出張などの宿泊費の勘定科目は?目的別の仕訳方法を解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2023.4.18
jinjer Blog 編集部
泊まりがけの出張や社員旅行などで発生した宿泊費は経費として計上します。しかし、一口に宿泊費といってもその用途によって勘定科目が異なるため、扱いに悩んでしまう経理担当の方も少なくないはず。
そこで今回は、宿泊費に関する勘定科目や仕訳をケース別に紹介します。適切な会計処理ができるように、どのような宿泊費がどの勘定科目にあたるのかをチェックしておきましょう。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 宿泊費の勘定科目は「旅費交通費」「交際費」「福利厚生費」「研修費」の4つ
宿泊費の勘定科目は、大きく「旅費交通費」「交際費」「福利厚生費」「研修費」の4つに分けられます。それぞれに扱いが異なるため、仕訳の際は「宿泊の目的」が重要です。では、どのような宿泊が当てはまるのか、それぞれ解説します。
1‐1. 旅費交通費
遠方の支店や得意先へ出向くなど、業務のための出張に掛かる宿泊費は「旅費交通費」に分けられます。出張の際の新幹線、飛行機、レンタカー、ガソリンの料金も基本的には旅費交通費として処理が可能です。従業員が終電後まで残業をして近くのホテルで宿泊しなければいけない場合も、旅費交通費として処理をするのが一般的とされています。
出張における食事代に関しては経費として認められないことも多くありますが、食費や雑費による従業員の支出などを考慮して、日当として手当を支給している企業も少なくありません。この場合の日当は経費として処理することができます。
ただし、旅費交通費に含める範囲や上限は、会社の旅費規程によって左右されるため注意が必要です。「朝食付きプランでホテルを予約している」「ホテル代が高額」などのケースは、旅費規程に従って処理を行いましょう。
●旅費交通費と交通費の違い
これらはどちらも交通費が付く勘定項目ですが、内容が異なるため注意しましょう。一般的な違いは以下の通りです。
仕事の一環で通常の勤務地以外に行く際の移動代や宿泊費
通常の勤務地から取引先への移動代や通勤定期代 |
関連記事: 経費に含まれる飲食代は?判断のポイントや計上方法を解説
1‐2. 交際費
取引先との接待を目的として宿泊費が発生した場合は「交際費」として処理が可能です。接待に掛かった食事代やゴルフのプレー代、謝礼金、お土産代なども交際費にあたります。
交際費とするためには「仕事に必要な交際かどうか」が重視されます。仕事に関連がないにもかかわらず宿泊費を交際費で申告してしまうと、税務署から厳しいチェックを受ける恐れがあるため注意しましょう。
社内の規程次第では、接待旅行に日当を支給したり休日に開催される場合は振替休日を定めたりすることができます。
1‐3. 福利厚生費
社員旅行など従業員の福利厚生の一環として宿泊費が発生した場合は「福利厚生費」に分けられます。ただし、福利厚生費として計上するためには、以下の条件を満たしていなければいけません。
- パートタイマーやアルバイトを含む全従業員を対象として、参加率が50%以上であること。支店ごとに行う場合は、職場ごとに50%以上参加している必要があります。
- 国内旅行は4泊5日以内、海外旅行は海外での滞在日数が4泊4日以内であること。
- 旅行の内容が社会通念上で一般的であること。
- 自己都合で参加しなかった従業員に金銭を支給しないこと。福利厚生目的であっても、ホテル代として現金を支給した場合は福利厚生費として認められません。
このほか、役員だけで行う旅行は役員賞与、私的旅行と認められたり金銭と選択ができたりする旅行は給与などで処理する必要があります。
1‐4. 研修費
研修旅行などで発生した宿泊費は「研修費」として扱います。全従業員を対象としているのであれば、条件を満たしていれば福利厚生費として処理することも可能ですが、研修を目的としている場合は研修費とするのが適切といえるでしょう。ただし、観光を含んだ研修旅行では、研修に必要のない部分の費用は「給与」とみなされるため注意が必要です。
1‐5. 支出が高額な場合は経費として認められないことがある
旅費規程などを定めていたとしても、社会通念上、宿泊費や日当が妥当と認められないほど高額
な場合は経費として計上することができません。経費として認められる金額の基準については、国税庁なども発表はしていないため企業ごとに妥当な金額を考慮する必要があります。
