養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?申請方法や必要書類を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?申請方法や必要書類を解説

はてな

育児休業明けに時短勤務を選択すると、給与が下がるのと同時に将来の年金額にも影響が出る可能性があります。そこで、手続きが必要になる制度が「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。

この申請により、子どもを養育する前の標準報酬月額をもとに年金額が計算されるため、時短勤務による将来の年金の目減りが防げます。会社からの案内義務はありませんが、対象となる従業員へ積極的に周知することで、従業員の不安解消や育児との両立支援につながるでしょう。

本記事では、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の仕組みや対象者・対象期間、申請方法、必要書類、注意点をわかりやすく解説します。

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◆この資料でわかること

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  • 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
  • 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
  • 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要

2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 養育期間の「従前標準報酬月額のみなし措置」とは

事務処理の結果をPCに入力する人

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置は、子育て中の標準報酬月額の低下が将来の年金額に影響しないよう設けられた制度です。まず、制度の仕組みと目的、混同されやすい「育児休業等終了時報酬月額変更届」との違いを解説します。

1-1. 制度の仕組みと目的

育休明けに時短勤務などで給与が下がった場合、被保険者の申出に基づき、下がる前の標準報酬月額でその期間の年金額を計算できる制度です。子どもが3歳に達するまでの養育期間中に利用できます。将来の年金受給額が減る不安を解消し、従業員に安心して育児と仕事を両立してもらうことが目的です。

なお、この制度を利用して年金額を計算する際は、養育開始月の前月の標準報酬月額を用います。養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合は、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前の報酬月額とみなされます。

会社がこの制度を従業員に案内する法的義務はありませんが、育休復帰時などのタイミングで積極的に声かけをするとよいでしょう。

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

1-2. 「育児休業等終了時報酬月額変更届」との違い

育休明けの標準報酬月額にまつわる手続きとして、「育児休業等終了時報酬月額変更届」(育休終了時改定)と混同されることがあります。両者は似ていますが異なる制度であるため、違いを正確に理解しましょう。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置 育児休業等終了時報酬月額変更届
目的 将来の年金額を保護する 育休復帰後の社会保険料負担を速やかに見直す
効果が及ぶもの 厚生年金(老齢年金の受給額) 健康保険料・厚生年金保険料(納付額)
提出先 年金事務所・事務センター 年金事務所・事務センター
申出者 被保険者(事業主経由) 事業主
対象期間 子が3歳になるまで 育休終了後の報酬月額改定時

育休終了時改定は「社会保険料の支払いを実態に合わせる」手続きであり、従業員の保険料負担を下げる効果があります。

一方、みなし措置は「年金額の計算上は産前の標準報酬月額を使う」という措置で、将来の年金受給額を守るものです。どちらかを申請すればよいのではなく、それぞれ適切なタイミングで手続きしましょう。

関連記事:育児休業等終了時報酬月額変更届とは?提出方法やデメリットをわかりやすく紹介

2. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の対象者と対象期間

笑顔の女性

対象となる期間は、3歳未満の子の養育開始月から養育する子の3歳誕生日のある月の前月までです。実子・養子を問わず対象で、被保険者の性別も問いません。養育前に退職していた場合でも、子が3歳になるまでに再就職していれば適用を受けられます。対象となる主なケースは次のとおりです。

  • 育休終了後に時短勤務を選択した方
  • 育休を取得せず、時短勤務により標準報酬月額が下がった方
  • 出産を機に退職したが、子が3歳になる前に再就職した方

共働きの場合、母親・父親それぞれが申請できます。ただし、養育開始月の前月から1年以内に厚生年金の被保険者期間がない場合は対象外です。

3. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の申請方法

PCで手続きを行う人

被保険者の申出を受けた場合、会社は「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出します。なお、退職者など、申告時点で被保険者でない場合は、本人が直接提出することも可能です。申請の概要は次のとおりです。

項目 内容
提出時期 被保険者から申出があったとき
提出者 事業主(退職している場合は本人)
提出先 事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法
  • 電子申請(24時間可能)
  • 郵送
  • 窓口持参(年金事務所のみ)

申請漏れに気づいた場合でも申出日の前月までの2年間は遡って申請できます。

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

4. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の必要書類

書類をめくる人

申請には申出書の作成に加え、添付書類の準備も必要です。書類の不備があると手続きに時間がかかるため、提出前に漏れがないか確認しましょう。申出書の記入方法とケース別の添付書類を解説します。

