試用期間中の解雇は可能?解雇できる条件や必要な手続きを解説
更新日: 2026.4.14 公開日: 2022.9.22 jinjer Blog 編集部

試用期間とは、雇用した労働者に業務適性があるか、会社の方針に適した人物かなどを調べるために設けられています。試用期間中に適性がないことがわかった場合は、解雇も視野に入れた何らかの対応をしなければなりません。
ここで迷ってしまうのが、「試用期間中に解雇しても良いのか」ということではないでしょうか。本記事では、試用期間中の解雇は可能か、その方法や手続き、注意点などを解説します。
目次
「長年この方法でやってきたから大丈夫」と思っていても、気づかぬうちに法改正や判例の変更により、自社の雇用契約がリスクを抱えているケースがあります。
従業員との無用なトラブルを避けるためにも、一度立ち止まって自社の対応を見直しませんか?
◆貴社の対応は万全ですか?セルフチェックリスト
- □ 労働条件通知書の「絶対的明示事項」を全て記載できているか
- □ 有期契約社員への「無期転換申込機会」の明示を忘れていないか
- □ 解雇予告のルールや、解雇が制限されるケースを正しく理解しているか
- □ 口頭での約束など、後にトラブルの火種となりうる慣行はないか
一つでも不安な項目があれば、正しい手続きの参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 試用期間に解雇できる?


まずは試用期間の正しい意味と、試用期間中の解雇が可能であるかについて知っておきましょう。また、解雇する場合の2つの方法についても説明します。
1-1. 試用期間と「試みの使用期間」は違う
試用期間とよく似た言葉に「試みの使用期間」があります。試みの試用期間は、「入社してから14日間は解雇予告期間を設けずに即時解雇できる」と労働基準法で規定されています。
ただし、合理的な理由がない解雇は試みの試用期間でもできません。
一方で試用期間に関しては法律による規定がありません。そのため、期間も会社によって異なり、数ヵ月~1年ほどと幅広いです。また、試用期間は「見習い期間」や「研修期間」といった意味合いが強く、労働契約は成立しており、正式に雇用されていることに変わりはありません。
「試用期間」という文字をみると、どうしても「お試しの雇用期間」のようなイメージを持ちやすいです。しかし、試みの使用期間とは異なり、解雇をする場合は正社員と同様に解雇予告、または手当の支払いが必要になります。
1-2. 試用期間中でも解雇は可能
試用期間中だとしても、即日解雇や合理的な理由がない解雇はできないことをお話ししました。しかし、正式な手続きを経た解雇や、試用期間の終了をもって解雇するという形は可能です。
もともと、会社側は雇用契約を結んでいる相手に対して、正当な理由があれば解雇を言い渡すことが認められています。これは試用期間中や本採用に関係なく、どのような契約形態であっても、会社は労働者を解雇する権利を有しているからです。
試用期間中の解雇は、本採用と比べると幅広い範囲で認められています。なぜなら、試用期間中はあくまでも労働者の適正を見るための期間とされているからです。試用期間中でも簡単に解雇はできないものの、本採用後よりも解雇のハードルが少し低いと認識しておきましょう。
1-3. 解雇と本採用拒否の2種類がある
試用期間中の従業員を辞めさせたい場合に取れる手段は、解雇のほかに「本採用拒否」というものがあります。
試用期間が終了する時点で社員として採用しない場合は、「本採用拒否」という形になります。本採用拒否後は、従業員に退職してもらうか、試用期間の延長という2つの選択肢にわかれます。
原則として試用期間の延長は認められていませんが、就業規則などで試用期間の延長が記載されており、試用期間延長をするに合理的な理由があれば認められます。
2. 会社都合で解雇が成立するケース


