休職とは?種類や各種手当の申請方法を解説
更新日: 2024.11.15
公開日: 2024.10.24
OHSUGI
「従業員の休職対応に悩んでいる」
「休職中の手続きや手当を知りたい」
「復職までの流れを把握して、適切な対応をおこないたい」
上記のように感じている労務担当や経理担当の方も多いのではないでしょうか。
従業員が休職する際には、手続きや手当の申請、そして復職まで丁寧なサポートが求められます。
本記事では、休職制度の基本と各種手当、そして復職までの流れについて解説します。
休職者をサポートする立場にある方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 休職とは
休職とは、職場に戻ることを前提に、従業員が一定期間業務を離れる状態を指します。
休職理由は、健康上の理由や家庭の事情などさまざまです。心身の健康を回復したい、家庭の問題に対処したいなど、一時的に業務を離れて問題を解決する時間を得るために、休職制度は存在しています。
例えば、病気やけがで長期間働けない場合、傷病手当金を受けながら休職が可能です。家庭の事情や家族の介護が必要な場合にも、休職制度を活用して一時的に業務を離れられます。
休職は、従業員がそれぞれの事情に対応しながらも、職場に復帰するための重要な制度です。
2. 休職と休業・欠勤の違い
休職と休業・欠勤それぞれの違いは以下のとおりです。
休職 | 雇用契約を維持しながら一定期間業務を離れる制度 |
休業 | 企業側の都合によって一時的に業務を停止する状態 |
欠勤 | 個人の事情によって一時的に勤務しない状態 |
例えば、工場の生産ラインが止まった場合に、従業員が仕事を休むのは「休業」です。
また、本人の体調不良で1日だけ仕事を休むのは「欠勤」となりますが、病気で長期療養が必要な場合は「休職」が適用されます。
休職中は傷病手当金が受給できることもありますが、休業や欠勤ではそのような手当は基本的に支給されません。
それぞれの違いを理解して、適切な対応をおこなうことが大切です。
3. 休職の種類
休職は従業員が業務を離れる理由に応じて以下の2つに大きく分類されます。
- 私傷病休職
- 私傷病以外の休職
3-1. 私傷病休職
私傷病休職とは、業務や通勤以外の原因で発生した病気やケガを理由に、従業員が一定期間仕事を離れるための休職です。
労災や業務上のケガとは異なり、プライベートな場面で発生した健康上の問題に対応するために申請します。
例えば、従業員が休日の登山中にケガを負って長期入院が必要となった場合や、家庭内のストレスからうつ病を発症し、治療と休養を要する場合などが該当します。
従業員は私傷病休職を利用して治療に専念し、復職を目指すための時間を得ることが可能です。
3-2. 私傷病以外の休職
私傷病以外の休職の具体例は、以下のとおりです。
私傷病以外の休職の例 | 概要 |
自己都合休職 | 個人的な事情(家庭の問題、介護など)により長期間業務を離れる場合に取得できる休職 |
留学による休職 | 自己研鑽やキャリアアップを目的に、海外留学をおこなうための休職 |
公職就任による休職 | 従業員が国や地方公共団体の公務に就くため、一時的に業務を離れる休職 |
事故欠勤による休職 | 事故による欠勤が長期にわたる場合に、会社が認める休職 |
起訴による休職 | 刑事事件で起訴された従業員が、裁判終了まで業務を離れる休職 |
組合専従による休職 | 労働組合の専従活動をおこなうために、業務を離れる休職 |
出向による休職 | 他企業への出向のため、元の会社での業務を休職扱いとする |
休職制度は法律で義務付けられているわけではなく、企業ごとに対応が異なります。就業規則を確認し、従業員がどのような場合に休職できるのかを把握しておくことが大切です。
4. 傷病手当金(休職手当)とは
傷病手当金とは、業務外の病気やケガで働けなくなり、会社から十分な報酬が受けられない場合に、健康保険から支給される生活保障制度です。
傷病手当金は、以下の条件を満たすことで支給されます。
条件 | 説明 |
業務外の病気やケガであること | 業務上の事故やケガは労災保険が適用されるため、傷病手当金の対象外 |
