法人税中間納付とは何か?納付の方法や計算方法、注意点を確認
更新日: 2024.7.2
公開日: 2022.8.10
jinjer Blog 編集部
法人税中間納付は、一部の企業を覗いて義務付けられている法人税の納付方法です。期限を守らなかったり、納付をしなかったりすると追徴課税が発生します。
間違いのない法人税中間納付をおこなうには、目的と計算方法を正しく理解することが大切です。本記事では法人税中間納付の基本から計算方法、注意点などを分かりやすく解説します。
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1. 法人税中間納付とは?
1-1. 法人税中間納付は半年分を前払いする制度
法人税の中間納付とは、事業年度の開始日から6ヵ月を経過した日を基準に、納税額の半分を前払いする制度です。いくらから中間納付の対象となるかというと直前の課税期間における消費税納税額が48万円を超える事業者です。
法人税が確定していない状態で申告・納税をおこなうため、納付額は「予定される納税額の半分」とされています。
中間納付で支払い過ぎている場合は確定申告で還付されるため、最終的に負担する法人税額は変わりません。
法人税中間納付をしていても、年度末の申告・納税は必要です。つまり、法人税は中間と年度末の2回おこなわなくてはいけません。
1-2. 法人税中間納付が必要な理由
法人税に中間納付が必要な理由は、法人側と国・自治体側にメリットがあり、税金の未払いを減らせるからです。
法人側のメリット
1年分の法人税をまとめて支払うと、納税額が大きくなってしまいます。それによって資金繰りが苦しくなる可能性も否めません。中間納付をして支払いを分散すれば、経営を圧迫しにくくなります。
また、払いすぎた中間納付の法人税は、確定申告をおこなうことで還付されます。その場合は還付加算金が追加され、大きな額ではありませんがプラスになるでしょう。
国・自治体側のメリット
法人税中間納付によって、企業側が税負担に苦しむリスクが減ると、倒産や滞納も比例して減ります。税収入の減少や、滞納への対応を減らせることが国や自治体にとっては大きなメリットです。
加えて、年に2回納税がおこなわれることで、財政が安定し、予算が組みやすくなる効果も発生します。
こうした理由から、大きな額になりやすく、滞納や未払いのリスクも高い法人税に中間納付が設けられています。
そのため、法人税の負担が軽い企業の場合、中間納付が必要ありません。
1-3. 法人税中間納付が不要な法人もある
法人税中間納付は、すべての企業で必要なものではありません。
- 連結合併をしていない創立1年目の法人
- 前年度の確定法人税が20万円以下である
- NPO法人をはじめとした公益法人など
これらの条件に当てはまる場合は、法人税中間納付が不要です。
それ以外の企業は事業規模を問わず法人税中間納付が必要で、納付期限(年度開始から6ヶ月を経過した日から2ヵ月以内)を守れないと追徴課税が発生します。
2. 法人税中間納付の方法は2つ
2-1. 計算が簡単な予定申告
前年度に納付した法人税額を使って算出するのが「予定申告」です。
既に支払っている前年度の法人税額の、約半分を納付額として申告・納付します。
予定申告は計算や申告・納税が簡単です。
しかし、前年度の利益が大きい場合は、納税額が大きくなってしまいます。業績が悪化していると、想定外の税負担に苦しむことになってしまうため、利益が前年度を下回っている場合は注意しましょう。
2-2. 納税額を抑えやすい仮決算
仮決算による法人税中間納付では、中間決算をおこないます。
事業開始日から6ヵ月の上半期を1事業年度として仮決算して課税所得を算出し、それを元に中間納付の納税額を決める方法です。
納税額は、予定申告よりも仮決算の方が少なくなります。経営が悪化して利益が減っている場合は、仮決算を選ぶことで納税額を抑えて負担を軽減できるでしょう。
ただし、確定申告と同等の業務が必要で、手間と時間が必要です。仮決算で納税額を算出したい場合は、少し余裕を持って申告の準備を始めましょう。
3. 法人税中間納付額の計算方法
法人税中間納付の予定申告・仮決算それぞれの方法で使う計算式と計算方法を解説します。
3-1. 予定申告の計算方法
予定申告で法人税中間納付額を求める場合は以下の計算式を用います。
前年度の法人税額÷前年度の月数×6
前年度の法人税額が350万円だったと仮定して、実際に計算してみましょう。
3,500,000円 ÷12ヶ月 ×6 =1,749,999.999円
このような計算になります。
国税通則法では以下のような決まりがあるため、実際に申告・納税する金額は174万9900円です。
- 計算過程で1円未満の端数はすべて切り捨てる
- 計算結果の100円未満の端数はすべて切り捨てる
3-2. 仮決算の計算方法
仮決算で法人税中間納付額を求める場合は、中間決算をおこないます。
事業年度を開始する月から6ヶ月間を計算期間年、法人税を割り出すことで納税額を求めることが可能です。
法人税の計算は
益金(収益) – 損金(経費)=課税所得
課税所得 × 税率 =法人税額
で求められます。
帳簿上の利益が850万円、損金が150万円で、法人税率が15%と仮定して計算をしてみましょう。
8,500,000 – 1,500,000 =7,000,000
7,000,000 × 15% = 1,050,000円
105万円が法人税中間納付で納める税金の額です。
仮決算で法人税中間納をおこなう場合は、損益計算書・貸借対照表・勘定科目仕訳書など、決算に必要な書類の提出も必要になります。
納税額を求めることに加えて、必要書類の準備も進めておきましょう。
4. 法人税中間納付をおこなう際の注意点
法人税中間納付の申告・納税や計算をおこなう際の注意点をお話します。中間納付のメリットを活かし、正しく納税するためにお役立てください。
4-1. 納税額を申告しないと予定申告とみなされる
法人税中間納付の申告期限までに申告書を提出しないと、予定申告によって計算したとみなされます。これが「みなし申告」といわれるものです。
予定申告は仮決算よりも納税額が大きくなります。前年度よりも業績が悪化していると、税負担に苦しむ可能性もあるため、仮決算で法人税中間納付をしたい場合は必ず期限内に申告を済ませましょう。
関連記事:法人税の申告期限はいつ?期限を過ぎてしまった場合のペナルティも確認
4-2. 期限までに納税しないと追徴課税が発生する
法人税中間納付は、特定の条件に当てはまる企業を除いてすべても企業に義務付けられています。納付期限の時期は事業年度開始日から6ヶ月が経過した日から、さらに2ヵ月が経過した日です。
2ヵ月という期間は長く感じますが、繁忙期と重なるとうっかり期限を過ぎてしまうケースも少なくありません。
申告を忘れただけならみなし申告になるだけですが、納付まで忘れると追徴課税が発生するので注意しましょう。
4-2. 吸収合併をおこなった場合は被合併法人分も加算する
吸収合併をおこなった場合で、適格合併の用件を満たす場合は、法人税中間納付額が変わる可能性があります。
適格合併が年度開始日から6ヵ月以内の場合は、確実に納税額が変わるので注意しましょう。
計算方法は複雑であるため、この条件に当てはまる場合は専門家に相談したほうが間違いありません。
5. 法人税中間納付は税負担を軽減できる制度
中小企業や、業績が悪化している企業の場合は、これによって資金が回しやすくなることもあるでしょう。
すべての企業に課されている義務ですので、正しく計算して間違いのない納税をおこなってください。
法人税中間納付の計算や中間決算をおこなう際には、経理ソフトがあると業務を効率化できます。複雑な計算も数値を入力するだけで完了しますので、少しでも経理の負担を減らしたい場合はぜひご検討ください。
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