4-1. 必要書類と申出書の記入方法

引用:養育期間標準報酬月額特例 – 申出書・終了届|日本年金機構

提出する書類は「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」です。日本年金機構のホームページからダウンロードでき、記入例も公開されています。申出書に記入する項目は次のとおりです。

共通記載欄(申出・終了共通)

  • 事業所の所在地・名称・整理記号
  • 被保険者の氏名・生年月日・性別・住所
  • 被保険者の個人番号または基礎年金番号(10桁・左詰め)
  • 養育する子の氏名・生年月日・個人番号

A.申出欄(申請時のみ)

  • 初めての申出かどうか(はい/いいえ)
  • 養育開始日
  • 養育特例の開始年月日(育休終了翌日、資格取得年月日など)
  • 養育開始月の前月に勤務していた事業所が現在と異なる場合は、その事業所名・所在地

なお、事業主が戸籍謄(抄)本等で申出者と子の身分関係を確認した場合は、申出書の「確認済み」にチェックを入れることで戸籍謄本の添付を省略できます。

また申出者・子どもの双方の個人番号を記載した場合も添付書類を省略できますが、審査完了まで1ヵ月程度かかることがあります。早期に適用を受けたい場合は、事業主が身分関係を確認のうえ「確認済み」にチェックを入れるか、添付書類をそろえて提出しましょう。

4-2. 添付書類

添付書類は次のとおりです。

  • 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書(申出者と子の身分関係を証明できるもの)

コピーは不可です。申出者が世帯主の場合は、申出者と養育する子の身分関係が確認できる住民票の写しでも代用できます。

事業主が戸籍謄(抄)本等で身分関係を確認し「確認済み」にチェックを入れた場合、または申出者・子どもの双方の個人番号が記載されている場合は添付不要です。

  • 住民票の写し(子の生年月日および申出者と子が同居していることを確認できるもの)

提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものに限ります。コピーは不可です。

申出者・子どもの双方の個人番号が申出書に記載されている場合は添付不要です。

また、次のケースにおいては追加書類の添付が必要です。

ケース 必要書類
退職者が個人番号を記載して提出する場合(窓口) マイナンバーカードを提示(カードがない場合はマイナンバー確認書類+身分確認書類)
退職者が個人番号を記載して提出する場合(郵送) マイナンバーカードの表裏コピー、または上記書類のコピー
特別養子縁組の監護期間にある子 家庭裁判所が交付する事件係属証明書+住民票の写し
養子縁組里親に委託されている要保護児童 児童相談所が交付する措置決定通知書

会社が手続きを担当する場合は、制度の概要とあわせて必要書類を案内しましょう。

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

5. 従前標準報酬月額のみなし措置を活用するメリット・デメリット

吹き出しのはてな

従前標準報酬月額のみなし措置は、育児期間中の従業員の年金額を守る観点から、積極的に活用したい制度です。活用するうえでのメリットと、あわせて把握すべき注意点を解説します。

5-1. メリット

従前標準報酬月額のみなし措置を活用するメリットは次の3つです。

  • 将来の年金額を守ることができる

時短勤務中は給与が下がり標準報酬月額も低下しますが、みなし措置の申請により年金額の計算上は産前の標準報酬月額が適用されます。子育て期間中の報酬の目減りが、将来の厚生年金の受給額に影響しません。

  • 毎月の社会保険料負担は上がらない

本措置はあくまでも「年金額の計算に用いる標準報酬月額をみなしで置き換える」ものです。実際に納付する社会保険料は実際の標準報酬月額に基づいて計算されるため、時短勤務中の社会保険料負担が重くなるわけではありません。

  • 男女・扶養関係を問わず対象

被保険者の性別は問われないため、育休・時短勤務を取得した父親も申請可能です。また扶養の有無も関係なく、共働きの場合は夫婦それぞれの申請により双方の将来の年金額を保護できます。

5-2. デメリットはある?

