源泉徴収票の作成方法や作成手順を詳しく紹介
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.8.24
【監修者】タツモトミカ
一般的に源泉徴収票は年末に作成されますが、年末は他の業務も立て込んでバタバタしていることが多いです。
そのため、源泉徴収票の作成方法や作成手順を事前にきちんと把握しておかなければ、他の業務に支障が出てしまうことも考えられます。
本記事では、源泉徴収票の作成方法や作成手順、源泉徴収票を作成するときの注意点について説明します。
1. 源泉徴収票の作成方法
源泉徴収票を作成する方法としては、主に以下のような方法が挙げられます。
- Excel
- 給与計算ソフト
- e-Tax
- 税理士等の専門家に委託
それぞれの方法について、説明します。
1-1. Excel
Excelを利用する場合は、国税庁が公開している源泉徴収票のテンプレートをもとにして、インターネット上で公開されている無料のフォーマットを利用するのがおすすめです。
無料で利用できる点は便利ですが、Excelに組み込まれている式は本当に正しいか、最新の税制に対応しているかなどは、きちんと確認しなければなりません。
1-2. 給与計算ソフト
給与計算ソフトの利用も、源泉徴収票を作成するためには便利です。
源泉徴収で算出した金額をもとにして、従業員ごとに源泉徴収票を自動生成する機能がついている給与計算ソフトもあるので、そういったものを有効活用するとよいでしょう。
毎月の勤怠管理や給与計算にも利用できるので、そういった部分を効率化できる点と導入コストを天秤にかけて、導入すべきかどうかを判断しましょう。
1-3. e-Tax
国税庁が配布する国税電子報告システム・納税システム「e-Tax」を利用して、源泉徴収票を作成することもできます。
e-Taxで作成した源泉徴収票は、電子データで従業員に配布することが可能です。
「利用者識別番号」および「電子証明書」を事前に取得しておかなければならないことには、注意しておきましょう。
なお、e-Taxの場合、利用できるブラウザに制限があります。会計ソフトのなかにはスマートフォンでそのままデータを閲覧できるものもあるため、社内の状況に応じて選択するのがおすすめです。
1-4. 税理士等の専門家に委託
自分で源泉徴収票を作成せずに、税理士等の専門家に委託するという方法も考えられます。
経理業務についてまだ不慣れだったり、業務で忙しかったりといった場合は、専門家への委託も検討してみましょう。
2. 源泉徴収票の作成手順
源泉徴収票に記載が必要な項目としては、以下のようなものが挙げられます。
- 支払いを受ける者
- 種別・給与(支払額、税額など)
- 配偶者・扶養親族の有無など
- 社会保険料・生命保険・住宅ローン
- 控除対象者氏名など
- 未成年の各欄、中途就・退職
- 支払者
記載すべき順番が決められているわけではありませんが、今回は上から順に各項目の書き方について説明します。
2-1. 支払いを受ける者
支払いを受ける者に関しては「住所または居所」「個人番号(マイナンバー)」「氏名」を記載する必要があります。
氏名に関しては会社の役員である場合には役職名を記載して、役員ではない場合は職務の名称(営業部長など)を併記しましょう。
なお、源泉徴収票は会社で保管しておくものと従業員本人に渡すものがありますが、後者には個人番号(マイナンバー)の記載は必要ありません。
2-2. 種別・給与(支払額、税額など)
給与等の種別(給料、賞与、俸給など)、支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額を記載します。
所得控除にはさまざまな種類の控除がありますが、医療費控除・寄附金控除・雑損控除を受けたい場合は、従業員本人に確定申告をしてもらう必要があることには注意しておきましょう。なお、寄附金控除のなかでもるさと納税ワンストップ特例制度であれば年末調整での対応が可能です。
また、配偶者控除と配偶者特別控除は重複して適用することができません。
2-3. 配偶者・扶養親族の有無など
配偶者・扶養親族の有無では、「控除対象配偶者」「従有・従無」「老人」「配偶者特別控除」「控除対象扶養者の数」「16歳未満扶養親族の数」「障害者の数」「非居住者である親族の数」を記載します。
配偶者および扶養親族の有無やその構成などによって記載すべき部分、内容が異なるので、正確に記載するよう注意しましょう。
2-4. 社会保険料・生命保険・住宅ローン
社会保険料・生命保険・住宅ローンでは、「社会保険料の金額」「生命保険料の控除額・地震保険料の控除額」「住宅借入金等特別控除の額」「新生命保険料
の金額」「旧生命保険料の金額」「介護医療保険料の金額」「新個人年金保険料の金額」「「旧個人年金保険料の金額」「住宅借入金等特別控除摘要数」「住宅借入金等特別控除可能額」「居住開始年月日」「住宅借入金等特別控除区分」「住宅借入金等年末残高」を記載します。
上述した項目はすべて記載する必要があるわけではなく、対象者によって記載の必要性が変わってくる点には注意が必要です。
2-5. 控除対象者氏名など
控除対象配偶者、控除対象扶養者、16歳未満の扶養親族者それぞれの氏名、フリガナ、個人番号(マイナンバー)を記載します。
控除対象となる配偶者や扶養者がいない場合は、こちらは記載する必要はありません。
2-6. 未成年の各欄、中途就・退職
未成年の各欄には、その受給者について該当する事項がある場合には「○」を付けます。
年の途中で就職や退職をした場合には該当欄に「○」を付けて、就職もしくは退職した日の年月日を記載します。
2-7. 支払者
給与等の支払いを行う会社や個人事業主などの住所または所在地、氏名または名称、電話番号、個人番号(マイナンバー)または法人番号を記載します。
3. 源泉徴収票を作成するときの注意点
源泉徴収票を作成するときの注意点としては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 金額は決して間違えない
- 通勤手当は支給金額に含めない
- 電子データで交付する場合は電子証明書の添付が望ましい
それぞれについて、以下で説明します。
3-1. 金額は決して間違えない
源泉徴収票ではさまざまな金額を記載する必要がありますが、当然のことですがそれらに関しては決して間違えてはいけません。
特に、支払金額や源泉徴収額は年末調整の基礎になる数字なので、金額のダブルチェックを行うなど、念には念を入れましょう。
3-2. 通勤手当は支給金額に含めない
給与や賞与など、従業員に対して支払った金額は、基本的に源泉徴収の対象となります。
ただし、通勤手当は非課税扱いになるため、支給金額に含めてはいけません。
3-3. 電子データで交付する場合は電子証明書の添付が望ましい
源泉徴収票は、紙で発行してもよいですし電子データで交付してもかまいません。
ただし、電子データで交付する場合は正規に交付したものであることを証明するために、電子署名を付した電子証明書を添付することが望ましいです。
電子証明書を取得するためには、法務省が提供する専用ソフトウェアをインストールする必要があります。
4. 源泉徴収票は間違いなく記載することが重要
源泉徴収票は記載すべき項目が非常に多いですが、税金などに関わる非常に重要な書類です。
作成手順をきちんと把握して、ミスなく作成することを心がけましょう。
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