試用期間中の解雇は可能ですが、一方的な理由や合理性のない理由で解雇できるわけではありません。ここでは、合理的な解雇理由に該当しやすいケースを紹介します。
2-1. 勤務態度が悪い
上司の指示に従わないなど、勤務態度が著しく悪い場合は解雇が認められやすくなります。試用期間中に解雇をする場合は、解雇に合理性がなくてはいけませんが、勤務態度が悪いというのは解雇をする十分な理由になり得ます。
もちろん、注意をして改善されるのであれば解雇をすることはできません。しかし、何度注意をしても改善されなかったり、過剰に悪質な態度や行動をとったりする場合は、職場に対して有益な存在と見なされません。そのため、このような人材を採用してしまった場合は、速やかに解雇を言い渡すのが望ましいです。
2-2. 欠席や遅刻を繰り返す
正当な理由がなく欠席や遅刻を繰り返す場合も、解雇が認められます。雇用契約を結ぶ際には、勤務時間についての説明をするのが一般的です。その説明があっても勤務時間に遅れるというのは、雇用契約に従っていないことになります。
会社が求めている仕事をしなければ、債務不履行となります。欠席や遅刻も雇用契約に反していることになるため、解雇が認められる可能性があるでしょう。
ただし、正当な理由で遅刻や欠席をした場合は解雇することはできません。例えば、欠席が頻繁に起こったとしても、それが体調不良などのやむを得ない理由であれば、欠席を理由に解雇を言い渡すことはできません。
とはいえ、勤務が満足にできない状態の社員を雇用し続けるのは難しいです。
そのため、健康上で問題があると判断した場合は、今後の勤務についてしっかりと話をする必要があります。
2-3. 健康上の理由で就業困難になった
病気や怪我、精神的な疾患などのより、体や心の健康状態が悪化して就業することが困難になった場合は、試用期間中かどうかに関わらず解雇が認められるケースがあります。
ただし、就業規則にその内容が記載されていないのであれば、健康上の理由による解雇は認められません。そのため、ほとんどの会社では、解雇事由に「精神や身体の障害によって業務に耐えられない場合に解雇できる」と記載されています。健康上の理由での解雇を検討する場合は就業規則を確認しましょう。
2-4. 経歴詐称があった
入社する際には、履歴書や職務経歴書などの提出を求めるのが一般的です。その内容に重大な虚偽があった場合は、解雇が認められます。
採用者は履歴書や職務経歴書などの経歴を参考にして、会社にとって必要な能力があるかどうかなどを判断しています。その内容に虚偽があるということは、会社が求めている能力を有していない可能性があります。つまり、虚偽の申告のせいで、本来ならば採用しない人材を採用してしまったことになるため、試用期間中であっても解雇が認められるのです。
なお、経歴詐称の内容が細微で業務に関係がない場合は、解雇理由として認められない可能性が高いです。たとえば、短期間のアルバイトが記載されていなかった、特技や趣味を誇張して表現した、などは細微な詐称として問題視されないと考えられます。
3. 不当解雇にあたるケース


「会社都合で解雇が成立するケース」があるということは、「会社都合で解雇が成立しないケース」もあるということです。適切な指導をしなかったり、能力や成績で判断したりして解雇するのは「不当解雇」になる可能性があるため注意が必要です。不当解雇にあたるケースを具体的に見ていきましょう。
3-1. 指導や教育を怠っている
適切な指導や教育をしていないにも関わらず解雇を決定するのは不当解雇に該当する可能性が高いです。
試用期間は、「解約権留保付労働契約」が締結されているため、本採用よりも解雇理由は幅広くなりますが、企業側の都合で解雇できるというものではありません。指導が適切かどうかは、企業側だけでなく従業員にも判断する権利があるため、「業務を理解していない」「スムーズに業務を進められない」などの理由では解雇できないと考えておいた方がよいでしょう。
ただし、適切な指導をしていても業務を覚えられない、遂行できないということもあるかもしれません。いずれにしても「適切」かどうかの判断は個人の認識によって変わるため、マニュアルなどを用意して双方で確認できるようにしておくとよいでしょう。
3-2. 「能力不足」という曖昧な理由
試用期間の解雇理由が本採用よりも幅広いのは、業務と人材のミスマッチを早く認識するという目的があるためです。とはいえ、未経験者や入社したての従業員は、緊張や環境への適応ができないことで、能力を発揮できなくても当然の状況です。そのため、求めていた能力が基準に達していないとしても、そのほかの正当な理由がない状態で解雇するのは不当解雇に該当しやすいです。
そもそも「能力」自体が曖昧な言葉であるため、「能力不足」を理由とする解雇は正当性を欠くことを覚えておきましょう。ただし、指導に従わない、ルールを守らないなどの理由により業務の効率が悪い場合など、勤務態度の悪さが原因になっている場合は正当性のある解雇になることもあります。
3-3. 成績で判断している
試用期間中の成績が悪いというだけで、解雇をおこなうことは不当解雇に該当します。仕事の成績は、労働者の力だけで上げられるものではありません。そのため、期待していた成績ではなかったとしても、それだけで労働者の能力を判断することはできないのです。
業種や部署にもよりますが、例えば営業はライバル企業の動向やマーケット状況やライバルの動向など、さまざまな事柄が成績に影響します。特に試用期間はポテンシャルを発揮できないことも多いため、成績だけで判断した解雇は不当解雇となるのです。
3-4. 対象者からの話を聞いていない
解雇を検討している従業員本人からの話を聞いていない場合も、不当解雇に該当することがあります。上司や同僚からの評価でのみ判断している状況では、事実が隠されたままになる可能性があり、それが後から発覚するケースがあるからです。
例えば、「上司の指示を守らない」「勤務態度が悪い」といった評価がされた場合を考えてみましょう。こうした評価には評価者の主観や感情が入りやすいです。そのため、対象者は一生懸命やろうとしていたにも関わらず、理解が足りなかったり、一度の気のゆるみがその後の態度を悪く見せていたりすることも考えられます。
こうした事実が明るみにならないまま解雇になると、不当解雇として問題になる可能性があります。そのため、対象者に事実確認をする必要があるのです。
これまで不当解雇にあたる項目を解説してきましたが、実際に不当解雇として解雇が無効になった事例が気になるという方は、当サイトで無料配布している雇入れから雇止めや解雇に関するガイドブックがおすすめです。適切に試用期間の見定めをおこないたい方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
4. 試用期間中に解雇する場合の流れ