本制度を活用するうえで直接的なデメリットはありません。ただし、次の手間や注意が必要です。

  • 手続きの手間が生じる

申請には申出書の記入と添付書類の準備が必要です。また原則として事業主経由での申請となるため、従業員と担当者の両方に作業が発生します。

  • 申請漏れに注意が必要

みなし措置を適用するには申請が必要です。従業員から申出がなければ手続きがおこなわれないため、育休復帰時に制度を案内する仕組みを整えましょう。

6. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の3つの注意点

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申請後も状況の変化に応じて追加の手続きが必要になるケースがあります。申請漏れを防ぐために、担当者が把握すべき3つの注意点を解説します。

6-1. 勤務先が複数ある場合は事業所ごとに申出書を提出する

特例措置の適用を受けようとする期間において、勤務していた事業所などが複数ある場合は、それぞれの事業所の被保険者期間ごとに申出書の提出が必要です。

複数の事業所で勤務している従業員には、各勤務先での手続きが必要である旨を必ず伝えましょう。

また、申請漏れに気づいた場合でも、申出日の前月までの2年間はみなし措置が認められます。早めに各事業所を通じて手続きするよう従業員に案内しましょう。

6-2. 養育期間が終了した場合は「終了届」を提出する

養育期間が終了した場合は、原則として「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例終了届」の提出が必要です。手続きが必要なケースは次のとおりです。

提出が必要なケース
  • 離婚などにより子どもを養育しなくなったとき
  • 養育していた子が死亡したとき
提出が不要なケース
  • 申出にかかる子が3歳に達している場合
  • 退職等により厚生年金保険の被保険者資格を喪失している場合
  • 申出にかかる子以外の子について、養育期間標準報酬月額特例措置を受けている場合
  • 育児休業を開始し、育児休業中の社会保険料免除が適用されている場合
  • 産前産後休業を開始し、産休中の社会保険料免除が適用されている場合

終了届は申出書と同じ書式「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」を使用します。上部の「共通記載欄」に加え、「B.終了」の欄に「養育特例開始年月日」、「養育特例終了年月日」を記入します。

引用:養育期間標準報酬月額特例 – 申出書・終了届|日本年金機構

申出に基づく特例措置が終了した後、再度同じ子どもについて特例措置の適用を受ける場合には、改めて申出書を提出してください。この場合、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書の添付は不要です。

参考:養育期間が終了したときの手続き|日本年金機構

6-3. 2人目以降の子が生まれた場合は改めて提出

2人目・3人目の子が生まれた場合も、それぞれの子について改めて申出書の提出が必要です。一度申請すれば複数の子に対して自動で適用されるわけではないため、従業員が新たな子を養育し始めたタイミングで再申請をしなければなりません。

第2子の従前標準報酬月額は、第2子の養育開始月の前月の標準報酬月額が基準となります。ただし、その前月が産休・育休中で標準報酬月額が存在しない場合は、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前の標準報酬月額とみなされます。

そのため、第1子の育休・時短勤務期間中に第2子が生まれた場合でも、第1子の養育を始める前の(報酬が下がる前の)標準報酬月額が第2子の計算基準として引き継がれるケースがあります。

連続して出産・育休を取得する場合でも年金額が段階的に目減りしないよう設計されており、従業員にとってメリットの大きい仕組みです。

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2025年10月施行の育児・介護休業法改正により、妊娠・出産の申出時と子が3歳になるまでの適切な時期に、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が事業主に義務化されました。厚生労働省の指針では、義務の対象時期以外にも「育児休業後の復帰時に定期的に意向聴取をおこなうことが望ましい」と明示されています。

育休復帰前面談で時短勤務などの働き方を確認する際は、あわせて「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」も必ず案内しましょう。「時短を選ぶと将来の年金が下がるかもしれない」という不安を解消できれば、スムーズな復職合意につながり、申請漏れも防げます。

解説:社会保険労務士

7. 従前標準報酬月額のみなし措置を社員に適切に案内しよう

棒を持った男性

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置は、育休復帰後に時短勤務を選択した従業員の将来の年金額を守る制度です。申請しなければ適用されないため、会社からの積極的な案内が重要です。

育休復帰面談などのタイミングで制度の概要・必要書類・申請方法をセットで説明し、申請漏れを防ぐ仕組みを整えましょう。男性の育休取得が広がる中、父親も対象となる制度であることを忘れずに周知することも運用上のポイントです。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を適切に案内し、従業員の仕事と子育ての両立を支援しましょう。

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