人員配置を計画的に行うための5つのポイント
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.6.15
jinjer Blog編集部
人員配置は会社や組織を運営するにおいて非常に重要なことであり、計画をもとにして具体的な人事施策に反映させるためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
また、人員配置は経営層やマネジメント層にとって重要であると同時に、社員にとっても重要なものなので、計画的に行われなければなりません。
本記事では、人員配置において重要なステップや人員配置を計画的に行うためのポイントなどについて、解説します。
1. 人員配置に重要な4つのステップ
人員配置は組織における戦略的マネジメントの一環であり、具体的な施策に落とし込むためには、以下のようなステップを順に踏んでいく必要があります。
①定員計画
②要員計画
③人員計画
④代謝計画
それぞれのステップについて、説明します。
1-1. 定員計画
定員計画では、事業計画の達成のために必要と考えられる人員数をおおよその見込み数としてまとめます。
人員数が決まれば、部長・課長・係長といった各レイヤーの給料をもとにして考えることで、おおよその人件費も決まります。
人件費は経営者の頭を悩ませる問題であると同時に、社員からしても給与にダイレクトに関わってくる重要な問題です。
社員の仕事へのモチベーションにも大きく関わってくるので、定員計画による人件費の決定は慎重に行わなければなりません。
1-2. 要員計画
要員計画では、事業計画や予算などをもとにして、定員計画でまとめた人員数を組織のそれぞれの部門に割り振っていきます。
会社の実情に合った割り振りを行うことが重要であり、たとえば新規事業や会社の大黒柱となっている事業には多めに人員を割り振ります。
その一方で、直接利益を上げるわけではないバックヤード部門は外注することによってコストを抑える、などの判断が下されることもあります。
会社では雇用形態に応じて社会保険料や福利厚生などが異なるので、人数が同じでも雇用形態の内訳が異なれば、それに応じて人件費も異なります。
そのためこの段階では、正社員が何人、派遣社員が何人といったような具合に、雇用形態まで考慮に入れて詳細な計画を立てなければなりません。
1-3. 人員計画
人員計画では、要員計画で割り振られた人員をそれぞれの社員個人単位まで落とし込む必要があります。
同じ正社員が担当する仕事でも、2年目の正社員が担当するのか5年目の正社員が担当するのかでは人件費が異なりますし、社員それぞれのスキルや適性に沿った割り振りになるようにしなければなりません。
とくに昇進や人事異動などによって配置の変わる社員は慎重に検討する必要があり、組織や部門全体でバランスを取るようにしなければなりません。
このステップで、各部署・各セクションのおおまなか全体像が決まることになります。
1-4. 代謝計画
要員計画で立てられた計画をもとにして、人員計画で具体的な割り振りを行っていった場合、2つの計画の間に差異が生まれてしまうことも十分あり得ます。
その際に両者の差異を埋めるために、新卒や中途で採用する人数を調整したり、ほかの部署から人を異動させてきたりする必要がありますが、このことを代謝計画と呼びます。
人員計画と要員計画の間に差異がなく代謝計画が必要ないことはほぼ考えられないので、代謝計画があることを前提として柔軟に行動することが重要です。
部署同士で横のつながりがあるのであれば、あらかじめ話をつけておくなどすると、代謝計画をスムーズに進められる可能性も高まるでしょう。
2. 人員配置に計画性が求められる4つの理由
人員配置は人事的なマネジメントの観点からも非常に重要な意味を持つので、計画的に行わなければ組織の舵取りもうまくいかなくなってしまいます。
人員配置に計画性が求められる理由としては、主に以下のようなことが挙げられます。
・事業計画の達成に大きく関与するため
・組織の生産性向上やよい雰囲気づくりに関わるため
・優秀な人材や後継者を育てるため
・社員のエンゲージメントを高めるため
それぞれについて、説明します。
2-1. 事業計画の達成に大きく関与するため
人員配置では会社の人的資源をどのように配分するかが決められますが、その配分が間違っていれば事業計画が達成できない可能性もあります。
人的資源は使い方次第で成果が大きく変わるものなので、行き当たりばったりで計画を立てたり運用していたりしては、決してよい成果は残せないでしょう。
今期はもちろん来期以降も継続的に事業計画を達成するために、人員配置は将来を見据えて計画的に行われなければなりません。
2-2. 組織の生産性向上やよい雰囲気づくりに関わるため
適材適所に人員配置を行うことで組織の生産性は向上し、それにより業績も上がっていく可能性が高いです。
生産性の高い組織では情報交換やコミュニケーションが自然と行われるようになり、全体の雰囲気もよくなっていきます。
人員配置が組織全体に影響を及ぼす以上、計画的に行われるべきであることは当然と言えるでしょう。
2-3. 優秀な人材や後継者を育てるため
配置されたポジションや部署によって、仕事で習熟できる・伸ばせるスキルは異なります。
人員配置では組織の生産性を向上させて事業計画の達成を目指すことが重視されますが、社員一人ひとりを成長させるという観点も、それと同じぐらい重要です。