試用期間中でも、合理的な理由があれば解雇が可能なことがわかりました。しかし、解雇をする際には一定の手続きが必要で、注意するべき点があります。会社側が解雇をする自由を認められているのと同様に、労働者も法律で守られているからです。
ここでは、試用期間の解雇手続きについて解説します。
4-1. 解雇事由を提示する
試用期間中に解雇をする際には、解雇理由を明確にしましょう。解雇は、あくまでも正当な理由に基づいておこなう必要があります。試用期間中だとしても、会社の勝手な都合や理由もなく解雇することは認められていません。
例えば、先ほど説明した勤務中の態度の悪さについても、その記録を残しておくなど、解雇の理由を求められた際に提示できるようにしておきましょう。遅刻や欠勤などが多い場合は、タイムカードや出勤簿なども証拠になります。
始末書やメールなども解雇理由の証明に使用できるため、保管しておくことをおすすめします。
4-2. 解雇予告をする
試用期間中であっても、解雇予告はおこなわなくてはいけません。解雇予告とは、解雇をする前に「何日付で解雇をする」と労働者に伝えることです。解雇予告は、本採用時と同じように30日前には労働者に伝える必要があります。ただし、試用期間が始まって14日以内(14日目まで)であれば試みの使用期間に該当し、解雇予告なしで解雇をすることが可能です。
採用してすぐに勤務態度の悪さなどが目立つ場合は、即時解雇をすることも可能です。そのため、採用したその日から労働者の態度を注視しておくようにしましょう。
ただし、即時解雇したとしても、それまでに働いた分の給料は支払わなくてはいけません。月途中で解雇をおこなった場合は、それまでに働いた日数分の給料を支払うことになります。どれだけ勤務態度が悪くて解雇をしたとしても、給料を払わなければ違法になるため注意しましょう。
4-3. 解雇通知書を作成する
解雇通知書とは、解雇を告げるために作成・交付する書類です。
解雇予告は口頭での告知でも成立しますが、口頭だけでは証拠が残らないため、のちのちトラブルになる可能性があります。解雇通知書に解雇の正当な理由を明記して交付をすれば、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
記載する内容に決まりはありませんが、以下の記載事項は漏れのないようにしましょう。
- 解雇する従業員の氏名
- 会社名と代表取締役名(社印の捺印)
- 解雇通知書の作成日(もしくは手渡す日や郵送日)
- 解雇日
- 解雇するという確定的な意思表示
- 解雇理由
- 解雇する理由を定めている就業規則の条文
他にも、必要と思われる要件はもれなく記載するようにしましょう。
5. 試用期間中の解雇の伝え方


試用期間中に解雇になるケースでは、対象者はショックを受けたり、不満を持ったりすることが考えられます。トラブル防止の観点と、対象者にとってもよい形で終わらせるために以下のポイントに注意しましょう。
5-1. 可能な限り面談で伝える
解雇を伝える際は、電話やメール、書類などではなく、できる限り面談をおこないましょう。面談をする際は、対象者の上司や教育係など、接点が多い人物が適しています。そうした人物からの解雇理由の通達であれば、比較的納得感も得やすいでしょう。
面談をする場所はプライバシーを守れて、リラックスして話せる場所が適しています。解雇というネガティブな話になるため、感情面への配慮が必要です。また、面談の記録は発言や面談を実施したという証拠になるため、しっかりと残しておきましょう。
5-2. 本人にもわかりやすい理由を提示する
解雇というネガティブな話では、多くの人が不満を持ちます。少しでも納得感を得てもらうためには、解雇の理由は根拠や証拠を提示してわかりやすく説明することが大切です。
遅刻が多い場合はタイムカードを提示したり、本人にも自覚がありそうな勤務態度の問題を指摘したりすると納得しやすいでしょう。
ただし、責めたり追及したりするような姿勢は逆効果です。対象者の反応を見ながら、必要に応じて根拠を提示しましょう。
5-3. 証拠となる書類を渡す
解雇に関する通達を確実におこなったことを証拠として残すために、「試用期間満了通知書」や「解雇予告通知書」を渡すことも重要です。
口頭だけでは「よく理解できていなかった」「解雇を受け入れた記憶はない」などと言われる可能性があるため、書面によって日付や事実を明確にしておく必要があります。
渡す書類を見せて確認しながら説明すれば、解雇が確定していることや日付の実感も持ちやすいため、認識のずれを防ぐ効果もあります。
6. 試用期間中の解雇は慎重に検討して必要な手続きを進めよう


試用期間は、会社側が労働者の能力を判断するための期間です。労働者の勤務態度の改善の余地がない、欠席や遅刻を繰り返しているなどの理由があれば解雇をすることが可能です。しかし、能力不足や成績による解雇は不当となるため、正当な理由を明確にしましょう。
とはいえ、労働者を解雇すると、新しい労働者を採用する必要があります。せっかく採用が終わったのにまた採用しなくてはいけないというのは、人事にとって大きな業務負担になるため管理システムの導入を検討しましょう。
人事の負担を減らすためには、業務効率化は欠かせません。ぜひ、管理システムを導入して業務の効率化を検討してみてください。



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