすぐに解決策を提示するのではなく、部下が気付きを得られるように指導をおこないましょう。
5-3. 定期的にフィードバックを実施する
パフォーマンスマネジメントでは、数週間から1ヵ月程度の短いスパンでフィードバックをおこなうことが原則です。フィードバックの手段としては、1on1でのミーティングや、上司が直接的に指導するコーチングなどがあります。
ただし、パフォーマンスマネジメントはコミュニケーションを重視するマネジメント手法であるがゆえに、評価に主観が入り込みやすいという課題もあります。目標の達成度合いは具体的な数字を用いて、客観的かつ公平に評価しフィードバックすることが重要です。
6. パフォーマンスマネジメントの効果を高めるコツ
パフォーマンスマネジメントは形式的におこなっても生産性の向上には繋がりません。ここではパフォーマンスマネジメントの効果を高める3つのコツを紹介します。
6-1. 目標設定はSMARTの原則に従う
部下と共に目標を定めるときはSMARTの原則を意識しましょう。SMARTの原則とは、「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期間指定)」の要素からなる目標設定のフレームワークです。これら5つの要素を意識することで、より精度の高い目標を設定できます。
6-2. 管理職を対象にした研修を実施する
パフォーマンスマネジメントでは、上司が適切なフィードバックやコーチングを実施できなければよい結果は望めません。新たにパフォーマンスマネジメントを導入する場合は、あらかじめチームの管理者に対してフィードバックやコーチングの研修を実施することも検討しましょう。
自社にパフォーマンスマネジメントの研修ノウハウが無い場合は、外部のコンサルティング会社に依頼するのも一つの手段です。
6-3. 会社全体でパフォーマンスマネジメントに取り組む
パフォーマンスマネジメントは会社全体として取り組むことが重要です。個人の成果と企業業績を関連付けるためには、個人目標と組織目標が同じ方向を向いていなければなりません。
会社全体としてパフォーマンスマネジメントに取り組まなければ、個人目標が会社のビジョンから逸脱してしまう可能性があります。
7. パフォーマンスマネジメントで生産性の向上を図ろう
パフォーマンスマネジメントは、上司と部下が連携して個人目標の達成に取り組むマネジメント手法です。その本質は上司のサポートによって社員の自主性を向上させ、以降の自己成長やスキルアップに繋げることにあります。パフォーマンスマネジメントにより個々の社員の成長を促し、企業としての生産性向上を図りましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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