定量目標と定性目標の違いや使い分けのポイントを解説
更新日: 2024.11.20
公開日: 2023.6.6
OHSUGI
人事評価制度では、定量目標と定性目標の2種類の目標を組み合わせることが一般的です。定量目標と定性目標には、どのような違いがあるのでしょうか。定量目標と定性目標のメリット・デメリットを知り、適切に使い分けることが大切です。本記事では、定量目標と定性目標の違いやそれぞれのメリット・デメリット、使い分けるポイントを具体例を盛り込みながら解説します。
目次
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
しかしながら「工数がかかる割には、人事評価をうまく制度化できていない」「制度自体はあるけれど、評価結果を活かせていない」」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 定量目標と定性目標の違い
人事評価制度では、社員の資質や能力を把握するための物差しとして、社員の目標設定をおこないます。設定すべき目標は、定量目標と定性目標の2種類にわかれます。定量目標と定性目標には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
定量目標と定性目標の定義はそれぞれ以下のとおりです。
– | 定義 | 具体例 |
定量目標 | 数値や数量で表すことができる目標のこと |
|
定性目標 | 数値化できず、実績や成果から見えない部分を評価する目標のこと |
|
定量目標と定性目標の違いは「数値や数量が基準となっているか」「社員の理想像(なりたい姿)が基準となっているか」で判断できます。定量目標は、数値や数量で表すことができる目標です。例えば、1日当たりの商談の件数や、毎月の売上目標などは数字で客観的に表すことができます。
一方、社員の理想像が基準となっているのが定性目標です。人事担当者は業務に必要な資質や能力、企業にとって必要な人材の条件などから逆算し、定性目標を設定します。定性目標は数値や数量では表せません。例えば「コスト意識の高い人材」や「チームメンバーをまとめる人材」などの目標は数字で評価するのが難しいため、定性目標に分類されます。実績や成果だけではすくい取れない、社員の働きぶりや仕事の進め方などを評価するのが定性目標の役割です。
また、近年導入する企業が増えているコンピテンシー評価(優れた社員の行動特性を基準として、人事評価をする制度)でも、定性目標が採用されます。この場合は社員の行動に焦点を当てているため、定性目標ではなく行動目標と呼ばれることもあります。
2. 定量目標のメリット・デメリット
まず、定量目標のメリットとデメリットを見ていきましょう。
2-1. 定量目標の3つのメリット
定量目標を設定するメリットは以下の3点です。
- 目標を達成できたかどうかを客観的に判断できる
- 目標達成に向けて、社員一人ひとりが何をすべきかが明確になる
- 実績や成果という面では公平に人事評価をおこなうことができる
定量目標は「売上目標●●円」「商談●●件」など、目標が数値や数量で表されます。そのため「目標を達成できたかどうか」「目標達成まで何をすべきか」がわかりやすく、目標の達成状況や進捗状況を客観的に判断できます。また、実績や成果という観点に限り、人事評価の公平性を保てるのが定量目標のメリットです。
2-2. 定量目標の3つのデメリット
一方、定量目標には3つのデメリットがあります。
- 実績や成果に人事評価が偏り、プロセスの評価が疎かになりやすい
- たまたま結果を出した社員が高く評価され、不公平感が生まれやすい
- 実績や成果のみに意識が向き、人間関係など数字に表れにくい部分が軽視されやすい
定量目標を用いる場合、実績や成果に人事評価が偏り、プロセスの評価が疎かになる場合があります。とくにたまたま結果を出した社員が高く評価されるケースがあり、不公平感が醸成されやすいのが特徴です。また、実績や成果を出すことに固執し、人間関係など数字に表れにくい部分を軽視する社員が現れる可能性もあります。
3. 定性目標のメリット・デメリット
定量目標と同様に、定性目標にもメリットやデメリットがあります。定量目標と定性目標のメリット・デメリットを知り、両者のよいとこ取りをした人事評価制度を構築することが大切です。
3-1. 定性目標の2つのメリット
定性目標を設定するメリットは2つあります。
- 企業にとって必要な人材を育てることができる
- 自分の理想像(なりたい姿)が提示されるため、社員のモチベーションが高まる
定性目標は、社員にとってなりたい自分や、企業にとって望ましい人物像を元に設定する目標です。定性目標の実現を目指して社員が努力することにより、企業にとって必要な人材を育てられます。また、自分の理想像(なりたい姿)が企業から提示されるため、社員のモチベーションを高める効果も期待できます。
3-2. 定性目標の2つのデメリット
一方、定性目標のデメリットは以下の2点です。
- 数値や数量で表せないため、客観的に評価するのが難しい
- 目標達成に向けて必要なタスクが曖昧になりやすい
定性目標は数字で表すのが難しいため、人事評価が担当者の価値観に左右されやすいというデメリットがあります。そのため、定量目標と定性目標をうまく組み合わせ、社員を客観的に評価できる仕組みを作ることが大切です。また、定性目標の達成に向けて具体的に何をすべきかがわかりにくく、目標達成までのプロセスを企業側がきちんと示す必要があります。
4. 定量目標と定性目標を使い分けるポイント
定量目標と定性目標を使い分けるポイントは3つあります。
- 業務の種類に合わせて目標設定を変える
- 中長期的な目標には定性目標を設定する
- 短期的な目標には定量目標を設定する
まず、業務の種類に合わせて定量目標と定性目標を使い分けることを意識しましょう。例えば営業部門など、実績や成果で評価したほうがわかりやすい業務については、定性目標よりも定量目標が適しています。一方、チームワークや顧客体験など、数字で評価しにくい要素に対しては定性目標を設定するのがおすすめです。
また、中長期的な目標には定性目標、短期的な目標には定量目標を設定することにより、両者のメリットを活かすことができます。例えば「業務品質を向上させる」という定性目標を設定しても、目標達成に向けて何をすべきかがはっきりしません。そこで「納期の遅れや漏れを●●%減らす」「業務工数を●●%減らす」といった短期的な定量目標を設定することにより、目標達成までの道のりが明確化されます。人事評価をおこなうときは、定量目標と定性目標をうまく組み合わせることが大切です。
5. 定量目標と定性目標の違いを知り、正しく使い分けよう
人事評価制度では、定量目標と定性目標の2種類の目標設定をおこなうことが大切です。数値や数量で表せる目標のことを定量目標、実績や成果に表れない部分を評価するための目標を定性目標と呼びます。
定量目標と定性目標には、それぞれメリットやデメリットがあるため、互いの弱点を補うような目標設定が必要です。実績や成果を可視化すべき業務に対しては定量目標、仕事の進め方や働きぶりを評価すべき業務には定性目標を用いるなど、定量目標と定性目標を使い分けるポイントを学びましょう。どのような目標を設定すべきかわからない場合は、本記事で紹介した定量目標や定性目標の具体例も参考にしてください。
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
しかしながら「工数がかかる割には、人事評価をうまく制度化できていない」「制度自体はあるけれど、評価結果を活かせていない」」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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