人材管理とは? 効率的に管理できるシステムを種類別に解説
更新日: 2023.1.19
公開日: 2020.9.14
OHSUGI
人材管理を行うためには人材管理システムを導入するのが便利であり、人材管理システムはオンプレミス型システムとクラウド型システムの2つに、大きく分類されます。
ただ実際にシステムを導入するにしても、人材管理のための理論やフレームワークを知らなければ、システムをうまく使いこなせないでしょう。
本記事では、人材管理システムの特徴や人材管理システムを利用することのメリット、人材管理において重要なモデル概念などについて説明します。
目次
1. 人材管理とは人材を活用するための仕組み
人材管理とは、会社や組織が経済活動および事業展開を行うために、人材を効率的・効果的に活用していくための仕組みです。
会社や組織にはそれぞれ掲げる目標や達成したい目的があるので、その実現に向けてパフォーマンスを最大化するために、人材資源をマネジメントすることになります。
しかし人材は組織にとっての資源ではあるものの、それぞれが自律的な意志を持った存在でもあります。
それぞれの人材のモチベーションによって発揮されるパフォーマンスは大きく変わるため、個人の意志を尊重したうえで組織としての整合性を取れるように、十分に注意しなければなりません。
2. 人材管理システムは大きく2つに分類される
人材管理を行うためには社内の人材に対するデータを管理しなければなりませんが、人材管理システムを利用することで効率的な管理が可能になります。
人材管理システムにはいくつもの種類がありますが、大きくは「オンプレミス型システム」と「クラウド型システム」の2つに分類されます。
以下では、それぞれのシステムの特徴やメリット・デメリットについて説明します。
オンプレミス型システム
オンプレミス型システムは社内に独自のネットワーク環境を構築して運用するシステムで、システム自体を最初から構築するため、自社の要件定義に沿ったシステムを築くことができます。
手探りで導入・運用を始めるような場合は、運用開始後に現場の意見を取り入れて適宜改善できるような仕様にしておくなど、柔軟な設計・運用が可能です。
また、社内独自のネットワーク内での利用となるので外部に接続する必要がなく、セキュリティ面でも安心というのは大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、システムをゼロから設計・構築する必要があるため導入のイニシャルコストは高くなりがちで、導入するまでに長い時間を要する可能性が高いのはデメリットと考えられます。
システムを実際に運用したり、要件が変わった際に修正やバージョンアップを行ったりするためにランニングコストがかなり必要であることも、ネックとなり得ます。
社員数がかなり多かったり要件定義が特殊だったりで、パッケージ型の人材管理システムを使いにくいというような場合におすすめのシステムと言えるでしょう。
クラウド型システム
クラウド型システムは、自社でシステムを構築せずにクラウド上で利用するタイプのシステムです。課金を行うことでストレージの追加も容易なので、急な環境の変化に対しても柔軟に対応できます。
ネットにつないで利用することになるので、社内だけでなく必要に応じて社外でも人材情報を確認できることも重要なポイントです。
ただしインターネットに接続して利用するという性質上、インターネットの接続障害が発生するとまったく利用できなくなってしまいます。
あらかじめパッケージが決まっているためカスタマイズ性が低いものが多いことや、インターネットにつながっているがゆえのセキュリティ面での不安といった点も、デメリットとして考えられるでしょう。
3. 人材管理システムを利用する5つのメリット
人材管理は上述したようなシステムを利用せずともおこなうことは可能ですが、システムを用いることには多くのメリットがあります。以下では人材管理システムを利用するメリットをいくつか挙げていきます。
3-1. 従業員に対してあらゆる角度から評価がおこなえる
人材管理は基本的に人事部やそれぞれの部・課の責任者が行いますが、人材管理システムでは人材情報の利用・閲覧の権限を細かく設定することが可能です。
そのため、同僚や部下などからの評価を人事異動に反映することもできるようになっています。
上の立場の人間からの見え方だけでなく、立場が近い人間や社歴の浅い人間からの見え方も加味することで、より公平で納得感のある判断が行えるでしょう。
3-2. 適材適所の人員配置がおこなえる
人材管理システムの中には、各社員の情報や社内の人材配置が視覚的に分かりやすく表示されているものもあります。
そういったUIのシステムであれば、どのように人員配置を行えば組織のパフォーマンスを最大化できるかが感覚的に分かりやすいので、適材適所の人員配置を行うことができます。
システムがなくとも各社員としっかり話し合いを行ってスキルや適性を把握すれば、適材適所の人員配置は可能ですが、システムを利用することでより効率的に行えるのが大きなメリットです。
ただしこの場合の「適材適所」はあくまでも会社の視点からの判断であり、社員の視点からは適材適所と判断されない可能性があることは、念頭に置いておかなければなりません。
3-3. 人材育成に活用できる
人材管理システムでは、社員育成のためにe-ラーニングシステムやレポート提出機能がセットになっていることもあります。
e-ラーニングの受講は社員の意識改革につながる可能性があるので人材育成の一助になりますし、社員それぞれが好きなタイミングで受講できるのはメリットです。
また、それぞれの社員の能力やスキルを判断して、独自にカスタマイズした課題を課すようにできるシステムもあります。
業務負荷的な観点から実際には課題を課さないという選択肢もありえますが、その課題の内容を踏まえて今後の育成方針を決めることもできるでしょう。
3-4. 社内に眠る人材の発掘がおこなえる
人材管理システムでは上司だけでなく同僚や部下からの評価も反映することができますが、その結果今までは把握できていなかった社内人材を発掘できる可能性もあります。
リーダーシップや決断力は経営者や管理職にとって重要な素養ですが、上司からの視点による評価ではそういった部分が得てして軽視されがちです。
上司よりも近い距離で働いている同僚や、実際に指示を受けている部下からの評価・判断を考慮することで、社内に眠る次期経営者や管理職候補を効率的に抽出できるでしょう。
3-5. 従業員のモチベーション維持・向上につながる
人材管理システムによって自身に対する評価を多角的に行ってもらえ、適材適所の人員配置が行われることで、社員の働きがいは確実に向上します。
社員の働きがいやモチベーションにはもちろん金銭的な側面もありますが、「自分のやりたい仕事ができている」「仕事の中で自分の成長が感じられる」といった実感を得られることも、重要なポイントです。
終身雇用という考え方がほぼ崩壊してきており、よりよいキャリアを求めて転職するという選択肢がごく一般的になってきている現在において、社員のモチベーションを維持・向上させることの重要性はますます高くなってきています。
すべての社員が100%満足するような人員配置を行うことはなかなか難しいですが、人材管理システムによって適切に評価がされているということ自体が、社員の働きがいを向上させる一助となるでしょう。
4. クラウド型人材管理システム選びではトータルコストやサポート体制が重要
人材管理システムを選ぶ場合は、自社の人事において重要とされる指標をモニタリングできるものを選ぶことが重要です。オンプレミス型の人事システムを利用する場合は、自社の事情に沿った設計にするため、その点に関しては問題ありません。
クラウド型のシステムでも最近はカスタマイズできるものが増えてきているので、よい意味で自社にとっての優劣を決めにくくなっているかもしれません。
そういった場合は、イニシャルコストおよびランニングコストのトータルコストや、不具合があったときなどのサポート体制によってどのシステムを選ぶべきかを決めるといいでしょう。
特にクラウド型の管理システムの場合、管理する社員が増えるとランニングコストもどんどん増えていくことになるため、採用強化中の会社はその点には気を付けておかなければなりません。
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