業務に精通している優秀な人材や、各部署ひいては会社全体を引っ張っていくリーダー・後継者を育てるためには、候補となる人材に必要な経験を積ませなければなりません。
上に立つ人間にはいろいろな能力が求められるため、ひとつのポジションにずっと就かせるのではなく、必要な能力を身に付けるために複数のポジションに就かせることが重要です。
そのため、将来の組織や会社のことも踏まえた計画的な人員配置が、必要不可欠といえます。
2-4. 社員のエンゲージメントを高めるため
人員配置は社員自身にとっても非常に重要なものであり、自分のスキルや適性・将来のキャリアパスに合った配属だと感じると、会社へのエンゲージメントが高まります。
エンゲージメントが高まることで離職率を低下させることができるので、転職・離職といった選択肢が一般的なものになっている昨今においては、非常に重要な意味を持ちます。
場合によっては将来を見据えて、一見すると社員の意に沿わないような人員配置になる可能性もあるかもしれません。
そのようなときは人員配置の意味や趣旨を社員自身にしっかりと説明して理解してもらうことで、エンゲージメントを低下させないようにすることが重要です。
3. 人員配置を計画的に行うための5つのポイント
人員配置にはいろいろな要素が絡み合ってくるため、収まりのよい形にまとめるのは非常に骨が折れるものです。
人員配置を計画的に行うためのポイントとしては、以下のようなことが挙げられます。
・目的を明確にしておく
・短期的な視点と中長期的な視点の両方を持つ
・現在の組織図と人材データを可視化する
・社員にしっかりとしたヒアリングを行う
・効果の測定・検証を行える体制を構築しておく
それぞれについて、説明します。
3-1. 目的を明確にしておく
人員配置はそれ自体が目的なのではなく、あくまでも事業計画を達成するための人事的な手段のひとつです。
そのため、どのような目的を達成したいかが明確でなければ、人員配置を計画的に行うことはできません。
前期よりも売上10%アップ、主力商品の市場シェア1位への返り咲き、新商品開発のペースを促進など中身は何でもよいので、目的を明確な形で設定することを心がけましょう。
3-2. 短期的な視点と中長期的な視点の両方を持つ
会社は今期のみ事業計画を達成すればよいのではなく、今後も達成し続けることを求められます。
そのため、人員配置では今期の事業計画を達成するためという短期的な視点と同時に、将来を見据えた人材育成を行うためという中長期的な視点も欠かせません。
リーダー候補となる人材に経験を積んでもらうために、その人が本来得意とする業務ではない業務を担ってもらうとすると、今期の生産性が多少下がることは免れないでしょう。
事業計画達成のための理想的な人員配置と、将来を見据えた布石となる人員配置のバランスをうまく取ることが重要なポイントです。
3-3. 現在の組織図と人材データを可視化する
人員配置を行うためには、どこの組織・部門にどのような能力を持った人材がどれぐらい必要かを、把握しておく必要があります。
また、同時に社内人材のデータも把握しておかなければ、異動や採用などを効率的に行うことは難しいでしょう。
人員配置は全社横断的に行われるものなので、一部の人間だけが組織図や人材データを把握している状態では、最適な人員配置を行うことはできません。
組織図および人材データを可視化して管理して、全体最適な人員配置を可能にすることを目指しましょう。
3-4. 社員にしっかりとしたヒアリングを行う
人員配置では社員のスキルや能力を考慮する必要がありますが、社員の適性や希望に沿うことも同じぐらい重要です。
ただ、スキルや能力と比べると社員本人の適性や希望というものは、なかなか外から判断しづらいものです。
そのため、それぞれの社員にしっかりとヒアリングを行ったうえで、会社の方針はしっかりキープしつつ、社員が最大限納得する形で人員配置を行うようにしましょう。
実際に希望どおりの配属となるかどうかは別にしても、しっかりと自分たちの意見を聞いてくれるという姿勢は、社員のエンゲージメントを維持・向上するという観点で重要です。
3-5. 効果の測定・検証を行える体制を構築しておく
人員配置による効果は、すぐ出るわけではなかったり目に見えにくかったりすることも多々あります。
そのような中で今後も計画的な人員配置を継続的に行うためには、効果の測定や検証を行える体制を構築しておくことが重要です。
よかれと思って行った人員配置が結果的に逆効果になってしまうこともあれば、予期していなかった効果を生み出す場合もあります。
そのようなケースでの要因を抽出して分析することで、今後の人員配置に生かすことができるでしょう。
4. 人員配置を計画的に行うためにはいくつもの注意点がある
人員配置は人事的・戦略的マネジメントの一環であり、いくつかのステップを踏みながら実施していく必要があります。
事業達成に大きく関与して社員の育成にも関わるものだからこそ、計画的に行われるべきですが、そのためにはいくつかのポイントを押さえておかなければなりません。
短期的視点と中長期的視点の両方を持つ、効果の測定・検証を行える体制を構築しておくことなどを心がけて、計画的な人員配置を心がけましょう。
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