仕事ができない状態であること | 病気やケガにより医師が「就業不可」と診断した場合に限り支給される |
連続して3日間の待機期間があること | 病気やケガで仕事を3日以上連続して休んだ場合、その4日目以降から支給される(待機期間は土日や祝日、有給休暇も含む) |
給与の支払いがないこと | 休業中の給与が支払われている場合は、傷病手当金は支給されない。ただし、給与が傷病手当金より少ない場合、その差額が支給される |
傷病手当金の1日あたりの支給額は、過去12カ月間の平均給与の2/3で計算され、最大1年6カ月間支給されます。
5. 傷病手当金以外で休職・休業中に受給できる手当
傷病手当金以外にも休職・休業中に受給できる手当はいくつか存在し、経済的な支援を受けられます。
例えば、以下のような手当や制度があります。
制度 | 概要 |
年次有給休暇 | 労働者が一定の勤務日数を満たした場合に取得できる有給の休暇 |
出産育児一時金 | 出産時に健康保険から支給される一時金 |
出産手当金 | 出産前後の一定期間、給与の一部を補填する手当 |
育児休業給付金 | 育児休業中に、雇用保険から支給される生活費の補填 |
介護休業給付金 | 介護休業中に雇用保険から支給される、給与の一部を補填する手当 |
労災保険給付 | 業務中のケガや病気による休業や療養を補償する労災保険給付 |
障害年金 | 障害者が一定の障害状態にある場合に支給される年金 |
生活保護制度 | 生活困窮者に対して生活費を補助する制度 |
生活福祉資金貸付制度 | 生活困窮者に無利子で貸付けをおこなう制度 |
上記の手当を適切に利用すれば、休職・休業中も生活費を補えます。各手当の内容を理解し、有効活用することが大切です。
6. 休職までの流れ
休職までの一般的な流れは、以下のとおりです。
流れ | 内容 |
1. 従業員からの申告 | 従業員が休職を希望する旨を口頭または書面で会社に申告する |
2. 医師の診断書の提出 | 私傷病休職の場合、休職の必要性と推定期間が記載された医師の診断書を提出する |
3. 休職申請書の受理 | 従業員が休職申請書を記入し、提出する |
4. 休職理由と期間の確認・承認 | 労務担当者が診断書と申請書を確認し、正当性を判断。上長や会社で承認をおこなう |
5. 給与・手当の対応準備 | 経理担当者が休職期間中の給与や手当の対応を確認し、必要に応じて手当申請をサポートする |
6. システムへの反映・連絡 | 休職開始日を就業システムに反映し、経理や担当部署に情報を共有する |
正確な手続きの流れを把握し、スムーズに進行させることが大切です。
7. 休職から復職までの流れ
休職から職場に復職するまでの、一般的な流れは以下のとおりです。
流れ | 内容 |
1. 休職期間中の経過報告 | 休職中、定期的に従業員の体調や治療経過について報告を受け、必要に応じて復職時期を調整する |
2. 復職の意思確認 | 従業員が復職できる状況になったら、復職の意思を会社に伝える |
3. 医師の診断書の提出 | 私傷病休職の場合、医師からの「就業可能」の診断書を従業員から提出してもらう |
4. 復職申請書の提出 | 従業員は復職申請書を記入し、労務担当者に提出する |
5. 復職日の調整 | 労務担当者と従業員で、復職日を正式に調整し、必要な手続きや業務復帰の準備を進める |
6. 復職後のサポート | 復職後、従業員の業務復帰がスムーズにおこなえるよう、必要に応じて配置転換や勤務時間の調整などをサポートする |
復職までの流れを正確に把握し、適切なサポートをおこなうことで、従業員が円滑に業務に戻れる環境が整います。
8. 従業員の休職をサポートできる環境を整えよう
休職は、従業員にとって心身の健康や家庭の事情に対処するための大切な制度です。
休職制度や手当についてしっかりと理解し、従業員一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応をおこなうことが、企業の健全な運営につながります。
休職者が円滑に復職し、再び業務に貢献できるよう、サポート体制を整えましょう。
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