人事労務・医療介護経営おける出版や調査研究・提言を行う民間シンクタンクである産労総合研究所では、「2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査[注1]」の中で宿泊出張の宿泊費について以下のような調査結果を発表しています。
国内出張の宿泊費
全地域一律額で支給する企業の場合:9,149円
実費支給する企業の上限額:9,750円
[注1]2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査結果|株式会社産労総合研究所
関連記事: 社員旅行は経費処理できる?慰安旅行との違いや経費で落とす条件を解説
2. 出張などの宿泊費を「旅費交通費」として仕訳するケース
出張による支出を旅費交通費とする際の仕訳について、いくつかのケースごとに解説します。
2‐1. 事前に従業員へ現金を渡すケース
出張に伴って先に費用を渡す場合、勘定科目は仮払金として仕訳します。貸方は「どこからお金を支払ったか」によって、勘定科目を現金や当座預金などに変更しましょう。
仕訳例)
借方 | 貸方 | ||
仮払金 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
出張後に領収書を受け取ったら以下のように仕訳を行います。
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 30,000円 | 仮払金 | 30,000円 |
仮払金に過不足があった場合は、以下のように仕訳を行いましょう。
・仮払額が足りない場合
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 35,000円 | 仮払金 | 30,000円 |
– | – | 普通預金 | 5,000円 |
・仮払額が実費より多い場合
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 25,000円 | 仮払金 | 30,000円 |
普通預金 | 5,000円 | – | – |
2‐2. 出張後に掛かった実費を従業員へ支払うケース
従業員が出張から戻ってきた後で領収書と引き換えに実費を支払う場合は、以下のように仕訳を行います。事前に仮払いなどをしない分シンプルですが、従業員へ出張費を支払った時点で初めて経費となります。
仕訳例)
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
3. 接待を伴う宿泊費を「交際費」として仕訳するケース
接待旅行などでゴルフ代や宿泊費が発生した場合は、交際費として以下のように仕訳をしましょう。
仕訳例)
借方 | 貸方 | ||
交際費 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
旅費交通費と同じように、事前に従業員へお金を渡す場合は仮払金の勘定科目を使用しましょう。また、貸方の勘定科目は支出元によって変更します。
4. 社員旅行などの宿泊費を「福利厚生費」として仕訳するケース
社員旅行などで宿泊費が発生した場合は、福利厚生費として以下のように仕訳をします。
仕訳例)
借方 | 貸方 | ||
福利厚生費 | 3,000,000円 | 普通預金 | 3,000,000円 |
借方を福利厚生費として、貸方は支払元に合わせて適切な勘定科目を記入しましょう。
5. 社内研修などの宿泊費を「研修費」として仕訳するケース
研修旅行などで宿泊費が発生した場合は、研修費として以下のような仕訳で処理します。研修旅行に観光を含んでいる場合など業務に不必要な部分がある場合は、不必要な部分の費用は給与として課税対象となります。
仕訳例)
借方 | 貸方 | ||
研修費 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |
借方を研修費として、貸方は支払元に合わせて適切な勘定科目を記入しましょう。
6. 宿泊費は目的別に正しく仕訳しよう
宿泊費の勘定科目は、その目的によって変わることや、金額や社内の規程によって処理が難しい場合があるなど、注意すべきポイントがいくつもあります。そのため、宿泊費の会計処理はややこしく感じるかもしれませんが、適切に企業を運営するためには正しく仕訳をすることが大切です。まずは宿泊費の適切な勘定科目を理解したうえで、社内規程と照らし合わせながら、慎重な仕訳を行いましょう。
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